剣帝のやり直し   作:秋月艦隊

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とりあえず書きました。


第3話 剣帝のやり直し

暗い。

何も見えない、どうなってるんだ?

・・・そうだ、私は魔王との戦いで・・・死んだんだ。

じゃあここは死後の世界?それにしては心地がいい。

 

ーピカッー

 

唐突に辺りが明るくなった。

目の前には星のような光が広がっていき、体感時間で数分経つ頃には満天の星空が広がっていった。

 

「ここは?」

 

私は気がつくと草原の上にたっていた。

体を見てみると魔王に受けたはずの傷は消えていた。

服装は魔王との戦いの時に着ていた軽鎧姿で左手には鞘に収まった太刀があった。

 

『やっと起きたか』

 

「?」

 

なんの前触れもなく背後から声が聞こえてきた。

私は訝しみながら声がした方向を向いたがその方向には何も無い空間が広がっていただけで誰もいなかった。

 

『どこを見ているんだ?』

 

「・・・声がした方向を」

 

声が聞こえてきた方向に何も無かったためどうするかと思っていると、またもや声が聞こえてきた。

私は迷いながらもその声に答えた。

 

『ふむ、まぁ良い』

 

謎の声は何故か納得した声を出した。

 

「何が良いのですか?」

 

私は謎の声に向かって聞いた。

 

『見れば思い出す』

 

「見れば?何の話ですか?」

 

唐突に謎の声は私に向かって声を放った。

そして私がその言葉に疑問を示すと謎の声は少しの間を置いて答えた。

 

『すぐに分かる』

 

謎の声がそう言うと私の頭に激痛が走った。

 

「あ、がっ、ぎぃ」

 

あまりの激痛に私は崩れ落ちた。

だが、それ以上に頭の中に入ってくる知識や記憶に強烈な吐き気を催した。

 

頭の中に入ってくる知識の山、テレビに電車、車に飛行機などの機械や戦争に国々そして文化。

知らないはずの知識が直接、瞬時に入ってくる感覚はまるで自分が自分で無くなるようで恐ろしかった。

 

次に頭の中に入り込んできたのは記憶、知らない男の一生だった。

その男はどこまでも気高く強かった。

周りの人達のために立ち上がれたが周りの人達からは嫌われていた。

周りを騙して引き連れる大人や政治家の見せる夢と違ってどこまでも現実的なことを語った男だった。

 

私はその光景を走馬灯のように瞬時に見た。

私とは全く違う境遇で全く違う人のはずなのに、まるで自分の生きてきた一生を見せられているような気がした。

 

1人の男の一生が終わる。

最後の瞬間目に入ったのはこちらに向かって突き進む電車と自分のことを突き落とした同級生だった。

そんな彼が最後に願ったことは・・・・。

 

「・・・っは、はっ、はぁ」

 

『思い出したか?』

 

「はぁはぁ・・・えぇ、分かったわ」

 

『分かった?どういう事だ?』

 

頭の痛みが引く頃に謎の声は私に話しかけてきた。

私は見た光景から理解出来たことを声に向かって伝えた、声の主は私の返事が理解できなかったのか私に聞き返してきた。

 

「そのままの意味よ、あれは私の前世ってことでしょ?それとも元になった存在ってこと?」

 

『ふむ、そのまま転生させたつもりだったが、どうやら同じ魂を持った別人になったようだな』

 

「そのようね」

 

私の返事を聞くと声の主は自身の見解を呟いた。

その言葉に対して私は肯定の言葉を出した。

 

『なぜ、わかったのだ?』

 

謎の声は疑問を持ったのか私に聞いてきた。

 

「そうね、まず自分の生き方や精神にありえないほど似ていたところかしら?」

 

『なるほど、だがそれでは足りないのではないか?』

 

「まぁ待ちなさい、確信を得たのは最後の瞬時に電車?と言うものを、切り裂ける程強くなりたいと思ったことだった」

 

『あぁ、分かったぞ』

 

謎の声は私の答えに納得した声で答えた。

 

「私のクラス、あなたが関わってるんじゃないの?」

 

『いかにも、前世のお主が最後の瞬時に願ったのを元に私が転生させたからだ』

 

「・・・なんでそんなことを?」

 

謎の声から知りたかったことがすぐに聞けて安心したがまだ理由を聞いてなかったことを思い出し、少しの間を開けて私は聞いた。

 

『前世のお主が面白かったからな』

 

「面白い?」

 

『そうじゃ』

 

声の主はどこか面白そうな、楽しそうな声で私に話を始めた。

その様子はまるで父親が我が子の自慢をするように見えた。

 

『お主の前世は気高い男だった』

 

「・・・・・」

 

『どこまでも強く優しい男だった。だが、それと同時にどこまでも現実的で理想を夢見た奴だった』

 

嬉しそうに語る謎の声。

私はただただその声を聞くことしか出来なかった。

 

『そんな男の最後は助けたものに裏切られて死んだ。お人好しがすぎたな』

 

「・・それのどこが面白いの?」

 

どこまでも楽しげに語る声に私は苛立ちを隠すことも無く言った。

 

『そうだな、強いて言うならば最後に願ったことだ』

 

「電車?とやらを切り裂ける程の強さ?だったかしら?」

 

楽しげに語る声に私はぶっきらぼうに答えてやった。

だが謎の声は特に気にすることもなく話を続けた。

 

『そうだ、奴は最後の最後にその場を助かることを願ったのだ』

 

「・・・何も不思議なことじゃないと思うけど?」

 

私は謎の声の回答に違和感を抱きながら答えた。

 

『いや、普通ではない。もしまともな人間なら来世に期待したり、願うにしても過去について、ああすればよかったなどのことを願い、結末を変えようとするだろう』

 

「・・・」

 

謎の声は語る。

楽しそうに語る。

どこまでも身勝手に気高い男のことを語る。

 

『だが、男は違った。奴は最後の瞬間を変えられる力を願った』

 

「だから?」

 

『だから、面白いのだ』

 

声は語る。

楽しそうに、なにかに突き動かされたように。

 

『奴は復讐でもやり直しでもなくただその場を助かることだけを願った』

 

「それがどうしたのですか?」

 

声の主が何を言いたいのかわからず私は少しの殺気を乗せて声を放った。

声が振動して空間が震えた。

 

『まだわからんか?』

 

「だから何が!」

 

『奴は最後の瞬間ですら何も恨んでなかった。それどころか他者の心配をして自らを犠牲にした』

 

「・・・・どういう意味です?」

 

私はやっと声の主が何を言いたいのか気づいた。

だが、私は自分では認めたくなかったため声の主に正解を聞いた。

 

『つまり、初めから壊れていたのだよ』

 

謎の声は楽しげに語る。

いや、実際に面白がっているのだろう、私の動揺が大きくなるにつれて奴は楽しそうにこちらを笑っていた。

 

『だが、そろそろ時間だな』

 

「・・・なんのことですか?」

 

謎の声から私が壊れていると伝えられ、呆然としていた私に謎の声は話しかけた。

今までのように楽しげに語るなら無視しようと思ったが、予想外のことに 真剣な声で語りかけてきたため、私はその言葉に反応を示した。

 

『まぁ、すぐわかるわい』

 

私が聞くと、声の主は少し考えたような間を置いてから曖昧な答えを返した。

 

「なんなのですか!?」

 

私は曖昧な答えに恐怖を感じ、声に向かって叫んだ。

 

『そうだな〜よく聞くのだぞ』

 

「ふざけないでください!」

 

『ふざけてないわ!まぁ、とにかく悔いの残らないように生きろ、強くてニューゲームだぞ』

 

私が叫ぶと謎の声は訳の分からないことを言い出した。

そして私がさらに叫ぼうとすると徐々に意識が朦朧としてきた。

 

『む?時間か』

 

「な、に、がぁ」

 

『楽しかったぞ、ではまた会おうぞ』

 

「誰が、あ、なた、なん、て」

 

遠くなる意識の中で文句を言おうとしたがもはや呂律が回らなくなり、地面に崩れ落ちたと感じ、意識が途切れた。

 

『▫し■□こい▪▫■□、□▪▫■□▫は■□▪▫▫』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・さん、姉さ・・姉さん

 

声が聞こえる。

優しい声だ、もうずっと聞いてない声。

聞けるはずのない声。

 

「姉さん!」

 

「ん?」

 

「いつまで寝てるんですか?」

 

目を覚ますと双子の妹の姿が目に映った。

こちらを心配げに見つめる瞳には不安と焦りが浮かんでいる。

 

「・・・ここは?」

 

私は曖昧な記憶を繋ぎ合わせながら妹に聞いた。

 

「王都の近くですよ?」

 

妹から帰ってきた言葉はあっさりしたものだった。

こちらを見る表情は少し不安そうだ。

 

「・・・そうだったわね」

 

私は状況を整理しつつ周りの風景を見た。

ここは馬車の中で窓の外には草原が広がっている。

 

私はこの光景を知っていた。

ここは王都に続く街道だった。

私が最後にこの街道を通ったのは確か4年前の高位魔族との戦いの後だったはず。

 

つまり、これが夢だとしても4年前以前となる。

 

「姉さん、本当に大丈夫ですか?」

 

妹が心配そうにこちらを見つめてきた。

 

「私は大丈夫ですよ、クレハ」

 

「そうですか?」

 

妹はほっとした様子で息を吐いた。

 

「・・それよりも今は自分の心配をしなさい」

 

「分かっていますが・・」

 

「大丈夫、何とかなります」

 

私は片腕の無い妹を見ながら言った。

それと同時にここが何時なのかが分かった。

 

妹、クレハの腕がなくなったのは約4年前、そして【癒】の勇者ケアルの力によって右腕は治されクレハはまた剣を持つことができた。

 

つまり、今は4年前の高位魔族との戦闘から【癒】の勇者と出会うまでの短い期間になる。

 

「どうなってるの?」

 

私はこの状況が理解出来ず呟いた。

 

「?」

 

妹は私の声が聞こえなかったようで首を傾げながらこちらを見ている。

そんな平和な空間が広がっていた。

 




次回はケアル視点かな?
気長にお待ちください。
それとよく分からないことがあったら感想辺りで聞いてくれると答えます。

番外編どれがいい?

  • 王国に復讐、全てを破壊する
  • ケヤルと敵対、敗北し洗脳される
  • 恋愛なし!復讐RTA始まるよ!
  • 人類の敵エンド
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