意気揚々とやってきた私達を出迎えたのは冷え切ったフエンタウン。
「えー!!なんでこんなに冷え切ってるのぉ!?」
「だから言っただろ・・・。」
最早抵抗すらせずにグロウに掴まれてなすがままのカガリ。
「せっかく来たのに温泉に入れないとか!!理不尽にも程があるよ!!」
「文句はアクア団の連中に言いな。アイツラが隕石のエネルギーをぶつけて火山活動のエネルギーを抑え込みやがったせいだからね。」
「あの青い連中・・・。次会ったらぶっ飛ばしてやる。」
ん?隕石のエネルギーをつかって抑え込んだ?
なら、その隕石のエネルギーをなんとかすれば火山が復活して、温泉が楽しめるのでは・・・?
「ねぇ、カガリ。その隕石のエネルギーをぶつけた場所ってどこ?」
「そんなの火口に決まってるだろ?」
「なら、そこに行くよ!」
場所を聞いた私達は、そのままフエンタウンを通り過ぎると火口に向かっていった。
ーーーーーーーーーー
「さてさて。火口に到着、っと。」
「いや、アタシは置いて行けよ。」
「まだ聞きたいこと聞いてないし。」
「ならさっさと聞きなよ。」
そんなカガリの言葉を聞きながら火口を覗き込む。が、見た目ではよくわからない。
「きらら。」
『はーい。』
「いや、人の話も聞けよ。」
後ろでグロウに掴まれたまま、カガリが何やら言ってるけど今は火山の方が重要だから、後でね?
「きらら、火山がどんな状態か分かる?」
『んー・・・。かざんのうえをへんなのがおさえつけてる・・・?』
ふむふむ、変なのってのがアクア団がぶつけた隕石のエネルギーってやつだね。
「きらら。それ、同じ様なエネルギーをぶつけて相殺できる?」
『できる・・・かも?』
かも、かぁ・・・。でも、可能性があるならやってみる価値はあるかな?
フエンタウンなんて冷え切ってるしね。
「それじゃ、お願い。かなり消耗することになると思うけど、こんなことできるのきららしかいないから。」
『まかされた!』
「こっちの話を聞けよ!!」
「うわっ!!びっくりした!!」
『わわっ!』
カガリが急に大声を出すからびっくりしたよ。きららなんて、私の頭にへばりついちゃったし。
「一人で何を言ってるのさ。」
「ちょっと火山を復活させようかと思って。」
「ホムラのやつが、そこに居合わせたトレーナーと炎を撃ち込んだけど無理だったんだ。そんなこと出来るのかい?」
「やってみないと分からないかな。」
でも、炎を撃ち込むのも有りかもしれない。隕石のエネルギーを相殺するのと、火山を活性化させるエネルギーを同時に撃ち込めば可能性は上がりそう。
「だからさ、カガリも手伝ってよ。」
「仕方ないね。ここまで連れてこられたんだ、少しぐらい付き合ってやるよ。」
そう言うと、グロウの腕から抜け出して私に並ぶ。
「話が早くて助かるよ。」
「別に。それより、勝算はあるんだろうね?」
「全部きらら頼みだけど、カガリもいるしなんとかなると思うよ?」
『がんばる!』
「きららって、アンタの頭にひっついてるそいつかい?本当に大丈夫なんだろうねぇ・・・。」
見た目はかわいいもんね、そう思うのもしょうがないよね。あと、頭に引っ付いたのはカガリが大声出すからだよ。
「ま、論より証拠ってね。早速だけど始めるよ。カガリは、いい感じのタイミングで全力の炎を撃ち込んで。」
「アバウトだねぇ・・・。ま、全力で燃やせばいいだけならアタシの得意分野だ、キュウコン!」
「それじゃあきらら。デカいの一発よろしくね!りゅうせいぐん!!」
瞬間、空から落ちてきたのは1つの巨大な隕石。それが一直線に火口に向かっていく。
「なっ・・・!!・・・ハハッ、アタシらも負けてらんないね!キュウコン、ドンドン火力上げてくよ!!」
キュウコンの尻尾の先にドンドン炎が集まり、それは次第に大きな火球を形成していく。
「おぉ!やるじゃん!」
「アンタが言うと、嫌味にしか聞こえないね!」
「いやいや、本心だって。」
「・・・チッ。」
何故か舌打ちされた。本心なんだけどなぁ・・・。
ドゴォン
その時、きららの放ったりゅうせいぐんが轟音をたてながら火口にぶつかる。
火口に目を向けると、りゅうせいぐんが少しだけ溶岩に沈んだ状態で何かと拮抗しているように停止していた。
「むぅ・・・。きららのりゅうせいぐんと拮抗するとは、なかなか手強い。きらら、いけそう?」
『だいじょうぶ、いけるよ!』
きららが答えた瞬間、りゅうせいぐんが火口に沈み込む。
「今だ!ぶち込め、キュウコン!」
そして、それを追うようにキュウコンが作り出した特大の火急が火口に撃ち込まれた結果。
「ハハッ!ホントになんとかしちまったよ!」
「カガリが手伝ってくれたからね。」
「・・・それより、このままじゃアタシたちお陀仏じゃないか?」
「「・・・・・・・・・。」」
噴き上がる溶岩を呆然と見上げる私とカガリ。
「きらら!?まだいける?いけるよね?いけなかったらヤバイんだけど!?」
『つかれたけど、がんばるよー!!』
特大のりゅうせいぐんって、きららの負担が大きいんだけど、頼れるのはきららしかいないんだ。ごめんね、もう少しだけ頑張って。
「きらら、はめつのねがい!」
そして、きららが銀色の光を放つと噴き上がる溶岩が一瞬で消え失せる。
「・・・アンタ、そんなことも出来たんだね。」
「まぁね。危なすぎて使ったことは殆どないんだけど。」
『ふぃ〜・・・。』
「・・・っと。おつかれ、きらら。」
フラフラと降りてきたきららを両腕で抱える。
『ひさしぶりにつかれたよ~。われはあまいものをしょもうする。』
「おっけ。好きなだけ食べていいよ。」
『わ~い!!ふわぁ〜・・・。でも、つかれたから、ちょっとねる〜・・・。』
「ありがとね、きらら。」
そう呟いてきららをボールに戻す。
「さて。火山が復活したことだし、さっさと行くよ。」
「お?どしたの?急に乗り気じゃん。」
「アクア団の連中が今頃泡吹いてると思うと、そりゃ乗り気にもなるさ。」
「アクア団とマグマ団って仲悪いの?」
「まぁ、ね。理念は真逆だし。・・・ほら、行くよ。」
そう言って意気揚々とグロウに飛び乗るカガリ。
あ、グロウに乗ってくんだ。
ーーーーーーーー
「ふぅ~。泥も落とせてアクア団の奴らも一泡吹かせてやれたし、いい事づくめだねぇ。」
「ねー。」
フエンに戻った私達は、温泉に浸かってのんびり羽根を伸ばしていた。
「火山が休止して温泉はやってないよ。それに、さっき何かが爆発したような音までしたし何かの前触れじゃなきゃいいけど。・・・あれっ!?温泉が湧いてる!?なんで!?」
ってお店の人は焦ってたけど、泥だらけのカガリの姿を見ると快く通してくれた。
「で、聞きたいことってなんなのさ?」
温泉に浸かると、直ぐにカガリが口を開く。
もう少しのんびりすればいいのに、せっかちなんだから。
「えっとね。マグマ団三頭火ってやっぱり3人なの?」
「あぁ、捨てられ船で会った大男もその1人さ。ホムラっつってね、コータスの煙で眠らせるなんて、図体に似合わない事が得意なやつだ。もう1人はホカゲ。熱で相手を幻惑する精神攻撃の使い手さ。こっちはまぁ、見た目通りの奴だね。」
「で、カガリはシンプルに焼き尽くすって感じかぁ。分かりやすくていいね。それで、リーダーは?」
「アタシ達マグマ団をまとめてるのは、マツブサってリーダーさ。」
あ、三頭火がリーダーじゃないんだ。
「でも、初めて会った時はあんなに素直で可愛かったのに、なんでこんなに反抗期拗らせちゃったの?」
「誰が反抗期だ。・・・別に大した事じゃないよ。コンテストに躓いてたときに、思い切ってロコンからキュウコンに進化させたのさ。でも、炎のコントロールがうまくいかなくて苦労してときに、リーダーが話しかけてきたんだ。『いい炎だ。加減するなんてもったいねぇ、どうせなら思いっきりぶっ放しちまえよ。場所なら用意してやる。』ってね。それからだね、マグマ団として動くようになったのは。」
昔を思い出すように空を見上げ、遠い目をするカガリ。
「カガリが反抗期拗らせたのは、その人のせいかぁ・・・。」
「だから・・・。ハァ、それはもういい。それより、アタシも聞いていいかい?」
「ん〜?」
言い返すのも諦めたのか、盛大なため息をつくカガリ。それより、とカガリは言葉を続ける。
「なんでわざわざこんなところに連れてきたのさ。さっきの話なんて、洞窟で話せばすぐ済む話だろ?」
「いやまぁ、そうなんだけど。・・・カガリとはあんまり戦いたくないな〜って。」
「ハァ?なんでだよ?」
あー、やっぱり聞かれるよねぇ。
カガリ、気になることはとことん聞いてくるタイプだし、誤魔化すのは難しいかなぁ。少しはずかしいけど仕方ない、か。
「・・・初めてカガリ会った時、私、コテンパンに負けたでしょ。」
「あぁ。今では想像もできないぐらい弱っちかったねぇ・・・。」
「そうそう・・・。その時負けたから、私はミカンにポケモンバトルを教えてもらおうと思ったし、トレーナーとしても成長しないといけないと思ったんだ。だから、あの一戦。私にとっては結構大事な一戦だったんだよね。たから、その時の相手がカガリでさ。再会できてちょっぴり嬉しかったりしたんだよ?でも、その相手がマグマ団っていう組織にいるって聞いたら悲しくなるでしょ?」
あの時の負けがなかったら、かぷちーもグロウも今ほど成長してなかったかもしれない。私もトレーナーとして成長せずに、きららとミスタに頼りっぱなしのへっぽこトレーナーだったかもしれない。
そう思うと、あの時の相手がカガリでせっかく再会出来たのに、そのカガリがマグマ団に居るのってやっぱり嫌なんだよね。
「だからさ、カガリ。マグマ団辞めてくれないかな?」
そう言うと、少しだけ沈黙が流れる。
「ハァ・・・。それが本題か。サッサと切り出せばいいものを、まどろっこしい。」
「いやー、あの素直なカガリがこんなになっちゃってるからさ、それ相応の何かがあったんじゃないかなーって思うとね。」
「フン。それで、アタシが首を縦に振ると思ってるのかい?」
「やっぱり、ないよねぇ・・・。」
素直に聞いてくれるとは思ってなかったけど、キッパリ言われるとやっぱりショックだね。
リーダーをしばき倒してマグマ団を潰さないと駄目かぁ。
「それに、ここにいればアンタとやり合う機会が増えそうだしね。」
あ、そういう感じ?ミスタと仲良くなれそう。
「話は終わりかい?それなら、帰らせてもらうよ。」
そう言って立ち上がり出口に向かって歩き出す。
が、手前で立ち止まって振り返る。
「ところで、アンタ。ルビーのやつとはどんな関係だい?」
「お?気になる?」
「フッ・・・。面白そうな奴らが知り合いだと、気になるだろ?」
「う~ん・・・。友達、というよりお姉さん。的な感じ?昔、ルビーを助けた事があったんだ。・・・まぁ、接点なんてそれだけなんたけど。」
「・・・そうかい。」
カガリはそれだけ言うと、そのまま温泉を出ていった。
「あ~あ、次会ったら敵同士かぁ。でも、マグマ団とアクア団と戦う理由が、マリさんの手伝いだけじゃなくなったね。」
さて、私も一息ついたらマリさん達を追いかけないと。
次にマリさん達が向かうのは、コンテスト会場のあるハジツゲタウンかな?
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オオスバメに掴まれ、空を飛びながら1人呟く。
「フン。何が次に会ったら敵同士、だよ。最初から敵同士だったっての。」
つまり、あいつにとってアタシは敵としても見られていなかったってことか。ムカつくやつだね。
「でも、次にあったらアイツも本気で来るだろうね。・・・楽しみだよ。」
だが、アイツの事を調べた時にはきららの情報はなかった。つまり、公式戦には一度も出してないアイツの切り札って事だ。
・・・まぁ、逆に言えば切り札を隠したままチャンピオンに成り上がったとも言える。
「面白い。アタシが燃やせない相手なんて久しぶりだ。ついでに、ルビーってやつのことも調べておこうか。そっちからアイツの情報も出てくるかもしれないしね。」
楽しくなってきたねぇ!!