オレをアリスと呼ばないで   作:淫ヴェルズ

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第24話 代償

 

 ベルタは機関銃を両手に抱え獣人擬きへと迫る。狙いは頭部に両ひざ。いかに身体能力を強化しようとこの集中砲火を耐えられるわけもなく、肉薄するベルタへと振り上げられた剛腕も自重でへし折れた膝でバランスが崩れあらぬ場所へと振りかざす。

 

 そう地面へと。

 

「・・・を?」

 

 ドゴォッ!

 

 重い音とともに地面が割れ思わず足が捕られる。魔術なしの純粋な腕力だけでこれを成すか。前よりも成長している?ギラついた獣の眼光がベルタと交差するが答えは当然返ってこない。

 

 この意思に燃える眼・・・見ているのはベルタのさらに後方か。

 

 見事に挟まれてしまったなぁ。

 

 

 ――――リズ。

 

 あの技、正体は判明している。同じ類のことが出来る奴を知っている。そうあれは”特攻”だ。

 ”特攻”は本当に厄介だ。世界ですら誤認する特異な動作。余りにも自然すぎて世界が異物を異物として認識していない。どこまでも連続する主観なる世界に勝手にフィルターを挟み込む限定的な現実改変能力と、我々は結論付けている。

 

 効果は違えど”一文字”と”影喰み”の同系。優先権と強制力の頂点。タイミングを逃さない。あのA種ですら防ぐことのできない一撃はベルタでは防げない。

 

 それでも所詮は人間。一応の救いとしてその方向性は見えた。

 

 リズは一芸に多くのリソースを費やしている。特化しているとも言っていい。特攻を起点に魔術を発動する徹底ぶり。神言魔術を絡めた特攻で戦闘パターンを切り替えるのだ。他にもまだ見せていない神言魔術があることだろう。

 予測だがなんとリズは冒険者でありながら<職業>(ジョブ)システムを利用していないと考えている。スキルを一切使わないのがいい証拠だ。A種戦はベルタですら出し惜しみできる余裕はないのだ。リズでは余力がどうとか考えられる立場にない。

 

 素でこの強さとはたまげたことだが特攻の存在を隠蔽するためならば納得できる。あれはちょっと強すぎる。詳細は不明だがまさかあんなよく分からない武装?すら手の内に収めてしまう。あの瞬間を諦めから見逃したのは失敗だった。どうやって奪った。そもそも素手で触れても大丈夫なのか?空間の破片ってどうやったら掴めるんだ?わけがわからないね。

 

 ああ~それにしても長所をさらに尖らせるビルドは思い切りがよく見ていて気持ちがいいものだ。かと言ってピーキーさ特有の安定感の無さもなく満遍なく隙の無い身体性能を保有している。人間にしては破格の強さだ。天然物は美しい。

 

 

 だが、心臓を媒介にした神言魔術を失なったリズの現在の身体能力は”ここの基準”では脅威にもならない。

 

 背後から迫るリズに対し振り向きざまに反応できない速度の蹴りで首をへし折るもよし。銃を取り出し射殺、魔術で焼き殺すもよし。いや、万が一を考えると近づけたくないなぁ。

 あの特攻は有効射程距離があるのは明白。じゃなきゃわざわざ近づく意味が分からない。流石のベルタちゃんでも条件が不明なのはちょっと怖い。

 

 おまけに異能が成長途中であるであろう獣人君の動きも無視できない。類を見ない異能の成長速度。膝の傷ももう治りかけている。大した不死性だ。何より厄介なのが痛みで動きが鈍らない持ち前の精神力。まるで怯まないとはどういうことだか。不死性に強靭な精神力が合わさると面倒なのは周知の事実。こいつの剛腕で殴られたら普通に痛そうだけどもそれでも魔力障壁は破れないだろう。一番危険なのは力任せに掴まれてからの噛みつきか。あれは多分障壁ごと砕いてくる。獣人の顎の力って怖いなー。

 

 いざとなれば【転移】を使って逃げ、大規模魔術によるアウトレンジで一方的な状況に持ち込む・・・いやその必要も無いか。こいつら以外にも相手をしないといけない相手が多すぎる。余力は残しておきたい。遊びは無しで行こう。

 

 (ん~)

 

 刹那ともいえる時間。チラリと草原でこちらを眺める一番の不安要素を見やる。相変わらず何を考えているのかわからない顔。長い金髪が風で靡いている。不確定要素を勘定しても時間の無駄か。

 

 ――――ま、余裕っしょ。

 

 そのままベルタは背後から迫りくるリズを無視して膝の傷で若干前のめりになったグレイズの顔めがけて上段蹴りを叩き込んだ。狙いは顎。どんなに強固な肉体であろうと脳みそはどうしようもない。一瞬でいい。意識の復帰が早くてもわずかな暗転がその命を刈り取るのだから―――そのまま唱える。

 

 

【起爆】(イグニッション)

 

 

 

 

 

 

 

 ベルタまで距離3メートル。リズは飛び掛かる。あと1メートル詰めれば確実に奴の心臓をもぎ取れる。絶対必中回避不能。誰にも防げない人間には不相応な強制力と優先権。あと半歩詰めれば勝てる。

 

 だのに突如リズの腰のあたりで爆発が起きた。

 

「―ッ――――――――ェ」

 

 微かに見えたぶれる視界の中でベルタは半身をひねる。それも一瞬。リズの体が浮いた滞空時間中にこちらの脇腹へと拳を打ち込み、また唱えた。

 

 

 【夢宙境楽廻廷】(アイオニス・ヘイヴン)

 

 

 瞼が下りて開くまでの刹那。グレイズの巨体が枯れ木を思わせる形へと変貌した。所々に残り火を纏うそれは地面に倒れた途端ぽっきりと折れてしまった。

 

「・・・?・・??」

 

「ああ、そっか。外界じゃ火葬の文化はないんだっけ。はは、珍しいでしょ焼死体なんてッ」

 

「う、ぐおあッ!」

 

 リズは地面に組み敷かれ完全に腕を極められてしまう。こ、こいつ!?

 

「な、ぜ―――俺に手加減ずる!?」

 

「いや、やっぱりどうしても殺したくなくてさリズ。ちょっとお話ししよっか」

 

 その口調はとても優しくグレイズを躊躇いもなく殺した張本人とは思わせない穏やかさを醸す。きっとなんとも思っていないのだ。手のかかる子供を宥めるような声色に態度がリズの神経を逆撫でる。

 

 舐めるなよッこの距離――――――確実に殺れる!

 

 だが見透かされたかのように空いた右手にベルタの手が絡みついた。

 

「!?」

 

「わ、わわ。おっと駄目だよ。そんなことしちゃ別にリズは殺さないから。落ち着きなって」

 

 ―――まさか理解しているのか!?

 

 心臓や武装を奪ったことをこいつには知られている。だがそれを”どうやって”手にしたかまでは一度たりとも開示していない。心臓に関しては(ハイパー)アリスの体が壁となり手元は見えなかっただろうが。

 

「ふふふ、うちにもいるんだよねリズ。君と似たことができる子がさー。君に不手際はないよ。でもさ使った相手が悪かった。認識できる情報しか受け取らない、理解が及ばぬ情報は受け付けないA種の心臓ぶち抜いてるんだもん。どんな高位魔術でも奇跡であろうと無理無理。心臓持ってるリズを見て真っ先に”それを”想起したよ」

 

 じゃあなんで細かい条件まで看破してんだよこいつは!

 

「説明いるよね?いや、する!絶対する!ほらほら語っちゃうよリズ~」

 

「ギ、ぐぃ」

 

 可愛らしい笑顔を浮かべながらもギリギリと締め上がる右腕。関節を外そうにも体重を掛けられて上手く抜けれそうにない。

 

「発動の瞬間を見せなかったのは偉いけどそのあとが駄目だね。ダメッダメッ。右手に心臓抱えたまま戦っている間に一度でも他の部位を奪ったかな?奪ってないよね?左手がずっと開いてる時点で使用条件に右手が関わっているのは察しがついたよ、てっこれはさっき言ったかな」

 

「それ、は・・敵の速度に付いていけなかっただけ、だッ。」

 

「確かにリズには経験のない速度のお話しだったかもね~よく対応できたね。えらいえらい。人間にしてはすごいよ。とりあえず左手でも使えるかどうかは置いておいてさ、少なくとも何かを掴んでいる状態では行使はできない、だろ?リーズほらこうやって手を繋いでいるだけで無力化できちゃうね、リズ」

 

 汗ばんだ手が絡み合いニギニギと蠢く。ベルタの目的がまるで見えてこない。未だになぜ俺は生かされているのだ。あの爆発は【起爆】(イグニッション)だったはず。あれを至近距離からもろに受けて生き残れるはずがない。手加減されたからこそこの程度で済んでいる。

 

 腰辺りで起きた爆発。原因はベルタから受け取ったナイフの収まったベルト。

 

 ―――あれはそもそも罠だったのだ。どおりでグレイズにも道具を渡そうとしたはずだ。軽率かもしれなかったが(ハイパー)アリス相手に生き残るには装備がどうしても足りなかった。まず生き残るには越えなくてはいけない絶壁。全てを賭さねばならなかった。

 

 実際あれがあったからこそ一気に畳みかけれた。仕方がない部分もあるとはいえ俺は文字通りの爆弾を受け取ってしまったのか。

 

「あはは。なんか手汗すごいけど大丈夫?・・ベルタのじゃないよね?恥ずかしいな」

 

「ここまでッ、ここまで筋書き通りだった、のか。こうなると読んでいたのかッ?」

 

「動きの読めないA種関連以外はね。あの時ばかりは死んだと思ったんだけどまさか(ハイパー)アリスを返り討ちにするなんて。初めて異性というものを意識しちゃったよ。これが女というものなんだね~。確かにアリスの使用する武装だからこそああも綺麗に真っ二つにできたんだろうけどさ、あはは度胸あり過ぎでしょ。リズが斬り伏せられたかもしれないのに思いついても普通はやらないって。その度胸は驚嘆に値するよ。カッコいいねリズ・・・ベルタはね紛れもなくリズのおかげでこうやって生きているんだよ。こんな風にお話もできなかった。本当にありがとうねリズ」

 

「お”ッぐがああああああアああッッッ!!」

 

 鈍い音が静かに響く。感謝とともに折られる右腕。それとともに背中に感じていたベルタの体重が消えた。

 

「・・・・やっぱりさっきから左手はフリーにしていたんだけど特攻を行使する様子はなしと」

 

「お前、は一体何がしたいんだッ!どうして殺さないんだッ!」

 

「君のことが・・・す、好きだからじゃダメ?」

 

 ・・・突然の告白。リズは戸惑う。いったい何をとち狂っているんだ。戦場でロマンスだと!?

 

「だったら好きなやつの腕をへし折るか!?好きなやつの仲間を殺すのか!?」

 

「ベルタちゃんはさ、本音を言うとリズを殺すことに気が乗らない。でもその力は”マスター”にとって脅威になり得るから自分でも納得できる形で丁寧に無力化してみたんだけど・・・・やっぱ無理みたい。”理性”と”本能”の均衡がどうしても崩せない。残すとすればやっぱり態度の問題かなあー」

 

 自身の額を指で叩きながら残念そうな面持ちでいるベルタ。なにを言っている。理性?本能?どういうことだ。

 

 俺を殺したくないっていうのはどうも本気らしい。そうでないなら既に何度も死んでいる。力の差は嫌と言う程思い知らされた。

 

 考え込む俺をよそに傍でしゃがみ込み素手で土を掘り返すベルタ。そしてその土を俺の頭に盛り、毟った草をパラパラと散らばらせる。

 

「さてと。いい感じに無様な感じになったかな。さてこれが最後の生存チャンスだよ。いいかい、これからするお願いに必ず”はい”で返してね。そうすればリズを殺さなくて済む、多分。反抗的な態度やめてできるだけ惨めに頼むよ。もしかすれば殺す価値もないゴミと脳みそが誤認できるかもしれないからねリズ」

 

「・・・・断、る」

 

「・・・・なんでさ、お願いだからいうこと聞いてよ。このままだと死んじゃうんだよリズわかってるのリズ?そもそもここからどうやって逃げるつもりなの?言っちゃあ何だけど君程度の実力じゃあ無理だから大人しくするのがお利口だと進言するよ。ここには私ですら手も足も出ない奴がいるんだぜ。楽な方に流されたら?今はダメでもいつかまた脱走の機会は訪れるかもしれないし。まあそれまでベルタの補佐にでもなってもらおうかな、うへへ。従ってくれないと君も頭に穴を開ければ嫌でも大人しくなるよ。それは嫌だろリズ?何よりベルタが嫌なんだけど」

 

 まあ逃げ出そうとする度にベルタが心を折るのだけれども。それでも折れねば脳を弄るしかなくなる。死亡率が半端ないからそれは何としても回避したいのが心情だ。

 

 でも、この目。最後まで抗うと言っているようなものだ。きっと答えは決まってるんだろねー。それでこそだよリズ。それでこそだ。弱くてもカッコいいだなんて矛盾してるなぁ。

 

「俺は、冒険者だ・・・生き残る可能性があれば泥水だって啜るさ・・・でもなぁ!仲間を殺した奴に媚びを売るとか死んでもごめんなさいだろうがッ!このアンポンタンがッ」

 

「ア、アンポン、こ、殺したのは謝るよ!でもほらお互い敵同士だしさあ。立場ってあるじゃん!もうちょっとベルタちゃんの葛藤も汲んでくれてもいいじゃないか~。あんまり我儘はよくないぞ!」

 

「だったらそこで見てろ!お前の手は借りんッッ!!」

 

 リズが考えたうる最後の手段。どうせ死ぬというならば試してやるさと賭けに出る。あの人も言っていただろ。

 

『あれもこれも森羅万象の全てが冒険。困った時にこそ馬鹿げた行動にも意味を見いだせる』

 

 だからこれもまた冒険なんだ!

 

 そのまま躊躇することなく力いっぱいに俺は舌を噛み切った。

 

 リズの口からどくどくと血が溢れる。

 

 

「うわ!もしかして舌噛み切っちゃったッ?そんなにベルタのことが嫌いかッくそ楽に死ねると思うなよリズッ(?)」

 

 

 抵抗されるのはわかっていたがまさか舌を噛んで自決するか。舌を噛んでも必ずしも死ぬわけではないのに。出血するにしても舌周りの筋肉が収縮し出血を抑える。舌を飲み込み窒息もあり得るが素早く口に手を突っ込んで何とか取り出した。これで一安心と思いきやリズの体がやけに冷たい。というか出血が収まらないんだけど?

 

「・・・・いや、そこまでするのか。そんなに、嫌いかみんな大好きベルタちゃんを」

 

 出血は首。自身が渡したナイフで首を刺していた。この念の入れっぷり。そうでなくても彼の体はベルタによって酷く傷ついているのだが。

 

「なんか、普通に腹が立ってきた・・・・こうまでされると逆に・・・恨み言の一つでも聞いてもらわないと気が済まんないよリス。お前なんてリスだリス」

 

 なんだかこのまま死なせてしまうとひどく後悔するような気がして、つい魔術を使用してしまう。愚かな行為だとわかっていても、とても寂しくて仕方がなかった。短いやり取りの中での彼との時間はいつのまにか膨らみ続けていたようで、彼が死んだ瞬間張り裂けそうで怖くなってしまった。平静を装っているが取り繕っているだけだよ。これが男を知るということなのかね?

 

 リズの傷が瞬く間に癒されていく。火傷も首の傷も失われた血も回復させる。

 

 静かだ。時折風で靡く草木の擦れる音がどうにも孤独に感じさせる。

 

 ほんと何やってるんだか。ベルタは気が狂っているのか?個人にここまで執着している意味が分からない。

 

 この心境の変化は何だ。治療してどうする。結局殺すことには変わりないんだぞ。

 

 そこはどうあがいても変えられぬ。このことがバレてみろ。ベルタだって処刑されるんだぞ。マスターには・・・逆らえない。

 

 そもそも彼がベ、ベルタを好きになることはない。客観的に見て無理がある。もしリズがベルタの事を好きだとしても死ぬんだぞ。もっと辛くないのか、それって。

 

 多分、けじめをつける意味でベルタが直接処刑することになる。

 

「・・・・・」

 

 こいつ、健やかな顔しやがって。早く起きろ。でないと獣がお前の体を漁りに来るぞ。

 

 その時、バサリと木々から何かが飛び出し頭上を横断していく。あれは・・・

 

「・・・・・蝙蝠、そうかあんなのもいるのかここ、は―――ッ」

 

 

 

 ドクン。

 

 急にうつむき無言になるベルタ。青ざめた険しい顔つきで胸をお抑える。こ、れは・・・

 

 

「まった。く、起きて、いたのなら、はあ、はあ。教えてくれても、いいじゃない」

 

「・・・・悪かったな」

 

「・・ふふふ」

 

 口の端から血が垂れる。全快したリズの右手には自身の心臓が握られているのを視認し、そのまま静かにリズの体に倒れ込む。

 

 ―――振りかぶった拳をリズの顎に狙いを定めて。

 

 

 

 

 

「ガっ!?」

 

「・・・・・・」

 

 

 倒れこんだまま動かない二人。どれ程の時間が経ったであろうか”ベルタ”はゆっくりと動き出す。

 

「動きに問題なし、と・・・・期待を裏切らない男だよねリズ。やっぱり心臓を奪ったか。身体能力を得るのに必要な媒体は心臓っと」

 

 賭けに出たのはなにもリズだけじゃない。やる必要性のまったくない不合理な賭けではあったけどもベルタは勝利した。これで完全勝利だ。

 

 

 これまでベルタはそれとなく心臓を奪うようにと誘導するような発言はしてきた。そうでなくてもリズはベルタやA種との戦いで身体能力の差を痛感したはず。他に見せていない魔術の使用も考えられたが結局それも無かった。

 

 予めどこを奪われるかわかっていれば回復魔術で瞬時に復活させれる。最後まで読み勝ったからこそ完全勝利なのだ。

 

 多くの信仰に見られるのだが心臓は他のどの器官よりも重要視される傾向が強い。

 

 リズの神言魔術は手にした部位によって得られる効果が違うなども考えられたがA種との戦いぶりを見るに心臓一つで全身体能力が強化されていたことから部分的強化するぐらいなら心臓とって全強化を選ぶはず。じゃなきゃあのスピードは出せないし寧ろ肉体が耐えられずバラバラになっていた。

 全てを見たわけではないが多分彼の信仰する神は超マイナーの密教。世に周知されない信仰だと得られる祝福も恩恵も弱い。

 

 神言魔術は・・・媒介の必要と効果から共振系神話体系なのは丸わかり。あの系統って大抵変な効果や面倒な条件が合わさる。祝福も精神的な面での影響が強く悩みが少ないとか、気が多いとかかもしれない。やっぱりしょぼい。

 

 良い例を挙げるとあそこでくたばった振りをしている獣人君が信仰する宗教は魔力と魔術適性を増幅させるというなんともシンプルで強力な祝福。とにかく強力だ。

 確固たる神言魔術は無いが聖句を捧げ通常魔術を発動すると魔術に神性が付与される。そう、付与されちゃうのだ。通常魔術の神言化こそがアンティキア正教の神言魔術。国の歴史が長いからこそできる芸当。

 

 そんな魔術を振るわれる側からするとたまったもんじゃない。人口の比率と、歴史の重みから繰り出される糞みたいに強力な魔術が近辺諸外国を襲う。元は生産系なのに周辺国を制圧し土着信仰を塗り替え吸収してきた結果いつの間にやら戦乱系も兼ね備えちゃうし、お互いのいい部分だけを取り込んだ最強のハイブリッド。聖王国は終末戦争を経験し乗り越えた数少ない国だけあってそれを誇りにする愛国者が多い事多い事。そのせいで選民意識が蔓延するのだよ、まったく!

 

 傍から見る分には笑えるけどね。

 

 

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