ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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89話

 

 

「ふざけた態度ですね。・・・皆さん、任せましたよ。トウカの森で会ったトレーナーなら、あなた達の不始末です。」

「まぁ待てよ、アオギリ。」

 

そう言って踵を返すアオギの肩に手をおいて、呼び止めるマツブサ。

 

「なんですか?」

「ここは1つ、オレたちが相手をしてやろうじゃねぇか。部下の不始末は上司の責任ってな。せっかく手を組んだんだ、足並みを揃えるって意味でも一戦交えるのも悪くねぇだろ?」

「ハァ・・・。いでしょう。あなた達は下がってなさい。」

 

アオギリは大きくため息をつくと、部下を下がらせる。

 

「しかし、マツブサ。あなたと手を組んで最初に相手をするのがこのような小娘とは、締まりませんねぇ。」

「景気づけにはいいだろ?バクーダ!」

「そうですね。トドゼルガ!」

 

「かえんほうしゃ!」

「れいとうビーム!」

 

2体の攻撃がマシロに命中し、煙を上げながら辺りに衝撃が広がる。

 

「あっけないですねぇ。」

「いや・・・。まて、アオギリ。」

 

マツブサがアオギリに声をかけるのと同時に、煙が晴れる。

そこには、無傷のマシロ。そして、その前でひかりのかべを展開しているグロウの姿。

 

「ほう。単身で乗り込んでくるだけはあるじゃねぇか。」

「う~ん。どっちもヌルいねぇ・・・。」

「・・・なんだと?」

 

感心して褒めていたマツブサの語尾が一気に強くなる。

 

「ハッ!だったらその身で確かめてみやがれ!ふんかだぁ!」

 

バクーダの背中から噴き出したマグマがグロウに迫る。

 

「ミスタ、ハイドロポンプ。」

 

それを正面から迎え撃つのはミスタのハイドロポンプ。

両者の技は2人の間でぶつかりあうと、マグマが水流に押し流されていき、そのままバクーダに押し返した。

 

「バクーダ!!」

「口先だけですか?情けないですね。トドゼルガ、アイスボール!」

 

マツブサの次に動いたのはアオギリ。トドゼルガが自身を氷に包み縦横無尽に周囲を反射して跳ね回る。

 

「今度はピンボール?」

「跳ね回るほど威力もスピードも増していきます。この攻撃、見切れますか?やりなさい、トドゼルガ!」

「グロウ、コメットパンチ。」

 

乱反射しながら高速で跳ね回るトドゼルガ。それが一直線にグロウに突っ込んだ瞬間、鋼の拳が迎え撃ち、一撃で地面に叩き伏せる。

 

「なっ!?」

「見切るもなにも、最後はそっちから来てれるんだから。待ってればいいだけでしょ?」

「チッ・・・。アオギリ。この小娘、できるぞ。」

「・・・そのようですね。」

 

マツブサとアオギリが認識を改める一方。

 

「いやいや、そっちができなさすぎるんだよ。さっきのかえんほうしゃはカガリの方が強いし、れいとうビームとか貧弱すぎ。私が戦ってきた相手は川とか湖とか凍らせるレベルだよ?その程度の冷気が効くと思ってる?」

 

マシロは冷たく言い返す。

 

「ま、いいや。楽に済むならそれに越したことはないしね。それじゃ、しばらく寝ててくれるかな?ミスタ、メテオビーム!」

 

そして、マツブサとアオギリ。2人に向かって放たれるメテオビーム。

 

「バクーダ、かえんほうしゃ!」

「トドゼルガ、れいとうビーム!」

 

それを起き上がったバクーダと新たに繰り出したトドゼルガが押し返そうと技を放つが、一方的に押し込まれる。

 

「なんだと!?」

 

その光景にマツブサが驚きの声を上げる。

 

「コータス!オーバーヒート!!」

 

それを見て、今まで静観していたホムラが参戦する。だが、それでもメテオビームの威力は衰えなかった。

 

「何をしているのですか!?あなた達も加勢しなさい!!」

「は、はいっ!!」

 

それを見たアオギリも自らの部下に加勢するように命令を出す。

 

「自分で下がってろって言ったくせに、身勝手なリーダーだね・・・。これがパワハラ上司ってやつ?」

「・・・ッ!黙りなさい!ルンパッパ!」

「サメハダー!」

「ペリッパー!」

 

「「「ハイドロポンプ!!!」」」

 

援護するために繰り出された3体が同時に繰り出したハイドロポンプ。それが加勢されたことでようやく両者が拮抗する。

 

「おー。ミスタと張り合えるなんてやるじゃん。」

「態度だけでなく、技の威力もふざけてますね・・・!!」

「こっちは6人だってのにヨォ!!」

 

焦るホムラ達に対して、マシロは更に追い打ちをかける。

 

「それじゃ、おかわりいくよ。グロウ、ラスターカノン!!」

 

ようやく拮抗した所に、追加で放たれる銀色のエネルギー弾。当然のごとく拮抗は崩れ、メテオビームとラスターカノンがマグマ団とアクア団を吹き飛ばしていく。

 

「ぐああぁぁぁ!!」

「きゃぁあああ!!」

 

そして、衝撃で巻き上がった砂埃がはれると立っているのはリーダーの2人だけで、他の部下たちは地面に倒れ伏していた。

 

「・・・チッ!!」

「役に立たない部下ですね・・・!!」

「自分でどうにもできなくて部下に頼ったのに、酷い言い草だね。」

「私の部下をどう使おうと、私の自由です。」

「ふ~ん。私には理解出来ないね。」

 

アオギリの言葉に、マシロは冷ややかな目を向ける。

 

「それに私。そういうロケット団みたいな考え方、嫌いなんだ。」

「・・・だったら、なんだと言うんですか?」

「別に。ただ、痛い思いをしながら寝ててもらうだけだよ。ミスタ!」

 

声と同時に片手を上げる。

 

「それじゃ、おやすみ。」

 

そして、言葉と同時に腕を振り下ろした瞬間。ミスタから放たれたメテオビームが一直線にマツブサとアオギリに向かって行く。

 

「・・・ここまでか。」

「・・・ッ!!」

 

マツブサは小さくつぶやき目を閉じ、アオギリは小さく舌打ちをしたその時。

 

「キュウコン、はかいこうせん!」

「マグマッグ、かえんほうしゃ!」

 

赤装束の2人組がマツブサとアオギリの間に降り立つと、メテオビームを受け止める。

 

「何だこのアホみてーな威力は!?」

「文句を言ってる暇なんてないよ!油断したら一瞬でやられるっての!」

 

そして、ギリギリの所でメテオビームを2人組によって相殺され、その姿を見たマシロは人影に向かって手を振った。

 

「あ!カガリじゃん!やっほー。」

「・・・知り合いか?」

「・・・まぁね。リーダー、面倒なのに絡まれてるね。それに、なんでアクア団と一緒にボロカスにやるれてるのさ?」

 

肩越しに振り返ったカガリがマツブサに声をかける。

 

「助かった、カガリ、ホカゲ。アクア団とは、潜水艇を完成させるために手を組もうと持ちかけて協力しようってときに、そこにそいつが乱入してきた。」

「なら、タイミングはよかったみたいだな。ほら、受け取れリーダー。」

 

そう言って投げて寄越したのは紅色と藍色の宝珠(たま)

 

「おぉ。よくやった、ホカゲ。」

「なんですか、それは?」

「・・・これがあれば、グラードンとカイオーガをコントロール出来る。・・・ほらよ、受け取れ。」

 

渋々といった感じで答えながら受け取った宝珠の片方を放り投げ、それを受け取ったアオギリがしげしげとそれを眺める。

 

「ほう、そんなものがあったんですか。手を組んだんだ裏では、宝珠を使って有利に立ち回るつもりだった、と。あなたも人の事言えませんねぇ。」

「うるせぇ。そもそも目の前のアイツをどうにかしねぇと、コイツを手に入れても意味はねぇよ。」

 

そう言ってマシロを睨みつけるマツブサ。

だが、それを諌めたのはカガリ。

 

「目的が達成できたのなら、サッサとずらかった方がいいよ。海底洞窟まで行ってしまえば、流石にアイツも追えないだろうしね。」

「えらく警戒してるが、そんなにやばい相手なのか?」

「別の地方でチャンピオンになった奴・・・いや。火山を復活させたやつ、って言ったほうが分かりやすいか。」

「あいつが・・・。」

「ホカゲ!」

「おう!」

 

「「かえんほうしゃ!!」」

 

マグマッグとキュウコンのかえんほうしゃがマシロに向けて放たれる。

 

「グロウ!」

 

それをグロウがひかりのかべで正面から受け止める。

 

「今だよ!」

「チッ!行くぞ、アオギリ!」

「まさか、あんな小娘相手に背中を見せることになるとは思いませんでしたね!」

 

マツブサに急かされ、憎まれ口を叩きながら飛び上がりその場を離れていく2人。

 

「悪いけど、見逃すつもりはないよ!ミスタ!」

 

瞬間、ミスタの体が輝くほど蓄積されたエネルギーが一気に開放され、周囲を明るく照らしながら2人に向けて放たれた。

 

「なんだと!?」

 

それを見てカガリは焦った声を出すが、その時にはすでに2人の背後にまでメテオビームが迫っていた。

そして、振り返ったマツブサとアオギリが驚愕した表情を浮かべたその時。

 

2人が持っていた宝珠が輝き、ミスタのメテオビームがひかりのかべのようなものにぶつかりあった。

 

「嘘!?あれ、防げるの!?」

 

マシロが驚く声を上げるそんな中、ぶつかり合う閃光で照らされたマツブサとアオギリの影が巨大なポケモンのようなシルエットを浮かび上がらせた。

 

「あれは、ポケモン・・・?」

 

マシロが疑問の声を上げる中、メテオビームを防ぎ切った2人は闇夜の空に消えていった。

 

「ふぅ~。焦ったね。まさかあの距離で狙い撃ちするとは思わなかったよ。」

「防がれるとも思わなかったけどね。」

「それに関してはアタシも想定外。流石に終わったかと思ったよ。」

 

カガリは両手を軽く上げてそれに同意する。

 

「それより、どうすんだよ。ホムラとアクア団の連中、おやすみしてるぜ?」

「起きてるよ!バルビート、シグナルビーム!」

 

ホカゲの言葉を聞いて、起き上がったアクア団の一人がバルビート3体を繰り出し、マシロに向けてシグナルビームを放つ。

が、グロウのひかりのかべにヒビをいれただけでシグナルビームが防がれる。

 

「まだ起きてたんだ。・・・それより、妙に威力が高いけど、バルビートの周りに浮いてるその明かりのせい?」

「めざとい方ですね!!」

 

その疑問にいち早く気づいたマシロに悪態をつきながらも攻撃の手は緩めない。

 

「ホカゲ!合わせな!」

「おう!」

 

「「かえんほうしゃ!!」」

 

そして、その流れを見逃さずに追撃をかけるホカゲとカガリ。

 

「それは流石に受けきれないかな!ミスタ、ハイドロポンプ!!」

 

ホカゲとカガリの追撃に少し焦りながらも、かえんほうしゃをハイドロポンプで受け止める。

 

「相性で不利とはいえ、2人がかりで互角かよ!」

 

そう言って悪態をついた瞬間だった。

 

「互角で十分!コータス、えんまくダ!!」

 

倒れていたコータスから噴き上がるえんまくが、その場にいた全員の視界を遮る。

 

「ゴホッ・・・!!」

「リーダーは既にずらかった以上、長居は無用ダ!」

「ゲホッ・・・!突然だがいいタイミングだ、ホムラ!さっきみたいに狙い撃ちされたくなけりゃ、全員散りなっ!!」

 

マシロが咳き込んでいる間に、アクア団とマグマ団が一斉に飛び立ち散り散りになる。

 

「あーもう!ミスタ、こうそくスピン!」

 

ミスタの回転によって周囲の煙を吹き飛ばし、スグに上を見上げる。

上空には既に小さくなった人影かいくつかと、3人が肩を貸し合っているせいでまだ近くを飛んでいる青い装束の人影。

 

「あんなろくでもないリーダーなのに、部下は仲間思いだね。・・・ま、そのせいで逃げ遅れてるんだけど。ミスタ、ハイドロポンプ!」

 

仲間思いな所に感心し、少しだけ加減したが遠慮はしない一撃。

それが3人組に迫る途中で。

 

「かえんほうしゃ!」

 

地上から放たれたかえんほうしゃで相殺される。

 

「余所見なんて、つれないねぇ。」

「あれ?カガリは逃げなかったの?」

 

上から横に視線を向けると、そこには1人だけで残ったカガリの姿。その姿に思わず疑問の声を投げかける。

 

「ま、殿は必要だろ?それに、ここはアンタが気にしてた船の上でもないし、泥だらけでもない。なら、アンタも本気でやれるって訳だ。」

「ホント、ミスタみたいなこと言うねぇ・・・。」

 

呆れたような、疲れたような声を出すマシロ。

 

「ま、私も少しだけ。あの時の相手とは、いつかもう一回戦えたらいいなーとは思ってたしね。ちょうどいっか。」

「へぇ~。それは意外だね。」

「だってさ。あれだけコテンパンに負けたんだよ?そりゃ、リベンジ。したいよね?」

 

そう言うとマシロは真面目な表情を浮かべ、それを見たカガリは嬉しそうに笑った。

 

「いいねぇ、その表情(かお)!!ようやく本気のアンタと戦える!!」

「やるよ、かぷちー!」

 

ミスタとグロウを戻した後、かぷちーを繰り出す。

 

「自慢のスターミーじゃなくていいのかい?」

「かぷちーじゃないと、リベンジにならないでしょ?それに、皆私の自慢のポケモンだよ!!」

「そうかい!!なら、その自慢のクチートでかかってきな、()()()!!」

「ようやく名前を呼んでくれたのに、こんな状況なのはうまく喜べないなぁ・・・。いくよ、カガリ!!」

 

 

 

 

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