オレをアリスと呼ばないで   作:淫ヴェルズ

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第16話 造反劇

 

 閃光で焼かれた視界が次第に回復していく。湧き上がる万能感に酔いしれながらも余裕の面持ちで泰然としていられる。それもこれもこの力と仲間の想いがあるからこそ。

 

 ネロスピカは全て承知の上でここにいる。決して晴れぬ無念を正すためにここにいる。英雄に涙は似合わない。

 

 これは裏切りではない。当然の帰結なのだ。

 

 それだけのことをされたのだ。

 

 だからこそ――――

 

 

 

「う、ぐぁ」

 

 体が、熱い。体の奥底から湧き上がるマグマの如き熱さ。熱量を操る今の私では到底感じえない熱さ、それに妙だ。

 

 体が、動かない―――ッ

 

「なんだ、これでも生きているのか。アリスってのは本当に頑丈だな」

 

 リフォルクルスが笑いながら肩をすくめる。

 

(こ、これはぁ)

 

 ようやく自身が置かれた状況を把握する。半身に走る感じたことの無い痛みがひっきりなしにネロスピカを痛めつける。

 

「ぐ、ぅうあっ・・!」

 

 ネロスピカの体の半分が地面に埋まっている。いや埋まった部分が地面と半ば融合している。

 

 な、なんで”この体”には魔術が碌に作用しないはず。それがどれだけ厄介なのかも身をもって知っている。そのためにわざわざ奴の右手を掴んで転移を封じたのに!

 

 【転移】の相乗りにはこちらから一切許可した覚えはなかった。

 

「その顔・・少し勘違いしているな。知ってのとおりA種の持つ特殊防御機構【フルドリス】は認識外の現象に凄まじい抵抗力を誇る。神性を帯びた魔術であろうとな」

 

 そんなことは知っている!!だからこそ自爆まがいの無茶ができたのだぞ。

 

「だがなあ、なあなあ。魔術の基本原則まで適用されないとでも思ったか?A種特有の余りの常識外れっぷりに自分は大丈夫と目が眩み過信したのか?なあどうなんだ。それは増長なのか?」

 

 リフォルクルスは嘲笑う。その体の万能感は筆舌に尽くしがたいことだろう。実験の影響で精神安定剤に日々頼る脆弱な精神を持つ祈り手ならばその心地よさに酔いしれるのもしかたのないことか。

 

「先に私の手を掴んだのは貴様だ。事前になんの魔術の使用をわかっていながら自分から接触する間抜けが。【転移】の巻き込み事故も無効だと思ったか?何が起きるか認識した上で勝手に受け入れてちゃ防壁は機能するはずがないだろ。【フルドリス】は無知なる者の証なんだぞ」

 

 つまり【フルドリス】が正しく機能するということは無知蒙昧の証明に他ならない。わからないからこそ、なかったものとして扱われる。

 

 転移は座標を設定し目的地に飛ぶ。彼女はその過程に強引に”自分から”割り込みそして事故った。ただそれだけのこと。なんの根拠もないくせに万能感に酔いしれ疑問も抱かずに愚直なままに自ら罠に嵌ったのだ。

 

 まあ、私もそうなるようこれ見よがしに転移し続けたのだが。

 

 つまりこいつは私の思惑通りまんまと誘導されたのだ。完全に能力に振り回されていたな。誰にでも変身可能という、選択肢が多すぎて最適格な答えを見失ったか。

 

「ぐウ、ア”ア”ア”ア”」

 

「その状態で変化しても無駄だ。埋まった傷は治らない」

 

 観察の結果、彼女は肉体変化というよりも存在そのものを書き換える存在転換。いわば事象の改ざん能力に近い。間違いなく祈り手最強クラスの異能だよ。故に惜しい。ここで処分しなければいけないのが非常に残念だ。この力があれば”奴”を一泡吹かせることが可能だったかもしれなかった。

 

「ああそうだ、一応聞いておこう。なぜ裏切った?待遇に不満でもあったか?精神安定剤は定期的にとっているのか?祈り手に不満なんてあるはずがないのにどうしたと言うんだ?」

 

「・・ッ―――ふ、ふざけるなぁァッ!不満が、無いだとッ。何も知らないとでも思っているのかッ!!?」

 

「・・・・やっぱり記憶を取り戻していたか。まあ、当たり前か」

 

 これでようやく納得がいった。自ら首輪を外し(方法は謎)あろうことか”仲間”である我々に虐殺まがいの行いを可能としたのだ。今まで仲良くやってこれたのに、残念だよ。通常であれば彼らにそこまでさせる動機となる理由や行動原理はない。彼らは三食昼寝付き、なんとおやつも出る。一部の者以外に仕事という仕事もなく普段は自室でぼんやりしてる。ホーム内での行動制限もそこまでない。

 

 ”ある実験”の末生まれ落ちた彼らには特にホーム内での役割など存在しなかった(一部を除く)がその稀有な力を腐らせるには惜しいと私がとりあえずA種へのカウンターとしての部隊を設立したのが祈り手だった。

 

 神への祈りの所作すら忘れた者には少々皮肉が効いた名前だが・・まあ、忘れた原因は我々にあるのだが我ながらいいネーミングセンスだと思う。

 

 ここは地上で名をはせた色褪せた英雄たちの墓場だ。マスターに力を見込まれ連れ去られてきた自覚無き者たちの墳墓。もはや彼らの事は誰も知らない。帰るべき場所などとうの昔に無くなっている。900年前の人物すら眠っているのだぞ。

 

 

「おかしいな。あんなに脳みそいじって調整してやったのになんで覚えてるんだか。知らなければ幸せのままだったのに」

 

「幸せ?人の記憶を勝手に奪っておいて勝手なことをほざく!薬漬けの人生のどこが幸せなのッ。この人攫い!家に帰せッ!」

 

「?その稀有な才能を見込まれて連れてこられたんだろうに。なあ英雄。本来であれば一生”その才能”は日の目を見ぬまま潰えるところだったんだ。私は嬉しいよ。こんな形ではあるが君の力が開花してくれて」

 

 祈り手のメンバーはそのほとんどが外界からわざわざ連れてこられている。外界での工作活動、情報収集、資源集め、そして人攫・・もとい人材収集を行う隠密部隊の”黎明”によって集められた、もしくはダンジョンに突入してきた高い潜在能力を秘めた探索者で実験を行う。

 

 しかし実験の生存率は低く、おおよそ0.4%の壁を乗り越えた適合者だけが祈り手として登録される。適合者には手術によって記憶をいじられ、首筋に”首輪”が仕掛けられる。

 

「私は知っているぞ――――ッお前の秘密をッこ、こんなことが・・・なんだというのだこれは!!!??」

 

「――――ああ、それは困ったなぁ」

 

 だったらわかるだろう。この絶望を。少しだけ思いが共有できて気が楽になれたよ。

 

 グチュリ

 

 リフォルクルスのナイフが深々とネロスピカの心臓に突き刺さる。

 

「グブぅ、あ。う」

 

「不謹慎だが、学術的にも非常にいいものが見れてよかったよ。君の死体も存分に有効利用させてもらう。もちろん記憶のサルベージも、ね」

 

 

 

 

 

 ネロスピカの薄れゆく意識の中、断片的に言葉を耳が拾う。

 

 だ、めだ。肉体の回収だけはなんとしてでも防がないといけない。この段階ではまだ私個人の暴走で済む。もし記憶を回収されれば他の仲間たちの存在を気取られる。

 

 それだけは、なんとしてでも、なんとしてでもおッ!

 

「ぐぶあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」

 

 それは最後の断末魔か。残った右腕を地面に叩きつける。考えなしに衝動のままに起こした行為に傍から見えた。

 

「!!」

 

 ビキキと地面の均衡が破られる。

 

 崖縁であるがため崩れた地面はたやすくネロスピカが空けた大穴へと滑り落ちる。煉獄の底へと誘われるかのように。物言わぬ躯が暗闇に消えた。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ふう」

 

 構えたレールガンがリフォルクルスの手の内から虚空へと収納する。そのまま背中から崩れ落ちジグザグの床が腰にぶち当たりもんどりうつ。貴重な検体を転移で回収しようとも考えたがそんな魔力的余裕は一切ない。なによりこの疲労だ。

 

 名残惜し気に大穴に目を向ける。落ちてくれて少しだけホッとしている。記憶のサルベージで余計な情報まで吸われたら堪ったものではない。

 

 ・・・それに回収はできなかったがいろいろと見えてくるものもあった。

 

 落下する際に地面と融合したまま無理やり私の姿に変身したネロスピカ。事態が収拾したら秘密裏に死体を処分しなければならない。自ら落ちたのは情報の秘匿だろう。それも共犯者の隠匿だ。

 

 他にも祈り手の中から裏切者が出たと考えていいだろう。

 

 そもそも首筋に仕込まれた首輪は一人で解除できるものではない。下手に手を出せば爆発する仕様になっている。そうなれば即死だ。手を貸している者がいるのは間違いない。

 

「・・・・祈り手の裏切りかぁ」

 

 彼らの交流範囲を考えるにそう結論付ける。解除方法を知っている者がいたことから思考を読み取れる奴がいる。祈り手の中でも施設内を自由に行動可能でそういった異能を持つ者を一人知っている。

 なにより守護者からも信頼されるあの男。私ですら尊敬の念を覚える程だ。ネロスピカの件からして異能の虚偽申請は他にもあるはず。これじゃあ異能リストはもう参考にならないじゃないかよ。

 

「これじゃあ・・・皆殺しにするしかないじゃないか。こんな内輪もめしている場合じゃないのに。まったく・・・まったく!!」

 

 記憶の領域はまだまだ謎が多い。記憶操作に穴があってもおかしくない。まだ何人かこぼれ球がいる。記憶が残っているのは一人だけじゃないと私は判断する。通信に制限がかかっている状況下でいちいち確認をとるわけにもいかない。故に皆殺し。寝首を掻かれるぐらいならA種と同系統の力を持つ祈り手は諸共に殲滅する。

 

 

 ダンジョン内での異常事態は祈り手が原因なのか?それすら結局分からずじまいだった。

 

 駆けつける次席の生存に顔を綻ばせながら黒殖白亜を乗せた装甲車を遠目に端末を起動し命令を下す。

 

「伝令役、及びサポーターとして機甲兵群3番から11番機まで全て投入しろ。殲滅対象は特定種別A種と祈り手とする。ああ構わん。無理のない範囲で物資を積ませて黒殖白亜の支援をさせろ。大穴を塞ぐのはその後だ!ああそうだッ!これはもう戦争だろがッ!!」

 

 ――――”先生”。本当に残念ですよ。ずっと微睡んでいればよかったのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――――あ、ああぁお姉ちゃん、お姉ちゃん。ううう”ぅぅあ”あ”あ”あ”」

 

「ネロスピカが・・・まさかこんなッ酷い―――――」

 

 変わり果てたネロスピカの亡骸に縋りつき咽び泣く少女。それを慰める者。穴底で息を潜め事態の趨勢に希望を委ねたが、それも無駄であった。

 

「ラスペンタちゃん・・・」

 

 姉の無残な姿に縋りつく少女。血の繋がりはなくとも確かな絆はあったのだ。

 

「クソ守護者どもがッ許せん・・・・ッッ!!」

 

 ガン!

 

 蹴り飛ばされる黒殖白亜のヘルメット。重い音を立て中身を溢しながら床を転がっていく。

 

 辺りには黒い装甲服を纏った者たちの死体が夥しく横たわる。そんな彼らを椅子代わりに話は進む。悲しみに暮れていても何も変わりはしない。関わりなき変化に活路は介在しない。受け身の姿勢は勢いを殺す。流れに乗らねば大海には至れない。

 

「また一人、同朋が逝ってしまいました。今だけは彼女の冥福を祈りましょう。このような神の目も届かぬような場所からでも神の御許へと辿り着けるように」

 

 魔術師然とした不健康そうな男は簡易ながらも儀礼に沿い祈りを捧げる。誰しも別れの為に心の整理は必要だ。死者が足を引かぬよう歩み続けなければならない。そのための祈りだ。

 

「なあ先生よ、ネロの奴はちゃんとあの世にいけたのでしょうかね。こんな地の底からでも・・・あいつは・・・」

 

「ええ、きっと。また再び現世で会うためにも生き抜くためにはできることを致しましょう」

 

 死体の山から大柄の男が舞い降りる。

 

「だが、な。肝心の情報が持ち帰れなかったんだろう?こいつらも重要な事は何も知らなかった。第一階層への侵入は無理があったんじゃないのか。俺たちは・・・奴らを甘く見過ぎた」

 

「そんなことはありません。彼女は見事成し遂げてくれましたよ。情報はしっかりとここに」

 

 少し頬のこけた男がこめかみを指で叩く。体の損傷がひどく完全とはいかなかったが必要な情報はなんとか吸い上げた。無駄なことなど、どこにもない。させる筈がない。白磁の花飾りが誰よりも似合う彼女に感謝を捧げる。記憶を通し想いは受け継がれた。ようやく”統括室長”の顔を拝めたのだから。

 

「皆さん。ネロスピカの”この顔”をよく覚えていてください。この者こそ姿なきダンジョンの運営者、統括室長リフォルクルス・デミテリア。ここの運営は彼女の主導で行っています」

 

「この女が”祈り手”の管理者・・記憶の簒奪者か!」

 

「・・・お姉ちゃんの仇ッ」

 

 これまで明かされることの無かった管理者の正体にざわざわと沸き立つ怒りの発露。激しい憎悪が目に見える。当然の反応か。ここにいる者たち全てが一方的に奪われてきた被害者なのだ。

 

「・・・・」

 

 ここまで来るのに随分と時間をかけた。”先生”と呼ばれる男は先導者として才覚を存分に振るう。この機を逃せば二度と外を拝むことは無い。これから敵はこちらが反乱した前提で動くだろう。裏切りの有無は関係なく反乱とは関係のない祈り手まで殺すことだろう。もう後戻りはできない。立ち止まることは許されない。

 

 皆が皆、家に帰りたがっている。何処に帰ればいいのかもわからずに、郷心に心が焦がされゆく。年月を置き去りに姿の変わらぬ我々に待っている者がいるはずもないであろうに。

 私ですら出身地、家族の顔も何一つ思い出せない。ただ漠然とそういったものがいたという記憶があるだけ。記憶がバラバラ死体の様に散りばめられている。はっきりしているのはどこかの神官だったこと。教壇に立ち生徒に色々なことを教示していたのは覚えている。それでいて重要なことは一切思い出せない。記憶は穴だらけ。虫が今も這っている。

 

 ここにいる皆、言葉にはしないが不安なのだ。年長者である私が一番しっかりしないといけない。

 

「さあ皆さん、当初の計画通りまずは第二研究室で首輪を外しその後にメインシステムルームを制圧しに行きましょう」

 

「まさか俺たちに爆弾が仕掛けてあるとはな。何も知らずに登っていたら死んでたな」

 

 読み込んだ記憶の中の統括室長殿は勘違いをしていたがネロスピカの首輪に関しては正規の手順ではなく自身の異能で強引に突破している。彼女の異能があって初めて可能な芸当。本当に強力な異能だった。

 

 まあ、事前に爆弾の存在に知っていなければ彼女も餌食になっていただろう。

 

 少なくともここにいる間は端末による爆弾の起動はできない。原因不明の機械類の不具合が追い風となっている。猶予がある内に不安要素はさっさと取り除きたい。これもネロスピカが命懸けでもたらした情報のおかげだ。第一階層本部は未だに混乱中だ。

 

「他の黒殖白亜どもはどうするの?それにA種は・・・」

 

「この状況です。いくら管理者が裏切りに気づいても現場の人間に伝わりません。情報の伝達手段が物理的な手法となれば可能でしょうが、多少のラグがあります。通信不能を利用させていただきましょう。先ほどと同じ手順で味方のふりをし近づき寝首をかき可能な限り減らします。正面からの戦闘だけは避けますよ。それとA種は無視でいいでしょう。わざわざ戦う意味もありません・・・・とてもじゃありませんがあれとの戦闘行為は正気じゃありません。あれに不意打ちは無意味ですからね」

 

 とは言え不安要素はまだまだある。そもそもダンジョンで異変が起きている原因がわかっていない。統括室長の記憶では第三階層よりも遥か下で起きた空間異常が原因と突き止めているがどうも守護者側全体でその情報を把握はしていない。

 あるはずのない第四階層の存在に”ある人物”の捜索依頼。どうにもきな臭い。もしかすれば交渉で使える強力なカードになるやもしれないが第四階層への行き方が分からない以上現状放置するしかない。

 

 とにかく目の前の問題から片付けるしかない。

 

 まったくだめだな。ついつい統括室長の未知なる知識群に意識が引かれてしまう。実際凄まじい記憶の含蓄量である。だが同時にそれは彼女がそれだけ重要なポジションにいることに他ならない。老獪さにも納得がいくというものだ。そんな人物が必死に探す者とは・・この人物は何者だ?

 

 この話はまだ伏せておこう。交渉材料は多ければ多いほどいいが本筋から外れていいほどの優先度はない。

 

(もし見かけるようなことがあればこちらで確保致しましょう)

 

 その時まで余裕を保っていればの話だが。

 

 なんせ、これから”ホーム”の創設者たるゲームマスターを叩きに行くのだから。

 

 

 

 

「先生、”あいつら”はどうする?」

 

 あいつらとはこちらの考えに理解を示さなかった祈り手の事だ。記憶が戻らない者に協力を求めるのは難しい。恣意的に言えばまだダンジョン側の存在、敵とも言える。

 

「完全に記憶がない人たちの協力を得るのは難しいでしょう。私も協力をと考えましたが理解を得る為の説得時間もありません。彼らにとっての家はここなんですから」

 

 自分たちの正体を明かしたところで実感を共わなければ理解をしてくれないだろう。それどころか敵と見なされ戦闘に発展する可能性だってある。引き込めれば戦力としては申し分ないが、敵に回られたらそれはそれで面倒だ。表面上はまだ記憶の残っている見込みのある者にしかこの話はしていない。記憶の復活の兆しが無ければ言葉で説得するのは難しい。

 

 私に協力してくれている者もその多くが記憶に違和感を持つ者ばかり。それを自身の異能によりなんとか紐解いたからこそ理解を得て仲間と成り得たのだ。だからこそ、違和感と言う取っ掛かりすらない者にはどんなに正論を叩きつけても自身を疑わない。

 

「戦いたくないな・・・私も記憶が戻るまで仲良くしていた子もいるから。フラメンツは今頃どうしているかな」

 

 フラメンツか・・・・

 

 あの小さな年長者の姿を思い浮かべる。我々の中でも一番古い祈り手。強くてみんなの頼りにされる憧れの存在。A種の処理を延々とこなし続けたダンジョン内屈指の実力者。なまじまじめで勇敢故に早死にしそうな印象を抱くがなんだかんだ最年長だ。何より奴は・・・特別だ。

 

 きっと大丈夫。いったいどこで何をしていることか・・・

 

 

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