紫電の女王の栄光の道のり   作:雅媛

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10.5 紫の少女の告白

恋をしてみようかな、と思ったし、ボクは告白を決意した。

相手は初恋の相手であるメジロアルダンさんだ。

振られて諦めて次に行くにしろ、ちゃんと自分の気持ちを伝えるのが大事だと思ったのだ。

 

 

 

「ということで、どう告白すればいいか一緒に考えて!!!」

「いやまあいいけどさぁ……」

 

テイオーとルーブル姉さんの部屋を強襲し、二人にも告白について協力してもらうことにした。

 

「こういうのって、自分で考えない?」

「だってそういうの全くわからないし」

「ボクだってよくわからないけど」

 

テイオーが役に立つか怪しい。だがルーブル姉さんは絶対役に立たない。

テイオーだけが頼りであった。

 

「うーん、ルーブルはあこがれの告白シチュエーションとかある?」

「タコパしながらかな」

「……たこ焼き、食べたいの?」

「すごく食べたい」

「じゃあ今日の夜はタコパにしようね」

 

テイオーが一応話を振ったがルーブル姉さんはこんな感じである。

まるで役に立たなかった。

一応今晩はタコパに決まった。

 

「そういうヴィオラは何か考えはないの?」

「一応プランは考えたんだけど」

「どんなの?」

「『アルダンさん大好き付き合ってください特別』を開催します」

「何その頭が悪いレース名!?」

「頭が悪いって失礼な」

 

川崎競馬場の個人協賛なら10万円ぐらいだ。

それだけ払えばレース名を作れる。

 

「それで? 一応全部聞いてあげる」

「で、ボクが『アルダンさん大好き付き合ってください特別』に出て勝ちます」

「何そのマッチポンプ」

「で、そのあとのウイニングライブで、アルダンさんに告白をします」

「バカだ、本物のバカがいる……」

 

テイオーが頭を抱える。

ルーブル姉さんは「花火も上げようね!! いっぱい買ってくるから」とノリノリだ。

 

「まず、レース名で告白するのはすごいダサいからやめよ? ね?」

「えー」

「ぶーぶー」

 

ボクの考えた渾身の告白は、テイオーに一刀両断で切り捨てられた。

ルーブル姉さんにも好評そうだったが……

何が問題なのだろうか、と思うが、これはアルダンさんに対する告白だから、アルダンさんの気持ちが大事だ。

きっとボクやルーブル姉さんのような人間と、アルダンさんのようなお嬢様は人種が違う。

だから、比較的感性が近いだろうテイオーに相談しているのだ。

テイオーの意見には従うことにしよう。

 

「普通に目いっぱいおめかしして、学園が見える公園で告白すればいいんじゃない? べただけど」

「花火は?」

「ルーブル花火好きだね…… 要らないよ花火」

「せっかく買っておいたのに」

「線香花火じゃん、それ……」

 

ルーブル姉さんが取り出したのは線香花火の束だった。

 

「でも、おしゃれかぁ」

「ヴィオラってどんな服持ってるの?」

「見てくれる?」

「みるよ。できるだけちゃんとさせてあげたいじゃん」

「ん、ありがと」

 

ということでボクの部屋に移動する。

テイオーは嫌な予感がしているようだが、果たしてその予感は当たってしまったようだった。

 

 

 

「碌な服がない……」

 

ボクのクローゼットを開けてのテイオーの感想だ。

制服、体操服、ダサT、レギンス、下着

これくらいだ。

 

「勝負の時だし勝負服を着るのが……」

「絶対よくないからね」

 

テイオーに一瞬にして却下された。

 

「はぁ、ルドルフさん、ラモーヌさん呼んでもらうことできる?」

「あと数分でここに来るよ」

「あ、デートだった……? なら次の機会でいいんだけど」

「ヴィオラ君の告白の服選びだろう? ラモーヌも参加したいだろうし、私も興味があるから同行するよ」

 

部屋にいたルドルフさんにテイオーが声をかける。

ラモーヌさんに頼めば妹であるアルダンさんの好みもよくわかるだろうが、ここに来る予定だったのはデートだっただろうから、ちょっとだけ気が引けた。

 

 

 

部屋に来たラモーヌさんはノリノリでボクとルーブル姉さんを連れて、近くのデパートへと移動した。

 

「うちのほうがいろいろできるんだけど、うちのブランドの製品になっちゃうし、ちゃんと買ったほうがいいと思うの」

 

そういいながらあれでもないこれでもないと服を選んでいく。

 

ボクの服だけでなく、ルーブル姉さんやルドルフさんの服も選ばれていく。

普段ブランド系のモデルだと体の線が出る露出の多い服が多いが、今回選ばれるのはふわふわフリフリのかわいい系ばかりだ。

 

ボクが着せられたのは、緑と黒を基調としたフリルマシマシのひざ丈スカートワンピースだ。

レースのリボンが何か所もついていて、かわいらしいがちょっと子供っぽい気がする。

 

「ヴィオラちゃんは、子供らしさをもっと出した方がかわいいと思うな」

「そうですか? アルダンさん大人だし……」

「アルダンちゃんはこういうフリフリ大好きだから、アルダンちゃんの好みに合わせるならこれのほうがいいわ」

 

そうだろうか、アルダンさんは頼れる大人みたいな人が好きだみたいなことを言っていたし、それに合わせた方がいいのではないかと思うが……

 

「大丈夫よ。ヴィオラちゃんが無理にアルダンちゃんに合わせて背伸びするより、似合っている格好をして気持ちを伝えた方がきっと伝わるわ」

「ラモーヌさんがそういうなら……」

 

なんせアルダンさんの姉だし、二人とも仲がすごく良い。

ラモーヌさんのアドバイスに素直に従うことにした。

 

ルーブル姉さんは青系のひらひらフリフリリボンマシマシワンピースをテイオーに着せられていた。テイオーはとても楽しそうだ。

ルドルフさんはラモーヌさん渾身の黒白ゴスロリである。

うきうきしているルドルフさん。結構にあっているしかわいい。

かわいいがルドルフさんと認識しがたいウマ娘になってた。

 

 

 

何にしろ準備はできた。

告白時に渡す小さな花束も準備した。

最初は大量のバラの花束にしようかと思ったが、テイオーに「重すぎる!!」と怒られたので、小さなかわいい花束に切り替えた。でも赤いバラもちゃんと入っている。

 

ラモーヌさんに選んでもらったフリフリのワンピースを着て、ルドルフさんにちょっとだけお化粧してもらう。

 

「マ子にも衣裳だな」

 

ルドルフさんがそう褒めてくれた。

 

緊張しすぎて約束の1時間前に、学園が見渡せる公園についてしまったが、アルダンさんはすでに待っていた。

早すぎやしないだろうか。

 

「アルダンさん、こんにちは~ 今日はありがとうございます」

「ヴィオラちゃんこんにちは。こんなところで何の御用かしら」

 

アルダンさんに会って、ボクは頭が真っ白になった。

少し散歩して、気をほぐしてからとか言うプランをテイオーが考えてくれていたが、全部吹き飛んだ。

どうしようどうしよう、そんな考えが頭で回る。

 

「アルダンさん! これ!!」

「きれいなお花ですね。ありがとうございます」

「好きです! 付き合ってください!!」

 

段取りもすべて吹き飛んで、結局これを叫ぶしかできなかった。

 

アルダンさんの顔を見るのが怖い。

嫌がられたらどうしよう。

そんなネガティブなことばかり考えてしまう。

凱旋門賞の前よりよほど緊張する。

手はぐっしょり変な汗でぬれていた。

 

「ヴィオラちゃん」

 

アルダンさんの声にびくっと反応してしまう。

 

「私もヴィオラちゃんのこと大好きよ。ありがとう」

 

アルダンさんにギューッと抱きしめられた。

 

 

 

「こんな私でよければ付き合ってくれますか?」

「アルダンさんがいいんです」

 

ギューッと抱きしめ合う。

胸に顔がちょうど埋まる形だ。

アルダンさんのいいにおいがする。

 

「ヴィオラちゃんのこと、いっぱい不安にさせちゃいましたよね? 変なプロポーズしたりとか」

「でもアルダンさんがいいんです」

 

顔を上げる。

とてもきれいなアルダンさんの顔が視界に飛び込んでくる。

顔がどんどん近づいてきて、唇が合わさった。

とても甘い味がした。

 

 

 

こうしてボクたちはお付き合いすることになった。

といっても大きくすることが変わったわけではない。

二人で一緒に出掛けたり、ご飯を食べたり、それくらいである。

 

それでもとても幸せなものである。

今年ルドルフさんが卒業したら、ラモーヌさんと同棲するだろうし、その時ボクはこっそりアルダンさんと同棲するべくいろいろ準備していたりする。

まだまだボクの道のりは終わらない。




ちなみにテイオーはのちに『ルーブル大好き付き合ってください特別』を開催し、ウィニングライブで告白をした。
ヴィオラは花火を上げた。

今後の予定2
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