「あたしなら5分、頑張れば10分息がもつけん!!」
「やめるんだ、サファイア!!」
近づいた瞬間、言い争う声が聞こえる。
まあ、この悪天候の中、はっきり聞こえたのはサファイアの声だけで、様子から察しただけなんだけど・・・。
というか、この悪天候の中でも聞こえる程の大声。相変わらずパワフルだねぇ。
「気持ちは分かるが、海底洞窟は想像を絶する深さだ!悔しいが、今の私達にそこに行く方法は、ない・・・。」
そして、サファイアと一緒にいる人の声が聞こえる距離になった瞬間。
「方法なら、ありますよ!!」
ルビーがそう言いながら2人の乗るホエルオーの背に飛び降りた。
あ、2人じゃなかった。おじいさんとおばあさんがいるや。逃げなくて大丈夫なのかな?
「アンタ、何しに来たったい!」
「まぁまぁ、サファイア。落ち着いてよ。」
「マシロさん!?なんでコイツと!?」
私もルビーに続いて飛び降りると、サファイアに声をかける。
なんかすごく驚いてるけど、それよりなんで葉っぱなんて着てるの?そっちのほうが驚きなんだけど。
「それは、後で。それより、文句は話を聞いてからでもいいでしょ?」
「ぐぬぬ。マシロさんがそう言うなら・・・。」
「OK!それじゃ、続けるよ。船乗りのおじさん、ハギ老人から聞いた話ですが、大昔の人はポケモンの力で深海に潜っていたそうです。そのポケモンが、今、彼女が抱えているポケモン、ジーランス。ジーランスの技、ダイビングを使えば潜水艇がなくても海底洞窟まで行ける!」
「バカな!!」
そこまで話した時を上げたのはサファイアの隣にいた女性。確か、ジムリーダーの・・・。
誰だっけ?
「信じられん。ポケモンの力で深海に行く?この非常事態に聞いたこともない昔話、アテにできるわけが・・・!!」
「待って、先生!!その話・・・。あたしは信じるけん!!」
昔話って聞く耳を持たない態度に対して、意外とサファイアがすんなり信じてくれる。
「このじらら、さっき津波に襲われた時に不思議な力を発したと。それで、一瞬やったけど水があたしらを避けたんよ。それを思えば、今の話も・・・。」
「OH!なかなか話が分かるじゃないか。それじゃ、ちょっと待っててよ。・・・・・・あ、もしもし?度々どうも。・・・え、体長?えーっと、80cmぐらいですかね?あー、少々小ぶり・・・。ハイ。」
そう言ってルビーはポケギアを取り出し電話をかけると、メジャーを使ってジーランスのサイズを測っていく。
「あー、そのぐらいだと子供2人が限界?分かりました。ありがとうございます。」
「子供2人って、まさか!?」
「そのまさかだ、ナギ。ルビーが自ら行くと言っている。ジーランスの持ち主である彼女とね。」
声を荒げたナギを諌めるように、ヒラヒラの師匠がエアカーから降りてきて話しかける。
あー、そうだ。ナギって言ってたっけ、この人。
「無茶だ!潜るだけじゃない、グラードンとカイオーガを操るものと戦うのだぞ!?」
「私の弟子だ。今は彼を信じてみようと思う。」
「お?少しは師匠らしいことを言うじゃん。」
「フッ。君のルビーに対する師匠としての立ち振舞に感化されたのかもしれないな。」
ようやく師匠らしいこと言ったんじゃない?
そう感心していると、今度はサファイアが声を上げる。
「ちょっと!アンタ、どげんこつ!?あの人が師匠って、マシロさんとどんな関係ね!?」
「おいおい。そんなことより、キミはまだそんな格好をしてるのかい?これから海に潜ろうって時に葉っぱとツタじゃあね。」
「そんなことじゃなか・・・。」
「ほら。」
そう言ってルビーはサファイアの言葉を遮り、サファイアに向けてサッと服を差し出す。
「キミの分も作っておいた。きっと、キミに似合うと思う。」
そう言われたサファイアは、一瞬だけ顔を伏せる。そして、ルビーの手から服をひったくるように受け取るとサッと腕を通していく。
「話は後で聞かせてもらうけんね!なんでマシロさんと一緒にいるのかとか、師匠ってどういうことなのかとか!!」
「ふふっ、分かったよ。」
「それと、マシロさん!」
「え、私?」
サファイアの言葉にルビーが笑っていると、今度は何故か私を呼ぶ。
「ルビーが弟子って言うなら、ムロで特訓してもらったあたしだって、マシロさんの弟子って言っても問題なかよね!?」
「いや、別にいいけど・・・。それってそんなに大事?」
「当然ったい!コイツだけがマシロさんの弟子なんて我慢ならんね!!」
競争してるってだけあって、すごい張り合うねぇ。でも、私の弟子かどうかで張り合わなくてもいいんじゃない?
「まぁ、やる気になってるからいいか。それより、2人共気をつけてね。海底なんて、何かあっても助けにはいけないから。」
「はい!」
「任せるったい!」
2人は私の言葉に頷くと、互いに手を取り合いジーランスの背びれを掴む。そして。
「「せーのっ!!」」
と!声を合わせて叫ぶと海に飛び込んでいった。
「・・・さあ、2人が深海に行った今のんびりしてはいられない。宝珠を奪還するまで、少しでも被害を食い止めなければ。私は、ツツジとトウキと合流すして、グラードンを食い止める。ナギ、マシロ。キミたちはどうする?」
「私は、司令塔としての役割がある。本音を言えば私も合流したいのだが、難しいだろう。」
「それなら、私は・・・ん、何この音?」
言いかけたとき、妙な音が段々と近づいてくるのが聞こえた。
「上だ!」
ヒラヒラの声で上を見上げると、豪雨の中姿を表したのは巨大な飛行船。
そして、その瞬間ピリリリリとポケギアが鳴る。
「ギアが通じた!?もしもし!?」
『私だ!』
「理事!!すると、まさか!」
『そうだ。私は今、この巨大飛行船バ・グーンのなかだ。察しの通り、ミナモもグラードンの影響で人がいられる状態ではなくなった。故に、有事のため移動システムを起動させ、本部ごと空に舞い上がった!』
おぉ、なんか便利そう!!
『ここまでご苦労だった、ナギ。ここからは私が指揮を取る。』
「なら、私は・・・!!」
『行ってくれ!すでに交戦中のジムリーダーに合流し、超古代ポケモンの進撃を阻止せよ!あと、そこのおじいさんとおばあさんは飛行船に乗ってください。この天変地異だと、下手なところにいるより安全でしょう。』
そう言われたおじいさんとおばあさんは、チリーンのねんりきかな?そのままふわふわと飛行船に飛んでいった。そして、ナギはチルタリスに飛び乗ると、ゴーグルを装着する。
「聞いての通りだ。私はアスナとテッセンさんと合流し、カイオーガの方に向かう!」
「うむ。なら、マシロ。キミはどうする?」
「うーん・・・。」
数はキレイに分かれた。なら、きららがまだ本調子じゃない以上、私は少しでも有利な方に向かいたいけど、どうしようかな。
とりあえず、道具がどれぐらい残ってるかな?
そう思って、鞄を開ける。
カガリと戦ったあとにも使ったし、そんなにも余裕は・・・・・・。
あれ?これって・・・?
「・・・マシロ?」
「・・・っと、何でもない。私はちょっと後から合流するよ。」
「そうか・・・。だが、キミが手を貸してくれるだけで心強い。ナギ、行こう!」
「ああ!!」
そう言って、2人はこの場で分かれて飛び立つ。
それを見送ると、私はきららの入ったボールを手のひらに乗せて話しかける。
「きらら、起きてる?」
『ねてる〜。』
よしよし、起きてるね。
「そっか。今、どれぐらいエネルギーは戻ってる?」
『さんわりぐらいー?』
寝てるらしいけど、素直に答えてくれるきらら。
3割・・・。それだと、ジムリーダーと協力しても止めれるか微妙なところ。なら、さっき見つけたアイテムに頼ったほうがいいかもしれない。
まぁ、それも博打みたいなものだけど。
「それでも、うまく行けばグラードンとカイオーガ。両方なんとかできるかもしれないなら、悪くない賭けかも。」
『どうするの〜?』
そう言いながら、ポンッとボールから飛び出したきらら。
「来てくれるか分からないけど、強力な助っ人を呼ぼうかと思って。」
『すけっと?』
「うん。だから私達は一旦、えんとつやまに向かうよ。」
『えんとつやま?』
「私が知ってる中で、ホウエンで1番高い場所だから。こっちの合図が1番届くんじゃないかな、って。」
まぁ、そもそも届いても助けてくれるかも分からないから、願望込み込みの希望的なところが大きいけど。
「えんとつやまについたら、またきららにお願いしないといけないんだけど・・・。また無理させてごめんね。」
『うゆ。がんばる〜。』
少し眠たそうにしながらも頷いてくれるきらら。
ホント、いつもきららには助けてもらってばっかりだね。
「それじゃ、私達も動こうか。ミスタ、お願い!」
私は、ボールから飛び出したミスタに飛び乗るとそのまま一直線にその場を後にした。
ーーーーーーーーーー
そして、その少し後。
えんとつやまから立ち上った一筋の閃光。
それを目撃したのは・・・。
ーーーーーーーーーー
「機嫌よく爆進してんだ。邪魔はさせないよ、ジムリーダー!」
「・・・っ!離しなさい!!」
ジムリーダーのツツジの襟を掴み、そのまま人気の消えたミナモの町に飛び立つ。
「・・・ん?」
そして、そのさなかえんとつやまから立ち上った一筋の閃光を目にする。
「今の光は・・・?」
「あれは、マシロの・・・?。マシロのやつ、またなにかやろうとしてんのか?・・・っと、今はこいつが先か。ほらよっ!」
「きゃっ!!」
ツツジを放り投げた先は、民宿モナミ。
民宿として開店しているはずの店も、この騒動で今や無人。
「さて・・・。この状況でマシロのやつが何をやっているのかは気になるが、まずはグラードンのやつを自由にさせないと、ね。」
「・・・あなたの狙いは、とおせんぼでグラードンの動きを封じているノズパス、ですね。そのために私達を分断して各個撃破、といったところでしょうか?」
「お?本を片手に持ってるだけあって勤勉だねぇ。その通りだよ。」
カガリがそう言うと、ツツジはハァと深いため息をつく。
「私達ジムリーダーを相手に各個撃破・・・。なかなか舐められたものですね。」
「ハンデもつけようか?」
「安い挑発ですね。・・・分かりますよ?少しでもこちらのペースを崩そうとしてるんでしょうが、その手には乗りません。」
「・・・チッ。」
思惑通りにはいかずに舌打ちをするカガリ。
事実、ツツジはノズパスを守るだけでグラードンの進撃を止め続ける事ができる以上、カガリの挑発にのる必要もない。
「小細工は不要ってわけだ。なら、さっさと始めようか!!」
故に、これ以上の問答は不要だった。