飛電・或人にとって、これ程、苦痛に満ちた一日は無かった。
隣に座る『秘書』の威圧感に、もう何度目かになるか分からない溜息を零す。
その憂鬱極まりないどんよりとした視線が、現在、搭乗している大型ヘリの無機質な窓へと向けられた。
何処までも続く蒼い空。
今の自分とは、全く真逆である。
「56回目・・・・。」
「へ? 」
不愛想極まりない秘書の言葉に、或人は窓から隣に座る人物へと視線を向ける。
「溜息の数です。 私といるのがそんなに気に入りませんか? 」
「うっ・・・・そういう訳じゃ・・・・。」
秘書‐ 滅の氷点下の眼差しに、或人は苦笑いを浮かべる。
この20代半ばの青年は、実は人間ではない。
人間を模して造られた人造生命体‐ ヒューマギアだ。
滅は、或人の護衛兼教育係を務めており、幼い頃から、巨大企業『飛電エントリジェンス』の後継者として、身も凍る程のスパルタ教育を施して来た。
「滅が何時も或人を虐めているからだよ。」
真向かいに座る青年‐ 迅がにやにやと人の悪い微笑を口元へと浮かべる。
彼も当然、人間では無い。
滅と同じヒューマギアであり、飛電エントリジェンスの本社がある近未来モデル都市、天海市に設立された特殊部隊『滅亡迅雷net 』の捜査官であった。
「もっと優しくしてあげたら? 滅の大事な人なんでしょ? 」
背凭れに背を預け、迅がモデル並みに長い足を組む。
迅の言う通り、滅にとって或人は我が子同然の存在だ。
或人の両親は、彼が赤子の時に不慮の事故により死亡。
或人の祖父、飛電是之助(これのすけ)が息子、其雄に似せたヒューマギアを製造し、父親代わりとした。
しかし、20数年前に天海市で起こった大規模テロにより、其雄は犯人グループによって破壊されてしまう。
当時、10歳だった或人は、破壊された其雄から、記憶素子だけは何とかサルベージし、それを元に自分の助手として滅を造ったという訳なのである。
「人聞きの悪い事を言うな。 俺は社長の秘書兼護衛役としての職務を全うしているだけだ。」
「はいはい、お前は良くやってるよ。」
視線を再び、窓に映る蒼い空へと戻しつつ、或人は盛大な溜息を吐く。
滅は、非の打ちどころが全くない優秀な秘書だ。
元のボディだった其雄と秘書型AIアシスタント‐イズの擬似家族で、それなりに幸せな子供時代を過ごした。
父親役の其雄は、怖かったが、只の型に嵌った経営者として育てるのではなく、人間として一番大事なモノは何かを教えてくれた。
又、イズも子供の理解者として暖かく見守り、また或人が悪戯をしたら、ちゃんと叱ってくれた。
そう考えると、この二人を造り出した祖父・是之助は、先見の明がある素晴らしい人物だったといえる。
まぁ、そんな祖父と大喧嘩を繰り広げた挙句、14歳でMIT(マサチューセッツ工科大学)へと飛び級し、滅を無理矢理連れてアメリカに渡った訳なのだが。
或人達を乗せた大型輸送ヘリは、セクターシティ・湾岸エリアのヘリポートへと着陸した。
「ようこそ、セクターシティへ。私は、研究島の総責任者を務めているアイダ・オリヴェラです。」
ヘリから降りた或人達を、数名の研究員を従えた30代半ばぐらいの妙齢な美女が快く迎え入れた。
彼女の名は、アイダ・オリヴェラ。
日本人とイタリア人のハーフである。
遺伝子工学の専門家であり、幾つかの博士号を取得した才女だ。
鴻上ファウンデーションに所属しており、この研究島の主任を任されている。
「NASAでの数々の武勇伝は伺っていましてよ? 飛電教授。」
「ははっ、どうせ悪い噂でしょう。」
差し出されたアイダの手を握り返しつつ、或人は苦笑いを浮かべる。
MITに在学中、或人は宇宙開発や災害又は極地等での人道支援を目的に、ライダモデルというシステムを造り出した。
これは、同じく或人が開発した人工知能『アーク』が、地球上に生息する生物のデータを蓄積し、データ・アクティベイトキーに転送するというシステムである。
これにより、システムに対応するパワードスーツを装着した被験者は、”データ・アクティベイトキー”後の”プログライズ・キー”を使用する事で、様々な動植物の能力を使う事が出来るのだ。
この画期的システムは、宇宙開発局のNASAに認められ、或人は研究員としてカルフォルニア州にあるエイムズ研究センターに破格の待遇で招かれる事になる。
当たり障りの無い世間話を交しつつ、或人達はビジターセンターと呼ばれる60階建ての高層ビルに案内された。
「初めてこの島を訪問した方達は、此処でID登録をして貰います。」
アイダ教授曰く、初めてセクターシティを訪問した者は、まずビジターセンターで自分の個人IDを取得するのだという。
IDは、それぞれランク分けされており、それによって、行けるセクターや施設も限られてくるのだ。
此処、セクター・シティは、湾岸エリア、森林エリア、浄水エリア、居住エリア、砂漠エリアの五つに区分けされており、或人達が現在いるのは、湾岸エリアであった。
「駄目だよ、ガイ。 今は昼間だよ? 」
蒼いメッシュが入った髪を持つ16歳ぐらいの少年の身体を、鋭い爪を持った無骨な手が無遠慮にまさぐった。
「何故? 私はもっとミハルに触れていたい。」
腕の中にすっぽりと納まってしまう少年‐ ミハルの華奢な身体。
愛おしさが募り、騎士の如く、鋭角的な黒い外装をした異形の者‐エノシガイオスが、少年の着ているジャケットの下へと無遠慮に手を入れて来る。
此処は、少年‐ 湊ミハルが与えられているプライベートルーム。
当然、私室には持ち主である少年とそのパートナーであるグリード、エノシガイオスしかいない。
「だって・・・2時頃に大事なお客様が来るって、アイダ先生が・・・。」
相棒であるグリードの膝上へと無理矢理座らされたミハルが、ジャケットの下へと潜り込んだ大きな手を掴んで、形だけの抵抗をする。
本音を言えば、セックスはそれ程嫌いじゃない。
最初は痛くて怖かったけれど、慣れて来ると気持ちが良いし、相手が自分の身体で気持ち良くなってくれるのが、堪らなく嬉しい。
「どうせ、我々には関係ない。」
「あっ・・・・。」
顎を掴まれ、無理矢理背後へと振り向かされる。
鋭い牙がズラリと並ぶ、口腔を開き現れる長い舌。
唇をなぞるソレに、ミハルは抵抗するのを諦め、おずおずと閉じていた口を開く。
長い舌が自分のソレと絡み合い、少年の背筋をゾクリと例える事が叶わぬ寒気が走る。
「ミハル・・・・可愛い、私だけのミハル。」
エノシガイオスは、グリード(欲望)の化身だけあり、性的欲求もかなり強い。
背後から抱く少年のジーンズに触れると、禁忌的行為に耽り始めている為か、性器が立ち上がっているのが分かった。
器用に片手で、ジッパーを開き、窮屈そうに自己主張をしている陰茎を外へと出してやる。
鋭い爪で、敏感な皮膚を傷つけない様に注意しながら、亀頭と鈴口を指の腹で撫でると、少年の華奢な肢体が面白い様に跳ねた。
「駄目・・・・・昨日もいっぱいしたのに・・・・。」
物凄く興奮しているのが、否が応でも分かる。
視界に映る無色透明の粘液。
見せつける様に、エノシガイオスが触れていた指先を離すと、粘液がトロリと繋がっているのが分かる。
「触っただけで、もうこんなにして・・・・悪い子だな? ミハル。」
「い・・・意地悪。」
顔を真っ赤にしたミハルが、目尻に涙を溜め、顔を俯ける。
その時、無機質な室内にコール音が響き渡った。
実験場である砂漠エリアで、また何かの事故が発生したらしい。
「い、行かなきゃ・・・研究員の人達が危ない。」
「ちっ・・・・・仕方が無いな。」
お楽しみを邪魔され、漆黒の鎧騎士が、忌々しそうに舌打ちする。
彼等の仕事は、予測不能な事故を未然に防ぐ事。
セクター・シティで働く研究員達を護り、円滑に作業を行える様にする事が、ミハルとエノシガイオスに与えられた役目であった。
祖父・是之助から『飛電エントリジェンス』を引き継いだ或人は、精力的に働いた。
継続した事業は勿論の事、様々な分野に会社の技術を売り込んだ。
祖父・是之助は、流石に一代で巨大企業まで育てただけはあり、経営者としては相当な技術と商才を持っていた。
その中に、夢見町を中心に活動している巨大企業『鴻上ファウンデーション』と提携してある事業に取り組んでいる事が分かった。
それが、次世代のエネルギー源として注目されている『コアエナジー』である。
「このセクター・シティは、完全な自給自足をしています。食べ物は勿論、飲料水や嗜好品であるワインやビールも此処で造っています。」
広大な農場(ファーム)がある森林エリア。
その巨大な温室に、或人や滅、迅の三人は案内されていた。
色とりどりの観葉植物や花が育成されている温室内。
給仕ロボットが、訪問客である或人達にワイングラスに満たされた果実酒を配っていく。
「どうぞ、我々のプラントで品種改良された葡萄酒です。」
このセクターの責任者である女性研究員が、朗らかな笑顔を向けて果実酒を進める。
好奇心が人一倍強い迅が、一口啜り、そのあまりの美味さに顔を綻ばせた。
「美味い! こんな美味しいワイン初めて飲んだ! 」
「確かに、口当たりが良くて、独特な苦味が無いな。」
口の中で自然に溶ける芳醇な味わいに、普段は無表情な滅でさえ、口元を綻ばせる。
そんな二人を他所に、或人は温室内に咲く花や華麗に舞う蝶等を眺めていた。
「コキア・コオケイ・・・・ハワイ諸島のモロカイ島西部にしか自生してない花だ・・・・コッチは、絶滅危惧種と言われているショウスアゲハか・・・。」
可憐な白い花の蜜を吸うアゲハ蝶を眺め、或人は一人呟く。
「流石は教授、もうお気づきになられましたか。」
森林エリアを担当している研究員、内海・成彰(うつみなりあき)が、得意気に眼鏡のフレームを指で押し上げる。
或人達を此処に招いたのは、品種改良した葡萄で造ったワインを試飲させる為ではない。
鴻上ファウンデーションが持つ、最先端の遺伝子工学を魅せる為であった。
既に絶滅し、地球上には存在しない動植物を、彼等が持つ遺伝子データを基に現代へと蘇らせる。
これは、かつて風都の名士として名高い、園咲琉兵衛が残した技術であった。
しかし、当然、或人達『飛雷インテリジェンス』は、その存在を知らない。
「彼等は、このセクター・シティに発生するコアエナジーによって蘇ったのです。」
「コア・エナジー? 」
「そう、地球の記憶・・・とでも言いましょうか、我々はそのエナジーから、絶滅した動植物のゲノムを抽出し、蘇らせる事に成功しました。」
黒いフレームの眼鏡を掛けた青年は、恍惚とした表情で、温室にある草花や蝶を見つめる。
そんな時であった。
内海の携帯している事業所用のPHSからコール音が鳴る。
折角の演説を邪魔され、内海の秀麗な眉根が不快気に歪む。
「失礼」と或人達に一言断り、少し離れると内線に出る。
相手は、砂漠エリアを担当している研究員からであった。
「何? ティーレックスドーパントが・・・・それで処理班は・・・そうか、分かった。」
どうやら何か不測の事態が発生したらしい。
狼狽した様子で、或人達を一瞥する内海。
そんな年若い研究員の様子に、或人の口元が意地悪気に歪む。
「何やらトラブル発生のご様子ですね? 」
「えっ・・・・ええ、でもご安心を。 このセクター・シティのセキュリティーはとても優秀で・・・・。」
「良ければ、是非、その現場も見せて頂きたい。」
「はい? 」
或人の意外過ぎる申し出に、内海の口から突拍子も無い声が漏れる。
「コア・エナジーが未知の可能性を秘めているのは理解出来ました・・・しかし、肝心の部分をまだ見ていない。」
「しっ・・・・しかし・・・・。」
不測の事態に対する対応に、この若い研究員は慣れていないらしい。
要は、事故現場である砂漠エリアに、自分達を案内しろと要求しているのだ。
コア・エナジーに関する有用性を説いたばかりなのに、その汚点を見せる訳にはいかなかった。
「良いじゃない、内海君。 飛電教授の言う通りにしなさい。」
「あ・・・・ああああ、アイダ主任。」
苦境に立たされる若い研究員を救ったのは、美貌の女科学者であった。
ミハルとバディーであるグリードのエノシガイオスが、事故が発生している現場に到着すると、そこは既に阿鼻叫喚の地獄絵図へと変わっていた。
砂漠エリアに続く通路内。
救護班である救命士や看護師達が、走り回り、血塗れの研究員や作業員達が倒れている。
「ひ、酷い・・・・。」
次々と担架に乗せられ運ばれていく怪我人達。
その陰惨極まる光景に、ミハルは思わず顔を背ける。
『このエネルギーの波長・・・・どうやら、外で暴れているのは、ティーレックスだな。』
ガイアメモリから発する微弱なエネルギー波を感じ取ったエノシガイオスは、相棒であるミハルにそう告げる。
因みに、今のエノシガイオスは本来の姿であるコアメダルへと変わっており、ミハルが右手に握る『ポセイドンドライバー』へと収まっている。
『汚染濃度が高い、エリアに出る前に変身しろ。』
「分かった。」
ドライバーを腰に装着する。
ドライバーに収まっている三枚のコアメダル、”サメ””クジラ””オオカミウオ”のメダルが、輝きミハルの身体を光が包んだ。
砂漠エリアへと向かう二台の特殊装甲車。
その先頭車両に乗るノーフレームの眼鏡を掛けた青年が、忌々しそうに後続車を振り返る。
「良いんですか? 主任、奴等にアレを見せて。」
内海が、隣に座る美貌の女上司を恨めし気に見つめる。
現在、彼等は事故が起きている砂漠エリアの管制塔へと向かっていた。
過剰なコアエナジーの接種により、ティーレックス・ドーパントが暴走し、建物のがれき等を磁力に集めて巨大化。
手が付けられない程の暴走状態になっている。
処理班であるドローン兵やライオトルーパーが、対応しているが、所詮は量産型。
戦力差は歴然としている。
「せめて、ゼウス博士に報告を・・・・・。」
「必要ないわ。 彼はもうセクターシティ(此処)から離れた人間よ。 この施設全体の総責任者は私。 その私が許可をしているんだから、何も問題は無いでしょ。」
「しかし・・・・。」
「あの子の能力(ちから)を飛電エントリジェンスに売り込む良い機会じゃない。 この島に埋もれさせておくなんて、真っ平御免だわ。」
この島を視察している飛電或人は、世界有数の巨大企業『飛電エントリジェンス』の若き総帥であり、稀代の天才発明家だ。
祖父である是之助の病死により、20代半ばで莫大な遺産と会社の経営権を一気に得る事になり、IQ500を超える頭脳を活かし、次々と新技術を生み出している。
その怪物をパトロンに付ける事が出来れば、アイダは『財団』内でトップに躍り出る事が出来る。
「確かに、ポセイドンドライバーとその適合者であるミハルは、魅力的な商品です・・・・しかし、量産化出来なければ意味がありません。」
「問題無いわよ、コアメダルの有用性を認めさせる事が出来れば、あの子以外にも適合出来る量産型が造れるかもしれない。」
「しかし・・・・。」
「私はね?内海君、自分と同レベルの優秀な頭脳を持つ人間が欲しいのよ。 ゼウス以外のね。」
「・・・・・。」
まるで、お前では役不足だと言われている様で、内海は悔し気に押し黙る。
アイダ教授は、飛電或人の怪物的才能を欲しがっていた。
確かに、飛電エントリジェンスの若き社長は、類稀な才能の持ち主と言えるだろう。
しかし、自信家かつナルシスト、目立ちたがり屋で傲慢、オマケに多情で異性とのスキャンダラスな関係を週刊誌などにすっぱ抜かれている。
潔癖症な内海にとっては、吐き気が出る程、低俗な人間だ。
そんな年若い研究員の悶々とした葛藤を孕みつつ、二台の特殊装甲車は、砂漠エリアの管制塔へと到着した。
仮面ライダー・ポセイドンへと変身したミハルは、想像よりも遥かに巨大化したティーレックス・ドーパントに思わず面食らっていた。
数々の武器を内蔵したドローン部隊と、量産型のドライバーによりライオトルーパーへと変身した処理班の面々が懸命に戦っている。
アサルトライフルが火を吹き、小型ミサイルが瓦礫を取り込んだ鋼の巨獣へと次々に炸裂するが、決定的なダメージを与えるまでには至らなかった。
逆に怒りの逆鱗に触れ、益々、ティーレックスを凶暴化させているだけである。
周囲の空気を震わせる程の咆哮を上げ、鋼の巨獣が長い尾を振り回す。
次々に吹き飛ばされるドローン兵。
鴻上ファウンデーションが誇るライオトルーパー部隊も同様で、徐々に後退を余儀なくされていた。
「皆を助けなきゃ! 行くぞ、ガイ! 」
『了解だ。 ミハル。』
身の丈を軽く超える槍『ディーペストハープーン』を構え、ミハルと相棒であるエノシガイオスが、ビッグ・ティーレックスの前へと躍り出る。
鋭利な刃から発生する蒼白い真空の刃。
ティーレックスの厚い装甲を意図も容易く斬り裂き、巨大な尾を斬り飛ばす。
天の助けとも呼べるポセイドンの登場に、ライオトルーパー部隊に安堵の溜息が漏れた。
彼等にとって、ミハルとエノシガイオスの二人は最終兵器と同じ。
後は、彼等二人がビッグ・ティーレックスを無事始末してくれるだろう。
森林エリアから、特殊装甲車に乗り、砂漠エリアを管理している管制塔へと到着した或人達。
照明を落とした薄暗い室内で、若き実業家は、巨大ディスプレイに映る仮面ライダー・ポセイドンの雄姿を感心したかの様に眺めていた。
「信じられねぇ・・・・アレって仮面ライダーじゃん。」
飛電エントリジェンスの私設部隊『滅亡迅雷net』の一員、迅が、巨大な鋼の巨獣を相手に舞い踊る様に華麗に戦うポセイドンの姿を見て思わず呻いていた。
「そう、仮面ライダー・ポセイドン。 我が鴻上ファウンデーションが誇る最強のアーマードライダーです。」
「最強・・・・ねぇ。」
何処か勝ち誇った様子で解説する美貌の女科学者を横目に、或人は一人皮肉な笑みを口元へと貼り付かせる。
アイダ博士が自慢するだけあり、室内に設置されている巨大ディスプレイに映るライダーは、想像を遥かに超える戦闘力を有していた。
セクターシティを護るセキュリティー部隊が、あれ程苦戦していたにも拘わらず、仮面ライダー・ポセイドンは、鋼の巨獣を翻弄し、ダメージを確実に与えている。
しかし、戦い方がお粗末すぎる、と或人は思った。
迅達の様に厳しい訓練と経験を積み重ねた歴戦の戦士と比べると、動きにどうしても稚拙さが目立つ。
与えられた大きすぎる力に、翻弄されているかの様に見えた。
『ミハル、これを使え。』
地面に映るポセイドンの影がぬるりと起き上がり、エノシガイオスの右腕だけが実体化する。
投げつけられる三枚のコアメダル。
反射的に受け取るミハル。
メダルには、ウナギ、クラゲ、カジキの絵柄が彫り込まれていた。
「トニトルスコンボだ。 一気にケリをつけろ。」
「分かった。」
ドライバーに装填されているサメ、クジラ、オオカミウオのメダルを外し、相棒から渡されたメダルを再装填する。
光り輝く三つの輪。
それが一つになり、ポセイドンの身体を眩い光が包む。
「ほぉ、オーカテドラルですか・・・限りなくオリジナルに近いですねぇ。」
流線型の形態から、黄色を基調とした鋭角的なフォルムへと変わったポセイドンを見て、或人が意味ありげに右隣に立つ美女を眺める。
「あら? ご存知でしたの? 」
「ええっ・・・・こう見えてもアーマードライダーのファンでしてね。」
来ているジャケットを開き、内ポケットに入っているスマホに付けられたキーホルダーを見せる。
ディフォルトされた可愛らしい1号ライダーが、揺れていた。
「一応ではありますが、オリジナルの方も拝見してます・・・記憶素子で、ですが。」
セクターシティ(此処)に訪れる前に、鴻上ファウンデーションの事は調べている。
日本でも有数の巨大財団、その総帥である鴻上光生の事。
彼が陰で、グリードなる人造の生命体を造り出し、そこから抽出されるセルメダルで様々な研究を行っている事。
そして、火野・映司という青年をモルモットにオーズドライバーの複製体を造っている事まで。
「しかし、コアエナジーという存在はとても不安定みたいですなぁ、まるで旧約聖書に登場する”禁断の果実”そのモノだ。」
「火を恐れていては、人類は先に進めません。 失敗すればする程、我々は成功に近づいているのですよ? 」
「トーマス・エジソンですか・・・・確かに彼の言葉は、科学者にとって真理そのモノですが、失敗にも程度があります。」
「私達、セクターシティのセキュリティーには、何の問題もありません。」
「確かに、此処は問題ありません・・・・此処はね。」
言葉によるジャブの応酬。
アイダの隣に立つ内海の顔色が真っ青から土気色へと変わり、或人の右隣にいる滅の双眸が険しくなる。
一触即発の不穏な空気が漂う中、一人迅だけが、ビッグ・ティーレックスに止めを刺すポセイドンの雄姿を、目を輝かせて見つめていた。
「一体、何が仰りたいのかしら? 」
「私が言わなくても、聡明な貴女なら既に分かってらっしゃるでしょ? 老害一匹が外で好き放題暴れてるって事に。」
内ポケットに入っているスマホを取り出し、器用に片手で液晶画面を操作する。
目当てのデータを取り出し、美貌の女科学者に画面を向けた。
そこには新聞の記事が載っており、『夢見丁に鎧武者の亡霊が!?』という見出しがデカデカと描かれていた。
「さっき、其方の内海君が証明してくれました。 此処で生まれた技術何でしょ?人体組成。」
能面の如く無表情な女科学者と、今にも泡を吹いて倒れそうな若い青年研究員。
「いやぁ、心中お察し致します・・・・相当、苦労なされたみたいですねぇ?事件の火消しに・・・・。」
「何の根拠もない誇大妄想な言いがかりですわ。 名誉棄損と侮辱罪で訴えますわよ? 飛電教授。」
或人は、夢見丁で起こったグリードによる通り魔事件を、鴻上ファウンデーションが起こしたと糾弾しているのだ。
確かに、発見された織田信長のミイラをセクターシティ(此処)に収容し、遺伝子データをガイアメモリに抽出したのは、まごうことなき事実だ。
しかし、まさか解析終了となり、鴻上生体研究所に保管した遺体を、まさか会長自らの勝手極まる好奇心で復元した挙句、セルメダルでグリード化する事までは、予想外であった。
当時、セクターシティの総責任者であったゼウスとその補佐を勤めていたアイダは、警察官僚に多額の裏金を渡し、事件を隠蔽。
オーズによって破壊されたコアメダルの破片を回収し、処分している。
「言い掛かりかどうかは、これを見て判断して下さい。」
スマホの画面を操作し、3D映像で空中に画像を展開させる。
画像には、何かの手らしき肉の塊と、染色体らしき二重螺旋がゆっくりと回転していた。
「とあるルートを使って回収した犯人の肉片と、解析した人体ゲノムです。それと、コッチが輸送記録・・・実験体”N”を夢見丁の生体研究所に送ったと記されています。」
探る様な視線が、美貌の女科学者を眺める。
動かぬ証拠を突きつけられても尚、女の顔色は一つとして変わる事は無かった。
この男は、全てを見透かしている。
視察というのも建前で、本当の目的は、セクターシティで行われている非人道的な実験を調べるつもりなのかもしれない。
一企業の社長が何故此処まで?
その疑問にぶち当たった時、アイダの脳裏に一つの答えが導き出された。
「そんなモノで、私がコアエナジーの研究データを素直に渡すと思って? 飛電教授。」
蛇の如く鋭い眼差しを、若い実業家へと向ける。
室内に設置された巨大ディスプレイでは、ポセイドンのコンボ技が見事に決まり、爆発四散するビッグ・ティーレックスの姿が映っていた。
「そうですねぇ、この証拠は、違法な手口を使って手に入れた代物だ。法的材料には一切ならないでしょう・・・・しかし・・・。」
そこで一旦言葉を切り、空中に展開されていた3D映像を消す。
スマホを内ポケットに仕舞うと、何処か勝ち誇った視線を美貌の女科学者へと向けた。
「世間はどう判断しますかな? 現在、鴻上ファウンデーションは、難破重工と半導体の件で大分揉めてらっしゃる。もし、この事件が公になったら、一番困るのは貴女でしょ? 」
「・・・・・。」
「私は良いんですよぉ、別に。鴻上光生みたいな泥船に乗って海の藻屑になる気は全くありません。」
「・・・・・私を脅すつもりなのかしら? 」
「どう、受け取られても結構、滞在期間の3日間以内に良い返事が出る事を期待してます・・・それでは。」
言いたい事だけ言うと、或人は滅と迅の二人を促し、管制室から出て行く。
後に残されたアイダ博士。
掌の皮が切れる程に、右手を握り締めていた。
セクターシティ、居住エリア。
研究員が生活するマンション以外に、超巨大なショッピングモールや娯楽施設まで建造されている。
或人達三人は、超VIP待遇を受けており、超最高級のスウィートルームを用意されていた。
「一体、どういうつもり何ですか? 貴方は。」
60階建ての最高級ホテルにあるレストラン。
超豪華なイタリア料理が並ぶテーブルに座るなり、秘書兼護衛役である滅が開口一番そう言った。
「何をそんなに怒っているんだ? もしかして腹が減ってるのか? 」
厚いモッツアレラチーズが乗ったピザを行儀悪く、口の中へと押し込む。
続いて、名物のカルボナーラを下品に啜り上げた。
「相変わらず、食べ方が壊滅的に汚いですね。」
「何を言っている、美味しそうに食べる俺の姿を見るのが好きだと言ったのはお前だぞ? 」
「そんな事、言った覚えはありません。」
「もー、食事の時ぐらい夫婦喧嘩止めたら? 」
『誰が夫婦だ!!』
迅の的確なツッコミに、或人と滅が示し合わせたかの様に反応する。
当人同士は全否定するが、この二人は社内でもおしどり夫婦としてかなり有名だ。
天海町にある本社には、イズという優秀な女性型のヒューマギアがいるのだが、或人は何故か必ず男性型の滅を傍に置いていた。
海外で行われる重大なレセプションや会議には、必ず同伴させ、宿泊するホテルですらも同室にしている。
それが原因なのか、或人社長はゲイなのでは?と社内で良からぬ噂までたつ始末だった。
「それより、此処は敵地です。あんな煽りをしたら、どんな報復が来るか分かりませんよ? 」
「大丈夫、あの女はそんなアホみたいな真似は決してしない。」
「何故、言い切れるんですか? 」
「あの女が欲しいのは、飛電エントリジェンスの莫大な支援金じゃない。 ガリレオガリレイの再来と言われる俺の超天才的頭脳だ。」
ビシッと親指で、自分の胸を指す。
何処からそんな自信が湧いて来るのか皆目見当も付かないが、この男は重度のナルシストだ。
確かに、世間一般から見て、或人は天才の部類に入るだろう。
アークという人工知能を造り出し、通信衛星ゼアの制作&打ち上げ、ヒューマギアである私設部隊『滅亡迅雷net』、そしてプログライズキー等、数世紀先の技術を幾つも生み出している。
「かのガリレオガリレイは言った・・・・”それでも地球は動いている”と、つまり人類の英知の結晶たる俺がいる限り、地球は周り続けているんだ・・・分かるか?」
「全く持って、一ミリたりとも理解出来ません。」
「だからぁ・・・もぐもぐ、あの年増のおばはんが欲しいのは、ズルズル、アークを造り出した俺の技術であって・・・もぐもぐ・・。」
「食べながら喋らないで下さい。」
咀嚼しながら説明する主人を、心底軽蔑したかの様な眼差しで滅は睨む。
そんな二人の夫婦漫才を他所に、迅は自分のスマートフォンを弄っていた。
「はぁ、湊ミハルちゃんかぁ・・・可愛いなぁ。」
3D映像へと切り替え、自分の目の前に画像を展開させる。
そこには、昼間、砂漠エリアで起こったビッグ・ティーレックスと仮面ライダー・ポセイドンのバトルシーンが映し出されていた。
装着者である湊ミハルの経歴を指で捲りながら、深い溜息を吐く。
「迅・・・・お前、まさか・・・。」
「うん、亡に頼んでデータを転送して貰った。あのライダーの名前は湊ミハル、今年で16歳だってさ。」
呆れ返る滅の質問に、迅は何故か得意気に応える。
亡は、或人が造り出した最新型のヒューマギアの一体で、主に諜報活動を専門に行っている。
元々は、旧世代型のヒューマギアで、システムエンジニアタイプであったが、20数年前に起こった大規模テロにより毀損。
その後、或人が回収し、諜報活動専門に造り変えた。
勿論、システムエンジュニアとしての機能も残しており、普段は同形体のヒューマギア‐ 宇宙野郎雷電の補助AIを勤めている。
「お前、勝手な真似を・・・・。」
「良いじゃないか明、それぐらい大目に見てやれよぉ。」
亡に無理矢理頼んで、仮面ライダーポセイドンの適合者のデータをハッキングして貰ったのだろう。
まごう事なき犯罪行為である。
根が潔癖症な滅が目を三角にするのに対し、或人は何処までもマイペースであった。
セクターシティの農場プラントで造られた、自慢の白ワインをグビグビと飲み干している。
「滅です、その名前で私を呼ぶのは止めて下さい。」
まるでリスの頬袋みたいに、食べ物を下品に詰め込む主を、汚物でも見るかの様に、滅が軽蔑した眼差しを向けた。
心底、この二人と一緒にいると疲れる。
『滅亡迅雷net』のブレーンである人工知能”アーク”の命令で、暴走しがちな主の監視兼補佐を頼まれているが、毎回毎回コレでは身が持たない。
「可愛いなぁ、ギュッと抱き締めたら、きっとフワフワしているんだろうなぁ。」
「水を差す様で悪いが、どう贔屓目に見ても、ミハル君は男の子だ。 抱き締めても柔らかくは無いぞぉ。」
お互い下品な食べ方をしつつ、下世話な会話を交わしていく。
そんな二人の男に挟まれた滅は、憮然とした表情で、フォークとナイフを上品に使い、無言で食事を続けていた。
「知ってるよ、女の子の方がマシュマロみたいに柔らかいって事ぐらい。」
何故か、迅は得意気な顔をすると一枚の画像を或人に見せた。
「おっ・・・・・おい、この子ってまさか・・・・。」
「うん、”メディウム”の藤井未子(ふじいみこ)ちゃん。この前やったイベントでライン交換したんだぁ。」
メディウムとは、ネットやメディアで大人気の3人グループのアイドルユニットであった。
それぞれが、ドラマやCM、雑誌の表紙にグラビア等で活躍しており、10代から40代の広い層で多くのファンがいる。
「これ、ディズニーランドに行った時の写真。」
「迅・・・.何て恐ろしい子。」
シンデレラ城をバックに撮った写真と、宿泊したホテルのベッドで自撮りしたらしい、二人の姿が収まっていた。
ホテルのベッドで、迅にしな垂れている女性は、紛れもなくグラビアで大人気の藤井未子だった。
ガシャンッ!
その時、二人の耳に不穏な音が聞こえた。
見ると、フォークを握り締めた滅が、肉たっぷりのミートソースが乗ったパスタの皿を真っ二つに割っている。
野獣の如き、鋭い眼光が、不埒な二人組を睨みつけていた。
「好い加減にしろよ?貴様等。」
『はっ・・・・はい。』
震えながら応える或人と迅。
傍若無人で厚顔不遜な二人であったが、この地獄の閻魔大王より恐ろしいお目付け役には逆らう事が出来なかった。
森林エリアにある広大な農場プラント。
幾つか並ぶビニールハウスの中で、湊ミハルは真っ赤に熟したリンゴを収穫していた。
「いててっ・・・・・。」
腰に鈍痛が走り、思わず手でさする。
昨夜は、相棒のグリード・エノシガイオスが中々、離してくれず、明け方近くまで弄ばれていた。
お陰で眼の下には真っ黒なクマが出来、全身を倦怠感と鈍い痛みが襲う。
「ミハルー。」
名前を呼ばれ、背後を振り返る。
そこには大岩の如く巨大な怪物がいた。
額には角が生え、長い鼻に鋭い牙が二本突き出している。
良く熟れたリンゴが入った大きな籠を二つ、手に持っていた。
「コッチ終わった。メズールも仕事終わったから休憩しようって。」
「はぁ・・・もうそんな時間か・・・・。」
時刻は、後数分で正午になる。
右腕に巻いた腕時計で時刻を確認したミハルは、大きな伸びをした。
同じ果樹園で働くこの怪物の名前は、ガメル。
ミハルの相棒、エノシガイオスと同じグリードである。
ガメルの他に、メズールとカザリとウヴァという三体のグリードがおり、個々が持つ能力を生かして、セクターシティで働いていた。
「ミハル、元気ない。 また、ガイに虐められた? 」
幼く、幼稚なガメルは、意外と繊細で敏感に人の気持ちを察する事が出来る。
ぎこちなく作業場で仕事をするミハルに、何かを感じ取ったらしい。
「違うよ、それより人間形態に戻った方が良い。」
グリード本来の姿になっているガメルを、同じ果樹園で働く作業員達が奇異の視線を向けていた。
慣れた光景とはいえ、彼等にとって異質な存在は受け入れ難いのだろう。
「アイツ等、嫌い・・・。」
「そんな事言っちゃ駄目だ。 いがみ合ってちゃお互い疲れるし、気分も良くない。 どっちかが我慢しないと、この世界は辛い事でいっぱいになっちゃう。」
「辛い・・・それ、苦しい。メズールも我慢してる、だからオレも我慢。」
ミハルの言う通り、人間形態へと変身する。
短く髪を刈り上げたミハルと同じ紺色の作業服を着た、大柄の男性へと姿を変えた。
「御免な・・・・ガメル。」
「ミハル、何時も謝る、悪い事してない、だから変。」
「うん、そうだな、変だよな。」
幼く、我儘な一面があるものの、ガメルは素直で優しい性格をしている。
否、ガメルだけではない。
彼等、グリードと呼ばれる人造の生命体は、皆、真面目で実直だ。
4人の中で、年長者であるメズールは、仲間思いで協調性が強く、「愛情」や「母性」の欲求が強い。
ウヴァは、短気で口調も荒いが、努力家で「支配」という欲求が強く、率先して皆を引っ張って行ってくれる。
カザリは、子狡い所もあるが、頭の回転が速く臆病で、「信頼」と「純朴」の欲求が強い。
皆、普通の人間と同じ様に感情がある。
だからこそ、ミハルは彼等に「我慢」を強いる、人間主体のこの世界が「嫌い」なのだ。
何故、人間という生き物は、自分と違う存在を「否定」し、「拒絶」するのか。
セクター・シティ、港湾セクター、コンテナターミナル。
大きなコンテナが立ち並ぶ隙間を縫う様にして、一つの影が移動していた。
黒いソフト帽に、その下から覗く茶髪の跳ね毛。
黒のジャケットにベスト、黒のスラックスという全身黒づくめの恰好をした20代前半ぐらいの青年であった。
「ふぅ、何とか潜り込めたけど、此処からどーしたもんだか。」
ソフト帽の青年‐ 左・翔太郎は、何時もの癖で被っている帽子の位置を直す。
彼は現在、とある財団(亜希子談)の依頼で、潜入調査を行っていた。
曰く、此処、日本海に面する孤島で、違法な実験が行われているらしい。
しかも、その実験には翔太郎達の宿敵、『財団X』が深く関わっているという代物であった。
『港湾セクターを抜けると、管理セクターに出る。そこにあるビジターセンターが僕達の目的地だ。』
「分かってるよ、相棒。 でも、こう監視が厳しいんじゃ、先に進むのが一苦労だぜ。」
翔太郎の言う通り、コンテナターミナル内には無数のドローンとロボット兵が、網の目の如く周囲を監視している。
時刻は、午後4時半。
もう少し待てば、陽も沈む。
暗闇に紛れて行動した方が、良いかもしれない。
何処かに隠れて時間を潰そうと思っていた矢先であった。
赤い光点が翔太郎の額に当たる。
慌てて、身を屈める探偵。
銃声が轟き、コンテナの厚い外装に大きな穴が開いた。
「やべっ、見つかっちまった! 」
何時の間にそこにいたのか、アサルトライフルを装備したドローンが、侵入者である翔太郎を狙っている。
火を吹く銃口。
咄嗟に横へと横転し、凶悪な鋼の牙から逃れる。
『翔太郎、変身だ! 』
右耳に装着している相棒、フィリップの声。
警報が鳴り響き、わらわらと機械歩兵の軍団が集まって来る。
「ちっ、ドジ踏んじまったぜ。」
胸ポケットからwドライバーを取り出し、腰にセット。
同じく次世代型ガイアメモリ、『T1ジョーカー』を右手に構える。
「変身! 」
ガイアメモリのスイッチを押し、wドライバーへとセット。
すると、何もセットされていない反対のスロットに、緑色のメモリが現れた。
相棒のフィリップが持つ、サイクロンメモリだった。
いきなり寒くなって辛い。