あけましておめでとうございます
さて、変な世界に飛ばされて翌日のこと。
俺はセカイに戻り、MEIKOから大凡の説明を受けていた。わけがわからなさ過ぎる上にほっとくのはリスクがある。また、人前で出てこられたらこまる。
まぁ、端的に説明していくと、想いからセカイが生まれる。そして、本当の想いに気がついた時、歌が産まれるとか。なるほどわからん。
で、MEIKOは手伝ってくれると言った。本人曰く「依頼を解決していけばきっと想いは見つかる」らしい。
……なんだ、この訳分からんファンタジー世界は。頭痛い。
ちなみに、この教室1部屋が俺のセカイである。外には出られない。なんでだよ。
……頭が痛くなったので、元の世界に戻ることを告げると私もやることがあると帰ってきた。俺は教えられたとおりにこの世界から離れた。
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事情をパンクしそうな頭で整理をして終わった頃には夕方になっていた。すると、不意にドアをノックして人が入ってくる。
「ん、どうぞー」
「ハッハッハー、我こそは」
「…………」バタン
すぐさま扉を閉めて鍵をかける。でた、うるさいのだ。普段ならそこで終わりなのだが……
「……あのー、ごめんね八幡君。ドア、開けてくれないかな?」
「ん? その声……天馬か?」
「うん。お見舞いに来たんだ。その、お兄ちゃんもつれて」
んーと、つまり? 声クソでかいあのうるさいのがこの金髪ツインテの兄か。で、お見舞いないしお礼言いに来たら締め出されたと。全く、要件はちゃんと言え。
「……事情は理解した。が、いいか? よく聞け。横に寝たきりの病人がいるんだ。過度のストレスで倒れたらしい。さらに負荷をかけて何かあってはならない。だから、いいな? 絶対静かにしろ」
「……! そうだったか、すまない。気をつける」
「私も気をつけるよ!」
……ため息混じりにドアを開けた。兄弟が中に入ってくる。ふむ、こう見るとたしかににてるな。うるさいところとか、髪とか。
「さて、俺は天馬司。咲希の兄だ。要件は伝えた通りだ。妹を助けてくれて本当にありがとう。感謝する」
「あぁ、まさかあんな大声で騒ぎ始めてるのに要件が感謝を伝えに来たとは思わなかったわ」
「ははは、お兄ちゃんいつも通りだなー」
それでいいのか、妹よ。俺がやったら絶対引かれる自信があるわ。いや、引くね。間違いない。ソースは小町。
「とまぁ、そういうわけでありきたりだがフェニックスワンダーランドのチョコを持ってきたぞ。職場でな。機会があれば、見に来てくれ」
「わぁー、ぱちぱちー」
「ありきたり……? いや、助かるからいいが。さんきゅ」
急にポーズを決める天馬兄。静かーに拍手する天馬妹。困惑する俺。何だこの状況は。
「ふう、これで何とか最低限の仕事は無事済んだな……」
「それじゃ、練習あるから私はこれで失礼するね。ちゃんと静かにね、お兄ちゃん」
「あぁ、この世界一のスターにお任せあれ」
クスっと笑って天馬妹は出ていった。天馬兄が残ると、急に空気が変わった気がした。
「……なぁ、比企谷。ちょっとだけ相談していいか?」
「ん? あぁ」
「最近、咲希がここに来る時どうだ? なにかおかしなことはなかったか?」
「最近……そうだな」
なんというか、少し最近の彼女の行動は何となく違和感らしきものが確かにあった。趣味の人間観察だが。
「忙しいらしくてここをすぐ出ていくから分からないが……何となく、少し違和感を感じるな。なんつーの? こう、がむしゃらに頑張ってるっつーか」
……伝達力不足だろうか。ただ、漠然とした違和感なため俺もわからん。
「がむしゃらに、か……うーむ、どうしたものか」
「どうかしたのか?」
「咲希は体が弱い。それなのに急にバイトに部活にバンドまでやってるから、体が心配でな……」
「なるほどな」
心配、な……
「それは、お前もだからな」
「……なんだと?」
「自分では気がついてないかもだが。結構お前も俺の目には無理して見えるってことだ。これは俺の予想だが……働き始めたのも最近なんじゃないのか?」
「そうだが……」
「だから、妹もお前のことを心配してるように俺には見えたぞ」
「…………」
そう。簡単に今の天馬兄の状況を説明すると、カッコつける時も少しふらついていて、目の下にクマが見えている。はよ寝ろ。休め。
「心配するのは分かる。俺も、あいつの様子がおかしいのも気づいてるからな。だが、人の心配の前にお前は自分の心配をしろ。心配してる相手を心配させてどうする」
「……その通りだな」
「ん。まぁ、それでも気になるならほかのやつに任せたらどうだ? 知らんけど」
「あぁ、分かった。俺は帰って休むとしよう。助言、感謝する」
そうして、天馬兄も帰っていった。静かになって1人ため息をつく。すると突然スマホからMEIKOが現れた。
「……夢じゃなかったのか」
『何馬鹿なこと言ってるんだ。もうとっくに奉仕の時間だぞ』
「わり、こっちでも依頼受けててな」
『ふーん、どんな?』
聞かれたので、説明することにした。ここで気がついたが、MEIKOはかなりの聞き上手だ。細かいところは聞いてくるし、かといって楽しそうに聞いていてこちらもついつい話したくなる。
「__とまぁ、そんな感じでな」
『……本当に、解決したようだな、比企谷』
「嘘なんて言いませんよ」
『誤魔化そうとするけどな』
「うっ……」
ぐぅ、正論。
『……本来無視したっていいのに。よく頑張ったな。今日はもう休んでいいぞ。私が許す』
「おう」
なんか許された。そんなわけでやることも無くなった俺はこの日、はやめにゆっくり寝た。
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《天馬家》
「ただいまー! ……あれ、お兄ちゃん?」
「おお、咲希! おかえり!」
急に入ったバイトが遅くなって家に帰ると、お兄ちゃんはもう既にお風呂に入っていた。ココ最近、ずっと練習をしていたお兄ちゃんにしては珍しい。
「ふっふっふっ、実は……休んでいるかと問われてな。そこで、今日は休むことにしたのだ!」
「お、おー? でもいいの? コンテストで優勝するんだって、張り切ってたよね?」
そう、お兄ちゃんはなんとあのフェニックス・ワンダーランドのキャストでショーをやっているのだ! そして、人を笑顔にするショーをするからと、ここのところすっごく張りきって頑張っている。週末に公演があるからと、昨日も夜遅くまで練習をしていたはずだ。それなのに、急に休むなんて……
「あぁ、ショーを見てくれる人に笑顔になって欲しいからな。疲れた顔では、笑顔になどできん! なぜなら、見ている人を心配させてしまうからな!」
「見ている人を、心配……」
『無理はしないでね』
志歩ちゃんがしきりに言っていた。もしかしたら、私もみんなを心配させちゃったかもしれない。
「そう……だね」
「だから、な。咲希。焦る気持ちも分からんでもないが、張り切りすぎて無理はするな?」
「……お兄ちゃん」
そういって、お兄ちゃんは部屋に戻っていった。……お兄ちゃんにもそう見えるのかな?
「私も、休もうかな……」
私は、体が辛いことを話して練習を休んだ。志歩ちゃんに怒られる! って思ったけど……意外とすんなり受け入れられた。お見舞いにまでみんな来てくれて、嬉しかった。
早めに休んだのが上手くいったのか、金曜日にはもう体調もバッチリ回復。バンドの練習も再開して__
そして、週末。みんなで星を見に行く予定が……大雨。
それでも、みんなで星をみたい。みんなでおなじ時間を過ごしたいって話したらセカイに集まって星を見ようって話になって。
そして、ミクちゃんやルカさんを含めたみんなで。セカイの屋上に集まって星空を見上げていた。