あの頃の私は   作:レイ1020

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かなり投稿が遅くなる可能性あります。


ですが、なるべく投稿して完結までは行きたいと思っていますので、どうかよろしくお願いします!


第一話

「・・・・・・?あら?なんで私は外に・・・・・・?さっきまでは・・・・・・」

 

 

 

私、氷川紗夜は今この状況に非常に戸惑いを覚えていた。先ほどまで私は家でギターの練習をしていた筈。だと言うのに、なぜか知らぬうちに外へと出てしまっていたのだから。それも、私にはその後に外に出たと言う記憶が無い。だから尚のこと疑問が残るばかりで・・・・・・その場でただ立ち尽くすしかなかった。

 

 

 

「・・・・・・仕方ないわね。とりあえず家まで戻りましょう。記憶がなくなっていると言う事はそれだけ疲れていると言うことかもしれないし・・・・・・」

 

 

 

「あれ?もしかして紗夜〜?どうしたのこんなとこで?」

 

 

 

「・・・・・・?あら、今井さん。いえ、ちょっと・・・・・・」

 

 

 

そんな私に声を掛けてきたのは私と同じ、Roseliaでベースを担当しているメンバー、今井リサだった。彼女はいつも明るく、こうして街中でも会えばこうして向こうから声を掛けてくれる。それはいつも通りなのだけど・・・・・・なぜか私には今目の前にいる今井さんに違和感を覚えた。

 

 

 

「(・・・・・・今井さんの制服のネクタイとスカートの色・・・・・・”青”だわ。おかしいわ?青のネクタイとスカートは羽丘女子学園の2年生が着用するものだわ。今井さんは今は3年生のはず・・・・・・なのに何で?)」

 

 

 

まさにそれだった。昨日までの今井さんはしっかりと赤色をベースとした3年生専用のネクタイとスカートを着用していたのにも関わらず、なぜかこの今井さんは着用していなかった事に違和感を覚えた。

 

 

 

「・・・・・・紗夜?アタシをジロジロ見てどうしたの?何かついてる?」

 

 

 

「っ!い、いえ。何でもありません。・・・・・・それよりも、何で今日は今井さんは2年生の制服を着ているの?貴女は3年生でしょう?」

 

 

 

「・・・・・・へっ?何言ってるの?アタシって今、2年生だけど?何もおかしなことなんてなく無い?」

 

 

 

「・・・・・・はい?」

 

 

 

どう言うこと?今井さんが嘘を言っているようには見えないし、私がおかしいのかしら?・・・・・・いえ、そんなわけないわ。確かに昨日まではいつも通りの今井さんだったわ。・・・・・・それならどうして?

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・ねぇ、紗夜?」

 

 

 

「はい?何でしょうか?」

 

 

 

「なんか雰囲気変わった?いつもよりもどこか表情が柔らかいって言うか・・・・・・いつもよりも妙に落ち着いてるって言うかさ?」

 

 

 

「・・・・・・?」

 

 

 

今井さんの言っている意味が分からず、私は首を傾げた。何で彼女は今そんなことを言うのかしら?そのことなら以前スタジオで練習していた時も聞きましたし、カフェに一緒に行った時にも似たようなことを言われました。・・・・・・今になって何でそれを・・・・・・。・・・・・・もしかして?

 

 

 

「今井さん?もしかして、どこか体調でも悪いのですか?それならばなるべく早く帰って休息を取るべきですよ?貴女に倒れられては困りますから」

 

 

 

「えっ!?さ、紗夜が・・・・・・アタシの心配するなんて・・・・・・・・・・・・紗夜の方こそ、大丈夫?何か変なものでも食べた?」

 

 

 

「私は本当に心配しているのよ?と言うか、友達の心配をするのは当然でしょう?」

 

 

 

「と、友達っ!?さ、紗夜からまさかその単語が出るなんて・・・・・・つい最近までそんなの要らないわって言ってたのに・・・・・・」

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

やはり・・・・・・どうにもおかしいわ。普段の今井さんならこんなことでこんなに取り乱す事はないはず。それなのになぜかこうしてワタワタと慌てふためいている。その時、私の脳裏に一つの仮説が思い浮かんだ。もしそれが本当であれば理解し難い事だけど、やるしかないわ。

 

 

 

「今井さん。申し訳ありませんが、今は何年ですか?」

 

 

 

「へ?何年って・・・・・・2017年だけど・・・・・・」

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

やはりと言うか、半ばわかっていた答えが返ってきた。そうね、確かに今が2017年であるのならば今の今井さんの反応も納得だわ。1年前は今井さんとは必要最低限のことしか話さなかったし、対応も冷たかったものね・・・・・・。そんな私が急に現れて友達だの体調を心配だのすればそれは驚かれるわね。

 

 

 

「すみません今井さん。少し用が出来てしまったので、私は行きますね?」

 

 

 

「えっ・・・・・・あ、うん。わかった。それじゃあね」

 

 

 

「はい」

 

 

 

混乱する今井さんをその場に残し、私はそそくさとその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても・・・・・・なんで私は過去に?・・・・・・どうすれば元の世界に戻れるのかしら?」

 

 

 

今井さんと別れた後、私は一人公園のベンチに座りながら今の現状を整理していた。わかっている事は、ここは一年前の過去である事・・・・・・それだけ。後は何一つわかってはいなかった。

 

 

 

「誰かに聞くと言うことも得策では無いわね。この世界にいる皆さんは、この世界にいる私のことしか知らないはずでしょうし・・・・・・困ったわね」

 

 

 

問題なのはそこだった。今の私が知り合いに話しかけたとしても、先ほどの今井さんの様に変な目で見られるだけで、何の進展も望めそうに無い。そうなってくると、もはや自分の手で元の世界に帰る方法を探すしか無いと言うことになる。

 

 

 

「・・・・・・ともかく、今はなるべく誰にも会わない様にして方法を探すことにしましょう」

 

 

 

「何を探すの〜?」

 

 

 

「・・・・・・えっ?」

 

 

 

いきなり聞こえて来た私以外の声に私は驚き、声がした私の後ろへ視線を向けてみた。するとそこには・・・・・・。

 

 

 

「何してるの?おねーちゃん?」

 

 

 

「・・・・・・ひ、日菜・・・・・・?」

 

 

 

元の世界でも毎日の様に声を聞いている妹の氷川日菜の姿があった。・・・・・・今さっき、誰にも会わない様にと決めたばかりだと言うのに・・・・・・何で貴女はそんな私の決意をあっさりと壊すのよ・・・・・・。はぁ〜・・・・・・正直に言うと、この世界では一番会いたく無かったのだけれど・・・・・・。

 

 

 

「おねーちゃん、今日はスタジオで練習があるって言ってなかったっけ?」

 

 

 

「え、ええ・・・・・・。今日は早めに練習が終わったのよ。それで、ここの公園で少し休憩をしていたところよ」

 

 

 

「ふ〜ん?そっか!」

 

 

 

私がとっさに思いついた嘘を普通に信じた日菜は、ピカピカ輝く笑顔を私に向けながら私の隣に座って来た。

 

 

 

「貴女も今帰りかしら?」

 

 

 

「うん!仕事が終わって帰ってた途中!それで、ここの公園に通りかかったらおねーちゃんがいたから来たんだ〜!」

 

 

 

「そう。・・・・・・?日菜?どうしてそんなに隅の方にいるの?もっとこっちに来たらいいじゃない?」

 

 

 

「え?・・・・・・でもおねーちゃん、いつもこのくらいの距離で居てって・・・・・・」

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

途端にどこか暗い顔になる日菜に思わずハッとする私だった。この時期はまだ私が日菜としっかりと向き合っておらず、ずっと日菜を避けていた時期だったと言うことを思い出したからだ。これからこの子は、この世界の私と七夕祭りに行ったり、雨に打たれ続ける私に傘を持って行ったり、一緒に天体観測をしたり、クリスマスを一緒に過ごす事になって徐々に昔の様に仲の良い関係に戻れたのだけど・・・・・・最初の頃は、私ったらこの子にこんなにも悲しい顔をさせていたのね。・・・・・・今更だけど、今の私を叱ってやりたいわ。本来であれば、部外者である私はこの世界の私を演じる必要がある。変に私が関与して未来が変わってしまっては嫌だもの。・・・・・・だけど、それはできそうに無かった。今の私に日菜を・・・・・・大切な妹を悲しませる様な真似なんてできないからだ。

 

 

 

「今はそんな事は言わないから、もっとこっちに来なさい」

 

 

 

「え?いいの?」

 

 

 

「ええ」

 

 

 

「っ!わーい!!」

 

 

 

私がそう言うと同時にさっきまでの顔が嘘だったかの様に消え失せ、代わりに先ほどの笑顔が戻り、日菜は私のほぼ真隣に座り直した。・・・・・・やっぱりこの子は笑顔が似合うわね。

 

 

 

 

「えへへ〜〜♪」

 

 

 

「そんなに喜ぶ様なことかしら?」

 

 

 

「うん!とっても嬉しい!!」

 

 

 

「そう。・・・・・・こんなに可愛らしいのに、この世界の私ったらなんてことを・・・・・・」

 

 

 

「ん?何か言った?」

 

 

 

「い、いいえ!なんでも無いわ」

 

 

 

うっかり日菜に聞かれそうになり焦る私だったが、どうやら聞かれてなかった様でほっとする。あなたの相手をするのは、元の世界でもこの世界でも、相変わらず大変ね・・・・・・。

 

 

 

 




一年前へとタイムスリップしてしまった紗夜。


その訳とは一体?


紗夜さんは、やっぱりどの世界でも妹の日菜ちゃんには弱いのですね。
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