第1話
路地裏に鈍い音が響く。唸る様なうめき声と男達の荒々しい罵声が夜の帳を引き裂いた。
「うっぅ……!」
「おらぁ!さっさと死ね!!」
「人類の敵め!!」
「くたばれや!ゴミクズがぁ!!」
3人の男達が体を丸くして身を守っている少女を取り囲んでいる。バット、鉄パイプ、角材……。それぞれが全力で振り下ろされ、少女に襲いかかる。普通なら死んでしまう様なリンチに、それでも少女は気を失う事もなく耐えている。涙に滲む瞳は赤に染まっている。
「クソが!これだから赤目は!!」
「ゥ。ぁあ」
「もういいだろ。殺しちまおう」
肩で息をしだした男達の1人がおもむろに胸元から拳銃を取り出した。少女は痛む体と薄れゆく意識の中で、ぼんやりと思う。
(ああ、私はここで死ぬんだ)
声も出ず、体はピクリとも動かないこの状況に、少女は涙を流すことしかできない。
「それじゃあ、あばよ」
照準を少女の額に合わせ、男が告げる。遊底をスライドさせ、引き金に指をかけた。
その時、
「……おい」
「ああ?なんだテメェ!」
「お前ら……でも…………ねぇのか?」
「テメェに……ねぇだろぅが!!」
ついに耳も聞こえなくなり始めた少女に新しい声が飛び込んだ。途切れ途切れに聞こえる会話の後、銃声が轟いた。数秒間の激しい音の嵐ののち、音がピタリとやんだ。そして自分が抱き上げられる感覚と静かな声。
「……ごめんな」
少女の意識が持ったのはここまでだった。
* * *
「……ごめんな」
男は小さく呟いた。体の至る所が赤く腫れ上がり、苦悶の表情で気絶した少女。命に別状は無さそうだが、念のために医者に見せなければと考える。
男は踵を返して歩き出す。その場に残されたのは、少女を痛めつけていた凶器と血だまりに沈む男達だけだった。
* * *
ーーウィルス性寄生生物ガストレア。
突然現れたこの生物に人類は蹂躙され、絶滅の危機に瀕した。苦肉の策として人類はガストレアに唯一効果のあるバラニウムで出来た壁、モノリスで町を囲いその中で生活している。
それから十年、
ほぼ昔と同じ生活水準に戻り、平和に暮らしていた。が、それでも暗い部分は存在する。
”呪われた子供たち"
ガストレアウィルスの因子を体内に持ち、なおかつガストレアと戦う事の出来る子供たち。遺伝子的な問題で女の子しか生まれない。そんな特異点は存在するだけの普通の女の子だ。
だが、ガストレアによって刻み込まれた恐怖はその子供たちを差別の対象にした。生まれて来た赤目の子供は捨てられ、町を歩けば命を狙われる。
そんなことが普通に行われる社会。
そんな社会を嫌う男が、少女を抱き夜の町に消えて行く。
初めまして!
初投稿です。
自分はブラック・ブレットが大好きです!
原作・アニメどっちも面白いですよね〜w
駄作で筆の遅い著者ですが、付き合っていただければ幸いです。