剣帝のやり直し   作:秋月艦隊

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とりあえず書きました。


第5話 二週目の王都

この摩訶不思議な現象にあってから1週間もの時間がたった。

相も変わらず私は妹のクレハと一緒に馬車で王都に向かっている。

毎日、街によることなく街道を進む馬車の中は狭く退屈だったが妹の髪の毛の本数を数えていたらあっという間だった。

 

ここだけの話、私に見つめられていたクレハはオロオロしていて可愛かった、クレハが言うには生きたか心地がしなかったらしいが・・・。

 

「やっと王都ですか・・」

 

私は呆れたように声を出した。

 

「そうですね」

 

妹はしっかりと背を伸ばして答えた。

 

「・・ここは私達しかいないんだから別に口調くらい問題ないと思うよ?」

 

「そういう訳には行きません、私はクライレット家の当主なのですから」

 

妹はそう言いながらこちらを見つめた。

 

「それとも姉さんが変わってくれますか?」

 

「冗談はやめて」

 

「冗談では無いですよ?姉さんは私よりも強いのですから、本来にクライレット家の当主を務めるべきなのですよ?」

 

まくし立てるように言葉を放つ妹。

私は耳の痛い話に妹から眼を逸らした。

 

「いつになったら覚悟を決めるのですか?」

 

妹はあくまでも私に当主の座を譲るつもりのようだ。

私はこれまで戦うため、強くなるためにその話を退けて最前線に向かったため、本来ならば私が座るはずだった椅子には妹が座っている。

 

「父上と母上だけでなく、家に縁のある者たちは皆、姉さんが当主の座に座ることを願っています。無論私も」

 

「・・・私では力不足です」

 

「上位魔族との戦闘ですら傷一つ負わない人が何を言言ってるのですか?」

 

妹はあくまでも私を家の当主にしようと話す。

だが、私は王国のために戦うのは嫌なのだ、当主になれば必然的に戦わせられる。

そんなことになれば民の多くが死ぬことになる。

 

「とにかく、私には力不足です」

 

あくまでも私は1人の剣士、【剣帝】でなくては行けないのです。

 

「まだ言いますか・・・まぁ、今はいいです」

 

妹は不服そうに眉をひそめたが、すぐに眼を閉じ姿勢を正した。

 

「・・・姉さんは何故戦うのですか?」

 

眼を閉じた状態の妹が私に聞いてくる。

 

「・・・自分のためだよ」

 

私は曖昧な答えを出した。

 

「・・・嘘つき・・」

 

妹は悲しげな表情を私に向けてくる。

私は妹にそんな表情をさせてしまった自分を殴りたくなったが、妹には何も言うつもりもなかったため、ただ妹に向かって言った。

 

「ごめんね・・」

 

「謝らないでください」

 

「それでも、ごめんね」

 

それからは、一言も喋ることなく王都に入った。

王都の街並みは記憶の中と変わらず、パッと見は美しいがその裏では差別や迫害が行われていた。

 

「【剣帝】レーヴェ・クライレット様及び【剣聖】クレハ・クライレット様、フレア王女がお呼びです」

 

王都の中心に位置する王城、その中に入るやいなや城の兵士に私と妹の乗る馬車は止められ、フレア王女からの呼び出しが入った。

 

「わかりました、国王陛下との謁見が終わりしだい直ちに向かうとフレア王女にお伝えください」

 

妹がクライレット当主として兵士に話かけた。

 

「はっ!」

 

兵士は敬礼をすると城の中に歩いて行った。

 

「では行きましょうか、姉さん」

 

妹が私に左手を差し出してくる。

 

「今は自分の心配をしなさい」

 

私は妹の手を無視して立ち上がると妹に手を差し出した。

 

「・・・すいません姉さん」

 

「謝らなくてもいいよ」

 

「ですが・・」

 

それでも謝ろうとする妹に私は真剣な表情をしながら言った。

 

「それ以上、謝罪することは私の誇りを傷つけることです。だから謝罪は必要ありません」

 

突き放すような言い方になったが、妹はこちらの意図を察し謝罪をやめた。

 

「・・それなら、ありがとう」

 

「それでいいのです、では行きましょう」

 

私は妹の手を握りながら王城の中を歩いた。

 

「ここでお待ちください」

 

そして数分ほど歩くと王城の奥、国王陛下がいる大広間までたどり着いた。

 

「行きますよ、姉さん」

 

「うん、行こうか」

 

ーギィィィー

 

私は今にも離れたくなる大広間に入った。

そして私達姉妹は国王陛下から役20メートルほど離れた位置で膝まづいた。

 

「よくぞ戻った【剣帝】に【剣聖】・・・」

 

国王が玉座に腰掛けながら言った。

 

「は、ただいま帰還致しました国王陛下」

 

妹のクレハが私達を代表して答えた。

 

「して、此度の戦はどうだった?」

 

国王が感情の分からない声でこちらに聞いてくる。

 

「は、戦いの末、上位魔族数体と通常の魔族を300近く殲滅しました」

 

クレハは淡々と答える。

機械的な声だが、この大広間ではこれが通常の状態だ。

 

「ふむ、よくやった」

 

国王は威厳のある声で形式だけの言葉を出す。

 

「は、ありがたき幸せ」

 

妹はそれに対し、しっかりと頭を下げて答える。

普通ならばここで終わりだが、今回は違った。

 

「して、【剣帝】」

 

「は、なんでありましょうか国王陛下」

 

話は私に飛び火した。

もはや私もただ居るだけでは済まない。

 

「何時になったらクライレットの当主になるのだ?」

 

「・・・クライレットの当主は【剣聖】が務めております。私が当主になる必要はございません」

 

私は膨大な負のオーラを滲ませる国王にあくまで当主はクレハと言うことを伝えた。

 

「ふむ、まぁ良い。だがそれでは納得せぬものも多い、この話考えておけ」

 

未だに残るオーラの残滓を放ちながら国王が私に念押すように言う。

 

「は、承知しました」

 

「では、下がって良い」

 

国王がそういうとクレハと私は臣下の礼を解き、大広間を後にした。

 

「では、フレア王女に会いに向かいますか」

 

妹のクレハは先程のことがまるで分からないように言った。

いや、実際分かってないのだろう。

あの国王のことだ、私にしか分からないようにオーラを放ったのだろう、厄介なものだ。

 

「・・・そうね」

 

だが、ここで帰ると言った選択肢は私にはない。

確か記憶が正しければ妹はこれから【癒】の勇者ケアルに会うはずだ。

なら、ついて行かない訳になどと言う選択肢は元から無い。

 

「フレア王女、【剣聖】クレハ・クライレットと【剣帝】レーヴェ・クライレットが参りました」

 

フレア王女の待つ部屋の前でドアを叩きクレハが言った。

 

『入ってください』

 

中から聞きなれた声が聞こえた。

 

「失礼します」

 

クレハが代表して部屋の中に入った。

 

「よく来ました【剣聖】クレハ・クライレット、【剣帝】レーヴェ・クライレット」

 

王女は上っ面だけの言葉を吐く。

相変わらずだと思い浮かべながら私も部屋の中に入る。

 

「どうぞ、座ってください」

 

王女は私達を椅子に座るよう言う。

 

「では」

 

「失礼します」

 

私達はフレア王女と向かい合うように椅子に座った。

 

「紅茶でも飲みますか?」

 

フレア王女は私達に紅茶を勧めた。

 

「いえ、大丈夫です」

 

「私も必要ありません」

 

妹は王女の手を煩わせないために断り、私は毒や薬物の可能性を考えて飲まないことにした。

 

「それで、お話とは?」

 

「はい、実はあなたの腕を治せるかも知れません」

 

「本当ですか!?」

 

フレア王女の話を聞き、妹が驚きのあまり声を上げた。

 

「えぇ、勿論よ」

 

フレア王女は何事も無かったかのように話を続けた。

 

「いったい、どうやって?」

 

「実は【癒】の勇者が見つかったのです」

 

「【癒】の勇者、ですか?」

 

やはり、と言うべきか。

フレア王女は【癒】の勇者の話を出てきた。

おそらく、ケアルのことだろう。

 

「そう、彼ならきっとあなたの腕も直せますわ」

 

そう言いながらフレア王女は微笑んだ。

 

「【癒】の勇者の方には話を通してあります、庭園の方で待ちましょう」

 

「はい」

 

「私も行ってよろしいでしょうか?」

 

私は2人だけで行こうとするフレア王女に声をかけた。

 

「えぇ、勿論です」

 

王女は変わらぬ笑みを浮かべ言った。

 

「では、行きましょうか」

 

そんな王女の声はもはや私には聞こえてなかった。

ただ頭の中に浮かぶのはこれから会うことになる【癒】の勇者のことと妹の腕についてだった。

 




次回は少し遅れるかもしれません。
あと感想で教えていただいた、カスタムキャッスルと言うアプリを使ってみましたが、なかなか良いですね。
これからはそのアプリも活用していきたいと思います。

番外編どれがいい?

  • 王国に復讐、全てを破壊する
  • ケヤルと敵対、敗北し洗脳される
  • 恋愛なし!復讐RTA始まるよ!
  • 人類の敵エンド
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