「んん・・・っっ。ここは・・・?」
目を覚ましたカガリは、体を起こしながら周囲を見渡す。
辺りは木に囲まれ、気を失っている間に森の中に飛ばされた様子。
「ルネから放たれた光に巻き込まれて、よくわからない所に飛ばされたか・・・?しっかし、どこの森だここ・・・?」
辺りを見渡していると、側で倒れ込んでいるオオスバメを見つける。
が、ひと目見た瞬間カガリはオオスバメをボールに戻した。
「あの様子だと、しばらくは飛べなさそうだな。空から出るのは諦めてるしかないか。・・・なら、キュウコン。」
そして、代わりにキュウコンをボールから出すとその場から、歩き始めようとした瞬間。
ふと違和感に気づく。
「・・・さっきから、何かの気配がするな。」
そう呟いた瞬間、後ろの木の上から電撃が放たれ一直線にカガリとキュウコンに襲いかかる。
「チッ!誰だ!?」
身を翻し、電撃を躱す。そして、電撃の放たれた方に向き合う。
「上だ!キュウコン、かえんほうしゃ!」
そして、木の上に向かってかえんほうしゃを放った。
すると、慌てたように木の上からポトッと落ちてきたのは2体のポケモン。
「プラスルとマイナン?ハッ、いきなり攻撃してくるとはいい度胸・・・。」
そこまで言ってカガリは、マイナンの手にある古びた手帳に気づく。
「この手帳は・・・。もしかしてお前ら、捨てられ船にいたチビ共か!」
楽しそうに言うカガリとは対象的に、プラスルとマイナンは体を起こすとバチバチと放電してカガリを威嚇する。
「あのときは、大分ボロボロにしてやったと思ったんだがなぁ。それなのに、このあたしにまた立ち向かってくんのか。・・・いいねぇ。気に入った。」
そう言って、無防備にツカツカと2体に歩み寄る。そして、そのまま無造作に掴み上げるとポイっとキュウコンの方に放り投げる。
キュウコンは2体を尻尾で受け止めると、そのまま滑り台のようにスーッと滑らせ背中に乗せる。
「状況が分からねぇ中、いがみあって体力を消耗すんのは得策じゃねぇだろ?ここは一時休戦といこうじゃないか。」
そう言いながら歩き出したカガリは、木になっていたきのみをもぎ取る。
「オボン、か。ほらよ。」
そして、もう1つ追加でもぎ取ると1つをキュウコン、もう1つをプラスルとマイナンに放り投げる。
キュウコンはきのみにそのままかぶりついたが、プラスルとマイナンの方に投げられたきのみは、1度プラスルの頭で跳ねた後マイナンの手の中に収まった。
ーーーーーーーー
「う・・・ん。ここ、は?」
そして、ほぼ同時刻。
同じ様に目覚めたのはルビー。そして、目に入ったのは草原の様な風景。
「確か、海底洞窟から上がってきて・・・。ルネシティで戦っていたはずなのに。・・・そうだ!カイオーガとグラードンの激突に巻き込まれて・・・。サファイアは!?」
飛び起きたルビーは、ハッとして周囲を見渡す。すると、すぐ側に倒れているサファイアを見つけ、その体を揺さぶった。
「サファイア!しっかり!!」
「ん・・・ん?あれ、ダイゴさんは?・・・それに、ここは?」
「分からない。あの激しい戦いの中、ホウエンが大混乱の中でも、その影響を全く受けない美しく、そして穏やかな場所。」
サファイアと共に周囲を見渡すルビー。
そして、状況が飲み込めず混乱する2人に歩み寄る人影。
「ボンジュール、ご両人。お目覚めですか?ようこそ、この最終特訓の地へ。」
その声に振り返るルビーとサファイア。
そこには、1人の中年の男。そしてその後ろに双子の様な子供が2人。
「あなたは誰ですか!?それにここは!?」
「あたしらは、大混乱の中にいたとやのに、どうなっとると!?」
「ノンノン。質問は1つずつしなくてはいけませんよ、ルビー、サファイア。」
「「!?」」
ノンノン、と指をふる男が名乗ってもいない自身の名前を呼ばれ驚愕するルビーとサファイア。
が、その様子を気にすることもなく目の前の男は話を続けた。
「まずは1つ目の質問から。私の名はアダン。ミクリの師、そして、君達を助けた者だ。」
「師匠の・・・師匠!?」
「次に2つ目。ここがどこか、と言うとマボロシ島。そう呼ぶ方が多いですね。正確な名称は私も知りません。ホウエン地方にある1つの島ですが、ある種隔絶された不思議な場所です。」
「マボロシ島・・・。」
「ウィ!」
隔絶された場所と聞き、キョロキョロと周囲を見渡すサファイア。
「そして今、君達が1番気になっている事・・・。今ホウエン地方がとうなっているか。」
そう言うと、アダンはボールからキングドラを繰り出
す。そして、キングドラが作り出した水のスクリーンに映し出されたのは、カイオーガとグラードン。
だが、そこに映っているのはそれだけではなかった。
「カイオーガとグラードンが、肩を並べて何かと戦っとーと・・・?」
「あのポケモンは、ホウオウとルギア!?」
「ウィ。あなた達のグラン・メテオを利用した攻撃でカイオーガとグラードンの動きは止まったように見えました。ですが、実際はアクア団とマグマ団のリーダーから
「待つったい!あの背中に乗ってるのって!!」
「マシロさん!?」
説明の最中、ホウオウの背に乗っている人物に気がついたサファイアの声にルビーが驚いた声を上げる。
そこにいたのは2人が師匠と呼び慕った人物であるマシロだった。
「その通り。彼女があの2体を操りカイオーガとグラードンが放つエネルギーを打ち消しながら戦っていますが、それでも溢れ出るエネルギーは抑えきれていません。」
「なら、はよなんとかせんと!!」
「ノンノン、話はまだ終わっていません。ホウオウとルギア、2体で抑えきれないエネルギーは今現在、ホウエンには一切の影響を与えていません。」
「・・・どういうことてますか?」
ルビーの問いかけに、水のスクリーンの映像が切り替わる。
そこには、ドーム状に広がる銀色のエネルギーの奔流が映し出される。
「これは?」
「今、ルネシティを包みこんでいる高密度のエネルギーの奔流です。このエネルギーが、カイオーガとグラードンから溢れた分のエネルギーをシャットアウトしています。そして、そのエネルギー源がこのポケモン、ジラーチ。」
ドーム状に広がるエネルギーの頂上、そこに映るのは一際強い輝きを放つポケモン。
「そして、新旧2人のチャンピオンのミクリとダイゴと四天王。彼らが操る3体の伝説のポケモン、レジロック、レジアイス、レジスチル。彼らがそれをサポートする形でエネルギーの拡散を押し留めています。」
「はぇ~。そんなことが出来るポケモンがいたとね?」
「サファイア、キミの手助けのお陰でですよ。」
息を呑むサファイアに、アダンは優しく声を掛ける。
が、次の瞬間その顔は険しいものに変わる。
「・・・ですが、それでも結局は時間稼ぎにしかならないということです!!カイオーガとグラードンと決着をつける運命にあるルビーとサファイア。キミ達2人が特訓する間の時間稼ぎにしか、ね。フウ、ラン!」
「「ハイ。バネブー、じんつうりき!!」」
アダンが、フウとランと呼ぶと先程の双子が声を合わせて動き出しルビーとサファイアに向けて技を繰り出す。
いきなりの事に驚きながら飛び退く2人。
そして、その瞬間。その場に飛び込んてくる2つの小さな影。
「行けっ、チビども!!」
その声とともにルビーとサファイアの前に着地したのは
2体は頬からバチバチと火花をたてると、2体から放たれたほうでんがバネブーから放たれた衝撃波を弾き返した。
そして、攻撃を防いだプラスルとマイナンは、ピョンと飛び上がるとルビーとサファイアに嬉しそうに抱きついた。
「プラスルと、マイナン・・・?」
「それに、今の声って・・・。まさか!?」
「フム・・・。ランが、この島に私達以外の気配があると言っていましたが、アナタ達でしたか。プラスルとマイナン。」
アダンはそこで一瞬の言葉を区切る。そして、プラスルとマイナンが飛び出してきた方を睨みつけながら言葉を続けた。
「そして、
「「「「!!!!」」」」
アダンの視線の先、そこに立っている人物を見た瞬間。
驚きで動けなかったのは、ルビーとサファイア。
そして、それとは対象的に臨戦態勢を崩さず攻撃の矛先を変えたのはフウとラン。
「「バネブー、じんつうりき!!」」
2体のバネブーから放たれたのは先程と同じ技。
だが、さっきの攻撃は加減されていたのか威力は段違いだった。
「キュウコン、かえんほうしゃ!!」
そして、その攻撃をなんてことないようにキュウコンの炎が押し返し、そのままバネブーを包みこんだ。
「いきなりごあいさつだねぇ。少しぐらい、話を聞いてもいいんじゃないかい?」
「ごあいさつ、なんてふざけてるの?」
「アナタ達マグマ団がぼくたちから宝珠を奪い去った事、忘れたとは言わせないよ?」
そう言われて、合点がいったのか納得したようにカガリは頷く。
「あぁ。ホカゲが持ってきたアレ、アンタらから奪ってきたのか。それは悪いことをしたね。」
「なにをいけしゃあしゃあと!!」
「アナタ達のせいで、今ホウエンは!!」
怒りをあらわにしながら、フウとランはソルロックとルナトーンを繰り出す。
「「いわなだれ!!」」
ソルロックとルナトーンから放たれたいわなだれがカガリとキュウコンに迫る。
その様な状況でもカガリは表情を崩すことはなかった。
「ハァ・・・人の話を聞けよ。ほのおのうず!!」
瞬間、カガリに迫る岩がほのおのうずに取り込まれ巻き上げられ、すべての岩はカガリに届くことはなかった。
「すごか〜。あの岩を全部巻き上げる程の炎、あたしには無理ったい。」
その様子を見て、サファイアが感嘆の声を上げる中。
「この岩、利子つけて返すぜ。かえんほうしゃ!!」
巻き上げられた岩を炎が包み込みながらソルロックとルナトーンに撃ち返される。
「「コスモパワー!!」」
撃ち返されたオマケ付きのいわなだれ。それに対して防御力を上げるフウとラン。
「ラン、後ろに!」
「ありがとう、フウ!」
そして、ソルロックが前にルナトーンがその後ろに隠れる形で攻撃に備えた2体に燃え盛るいわなだれが降り注いだ。
「この隊列なら!」
「受けるダメージは最小限!」
ドドドドドドと、轟音をたてながら降り注ぐ岩が止まった時。そこには傷だらけのソルロックと、最小限のダメージのルナトーン。
「そして、ソルロックが岩を受けている間に!」
「ルナトーンがめいそうで能力を高めた!」
「「受けてみて、サイコキネシス!!」」
フウとラン。声を合わせて放たれたサイコキネシスが放たれた瞬間。
「チッ、ウゼェな。」
「お前ら、ちょっと黙れ。」
キュウコンの放ったはかいこうせんが、衝撃波をかき消しルナトーンを飲み込んだ。
「「なっ・・・!?」」
フウとランが驚いた声を上げた瞬間、ルナトーンはドサッと地面に倒れ込む。
2人に残ったのは残ったのは、満身創痍のソルロックのみ。
「下がりなさい、フウ、ラン。」
その時の流れ、口を挟んだのはアダン。
そう言って彼は、フウとランの2人を庇うようにカガリの前に立つ。
「マグマ団幹部という肩書は、伊達じゃないようですね。・・・それにその様子だと、どうやら戦いに来た訳ではないようです。」
「ハァ・・・。ようやくまともに話ができそうな奴が出てきたな。」
やれやれ、と疲れたようなカガリ。
そして、その後に続く言葉はその場にいる全員が驚くことになる。
「その話。あたしも混ぜろよ。」