ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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92話

 

私はエアカーに追いつくとそのまま乗り込み、状況を確認していく。

 

「カイオーガとグラードンを目覚めさせて、それを操ってるのが海底洞窟にいる、と。」

 

いや、それ間違いなくマツブサとアオギリじゃん・・・。

というかその2体を操る宝珠って、あの時手下から手渡されてたやつ?

なおさら、あの時逃げられたのが悔やまれるなぁ・・・。

 

「はぁ~。火山を復活させるんじゃなかったかなぁ・・・。」

「え?火山ですか?」

「あー・・・。なんでもないから、気にしないで。」

 

火山を復活させてなかったらきららも戦えたし、

もしあの時きららが全力なら、あの時2人を逃がすこともなかったのに。

 

あと、ルビーにも変な顔されたし。

 

「それで、その海底洞窟に行く手段は?」

「あの子・・・。サファイアが連れていたポケモン、名前をジーランスといいます。古代では、このポケモンと共に深海まで潜って漁をしていたらしいです。」

「その力を使えば、深海にある海底洞窟に行けるって事ね。」

「そういう事です。」

 

昔の人は海底まで潜って漁をしてたんだ。すごいなぁ。

 

「ですが、行けると言ってもジーランス1体で何人も運べるわけじゃありません。」

「となると問題は、誰が行くか、かな。」

「はい。師匠達が乗り込むのが1番いいんですが・・・。先程ハギ老人に連絡した所、確定ではありませんが大人1人、もしくは子供2人が限界。との見立てでした。」

「まぁ、1体だけで海底まで大人を何人も運ぶのはしんどいよね。となると、相手は2人。」

 

そこでルビーは言葉を区切る。そして、意を決した様に言葉を続けた。

 

「なので、海底洞窟にはボクとサファイアが向かおうと思います。それで、師匠達にはグラードンとカイオーガの方を止めてほしいんです。」

「いいの?子供って条件なら、背が低い私も行けると思うけど・・・。それに、今のマツブサとアオギリ、宝珠の影響でどうなってるか・・・。」

 

ミスタのメテオビームを防いだあの時、一瞬見えた影。あれはグラードンとカイオーガで間違いないと思う。あの2人にミスタのメテオビームが防げるとは思えないし。

だとすると、今あの2人はグラードンとカイオーガからエネルギーの供給みたいな、何かの影響を受けてるんじゃないかと思うんだけど・・・。

 

「それでも、超古代ポケモンの2体を放っておく理由にも行きません。それを止めるならボクより、マシロさんの方が適任です。流石に、超古代ポケモンより海底洞窟にいる敵の方が強い。なんてことはないでしょう?」

「それはない。というより、トレーナーとして見ても多分ルビーの方が強いかな?」

 

マツブサとアオギリと戦った感じと、ルビーが自分の父親と戦った時の感じを比べても、あの時の実力を出せるなら問題ないとは思うんだけど・・・。

宝珠の影響がどう出るか、が問題かなぁ・・・。

 

「なら、師匠達はグラードンとカイオーガを止めることに専念して下さい。それが1番被害が少なくなるはずです。」

 

確かにルビーの案だと、私達がグラードンとカイオーガを止めてる間に宝珠を取り返せば被害はほぼない、と言える。

 

「だが、確実に宝珠を取り戻す事を考えるならマシロ、君が行ったほうがいいのでは?」

 

このタイミングで口を挟んだのは、乗っているエアカーを運転しているミクリ。

 

「え?ルビーがやるって言ってるのに、なんでこっちの師匠は水をさすようなことを言うのかな?」

 

おもむろに口を開いたかと思えば、ルビーの決意に水を差すようなことを言うから、思いっきり襟を引っ張ってやる。

 

「ぐっ!襟を引っ張るのは、やめたまえ!」

 

コンテストといい、今といい、水をさすことしかしないじゃん。

ルビー、こんなのが師匠でホントにいいの?

 

「師匠っていうなら、少しぐらい弟子のことを信頼しなよ。最小の戦力で宝珠を取り返して、最大戦力でグラードンとカイオーガを止める。これが1番いいでしょ?」

「むぅ・・・。」

 

不服そうではあったけど、納得したように口を閉じる。

ま、そうは言ってもきららが眠ってるから、どれだけ力になれるかはわかんないんだけどね。

 

「マシロさん・・・。ありがとうございます。」

「いいのいいの。決めたのはルビーなんだから。・・・それより、気をつけてね。ルビーなら大丈夫だと思うけど、宝珠の影響がどう出るか分からないから。」

「分かりました。・・・でも、どうしてマシロさんは、こんなにもボクのことを助けてくれるんですか?」

 

私の言葉に頷くと、疑問に思ったのかそんな事を聞いてくる。

 

「あー・・・。やっぱり気になる?」

「そうですね。昔、少し会っただけなのにここまで親切にしてくれるのはやっぱり気になりますね。」

「私、友達少ないからね〜。その少ない友達が困ってるとさ、手を貸したくなるんだよね。」

 

そう言うと、ルビーは少しだけポカンとする。

 

「・・・ちょっと、意外です。」

「そう?ま、ルビーだってサファイアを助けたいから今こうしてるんでしょ?それと同じだよ。」

「・・・そうですね。」

 

すると一転、今度はスッと納得したような表情になる。

 

それに、1度は守りきった相手だもん。ルビーにはサファイアと仲良くして欲しいよね。

 

・・・もし、あの時ブルーを助けることが出来てたら私達はどんな関係になってたんだろうか?

 

「・・・マシロさん?どうかしましたか、急にボーっとして。」

「っと。何でもないよ。ただ、こうなる前にアクア団とマグマ団を何とかできなかったのかな〜、って。」

 

危ない危ない。ちょっと考え込んでたみたいだから、咄嗟に適当なことを言っておく。

 

「・・・そう言われると、耳が痛いな。だが、君もチャンピオンなら知っているだろう?ポケモン協会も万能ではない、と。」

「それはもう、嫌って程知ってるよ。お飾りのチャンピオンを祭り上げるぐらいだしね。」

「お飾り、ですか?そんなことはないと思いますけど。」

「ま、はたから見ればそうだろうね。」

 

というか、そう見えるないと私がチャンピオンにやった意味がないし。

 

「どういうことです?」

「ルビーは、仮面の男がおこした事件は知ってるよね?」

「はい。ロケット団残党を率いてポケモンリーグを台無しにした事件ですよね?そして、それを止めたマシロさんが繰り上げとしてチャンピオンになった。ジムバッジも集めていたので資格は十分だ、と。」

「そうそう。そっちのヒラヒラしてる方は?」

「・・・概ね同じだ。あと、ヒラヒラはいい加減やめたまえ。」

 

絶対やめてあげない。

 

「ということは、ポケモンリーグを中止にして優勝者なしになるよりも、繰り上げでもいいから新チャンピオンが誕生したほうがいい理由があった、ってことてますか?」

「そうそう、ルビーは察しがいいね。新チャンピオンを祭り上げることで、世間の目はポケモンリーグをめちゃくちゃにした仮面の男から、その仮面の男を止めた新しいチャンピオンに注目したんだよ。」

「あの大々的なエキシビションマッチですね。」

「うん。その結果、仮面の男の正体については誰にも触れられることはなく、世間の記憶から消えていった。」

「仮面の男の正体・・・?」

 

エアカーを運転しているヒラヒラの師匠が不思議そうな声を上げる。

ってことは、やっぱり他の地方にはこの情報は伝わってないね。

 

「・・・つまり、仮面の男の正体が世間に知られることはポケモン協会にとっては不味いことだった、ってことですか?」

「・・・ッッ!!・・・まさか!?」

 

ルビーがそう呟いた瞬間、声を上げたのはヒラヒラの師匠。

 

お、流石にジムリーダーをやってる方は気づいたかな?

 

「・・・あの事件で、ジョウト地方のジムリーダーが1人亡くなったと聞いているが、()()()()()()、なのか?」

()()()()()()、だね。」

「・・・なんということだ。」

 

そう呟きうなだれるヒラヒラの師匠。

そして、そこまで話すとルビーも理解した様で。

 

「待って下さい!!それじゃあ、仮面の男の正体はその亡くなったジムリーダーで、ポケモン協会はそれを隠すためにマシロさんを祭り上げたってことですか!?」

「流石ルビー、大正解だよ。」

 

師匠とは裏腹に声を上げるルビーにパチパチと手を叩く。まぁ、この辺の事情は後から説明されて実質、事後承諾だったけどね。

 

「ルビーがそんな顔しなくていいよ。一応、私にもメリットがあったしね。」

 

何故かルビーがしょぼくれた顔をしていたので、一応悪いことだけじゃないことは伝えておく。

 

「そうなんですか?」

「そうそう。まぁ、この辺はルビーに言っても分かんないだろうし、気にしないでよ。そんな昔のことより、気にしないといけないのはルビーの方だよ。なんてったって、海底洞窟に乗り込むんだから。」

「君達、見えてきたぞ。」

 

運転しているヒラヒラ師匠の声で、私達は前を向く。視線の先には荒れた海の上のホエルオーの背中に乗っている2人の人影。

 

「それじゃ、ルビー。頼んだよ。」

「はい。行きましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーエキシビション後の1幕ーーーー

 

「ふ~ん。私を祭り上げたのはポケモン協会の不祥事を隠すためにだった、と?」

「事後承諾になったのは申し訳ないと思っている。このことはオーキド博士にも伝えていない。ただ、繰り上げで君を新チャンピオンにしたい、とだけ言ってあった。」

「だろうねぇ。伝えてたら、間違いなく断られてただろうし。」

 

まぁ、直接私に言っても間違いなく断ってたから、外堀から攻めたのは正解だったよ。

こういうセコいことは得意だよね、ポケモン協会。

 

「ま、なったものは仕方ないし、その思惑には乗ってあげるよ。」

「助かる。」

「でも、そういう事ならこっちの頼みも聞いてくれるよね?」

「何かな?」

「ブルーとシルバー。2人とも、仮面の男のせいで生きていくために色々と汚いこともやってきたと思うんだけど、お咎めなしにしてほしいんだ。」

 

仮面の男のせいで人生歪められてるんだからね。その仮面の男の正体を隠すなら、その辺りのケアもやって欲しいものだけど。

 

「分かった。仮面の子供達(マスク・ド・チルドレン)と呼ばれた者たちには便宜をはかっておこう。」

「どうも。」

 

ブルーとシルバーみたいな子が他にもいたんだ。

まぁ、他の人はどうでもいいんだけど向こうが勝手にやってくれるのなら別にいっか。

 

「全く・・・。ロケット団の幹部といい、仮面の男といい、ポケモン協会の内部はどうなってるの?」

「・・・返す言葉もない。」

「まぁいいや。ブルーとシルバーの2人がお咎めなしになるなら、世間の目ぐらいいくらでも集めるし。」

 

少なくとも、私を庇って攫われたブルーの分は派手にチャンピオンをやっておこう。

 

 

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