紫電の女王の栄光の道のり   作:雅媛

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このお話はサザエさん時空ではないため、いろいろ学園に関して独自設定が存在します。


4 紫の少女のチーム選び

 トレセン学園において、入学した最初の1年目は、公式レースに出ることはない。

 2回生、2年目の夏からジュニアクラスが始まり、3回生の時期がクラシッククラスだ。

 4回生、つまり高等部に上がるとシニアクラスに挑戦することになる。

 ということで1年目は準備期間なわけだが、それはのんびりしていていいことにはならない。

 この期間にしなければならないことは二つ、一つはレースのために体を作ること。もう一つはトレーナーと契約をすることである。

 

 トレーナーと契約するというのは非常に大事だ。

 まず、トレーナーと契約しないと、そもそもレースに出られない。

 このルールのため、3回生の終わり時点までにトレーナーと契約できないと必然的に退学になるし、そこまで行く前に大体自主退学してしまう。

 トレーナーに優位すぎるシステムな気がするが、ひとまず制度の良しあしは置いておこう。

 なんにしろ、トレーナーと契約するのが必須だということである。

 次に、トレーニングメニューを考えてもらったりというサポートとしての意味も大きい。自分だけでトレーニングメニューを考えて、実行するというのは結構大変なのだ。

 だからこそ、誰かがサポートしてくれるというのはかなり大きな意味があった。

 

 レースの参加権という意味で考えれば、2回生の夏までにトレーナーを決めればよいし、正直だれでもいいだろう。

 だが、トレーニングのサポートをしてもらうという側面で考えれば、できるだけ早いほうがいいし、相手も選ぶ必要があった。

 

 学園所属のトレーナーは100人を超える。

 その中から、自分に合ったトレーナーを探すのはなかなか一苦労である。

 自分の悪名を知っているトレーナーもそれなりにいるだろうから、選択肢はより狭まる。

 だが、ボクはそこまで焦っていなかった。

 最悪、トレーナー兼業ウマ娘としてレースに出ることを考えていた。

 

 

 中央のトレーナー免許の試験は非常に難易度が高く、T大合格よりも難しい、などと言われる試験である。

 だが、国家資格の試験である以上、公平な試験であり、点数を取れば合格する試験であった。

 ボクの前世のおじさんは、かなり頭の良い人だったようで、また、試験慣れをとてもしていた人だったようだ。

 前世知識を使い、資格はあって損がないだろうと思い、勉強して受けてみたら見事合格してしまったのだ。

 合格当時、最年少合格者と少しだけニュースになったりした。

 そのせいで、ボクに注目が集まって闇レースの参加がばれ、学園に来なければならなくなる羽目になったのだが……

 

 なんにしろ、ボクはトレーナー免許を持っているのだ。だから、自分と契約して、レースに参加するという力技が可能である。

 だが、できれば誰かにサポートしてもらいたいし、チームにも所属してみたい。

 自分でトレーニングメニューを考えて、一人で黙々と実行するのは結構メンタルに来るのだ。今まではそうやって練習してきたが……

 せっかく学園に来たのだから、ほかのウマ娘たちとキャッキャうふふしながらトレーニングがしたかった。

 

 選抜レースになれば多くのトレーナーが見に来るが、次開催されるのは6月だ。

 2か月間、何もしないというのは性に合わなかった。

 

 

 

「ということでトレーナーさんを探そうと思います」

「なるほど、私の担当である東条トレーナーを紹介してもかまわないんだが…… 担当はおそらく難しいな」

「……ボクでは力不足ですか?」

 

 東条トレーナーといえば、超一流のトレーナーである。

 皇帝シンボリルドルフのトレーナーというのはもちろんだが、彼女は外国に一時遠征して海外の進んだトレーナー技術を吸収して、それを日本で広めたことでも有名だし、彼女が常に主張する、ウマ娘優先主義は、それまで勝利至上主義に占められていた業界に多くの波紋を投げかけていた。

 正直、トレーナーの勉強をしていた自分にとって、憧れという意味ではルドルフさんより圧倒的にあこがれている対象である。

 ルドルフさんの同室になったから、うまくしたら担当に、なんていう下心はあったのだが、否定的なことを言われて悲しくなってしまった。

 

 しょんぼりするボクに気づいたルドルフさんは慌てて抱き上げて、頭をなでてくれる。

 しゃべり方も雰囲気も男性っぽいルドルフさんだが、こうやって抱き上げられるとふわふわして予想以上に柔らかかった。

 

「いや、ヴィオラ君は才女だから東条トレーナーと相性はいいだろう。だが、私が生徒会長になったから、トレーナーさんは生徒会の顧問なんだ。その仕事が忙しすぎて、新規の担当はとらないと言っていた。スポットでは受けるらしいがね。だから力になれないっていうことだ」

「すいません、早とちりしてしまって」

「いやいや、かまわないよ」

 

 まだ出会って二日目だが、ルドルフさんについていろいろ分かったことがある。

 ルドルフさんは非常にやさしい人で、そしてかなり対人関係不器用だということだ。

 前世の知識に振り回されているのと、あまり普通でない生活をしていたせいで、対人能力がひどいボクに言われたくはないだろうが、世間が思っているより、ルドルフさんは普通の部分が多かった。

 ボクも早とちりする前に、言葉に出すようにしないといけないだろうと反省した。

 

「で、トレーナーさん探しなんですが、選抜レース前に会える人には会っておこうと思うんです。選抜レース2月先ですし。そういう場合、何かいい方法はありませんか?」

「そうだね、一番手っ取り早いのは皆が練習しているところに行くことじゃないかな。自主練もあるが、チームメンバーがトレーニングしているところには多くのトレーナーさんが見に行くし、そういうところに忠実に行くトレーナーさんは真面目でウマ娘たちのことをよく考えてくれている人が多い。もう少し経てば、朝練をしている子たちがトレーニングコースに集まるから、そこに行くといいとおもうよ」

「なるほど」

 

 現在朝の5時の少し前である。

 いつも基本的に早起きだが、ルドルフさんがもっと早起きなのにつられて起きてしまった形だ。

 

「朝食はどうします? 食堂、空いてますかね?」

「今の時間だとまだ準備しているところだろう。6時過ぎぐらいがちょうどいい時間だと思うな」

「それなら朝練見学の後に食べようかな…… ルドルフさんはどうします?」

「私はこれだよ」

 

 そういってルドルフさんがサイドボードから取り出したのは固形栄養食だった。

 

「最低限これを食べれば、栄養は取れるからね」

「いや、どうかと思いますよ」

 

 トレーナーさんにそういう雑な食生活をしていると怒られるのではないだろうか。

 後、同室として自分が普通のもの食べている中、忙しく仕事をして固形栄養食を食べるルドルフさんがいるのは非常に心苦しい。

 

「ルドルフさん、少し時間ありますか? そういう非常食っぽいもの食べるぐらいなら、ボクが作りますよ」

 

 まだ春先で寒いし、最低でも温かい食事をとったほうがいいだろうと、そんな提案をした。前世知識さんは料理が得意だったようだし、今世も母が仕事で忙しかったので、家の家事はボクの担当だった。自炊したほうが圧倒的に安上がりだから、料理だって一通りできる。

 

「ヴィオラ君は料理ができるのかい? しかし、悪いよ」

「大丈夫です、料理は趣味なので。家庭料理みたいなのになってしまいますが」

「食べさせてもらえるなら、それだけで十分だよ」

 

 そんなことを話しながら、ボクとルドルフさんは食堂に降りて行ったのだった。

 

 

 

 食堂の厨房はこの時間から戦争状態だったが、食堂自体はがらんとしていた。

 時間が早すぎて人がいないのだろう。

 学生用の調理スペースも、現状誰も人がいなかった。

 

「で、何を作るんだい?」

「簡単に作れるのがいいでしょうから、フレンチトーストにしましょうか」

「むずかしくないのか?」

「ホテルなんかで出るのは手間がかかっているのでしょうが、家庭料理なら簡単ですよ」

 

 ひとまず卵と牛乳と砂糖、バターと後は薄い12枚切りの食パンを1斤もらう。

 厚切りにしみこませたほうが食感はいいのだが、それをすると1日ぐらい卵液につけておく必要が出てしまう。薄切りならすぐにしみこむから、薄切りをお願いした。

 

「すごい簡単ですから」

「ふむ、私も手伝おう」

 

 そわそわしながらそう言うルドルフさんに手伝ってもらうが、やることは多くない。

 卵と牛乳と砂糖を混ぜてボールの中に卵液をつくる。

 食パンをそこに浸す。

 あとはバターを敷いたフライパンで焼くだけである。

 焼き加減はお好みだ。生でも食べられるものしか使ってないから焼き加減なんて食感とかしか影響しない。本当に簡単に作れる料理である。

 

 ルドルフさんが楽しそうに鼻歌まで歌いながら、フレンチトーストを焼いていると、食堂にちらほらと人が来始めた。

 おそらく、朝練前に朝食をとろうとしてきたのだろう。

 だが、この時間だと厨房はまだ下準備だけで、ろくな料理が出てこないようだ。

 硬くなったパンとかをもそもそ食べるぐらいしかできないとルドルフさんが言っていた。

 

 硬いパンをもそもそ皆が食べる中、雑な手料理とはいえ暖かい料理を食べるのはさすがに気が引ける。

 後、ルドルフさんがご機嫌にフレンチトースト焼いているのに無茶苦茶注目が集まっている。さすが皇帝だ。

 すでに作り方を把握したルドルフさんに、調理は任せてボクは皆に声をかけることにした。

 

「ルドルフさんと一緒にフレンチトースト作りませんか?」

 

 と。

 

 トレセン学園のウマ娘の大半は多かれ少なかれ箱入りお嬢様だ。

 自分で料理をするという発想はあまりなかったようで、また、憧れの皇帝がいるというのも重なり、声をかけた人は皆調理スペースに集まってきた。

 時間が早いし、朝練の後に朝食を食べようと考えている人も多そうで、10人程度とそう多い人数ではない。

 ルドルフさんがノリノリでフレンチトーストを焼き、二人ぐらいがそれを手伝い、別の子が紅茶を淹れてくれた。

 15分もあれば、全員分の食事が出来上がるのであった。

 

「料理したのは初めてだが、楽しかったよ」

 

 ルドルフさんが満足してくれたようで、ボクも楽しかった。

 

 

 

 そのまま仲良くなった先輩たちに連れられて、ボクは学園のトレーニングコースへと移動した。

 

「マックイーンちゃんが大騒ぎしていたけど、かわいい子じゃない」

「ほっぺつつかないでください」

 

 こうやって絡んでくる先輩はメジロアルダン先輩だ。

 まさに名家の令嬢といった感じのお嬢様な外見と言葉遣い、そして雰囲気なのだが、ちょっとお茶目だ。

 ルドルフさんと同じ、リギル所属の彼女は、ルドルフさんにボクのことを頼まれていて、こうやって世話を焼こうとしてくれる。

 しかし、何を気に入ったのか、ボクのほっぺをつついてくる。

 頭をなでられたり、ほっぺをつつかれたり、珍獣になった気分であった。

 

 そのままトレーニングコースで、先輩方に何人かトレーナーさんを紹介してもらった。

 皆いい人で、うちでよければ、と言ってくれた。

 尤もあまり積極的な勧誘といった感じではない。

 走るかどうか未知数な段階で、加入を積極的に誘うのは気が引けたのだろう。

 特にボクは色髪でしかも飛び級である。

 パッと見走らなそうに見えるのはしょうがないし、チームメンバーの成績で待遇が変わるトレーナーとしては、なかなか加入に積極的になれなかったのはよくわかる。

 

 それでも拒否をしないのは、チームメンバーの前もあるが、サポーターとして活動ができるだろうという見込みがあるのだろうと思った。

 料理ができて、トレーナーが入れない寮内で世話を焼いてくれる上、何人かは、ボクが最年少トレーナー免許合格者であることにも気付いているようだった。免許があるから最悪チームを二分して活動もできるのを考えれば、サポーターとして最適だろう。

 だが、ボク自身走りに来ているので、そのポジションで納得はしがたかった。

 

 

 

 ぼんやりと朝練を眺める。

 今回ボク自身は朝練に参加するつもりがなかった。

 体操着が一着しかないのだ。

 午後のトレーニングまでに洗濯して乾かすのは難しいし、かといって汗だくのまま半日置いておいて、午後着るのも乙女的に避けたい。

 お金がないとケチったが、明らかに失敗だった。

 アルダンさんにお願いして、先輩たちの使ってない体操着をもらう予定ではあるが、それが届くまで朝練はお預けの予定だった。

 

「いやぁ、いいトモしてるねぇ。肥ウマ娘に難無しってね」

「!?」

 

 そんなボクの太ももを急に触ってくる痴漢が発生した。

 後ろ足で蹴飛ばすが、足は空を切る。

 

「いやぁ、失敬失敬。いいトモを見るとどうしても触りたくなっちゃうんだよね。私は……」

「ロリコン変態不審者さんですね」

「そう、ロリコン変態不審者…… じゃないですよ!?」

 

 いきなり女子小学生の太ももを触ってくるのは、同性でもロリコン変態不審者で十分だと思う。

 

「私は白井といいます。トレーナーでして、あなたをチームスピカにスカウトに来ました」

「いや、この流れで受けると思うんですか?」

「受けてくれないんですか?」

「そもそもどこを気に入ったんですか」

 

 ロリコン変態不審者は、白井を名乗り、トレーナーを自称した。

 薄い、ピンク色にも見える栗毛のウマ娘であり、その名前はボクも知っていた。

 日本で初めてトレーナー免許を合格したウマ娘である。

 

 ボクがトレーナー免許試験に合格した時に、てっきりウマ娘初かと思っていたのだが、それは別のウマ娘であることを知った。それが白井トレーナーであり、すでに中央でトレーナーをしているというのを聞いていた。

 トレーナーバッジをしているし、おそらく目の前の彼女が、その日本初のウマ娘のウマ娘トレーナーなのだろう。

 こんな変態だとは知らなかったが。

 

「まずそのトモとお尻だね。太くて鍛えられているのが一目瞭然ですよ」

「女子小学生の太ももと尻で興奮しないでください」

「それに上半身の肉付きもバランスがいいですね。下半身のパワーを支えられ、しかし鍛えすぎではないバランスが素晴らしい。腹筋とかも見たいです」

「女子小学生のおなかや胸で興奮しないでください。目線が胸にくぎ付けになっています」

 

 年齢不相応に胸が大きい自覚はあるが、ここまでガン見されたのは初めてである。

 

「これだけでもう、絶対スカウトするって確信しましたね」

「ボクはあなたがロリコン変態不審者だっていうことを確信しました」

「そんなー」

 

 情けない声を出すが、白井トレーナーの顔はニヤついている。

 ボクが完全拒否をしていないのは見抜かれているのだろう。

 

「そもそも、走りも見ないで決めていいんですか?」

「体つきでわかる部分で十分だよ。でも、走ってるのも見てみたいな」

「じゃあ、一周だけ走ってきますから、目を皿にしてみていてください」

「おおー、ありがとうございます」

 

 どうせだから走るところも見せてやろうとボクは決意した。

 制服のままでは難しいし、体操着は持ってきていない。

 だが、制服の上着を脱ぎ、スカートも脱ぎ捨てる。

 下には下着代わりのレギンスと、昨日買ったタンクトップ状のブラジャーを着ている。

 この格好ならいつも走っている格好に近いから走るのに問題ないし、最低限見苦しくはないはずだ。

 

「ちょ、ちょっと待ってヴィオラちゃん!?」

「一周2000mですよね。タイム計測はお願いしまーす」

 

 制服を置いたまま、ボクは観覧席から飛び降り、コースに降り立つ。

 そのまま、スタートラインのところへ行くと、おもむろに走り出し始めた。

 

 

 

 ボクの走法は単純で、逃げて、ペースを維持して、そのまま逃げ切るというものだ。

 残念ながら、ボクはレースという面に関してはそこまで恵まれた才能があるわけではない。

 前世知識とか、頭の良さとかあるから、恵まれていないとはかけらも思わないが、走るという面だけ見れば大したことがないのだ。

 スピードは才能、スタミナは努力、という言葉がある。

 残念ながら、母はトレセン学園に通っていたが未勝利、その上を見たら、そもそもトゥインクルレースにすら出ていないうちの家系は、とてもではないが、才能がある家系ではない。

 だが、それだけで負けるほど、ボクは性格がよくないのだ。

 徹底的にスタミナとパワーを鍛え、とにかくスタートから先行し、スタミナで押し切る。

 これならば努力でどうにかなると考えたのだ。

 結果、裏レース世界では最強として、名が知れた存在になっていた。

 

 単純な身体能力の向上だけなら自分でもできるのだ。まだ成長期だから、さらに伸ばすことができるだろう。

 では、トレーナーに何を望むかといえば、いちばんはフォームだ。

 走るフォームは完全に自己流だから、絶対にきれいじゃない。

 あとは体調管理なんかも心配である。

 そういった面は、自分のことだからこそ甘くなりがちであり、だからこそ第三者の目を求めていたのだ。

 

 白井トレーナーはロリコンの変態だが、その目の良さと、変態的なウマ娘への愛情だけは先ほどの短いやり取りだけでもよく分かった。

 貞操の危機とか、いろいろありそうだが、そういった部分に目をつぶれば、求めていたトレーナーそのものだった。

 

 あとは走りでアピールするだけである。

 1ハロン12秒フラットを意識して走り続ける。

 2000mは今までの経験から言えばちょっと長いし、コースの芝がきれいすぎて、慣れなくては走りにくい。靴も制服のものなので、走るのに向いていないわけではないが最適でもなかった。

 だが、それを言い訳にして手を抜くつもりもなかった。

 そのまま同じラップを刻み続け、ゴールに飛び込んだのであった。

 

 

 

「2分1秒2、メイクデビュー前とは思えないタイムだね」

「12秒フラットのタイムを目指したんですが、ちょっと厳しかったです」

「いやいや、2分で走られたらそれこそすさまじすぎるよ」

 

 ゴールで待っていた白井トレーナーにジャージをかぶせられる。

 汗で汚れると思ったが、冷えないようにという配慮だろう。ありがたく使わせてもらう。

 

「満足してもらえましたか?」

「もうおなかいっぱいだよ。で、契約してもらえるかな、ヴィオラレジーナ君」

「あまりセクハラがひどかったら、解約しますからね」

「善処するよ」

 

 そういいながら、ボクのおなかをなで始める白井トレーナー。

 やっぱりロリコンの変態さんであった。

 

 

 

 思い立ったら吉日と、その日のうちにボクは白井トレーナーのスピカに加入した。

 140cmちょっとしかない白井トレーナーが現役時代に使っていたらしい体操着ももらい、当面の体操着問題も解決した。

 なかなか幸先の良い学園生活が切れそうである。これからの学園生活に、ボクは期待に胸を膨らませるのであった。

 

 なお、下着で走ったことはアルダン先輩からルドルフさんに言いつけられて、その日の夜にしこたま怒られたのだった。

 

 

 

 

 

 

 


 その日のお昼のリギル

 

「そういえば、ルドルフ」

「なんだい、トレーナー?」

「あなたの同室って誰になったの?」

「ヴィオラレジーナ君だよ。飛び級で入ってきた最年少トレーナー免許合格の彼女だ」

「ほんと!?」

「なんだい、興味があるのかい?」

「もちろんよ! 入学試験の実技を見た時から目をつけてたのよ! ぜひリギルに誘ってちょうだい!!」

「新規メンバーはしばらく取らないんじゃなかったのかい?」

「それはそれ、これはこれよ」

「なるほど、ヴィオラ君もトレーナーに興味があったみたいだから、明日にでも連れてくるよ」

「あの、トレーナーさん、ルドルフ?」

「なんだいアルダン」

「ヴィオラさんなら、今朝すでにチーム決めてしまいましたよ。白井トレーナーのところのスピカです」

「……」

「……そんな……」

「後ルドルフに一つ報告が」

「なんだい?」

「ヴィオラさん、朝練で下着姿でコースを爆走しましたので、注意しておいてください」

「!? どういうことだい?」

「あの子、体操着の予備がないって今日は見学の予定だったのですが、白井トレーナーにそそのかされて、走る気になったみたいなんです。で、制服のままでは走れないと思ったのか、制服を脱いで、タンクトップとレギンスだけの姿で走っていました。ちょっと、はしたないと思います」

「わかった。厳重に注意しておく」

「ふっふっふ、白井さん、さすが沖野君の弟子ね。そういう非常識なところも彼にそっくり。後で搾り上げておくわ」




シングレで武豊騎手がTSトレーナーになったりしていましたし、東条トレーナーは岡部騎手をモデルに考えています。アルダンも岡部騎手が乗ってるのが多かったですからリギル送りです。

ただ、原作リギルのメンバーで岡部騎手というとタイキシャトルぐらいしかいないんですよね。
あとはビワハヤヒデか。シンコウウィンディとか、レオダーバンとか。
スポットだとオグリとかテイオーにも乗っているのですが。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=272581&uid=349081
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