ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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88話

 

「それじゃあ、マグマ団は1人のリーダーと3人の幹部がいて、他は構成員ってとこかしら?」

「そそ。マツブサってリーダーと、カガリ、ホムラ、ホカゲって言ってたかな?」

「ちゃんと情報を持って帰ってきてくれるから助かるわ。ルビー君は巻き込まれただけって言い張って、あまり協力的じゃなかったのよね。」

「ウ~ン、何か悩んでるみたいだったしコンテストの事以外に気を使う余裕がなかったのかも。」

 

思い返せば、天気研究所の後にサファイアの事を口にしてから様子がおかしくなった気がする。

 

「かもしれないわね。・・・それにしても、すぐに追いついてくると思ってたのに、結構時間がかかったわね。マグマ団の幹部、そんなに強かったの?」

「あ、うん。強かったよ。」

 

ホントはその幹部と一緒に温泉行ってただけ、なんだけど。

 

「あ、見えてきましたよ!」

 

運転しているダイさんが声を上げ、マリさんと一緒に前を見た瞬間。

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

「うわっ!!」

「きゃっ!!」

「おっとっと。」

 

ダイさんがとっさに急ブレーキをかけたことで、マリさんは悲鳴を上げた。

私は前につんのめりながら踏ん張った。頑張った。

 

「今のは・・・?」

「行くわよ、ダイ!!」

「は、はい!!」

 

その場で車を停めて、駆け出す2人。

 

「流石ジャーナリスト。行動が早い。・・・っと、置いてかれちゃう。早く追いかけないと。」

 

そして、その後ろを追いかけると何故か茂みの影に隠れだす2人。

その後ろに私もそっと隠れる。

 

「どうしたの?」

「あそこに居るの、局長なんだけど、なんだか雰囲気が・・・。」

「何か変、ですね。」

 

2人に習って茂みから火柱の上がった所を覗き込むと、対峙している2人の人影。

片方はバクーダを従え、見覚えのあるマークが入った赤い装束の男。

ってことは、もう1人の方が局長かな?トドゼルガを出してる。なら、さっきの火柱はバクーダの技かな。

そう思っていると、局長がパチンと指を鳴らす。

それを合図に現れたのは見覚えのある3人組。

 

「あの3人って、トウカの森で会った人じゃ・・・!!」

「なんで局長があの3人組と?・・・ッまさか!?」

「そのまさかってやつ、だね。」

 

あらら。こっちではジムリーダーじゃなくてテレビ局の局長かぁ。

全く、裏の顔がある人は取り入るのが上手いね。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

マシロ達が到着する少し前。

火柱が上がったその場所で、2人の人影が向かい合っていた。

 

「水道局員に化けたり、テレビ局員に化けたり。アクア団の連中は忙しそうじゃねぇか。なぁ、アオギリ。」

「おやおや、誰かと思えばマツブサ。あなたでしたか。」

「久しぶりだな。裏でコソコソとセコいことをやってくれたじゃねぇか。お陰で赤い装束の1団はお茶の間でおなじみの迷惑集団になっちまって、動きにくくて仕方ねぇ。」

「あなた達が目立ってくれたお陰で、我々は目立つことなく動けて大助かりですよ。」

「心底、ヘドの出る野郎だぜ!!バクーダ!!」

「トドゼルガ!!」

 

「かえんほうしゃ!」

「れいとうビーム!」

 

2人の間でぶつかりあった技が、互いに相殺し打ち消し合う。

 

「男なら、腕一本で勝負だろうが!」

「もちろん。その方面でも負けませんがね!こおりのキバ!」

 

トドゼルガのキバがバクーダの背に突き刺さる。

 

「トドゼルガの2本のキバは、10トンの氷山をも粉砕する威力。そのキバから発する冷気は相手の体を凍りつかせる。」

「ハッ!!バクーダの特性はマグマのよろい。凍ることはねぇ!そして、背中に深く突き刺してくれたお陰で、てめぇのトドゼルガは動けねぇよなぁ!!そのままふんかだ!バクーダ!!」

 

バクーダの背中から噴き出した炎が、火柱を上げてトドゼルガを吹き飛ばし、アオギリの足元にドサッと落下する。

 

「・・・負けました。と、言いたいところですが。」

 

とアオギリが言葉を区切ると、倒れていたトドゼルガがムクッと起き上がる。

 

「トドゼルガにもあついしぼうという特性がありまして。どれだけマグマを浴びせられようともダメージを負うことはありません。」

「チッ。この場で起動部品を奪い取ってやろうと思ってたが、このままだと埒が明かない、か。・・・なぁ、アオギリ。オレたちが潜水艇を手に入れたのは知ってるよな。だが、その性能を引き出す為の部品はてめぇらが持っている。」

「・・・そうですね。」

 

アオギリはマツブサの意図が読めずに、困惑しながらも静かに同意する。

 

「互いに海底洞窟に行きたいのにお互いに邪魔をしあってるわけだ。」

「・・・何が言いたいのです?」

「オレたちは敵同士。だが、そいつを一旦飲み込んで手を組もうって言ってるんだよ。かいえん1号をホウエンの最深に到着させる。その間だけ一時休戦ってのはどうだ?当然、海底洞窟に行ったあとは敵同士。」

「依存なし。・・・と言いたい所ですが。」

 

おもむろにアオギリがパチンと指を鳴らす。

すると、アオギリの後ろに現れる3人の男女。

 

「あなた達マグマ団が、()()()()()()()()()()()()()()()を聞かないと、手は組めませんね。我々も教授を騙して隕石のエネルギーを火山活動を停止させるパワーに転化させる装置を作らせて、ようやく可能になったものです。それを短時間で復活させる手段を持っているのなら、手の内を明かしてもらわないと、簡単には信用できませんね。」

「悪ぃが、アオギリ。あれはオレたちじゃねぇよ。」

「嘘はやめてください。あなたたち以外に誰がそんな事が出来るんですか?これ以上隠し事をするなら、交渉決裂。ですね。」

 

そう言うと、マツブサににじり寄るアオギリたち。

チッ、と舌打ちをしながら後退りするマツブサの前に、赤い装束の男が割り込んた。

 

「本当だ。あんたらの言う装置ごと燃やして火山に撃ち込んで、それでも隕石のエネルギーには勝てずに火山は沈静化したままだったゼ。」

「ホムラか、いいタイミングだ。」

「一応、他の連中にも声をかけたが少し時間がかかるってヨ。」

「なら、誰がそんな事をしたというのです?」

「さぁな。だが、考えてみろよアオギリ。もしオレたちが火山を復活させたのなら、今頃隠したりせずにてめぇらのことを笑ってやってるさ。」

「・・・確かに、それはそうですね。なら一体誰が・・・。」

 

マツブサの言葉を聞いて、考えこむアオギリ。

 

「分からねぇもんは考えてもしょうがねぇだろ。手を組むのか!?組まねぇのか!?」

「・・・いいでしょう。火山を復活させた相手は気になりますが、それより海底洞窟に向かうほうが重要です。」

「ふぅ。一時はどうなるかと思ったゼ。」

「ふん!総帥(リーダー)に感謝することです。」

「イズミさん、やめなさい。」

 

ホムラに突っかかるイズミを諌めながら3人組に目を向けると、アオギリは眉をひそめる。

 

「・・・おや、ウシオさん。あなたもいたのですか?あなたの事は作戦から外したはずですが。」

「体のことなら・・・、大丈夫です。」

 

ウシオと呼ばれた人は、もう1人の男に肩を借りて苦しそうにしながらも気丈に返事を返す。

 

「そんな事を言っているのではありません。えんとつ山で失敗したあなたは使わない、と言っているのです。」

「そんな・・・。」

 

が、そんなウシオに冷たく返すアオギリ。

 

「ヒュー。怖い怖い。」

「ホントホント。」

「だよナ!」

 

それを見て口笛を吹くホムラの横に、いつの間にか現れた着物姿の少女、マシロが頷いている。

 

「・・・ホムラ、そいつは誰だ?」

「・・・ア?ぬあっ!!誰ダ!?」

 

それを見たマツブサが、眉をひそめながらホムラに問いかけると、隣を見たホムラが驚いて飛び上がった。

そして、それを見たマシロも驚く。

 

「うわっ!びっくりした!!」

「それはこっちのセリフだゼ!」

「チッ!バクーダ、とっしん!!」

「危なっ!!」

 

その様子を見てバクーダをけしかけるが、ひらりと躱してマツブサたちから距離をとる。

 

「ちょっと!いきなりとっしんなんて怪我したらどうするの?」

「・・・あなた、何者ですか?」

 

その姿を見てアオギリが問いかけるが、イズミは顔色を変えて声を荒らげた。

 

「あの小娘はっっ・・・!!総帥(リーダー)、気をつけてください。トウカの森で邪魔をしてきたトレーナーです。」

「あれ?ふ~ん・・・。局長なのに私の事を知らないんだ。」

「何者かと聞いているんです!!」

 

緊張感のない口調から、苛立ちを隠せずに語尾が強くなる。が、それを聞いてもマシロは表情を一切変えずあっけらかんとしたままで答えた。

 

 

「そうだね・・・。強いて言うなら、通りすがりの正義の味方、かな?」

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

「どういうことでしょうか・・・?」

「アクア団とマグマ団の双方の目的は海底洞窟って場所にあって、そのためにそれぞれが部品と潜水艇を奪った・・・?」

「それで、お互いに歯がゆい思いをするぐらいなら手を組もうってことかな?」

「そして、局長の正体はアクア団のリーダー・・・?報道規制も自身の悪事を隠すためのもの・・・?」

 

あちゃー。マリさん、結構ショックを受けてるね。自分の上司が悪の組織のリーダーって言われたら、仕方ないか。

 

「マリさん、逃げましょう!幸い、アイツラはこっちに気づいてません。今なら逃げられます。」

「でも、逃げてどうするのよ!?今なら局に戻れば悪事の証拠を押さえられるかもしれないわ!」

「ダメですよ!周りが敵か味方か分からないところに飛び込むなんて!デボンの社長が部品を自分自身で運んでた事、覚えてますよね?社長はこういったことも予想してたんですよ!結果的には奪われてしまいましたが・・・。」

「なら、どうするのよ!?」

「知らせましょう。ルビー君に。戦う力を持った人達に。僕たちじゃあどうにもできません。」

 

静かに、諭すように話すダイさんを見て少しだけ驚いた。

こういう時に冷静になれるのは凄いね。うん、いいコンビだ。

 

「良い案だね。相手が手を組んだのなら、こっちもそれなりの戦力が必要になってくるし。・・・そっちは任せてもいい?」

 

物陰で屈んだ状態から立ち上がると、ダイさんが素っ頓狂な声をあげる。

 

「へ?」

「マシロちゃん!?まさか、戦うつもり?相手は、アクア団とマグマ団のリーダー。それと他に4人もいるのよ!?流石に無茶よ!」

 

確かに、火山を復活させたからきららはお休み中で万全とは言えない。

 

「でも、ここでアイツラを抑えれたら全部解決するんだよね。部品と潜水艇を取り返して、火山を停止させたアクア団を張り倒せる。それに、カガリを引き込んだマグマ団も潰せる。いい事ずくめ♪」

「・・・なんか、私怨まざってませんか?」

 

いやいやダイさん。最初から私は個人的な理由でしか動いてないって。

 

「ま、あっちは私が相手をしてくるから。その間に他の人に知らせてきてよ。」

「でも・・・。」

「行きましょう、マリさん。僕たちがいても邪魔になるだけです。」

「分かったわ。マシロちゃん、気をつけてね。」

 

そう言って心配そうな顔をする2人。

 

「さっきのを見た感じ、よっぽどの事がなければ負けないから大丈夫だって。勝率で言うと、80%はあるんじゃないかな?」

 

「「え?」」

 

そんな顔されるとこっちも行きづらいから、安心させようと思ったらむしろ変な顔をされた。

まぁ、きららがいれば負けることないだろうから100%だったんだけども。

 

「それじゃ、行ってくるよ。」

 

軽く手を振って物陰から、そ~っと出ていく。

さてさて、日頃の恨みを晴らしに行きますか。

 

 

 






「・・・8割って言った?」
「・・・僕もそう聞こえました。」
「・・・頼もしいわねぇ。」

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