ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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めちゃくちゃ遅くなってごめんなさい!

これからも不定期更新になると思いますので、とても気長にお待ち下さい。


90話

 

「かぷちー!」

「キュウコン!」

 

マシロとカガリ。両者の間で2体がぶつかり合い、ギリギリと拮抗した後、互いに弾きあい距離が開く。

 

「やっぱり、あの時は全然違うねぇ。流石、チャンピオンになっただけのことはある。」

「あれはお飾りみたいなものだけどね。」

「ハッ!お飾りだろうとアンタが強いのは事実だろ?アがるねぇ!」

 

そう言いながら、キュウコンの尻尾の先から放たれる無数の火球。

かぷちーは、それを踊るように躱しながらキュウコンに向かって駆け出す。

 

「綺麗なもんだ!アンタなら、コンテストのマスターランクでも優勝できそうだ!」

「ありがと!でも、コンテストには興味ないかな!」

「そうかい!キュウコン、かえんほうしゃ!」

 

近づくかぷちーに対して、今度は避けきれないような広範囲のかえんほうしゃを放つ。

 

「かぷちー、こおりのキバ!」

 

それが当たる直前、冷気を纏った大顎を地面に突き立てると、かぷちーの目の前にこおりのつららが出来上がる。

が、そのつららは一瞬で溶けた。

 

「ハッ!そんなちんけな氷、スグに溶けるに決まってるだろ!」

「だろうね?」

「あん・・・?」

 

表情を崩さない私の顔を見て怪訝な声を上げるカガリ。

そのままカガリは溶けたつららの後ろをに目をやると顔色が変わった。

 

「・・・いない!?」

「さて、かぷちーはどこかな?」

 

その時、キュウコンの上でバチバチという音とかすかな光。それに気づいたカガリが視線を上に向ける。

 

「チッ、上か!」

「正解!だけど、気づくのが遅かったね!」

 

夜に紛れて見失ったかぷちーの姿に気づいた時には、キュウコンに大顎を振り下ろす直前。

 

「かぷちー、はたきおとす!」

「キュウコン、受け止めろ!」

 

そして振り下ろした大顎を、キュウコンは尻尾を丸めて受け止めたる。

が、2体の間でバチバチと電撃が迸り、衝撃でキュウコンの足元は砕け、周囲に衝撃がはしる。

 

「この威力、本当にあの時と同じクチートかよ?」

「正真正銘、あの時のかぷちーだよ!さあ、たたみかけるよ!」

「やらせるかよ!オーバーヒート!」

「ッッ!!まずっ、かぷちー!」

 

叩きつけた大顎を跳ね上げ反動で一気に距離を取る。

そして、飛び退ったかぷちーを追うように、キュウコンの全身から炎が吹き荒れ、かぷちーは熱波にさらされながらも距離を取って上手く着地した。

 

まともには受けなかったけど、少しもらったかな?

 

「チッ、判断も早い。流石はチャンピオン、だね。」

「いやいや、あれを受けて動けるのも流石だよ?」

「動ける・・・?あぁ。ってことは、やっぱりさっきのはかみなりのキバだね?」

「あ、気づいてた?」

「あれだけバチバチさせてたらね。どおりでオーバーヒートが出るのが少し遅い訳だ。お陰で仕留めそこねた。」

 

どうやら、キュウコンの不調から気づいたみたい。

と言うか、感電させてなかったらかぷちー黒焦げだったかも・・・。危ない危ない。

 

「マヒにもなってるし、オーバーヒートも撃たされた。こりゃ、長期戦は不利だね。キュウコン、ほのおのうず!」

 

キュウコンが放ち、周囲の地面に散らばった火種が勢いよく燃え上がり、火柱と化しながらかぷちーとキュウコンの周りを取り囲んでいく。

 

「さぁ、炎のステージの上で決着をつけようじゃないか!」

「望むところ!」

 

と強がってはみたものの・・・。

 

めっちゃあついんですけど!

これじゃ、かぷちーだって長期戦は無理だって!

 

燃え上がった炎の熱気にあてられ内心で悲鳴を上げる。

 

「さぁ、躱す広さもないこのステージ。どう切り抜ける!受けてみな、これがアタシの全力の炎だ!」

 

瞬間、キュウコンが放った全力のかえんほうしゃ。

周りの炎よりも更に明るく熱い、躱すことも出来ないほどの巨大な炎。

 

「避けられないならやるしかない、かな。かぷちー!」

「チー!」

 

私の声に大きくうなずくかぷちー。

 

「つるぎのまい!」

 

その場で踊りながら助走をつける。そして・・・。

 

「全力で突っ込んで!」

 

炎が目前に迫る中その身を回転させ、さながらドリルのように炎の中を突き進んでいく。

 

「正面突破か、面白い!アンタが燃え尽きるのが先か、炎を突き破るのが先か、根比べといこうじゃないか!」

「こういうのはミスタの得意分野なんだけど、ね!」

 

そう言っている間も、炎の中を突き進んでいくかぷちー。

だが、炎の勢いに押されかぷちーのスピードが少しずつ下がっていく。

 

「どうやら、根比べはアタシの勝ち・・・ッッ!!」

 

カガリがそう言った瞬間、不意にキュウコンのかえんほうしゃが止まる。

 

「これは・・・、マヒかっ!」

 

視線を向けると、そこには体を痙攣させているキュウコン。

 

「今だよ、かぷちー!」

 

瞬間、回転を止め一気に地面を踏み込むとキュウコンとの間合いを詰める。

 

「チッ!キュウコン、はかいこうせん!」

「ふいうち!」

 

目の前に迫ったかぷちーに対してキュウコンが口を開くが、技が出るよりも早くキュウコンの体をかぷちーが弾き飛ばす。

 

「キュウコン!!」

 

焦るカガリの声とほぼ同時。宙に浮いたキュウコンの後を追うようにかぷちーが飛び上がるとその大顎を大きく振りかぶる。

 

「これで、終わりだよ!かぷちー、はたきおとす!」

 

 

そして、勢いよく振り下ろした大顎はキュウコンの目の前を通り過ぎた。

 

「・・・あれ?」

「・・・なんだと?」

 

そして、キュウコンを素通りしたかぷちーの大顎は地面を叩きつけ、巨大なクレーターをつくる。

それを見たカガリと私が素っ頓狂な声を上げるのと同時に、かぷちーは地面に倒れ込んだ。

 

「・・・限界、かな。やっぱり、あの炎を突っ切るのは無茶だったかぁ。」

 

私はかぷちーに歩み寄ると、そのまま抱き起こそうとするが、あまりの熱さに顔をしかめる。

 

「あちち。まずは、やけどなおしからだね。後は・・・。」

 

そして、そんな私を見るカガリの顔も何故か、しかめっ面をしていた。

 

「どしたの?そんな眉間にシワを寄せて。勝ったんだからもっと嬉しそうな顔すればいいのに。」

「チッ。こんなつまらない勝ち方なんて嬉しくもない。それに・・・。」

 

そう言うと、キュウコンの方をチラッと見る。

 

「受け止めた尻尾はまともに動かないし、オマケにふいうちで喉元を打ち抜きやがって。これじゃ、尻尾からも炎は出せないし、かえんほうしゃもはかいこうせんも撃てない。・・・こんなんで勝ったなんて言えるかよ!引き分けだ、引き分け。」

 

吐き捨てるようにそう言うと、キュウコンをボールに戻す。

 

「これで、1勝1敗1分けってわけだ。決着は次に持ち越しだ。」

「あれ?私が勝ったことなんてあったっけ?」

 

むしろ、負けっぱなしのイメージしかないんだけど。

 

「ハァ?すてられ船での事、もう忘れたのかい?」

「あれは別に勝負じゃなかったでしょ?」

「容赦なくぶっ放しておいてよく言うよ。」

 

そう言うとカガリは、オオスバメを出してその足に捕まる。

 

「まぁ、いいさ。楽しみが先に伸びたと思えば。」

 

そして、そのまま飛び上がっていくカガリ。

 

「次こそ負けないからね。」

「ハッ!こっちの台詞だよ。」

 

その背中に声をかけると、顔だけ振り返るとそれだけ言って、夜の空に消えていった。

座り込んだままそれを見送ると、手当を終えたかぷちーを抱き抱える。

すると、ちょうどそのタイミングでかぷちーが目を覚ます。

 

「ちー・・・?」

「あ、起きた?ごめんね、かぷちー。負けちゃったよ。あ、いや、カガリは引き分けって言ってたっけ。」

 

状況が読み込めずにキョロキョロと周囲を見渡すかぷちーに、引き分けになったことを告げる。

ついつい負けたって言っちゃったけど、引き分けだったっけ。

いやいや、引き分けって言われてもキュウコンは元気だったし、あれは負だよねぇ・・・。

 

「ちー!!」

 

と、そう思っていると唐突にかぷちーの頭に私の頭が挟み込まれる。

 

「ちょっと、かぷちー!?痛い痛い!!」

「くち!」

 

唐突なかぷちーの行動に抗議の声を上げると、私の頭を挟む力が弱まる。いやまぁ、痛いって言っても少しだけだし、甘噛みたいなものだったけど。

 

「ち!」

 

そう思いながら顔を上げると、何故か満足そうに声を上げるかぷちー。

あ、もしかして励ましてくれてる?

 

自分のでも意外だけど、かぷちーからみても分かる位には凹んでたらしい。

 

「ふふ、ありがとね。」

 

でも、初めてかぷちーと戦った相手だし、勝ちたかったんだよね。あー、なんか、自覚したらもっとへこむ。

 

・・・あれ?かぷちーの顎の奥、何か挟まってる?

 

「かぷちー、何これ?」

「ちー!!」

 

そう言って奥に手を伸ばそうとすると、さっきよりも強く挟み込まれる。

 

「痛い痛い!取らないからやめて!」

 

そう言って手を引っ込めると、かぷちーは私の腕の中からピョンと飛び出す。

チラッとしか見えなかったけど、かぷちーから貰った石に似てた気がする。でも、触るのも嫌がるってことは、よっぽど大事なものなのかもしれない。これ以上あれに触るのはやめとこう。

 

「でも、かぷちー。動けるようになっても無理は駄目だよ?今はゆっくり休んでて。」

 

腕の中から飛び出したかぷちーをボールに戻す。

私をはさめるぐらいには元気になっても、カガリと1戦やった後だしね。

 

でも、この後はどうしよう。

アクア団とマグマ団のリーダー2人には逃げられた。追いかけようにも行き先は分からない・・・事もないかもしれない。

 

「潜水艇に海底洞窟って言ってたっけ?ってことは、行き先は海の底・・・?でも流石にそんなとこまでは追えないよね・・・。」

 

あー、やっぱり逃がしたのはまずかったかも。

でも、潜水艇で海底洞窟って場所に行けるなら他の潜水艇を使えばなんとかなるかもしれない。

 

「となると、カイナの造船所に行くのが1番いいかな?一応、館長とは顔見知りだし。ミスタ!」

 

カガリと戦う前に戻したミスタをもう一度出す。

すると、やれやれ。といった感じで体を横に振る。

 

ん?なにか言いたそうな感じだけど・・・。あ!

 

「わかった!ミスタならカガリに勝てたって言いたいんでしょ!」

 

そう言うと、次は任せろと言わんばかりに胸を張るミスタ。いや、体の中央にある宝石が胸であってるのかわかんないけど。

 

「ミスタが戦いたいのは分かるけどね。カガリ、すごく強いし。」

 

そう言いながらさっきまでの戦いを思い出す。

結局、かぷちーであの炎を躱し切ることはできなかった。もしかしたら、かぷちーで勝つのは難しいかもしれない。

 

それでも、カガリにはかぷちーと一緒に勝ちたいんだよね。

 

「・・・ま、次いつ会えるか分かんないし、今はカイナに向かおう。お願いね、ミスタ。」

 

私はミスタに飛び乗ると、カイナに向けて飛び立った。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「マシロのやつ、予想以上の強さだったね。」

 

オオスバメに捕まったまま、手の中にあるボールに目を向ける。その中ではキュウコンがスヤスヤと眠っている。

 

出会ったときは目も当てられない程だったのに、今ではあたしを手玉にとるぐらいに強くなってやがる。さっきの戦いだって、キュウコンをマヒにしたり喉元を狙ったり、ペースは常にマシロが握ってた。

引き分けたのだって相性が良かったからだ。

 

「相手がスターミーだったら、間違いなく負けてたね。それに、公式戦には1度も出てない火山を復活させたあいつ。」

 

あれには全く勝てる気がしない。

チッ。いつの間にか随分さきに行かれたもんだ。

 

「ったく、負けっぱなしはガラじゃない。あたしももっと強くなんないとね。」

 

 

 

そうつぶやくカガリの口調は少しだけ楽しそうだった。

 

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