大変お待たせしました。
「くっ・・・。離せっ!!」
「無駄だよ、やめときな。」
自身を掴む手を引き離そうともがくルビーに、カガリは冷たく答える。
「あたしの手袋から、今はザロクとネコブの汁を混ぜ合わせた液体が出てる。粘性の高い天然の接着剤さ。」
「なんで、ボクを!?」
「すっとぼけんじゃないよ。捨てられ船でも、カイナでも会ってるってのにさ。覚えてなかったの、かい!!」
言い切るのと同時にルビーを地上に放り投げる。が、地面にぶつかる前にルビーを追いかけていたZUZUがその体を受け止めた。
「ありがとう、ZUZU。」
「なら、今度は忘れないように覚えときな!あたしはマグマ団三頭火のカガリ!さぁ、お前の力見せてみな!」
「ZUZU!」
そう言ってキュウコンを繰り出すカガリ。
ルビーに襲いかかるキュウコンの爪を、ZUZUが受け止める。
「なんだい、潜水艇だと人目を避けるようにしてたから、人気のない所まで連れてきたってのに。その様子だと気にする必要はなかったかい?」
「・・・随分と詳しいですね。まるで見てきたみたいだ。」
「似たようなものさ、ほら。」
カガリは頭のツノを引き抜くと、手に持った紙をあぶる。すると、そこにはルビーの顔が浮かび上がってきた。
「あたし達の装束には、このライターが仕込まれている。おまえが関わってきた事件も、この記憶の炎を共有することでなにもかもお見通しってわけさ。」
「なるほど・・・。それなら、隠す必要はなさそうですね!」
ルビーは手持ちのポケモンを全て繰り出すと、目の前のカガリをキッと睨みつける。
「いいねぇ、その目つき。ようやく本気でやりあえるって訳だ!」
ーーーーーーーー
「さて、こんなもんでしょ。」
目の前にはマグマ団の下っ端でできた人の山。
洞窟が崩れたらまずいから、きららにはお休みしてもらったら結構時間かかっちゃったよ。
「1人で全部片付けちゃいましたね・・・。」
「流石、マシロちゃん。」
「所詮下っ端だしね。それより、他の作業員は皆逃げてるね。エライエライ。」
「あとは、連れて行かれたルビー君なんだけど・・・。これじゃあ、車で通れないわね。」
そう言ってマリさんが見つめるのは、マグマ団が崩した岩で塞がれた道。
「これぐらいなら、ミスタでもぶち抜けるかな。」
「え?」
振り返ったマリさんの視線の先には、力を溜めはじめたミスタ。
「ちょっと、マシロちゃん!?どうするつもり!?」
「瓦礫はどうにかするから、マリさん達は車の準備をしてて。」
「・・・!!ダイ、車!!急いで!」
「は、はい!!」
ダイさんは車を回し、マリさんがそれに乗り込む。
そうして準備をしている間にミスタの準備も整う。
「ミスタ、メテオビーム!!」
溜めたエネルギーを一気に放出すると、メテオビームが目の前の瓦礫の山を吹き飛ばしながら反対側の手口まで突き抜けていく。
そして、メテオビームが通り過ぎた後は瓦礫がキレイになくなり、車が走れる道ができ上がった。
「凄いですねぇ・・・。一瞬で車が通れる道ができちゃいましたよ。」
「ダイ、行くわよ!」
「了解!」
そう言うと、ダイさん達が乗った車が瓦礫のなくなった道を一直線に走っていく。
「それじゃ、私達もいこっか。ミスタ、お願い。」
私はミスタに飛び乗ると、ダイさんが乗った車を追いかけた。
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一方、ルビーとカガリの戦いは少しずつカガリの方に傾いていた。
「あたしのキュウコンは、9つの尾から9つの火球を放つことができる。アンタのポケモンで、こいつを全部撃ち落とすのは無理だ。」
「くそっ・・・!!」
「ドンドン火力を上げていくよ!キュウコン、かえんほうしゃ!!」
そして、尻尾の炎だけでなくキュウコンの口から放たれたかえんほうしゃがルビーとポケモン達を飲み込んでいく。
「うわあぁぁぁ!!」
かえんほうしゃがおさまると、地面に膝をつくルビーと地面に倒れ伏すルビーのポケモン達。
「アンタが潜水艇で戦った相手は、熱によって相手に幻覚を見せる精神攻撃の使い手。アイツが相手なら気合でなんとかできたかもしれないけど、あたしはそんなまどろっこしいのはキライでね。ただひたすら、相手を焼き尽くす。」
「・・・・・・・・・。」
膝をつきながらルビーはカガリを睨みつけるが、そんなことは意に介さずルビーにツカツカと歩み寄りながら、カガリは言葉を続ける。
「おまえ、コンテストに熱心らしいね。あたしもキレイなモノは大好きだよ。でも、こんなリボンが美しさの象徴?そんなはずないだろ。この世で最も美しいのはすべてが炎に飲み込まれていく瞬間。」
そう言って懐から取り出してルビーに見せつけたリボンを炎の中に放り込むと、リボンは灰になっていく。
それを見ることもせずに、カガリは膝をつくルビーに視線を合わせる。
「アンタ、あたしの仲間にならないか・・・ッッ!!」
そして、ルビーに声をかけた瞬間その場を飛び退くと、その場をメテオビームが通り過ぎていった。
「今のは・・・!?まさか、マシロの・・・!?」
(仲間になれ?それにマシロさん・・・!?いや、今はそれよりも。)
カガリはメテオビームが放たれた方を見て小さく呟き、その間にルビーは自身のポケモンたちに駆け寄る。
「みんな・・・!!」
(ひどいやけどだ。水タイプのMIMIやZUZUまで。この人は強すぎる。でも、今のがマシロさんの攻撃なら・・・!!)
「さぁ、どうするんだい?」
ルビーはZUZU以外のポケモンをボールに戻す。
「・・・時の流れは移りゆくけども、変わらぬその身のたくましさ。ほとばしりたるは怒りの激流。」
カガリの言葉には答えずルビーは小さく呟く。
「・・・そんな話はお断りです!ZUZU、だくりゅう!!」
そして、大きな声でカガリに答えるのと同時に、周囲の炎をかき消しながらカガリに迫るの水の奔流。
「へぇ~、まだこんな攻撃が出来たんだね。でも、返事は残念だよ。かき消せキュウコン、はかいこうせん!!」
それを、キュウコンが放ったはかいこうせんが薙ぎ払い打ち消していく。
「今だ!マッドショット!!」
「チッ・・・!!」
はかいこうせんがだくりゅうを薙ぎ払った瞬間、だくりゅうの影から放ったマッドショットがカガリとキュウコンにかかり視界を奪う。
(特性のげきりゅうが発動した状態のだくりゅうを、簡単にかき消した。この敵は強すぎる・・・!!正直まともに相手をしてたら勝てない。だけど、さっきの攻撃がマシロさんのものならもうすぐ・・・!!)
そう考えていた時、さっきの閃光が放たれた方から1台の車が走ってくる。
「来たっ!!」
「ルビー君、無事!?」
「なんとか、ね!」
走ってきた車の開けられた後部座席に飛び乗ると、ZUZUをボールに戻す。
「クソっ、逃がすか!キュウコン!!」
自身にかかった泥を拭いながら指示を出すと、キュウコンが尻尾から火球を放つ。
「あわわわわ!来ましたよ!」
「慌てないの!私達には・・・。」
「ミスタ、ハイドロポンプ!!」
キュウコンが放った火球が車に迫った瞬間、後ろから放たれた水流が火球をすべてかき消す。
「マシロちゃんがついてるわ!!」
ーーーーーーーー
前を走る車に迫る炎をかき消しながら、カガリと車の間に割り込む。
「・・・アンタもいたんだね。」
「さっきまで車の中にいたから気づかなかったかな?」
話している間に車はトンネルを抜けていき、車が見えなくなるとカガリの視線は私の方に向けられる。
「アンタがいたのなら、ルビーの奴と遊んでいるんじゃなかったね。」
「そう?その様子だと、結構楽しんだんじゃない?」
「・・・まぁね。」
泥だらけの様子を見るに、ルビーが一矢報いたかな?
「でも、アンタともう一度やり合う方が楽しみだったさ!キュウコン!」
「ミスタ!」
「かえんほうしゃ!」「ハイドロポンプ!」
私達の間で水と炎がぶつかり合う。
そして、数秒の拮抗の後押し切ったのはミスタ。
かえんほうしゃをかき消し、キュウコンにハイドロポンプを浴びせる。
前に戦った時より、火力が下がってるね。既にルビーと戦ったからかな?
「キュウコン!!チッ、思ったより消耗してやがる・・・。」
「みたいだね。ところで、なんでルビーを連れて行ったの?」
「・・・カイナでの戦いから、実力を隠してそうだと思ってね。隠してるものに興味が出るのは仕方ないだろ?」
「で、ヤブをつついたらルビーにしてやられた訳ね。」
「・・・フン。」
泥だらけの姿を見てそう言うと、認めたくないのか鼻を鳴らしてそっぽを向く。
意地っ張りだねぇ。
「疲れてるのならやめときなよ。そんな状態だとミスタには勝てないよ。」
「・・・認めたくないけど、そうみたいだね。」
視線をそらしたままキュウコンを引っ込める。
「お?意外と素直。」
「アンタとやるときは、全力じゃないとつまらないからね。
「・・・調べたの?」
「気になるものは徹底的に調べないと気がすまない質でね。」
それでルビーも連れて行ったの?船でもそうだったけど、相変わらずはた迷惑な。
「ま、アンタとの決着は楽しみに取っておくよ。」
「あ、待って待って!」
そのまま帰ろうとしたところを慌てて呼び止める。
「・・・なにさ?」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど・・・。」
と思ったけど、振り返ったカガリの泥だらけの姿を見て言葉が詰まる。
うーん、泥まみれのまま話につきあわせるのもあれだよね。いや、自業自得ではあるんだけど。
「・・・確か、近くに温泉で有名な町があったよね?」
「フエンタウンのことかい?」
「フエンっていうの?とりあえず、そこで温泉にでも入りながら話そうよ。泥だらけなのも気になるでしょ?グロウ!」
「そりゃ気になるけど、あそこは今・・・、ってちょ!?」
気になると言うカガリをグロウが引っ掴むとそのまま洞窟の外に向かい、その隣に私とミスタが並ぶ。
「何でアンタに付き合わなきゃならないのさ?」
「さっきはルビーを付き合わせたんだから、今度は私と付き合ってくれてもいいでしょ?」
「なんでルビーを連れて行ったら、アンタと付き合わないといけないのさ・・・。」
「私、ルビーのお姉さんみたいなものだし。ま、ルビーのことは置いといて温泉温泉!」
「ハァ・・・。ウキウキなところに水をさすようで悪いけど。今、火山の活動は止まってるから、温泉は楽しめないよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・え?