紫電の女王の栄光の道のり   作:雅媛

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8 紫の少女と前哨戦

 一ヶ月の休暇の後、9月からまたトレーニングが始まった。

 体に負荷が溜まっていたというトレーナーさんの分析は間違っていなかったようで、一ヶ月休んでいっぱい食べていっぱい寝たら、なんとなく体中が太く丈夫になった気がする。

 ただ、太ももと尻がまた少し大きくなって、今まで持っていたズボンは全くはけなくなってしまった。

 私服がズボンのルドルフさんにあこがれて、試しに買ってみたスラックスは完全に太ももが通らない。

 制服のスカートがこれほどありがたいと思ったことはなかった。

 

 

 

 そうしてさらに一回り大きくなったボクに、白井トレーナーと沖野トレーナーはさらにトレーニングを課した。

 基本はとにかく筋力トレーニングがメインである。

 瞬発的な筋肉を鍛えるため、最高負荷でのトレーニングである。

 

「ぬあああああああ!!」

 

 450kgのバーベルを背負ってのスクワット。

 ウマ娘たちでもさすがにこの重量を背負う子は見たことがない重さである。

 バーベルのシャフトが無茶苦茶しなっている。

 

 うちのトレーナーさんから最高負荷でやるように指示されているため、こんな化け物みたいな重量のトレーニングになってしまう。

 さすがウマ娘、フィジカルの能力がやばすぎる。今日もまた、限界を超えてしまい、重量が増えた。

 さすがに450kgにもなると、負荷が高いため、2,3回ぐらいしかできない。それを3セットである。

 合間合間に別のトレーニングをするから、トレーニング時間は本当に短時間で済んでしまう。

 

 3回、スクワットをしたら次はデッドリフトだ。

 今使ったバーベルにさらに20kg足して、470kgで行う。

 

「ふんぬううううううう!!!」

 

 掛け声が可愛くないし、うるさいとは思うが勘弁してほしい。

 このレベルになると本当に筋トレにのみ集中しないと上がらないのだ。

 2回ですでに限界になり、さらに次の筋トレに移る。

 いつもそうだが、注目を集めてしまってちょっと恥ずかしい。

 

「多分、ヴィオラちゃんがまた記録更新したから見てるだけだと思うよ」

「みんなと単にトレーニング目的が違うからじゃないですか」

 

 みんな筋トレはしているが、どちらかというと持続力重視でここまでの重量物というのはあまり行わない。

 あまりやりすぎると筋肥大して脚が逆に遅くなると主張するトレーナーさんが多いし、ウマ娘たちも乙女だから太くなるのを嫌がる子もいるのだ。

 ウマ娘の限界を目指さんばかりにトレーニングを重ねるボクは、いくつかの学園ジムの筋トレ記録を更新しているし、そのせいで太ももと尻がまたでかくなった。

 もうズボンは履けそうになかった。

 

 一緒にトレーニングするルーブル姉さんのメニューは筋持久力メインのものばかりだ。回数が多く、負荷が半分ぐらいのものばかりが、ルーブル姉さんだってやろうと思えばボクと同じぐらいあげられる気がするし、あまりすごくないと思うけど……

 

 回数も少ないため、トレーニング時間は30分ほどで終わる。

 片づけをしてくれるサポート科のウマ娘さんたちにお礼を言って、ボクはストレッチを始めるのであった。

 

 

 

 そんな全身筋トレを一ヶ月ほどすれば、トレーナーさんたちが満足するまで仕上がりきった。

 

「この太もも、たまりませんねぇ」

 

 白井トレーナーは嬉しそうにボクの太ももに頬ずりするし、沖野トレーナーも満足そうに見ている。

 最近はルーブル姉さんやテイオーから膝枕をねだられる頻度も増えた。

 ウマ娘関係者は皆太ももフェチらしい。

 

「太ももの仕上がりは良しとして、今後のトレーニングはどうします?」

「多分ヴィオラちゃんももうちょっと成長するから、それに合わせるけど基本は身体能力を維持できる程度のトレーニングにとどめて、あとは走り方の練習だね」

「またフォームチェックですか?」

「それもあるけど、レースにおける細かい技術を教えるよ」

「ふむふむ」

 

 既にデビューして重賞に勝っているのに、そういえばまだレース練習を本格的にしていなかったことに気付いた。

 最低限のスタート練習とコーナー練習はしていたが、この辺もまだ磨く余裕があるだろう。

 ボクは、ルーブル姉さんと二人、まずはゲート練習を始めるのであった。

 

 

 

 ゲート練習用のゲートは、学園内のトレーニングコース端に10台ほど置いてある。

 ここで、スタートの練習ができるのだ。

 ゲートは入るとかなり圧迫感があり、それが苦手なウマ娘は多い。

 気が荒い子だと暴れだしたりすることもあるし、そもそも入るのを嫌う子もいる。

 これはウマ娘が一人でいるのが苦手だから、という説明がされることが多い。

 狭いところに閉じ込められているような感じのするゲートは、一人を強く感じさせるため苦手なのだとか。

 

 つまり、ボッチに慣れているボクは無敵なのだ。

 現にゲートに何か圧迫感など感じることはない。

 ただただ、レースに向けて集中し、自分を高めていく。

 ゲートが開いた瞬間、一気に加速し飛び出す。

 単純にそれだけである。

 

 闇レース時代からスタートには自信があった。

 ルーブル姉さんと並んで何度かスタートしたが、ボクの方が早く飛び出ることができていたと思う。

 ただ、うちのトレーナーさんたちは、単にこれだけでは納得しない。

 基本、オタク気質なのだ。

 そしてボクも結構細かく色々するのは好きな質だ。

 ルーブル姉さんなんかはあまりあれこれ言われるのは好きではなく、自分で考えるタイプだからこんなことしたら右手と右足が同時に出てしまうだろう。

 こればっかりは相性とかの問題であり、つまりボクとトレーナーさんは一心同体ということかもしれない。

 

「やっぱりいい太ももしてますねぇ」

 

 太ももを頬擦りするトレーナーはやっぱり要らないかもしれないとおもった。

 

 何にしろスタートの調整である。

 ゲートから出るタイミングについてはこれ以上やることはなさそうである。

 ギリギリを狙えばさらに削れる余地があるが、失敗すると顔面からゲートに突っ込む羽目になる。

 そんなギリギリを狙うよりは安定して出られるスタートタイミングの方がいい。

 

 だが、スタートから、最初の走り方についてはいろいろまだ調整の余地があった。

 

「クラウチングスタートとか、だめなんですか? 陸上競技でやる奴」

「やってみるとわかるよ」

「わかりました! よーい、へぶっ!!」

 

 ゲート内は縦にはそれなりにスペースがあるので、クラウチングスタートも可能であった。

 だが、実際にやってみて分かったが、パワーがありすぎて立ち上がれず、地面に突っ込んだ。

 立ち上がれるほどの空気抵抗を受ける前に、地面が迫ってくるのだ。

 

「いや…… ここでこう手を使って、速度が出るまで態勢を維持すれば或いは……」

「はーい、ヴィオラちゃん、よくわからない野性に目覚めるのはやめようねー」

 

 手まで使って、最初の10歩ぐらい四つ足になって走る方法を検討してみたりもした。何度か地面に突っ込み、ターフに隕石の落下痕みたいな溝を作って12回。最後はちょっとうまくいきそうな気がし始めたのだが、その時点でルーブル姉さんに止められてしまった。

 トレーナーさんたちはノリノリだったが、ルーブル姉さんににらまれて沈黙した。

 

「で、普通にスタンディングスタートしようと思うのですが、何を注意した方がいいですか?」

「最初はたぶん、ウマなりに流した方がいいかな」

「全力じゃなくていいんですか?」

 

 今まで、スタートから流れに乗るまで、とにかく全力で加速することを心掛けていたが、トレーナーさんは力を抜けという。

 

「ヴィオラちゃんのパワーはトップクラスだから、スタート時点で全力を出しても、全部地面に力を伝えられてないと思うんだ」

「ふむ……」

「騙されたと思って、ちょっと力を抜いてみて」

「わかりました」

 

 試しに力を抜き気味でスタートダッシュをする。

 いつもだとルーブル姉さんとハナを切る争いになるが、今回はすっと前に入ることができた。

 確かに今まで以上にうまく加速できる気がした。

 

「スタート直後は速度が乗ってないせいで、踏み込みが強くできないからグリップが少なめになるんですよ。普通の子だとそれでも十分なんだけど、ヴィオラちゃんの脚力だとパワーが大きすぎるから、ちょっと抜くぐらいがちょうどいいかなって」

「なるほど」

 

 若干滑るような感触があったのはそのせいか。

 しかし、今まで最初から最後までクライマックスで走る癖があったので、あえて力を抜くというのは結構難しかった。

 どうにかこうにか、苦戦しつつも、すすっと前に出るスタートを練習し続ける。

 幸い、停止状態からの走り方の練習なので、ゲートがなくても練習はできる。

 朝から晩まで、延々と練習を繰り返して、どうにかスタートダッシュを物にするのであった。

 

 

 

 そんな練習を繰り返し、目標レースである、デイリー杯ジュニアステークスが近づいてきていた。

 京都1400mのジュニアクラス初めてのGⅡである。

 札幌記念の頃の、とにかく最初に勝ったウマ娘だけが集まるのとは異なり、ジュニアクラスでじっくりトレーニングを重ねてきたメンバーも集まる、油断できないレースであった。

 

「まあ、一番人気はヴィオラちゃんだけどね」

「真面目にコツコツ頑張りましたから」

 

 レース実績2戦2勝なのもあるが、ほかにもネットでの配信や、ヒトもウマ娘も楽しめるライブ施設の設置など、外部露出も頑張った結果の一番人気である。

 最近は「#虚紫」なんてハッシュタグも流行り始めている。泣いていない。

 普段意識していないし、無表情だとあまり指摘されないが、一人でぼんやりしているとき表情が死ぬらしい。一人の時の表情なんて意識したことがなかったから知らなかったが…… 無駄にそれが流行っている。

 ついでにテイオーが、今日のヴィオラちゃん、みたいな謎の観察動画を上げ始めて、そちらも大人気だ。内容は、虚無ってるボクを撮影したり、太ももの太さを測定されたり、あと膝枕させられたり、主にテイオーが楽しんでいるだけの動画な気がする。

 そんなこんなで変な方向に人気が出始めていた。

 

「で、今回のレースだけど、どう走りたい?」

「んー、別にこれというのはないですよ。とにかく勝てる走り方がいいですね」

 

 前も言ったが、ボクが走る理由は賞金である。どう走りたいかといわれると、勝てる走り方をしたいというだけである。

 こういう考え方のウマ娘は結構珍しいらしく、自分の走り方をあんまり変えるという子はいないらしい。

 ルーブル姉さんなんかも現状逃げが基本だが、おそらく勝てるなら走り方を変えるだろうし、あまり周りにそういう走りへのこだわりが強い子がいないからわからないが……

 何にしろ勝てば官軍である。

 

「じゃあどう走ると勝てると思う?」

「逃げをすると今回ダイタクヘリオスさんが出てきます。単純な実力勝負云々以前に、彼女のやる気と圧力はすごいですから、付き合うと勝率が下がりそうですし、逃げはないですね」

 

 京都もコーナーでスパートがしにくい分、比較的前残りなコースだ。

 だが、今回の出走者にはダイタクヘリオスさんがいる。

 まだ走りも体も粗削りな彼女だが、走りへの闘志と逃げへの思いは一級品だ。付き合ったら絶対潰しあいになる。あれをうまくいなせるのはパーマーさんぐらいだ。そうなると逃げたら勝率は低そうである。

 

「ただ、人気が高いヤマニングローバルさんやこの前の札幌記念でやりあったインターボイジャーさんなんかもいますし、前が強いレースになりそうです。そうなるとあまり後ろには下がりたくないなぁと」

 

 知り合いというと、あとはマックイーンさんの同室のイクノディクタスさんぐらいか。

 イクノさんは頭がいいのでテストではよく順位表で見かける相手だ。走り自体はまだ目立つ部分がないが、きっとクレバーな走りをしてくるはずだ。それはそれでなかなか怖い。

 ボクが一番人気であることを考えれば、見破ってくる可能性もあり、あまり奇策も使いたくなかった。

 

「そうだね、そうすると今回は王道の先行策かな。スタートもずいぶんよくなってるし、苦戦せずに行けるだろうし」

 

 そういいながら、白井トレーナーがレース予想図にコマを並べ、動かしていく。

 いつものように精密な、白井トレーナーのレース予想を聞きながら、ボクはレースのプランを立てていくのであった。

 

 

 

 レース当日、今日も天候は晴れ、芝状態は良好の中、京都競馬場第11レース、デイリー杯ジュニアステークスが行われる。

 

 3枠3番1番人気になったボク、ヴィオラレジーナはいつものようにテンション高くパドックに挑んでいた。

 GⅡになると、人の出も非常に多いし、最近徐々にボクの固定ファンもいるようで、声援が飛んでくるのが結構楽しい。

 

 まあ、

「脚がゴリラみてぇだな! おい!」

 とか

「ナイスケツプリ!! ブルマに収まってないよ!!」

 とか、ちょっと乙女として言われてうれしくない掛け声も跳んでくるが、気にしない。

 多分誉め言葉だ。たぶん。

 体操着が、1年の頃に買ったものだから、正直きつくてブルマが食い込んでいるのは気にしないことにしている。そろそろ買いなおした方がいいかもしれない。

 あと、そこの垂れ幕。「#虚紫」じゃないよ。それは確実に褒めてないから。

 その垂れ幕が視界に入り、表情が死んだら歓声が上がった。もう意味が分からなかった。

 

 時々表情が死んだり、太ももを誉められたりしながら、いつものようにファンサービスで手を振り、飛び跳ね、握手もしたりしていく。

 写真だってちゃんと写りに行く。ツーショットアングルだってばっちりだ。

 

 さすがに、前回の札幌ジュニアステークスを見ている人も多いのだろう。ボクがはしゃいでいても、油断してくれるような相手はいない。

 現にこれが通常運転だ。特に体力を消耗したり、イレ込んだりしているわけではない。

 

「ヴィオラちゃん、今日もアゲアゲじゃん♪」

「ヘリオスさんこんにちは」

 

 そんなノリノリなことをしてると、生粋のパリピなヘリオスさんが寄ってきた。

 明るく愛想もいい彼女も、一緒にファンサービスをしてくれる。

 

「いえーい♪」

「いえーい♪」

 

 女の子らしいポーズみたいなのは、ヘリオスさんがよく知っている。

 彼女にまねをしてポーズをとると、相手の反応も良いので、流行りなのだろう。

 

 そんな感じでいつものように浮ついた感じで、パドックは過ぎていくのであった。

 

 

 

 スタートは特に何もトラブルなく始まった。

 スタートから圧倒的な速度で先頭に立つヘリオスさん。

 スタート練習をし、それなりにスタートに自信があったボクだが、それとまったく遜色ない、そんなスタートをヘリオスさんは切っていた。

 競り合うとしたら、外枠の分ボク方が大変そうだが、今回は逃げはしない予定なので、するっとヘリオスさんの後ろ、2番手について、そのまま走っていくことになった。

 

 スタートから200m、2バ身、3バ身と後ろのウマ娘たちと距離が離れていく。

 そんな中、ボクはさらにヘリオスさんに後ろから圧力をかける。単純に、後ろにぴったりと張り付いたのだ。

 ヘリオスさんが蹴り上げる芝や土がかかるが、無視してとにかく距離を一定に保つ。

 ヘリオスさんもボクの存在を感じるだろう。無意識に少しずつスピードが上がっていった。

 

 体感、最初の1ハロン13秒を切るペースで走っている。

 1400mという短い距離とはいえ、スタートダッシュとしてはかなり速いペースだ

 だが、それでは満足しないとばかりに速度を上げさせたのだ。

 向こう正面の真ん中あたりから、大きな上り坂になっているが、そこでさらにスピードを上げているのだから、スタミナ消費は半端ない。

 後ろは追うのをあきらめたらしく、どんどんと差が開き、ぽつんと前に二人旅になりつつあった。

 第三コーナーに入ると、少し上った後、すぐに下り坂になる。

 今まで登ってきた高低差約4mの上り坂に対して第三コーナーでほとんど下りきるのだ。

 当然速度はかなり上がる。

 内ラチ側ギリギリをはしり距離の有利を稼ぎたいところであり、ヘリオスさんも内ラチ際を走ろうとするだろう。

 だが、この速度でラチ際を走るのはかなり難しい。

 外にぶれたらうちに潜り込んでやろうと思っていたが、ヘリオスさんも必死にぎりぎりを耐え続けていた。

 

 正直、予想以上にヘリオスさんのレース運びが上手い。

 スピードは十分、スタミナに不安がありそうだが、それをこういったスタートやコーナーといった部分でフォローしようという走り方だ。ヘリオスさんのトレーナーさんは、無名の新人だったはずだが、ちゃんと彼女のスタミナのなさという弱みを、見かけによらない真面目さでカバーしている、いい人なのだろう。

 

 だが、ボクは、そしてうちのトレーナーさんのレースプランはそれを上回るのだ。

 外にぶれてくれたら御の字、だが、外にぶれてくれなければ、単に外からぶち抜く、ただそれだけであった。

 

 第四コーナーに入り、加速してボクはヘリオスさんの外側に回る。

 斜度は収まってきたが、第四コーナーはまだ下り坂であり、加速すればすさまじい遠心力がかかる。

 この外にぶれようとする力を素直に進む方向へと利用し、速度を上げていく。

 必死に並びかけ、追いすがろうとするヘリオスさん。

 だが、地のスタミナが違うのだ。

 一気に追い抜くと、そのままボクは直線に躍り出るのであった。

 

 

 京都の外回りは直線が長い。コーナーが非常にテクニカルで前残り気味とはいえ、暴走したボクとヘリオスさんなら十分とらえられると思っていたのだろう。

 だが、ヘリオスさんもボクも、馬鹿みたいにコーナーでさらに加速し、しかも内ラチ側のコースロスがないところを走り切ってしまった。

 慌てて追いかけて上がってこようにも京都の第四コーナーの抜けだしは難しいのだ。

 どんどん外に吹き飛ばされていく。

 リードと、コースの有利、そしてボク自身のスタミナを考えれば、これで負けるわけがない。

 途中でヘリオスさんを風よけにスリップストリームを使っているので、余裕もあった。

 後続は結局追いすがることもできず、圧倒的な差をもって、ボクは3勝目を飾るのであった。

 

 

 

 なお、ライブは少しトラブルがあった。

 ライブ衣裳なのだが、太ももが太すぎてズボンの裾が破れてしまったのだ。

 元々余裕を持って作られているはずなのだがぱっつんぱっつんで動いたのがいけなかったらしい。

 残念ながら、ほかの人が持っていた予備も、ボクのサイズとはあわない。

 

 最終的に、これはスリットですと言わんばかりに横に切り込みを入れて、改造衣装にして参加する羽目になった。

 横腰が露わになる衣装に、恥ずかしい思いをしながら、ライブは無事踊りきったのであった。

 




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