Aクラスの傍観者(仮)   作:おべ

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アニメ2期3期決定おめでとうございます!
嬉しくてちょっとだけ書いてみました。
拙い執筆ですがよろしくお願いします。


【1】Aクラスの傍観者(仮)

 睡魔に襲われつつも目を擦り顔を上げた。

 

「やっと起きたか、田口」

 

 目の前に大きな熊がいると錯覚してしまいそうな、こちらを獲物としてロックオンした奇形な表情を浮かべた男性教師。意定めるように眼を飛ばして来た。

 

「おいおい、何寝たんだ!」

 

「入学初日から、やらかしかよ」

 

 ぼんやりと顔を上げ、今も尚おどおどして睡魔と戦っている青年──田口翼を見て、クラスのみんなが笑いと共に各々に口にしていた。

 

「話が中断してしまったな。田口の為にも改めて自己紹介するとしよう。私はAクラス担任の真嶋智也。担当教科は国語。3年間宜しく」

 

 再度自己紹介。

 話の流れからして触りの部分だけは済ませているのであろう。その後、分からないところは周りに聞けと仰っていた。マニュアルで説明は一度きりとあるのであろう。

 

 別に他の輩に尋ねてみても良いと思うが、特段得ることはないもない。それに、不必要にこちら側から情報を流出することもないのだから静観で良いだろう。

 

 周りからして大間か説明を受け、この地が天国であると錯覚しているご様子。下手に薮を突くこともないため、私は再度腕枕を作り、眠りにつこうと考える。

 

 そんな私の様子を見てか、真嶋先生は再度──訊いておけ──と、含みのある念を推されるものだから、当たり障りないぐらいコミュニケーションを測った方が良いことだろうか。

 

 と言っても私が、はいそうですか──と、二つ返事で了承する事はない。そう、普段の自分なら無視し続ける。それならば、不自然であるものの、その言葉に従わないというものも、良い選択となるだろう。

 

 だから私は寝る事にした。

 

 

 

 

 

 

 そうであって欲しかった。

 

「田口君でしたか?」

 

 そんな私の考えを真っ向から否定する魔女がコツコツと杖を他所に話しかけて来た。名を坂柳有栖。このクラスの支配者である。

 

「無視ですか?先程の自己紹介もそうでしたが、あまり印象が良いものとは言えませんよ?」

 

 内心黙ってろと呟きつつ、何故私をターゲットに選んだのか、何故最初の犠牲者が自分なのか、何故平凡な男性に声をかけて来たのか、適当にこの少女から疑問が生まれて来た。

 

「話す気はないと?」

 

そりゃあ、ねぇよ──と、ぎろりと猜疑(さいぎ)に満ちた瞳で有栖の表情を伺い、再度腕枕へ潜った。

 

「そうですか。残念です。せっかく仲良くなれると思いましたのに。シクシクシク」

 

 は?、

 

 その誤解が生まれるかのような尾鰭(おびれ)のついた解答。まるであたかも私が彼女を泣かせてしまったかのような構図。そんな2人の様子を目撃したのか、チクチクと周りの視線が強くなったかのような錯覚を覚えた。

 

 ま、嘘ではないだろう。

 

「泣きたいなら、勝手に泣いてろ。私はみんなと馴れ合う気がないのでね」

 

 泣きたいのであるならば、それは自由に泣くべきだ。

これが彼女の強制友達勧誘、それも強制条件付き和解を含められた友達であった場合、神室よりも酷い扱いになるに違いない。

 

 周りから盛大な制裁を受ける期待値が上昇するが、これ以上の追求は彼女の悪意が露見する恐れもある。ならば、一旦ここで手を引くだろう。一応、一旦は。

 

「そうですか。貴方がそれで良いのであればよろしいですが、このままでは、友達はできませんよ?孤独と孤高は違いますから」

 

「友達は後でもできる。急ぎ過ぎても仕方ないことだろ。それと、私は孤独であるが孤高じゃない。その辺は履き違えるな」

 

 勝手に一匹狼認定をされつつも、貴様とは親しくするつもりはないと間接的に述べてみた。私は世間一般的に見て、クラスカーストは最下層。平凡で孤独である事は自覚しているが、何を根拠にして孤高という表情を用いたのか、私はそこだけに疑問を感じた。

 

「これ以上はやめにしましょう。では、()()()()()

 

 そう言って彼女は私の机から遠ざり、女子グループの輪へと足を運んで行った。彼女の会話から明らかな勧誘的なものがあったものの、特段気になる事はなかった。一つ挙げるとすれば、それは最後の言葉。

 

 あれは、何かしらこちら側の意図ないし、興味を持つことがあった点であろう。扱いしやすい駒として見てる可能性もあるかもしれないが、クラスメイトのいる前で大々的に彼女を振った事から、意図的に敬遠したように見えたかもしれない。

 

 孤独でいたいと特筆する点は見受けられないが、彼女の気に障る所があった可能性も否定できない。

 

 ぶっちゃけ、何かしらの理由で私をマーキングしたことは変わらないだろう。私は気にしない。そうあっていたい。

 

 その後、男性陣、主に弥彦あたりから罵声に近い嵐があったものの、私は無視し続けた。どうせ、消えるんだから。

 

 仮に、私が追放対象で選ばれたとしても彼女なら私の有用性に気づくことだろう。その為にも、些細な事から情報を散らしてみようか。まずは、ありもしない観察眼から。

 

 その後、私は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 入学式後の学校生活について少し話そうと思う。

 概ね平凡で、普通に1日1日を過ごした。

 

 私はあまり会話をしない。

 そもそも、まともに会話をしたことがあっただろうか。

 

 序盤の有栖くらいのものだろう。その後、向こうからの接触は皆無。邪魔されないと喜びつつ、少し退屈だなと心で我儘を愚痴る。

 

 弥彦は相変わらず私の事を馬鹿にして来る。山内ほどではないと思われるが、流石優秀と謳われるAクラスである為、自然と浮き位置となっている。ただ葛城に群がる寄生虫ということもあってか、葛城グループに属しいる副作用なのか、そこまで問題にはならない。ま、要するに当たり障りない程度の嫌がらせがあると言えば良いだろうか。

 

 と言っても、特段気にすることもない。

 

 1人というパーソナルスペースを邪魔される事はないのだから。

 

 偶に、真嶋先生が孤独を貫く私を見てか、自ら行動せよと口説いて来るが、私にとってはどうでも良い事。必要最低限の挨拶を交わし、ただただクラスの空気として身を過ごした。

 

 Aクラスの派閥は刻々と変化し、葛城派、坂柳派、中立派という三つ陣営ができ、少しずつ見えない溝が広く深く構築していった。当然私は中立派。呑気におね数日が過ぎ、4月の下旬。

 

 入学式当初に見せたような表情で、真嶋先生は小テストの詳細について説明された。『成績には関係しない』。少し然りの残るような口調で、淡々と定型文を口にしていった。

 

 小テストは、成績に関係しないということもあってか最後の数問を除いて中学1年相当の内容であった。私は自由に解答を綴っていった。そして、4月は無事に終了した。

 

「少しは動いてみるか、いや……やっぱりめんどうだな」

 

 どうでも良いと言いつつも、ひと月も経てば心境は変わるもの。

 と、思いつつも最後は諦める。なんだかんだ、めんどくさい。

 

 いつまでも私は変わらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 5月1日。

 

 なんだかんだ、時間の流れとは早いもので、入学式から今日まで3週間ちょっと。春のそよ風とともに、胃液が込み上げる心境。今日を快く思ってない私は、ぐーたら生活がとうとう終止符を打たれるのだと内心小さな悲鳴を上げていた。

 

「全員いるな」

 

 普段通り、机にへばりつき、居眠りで罵倒する私。

 

 教卓からは真嶋の声が、心地よい眠り歌に聴こえた。

 

「さて、ショートルームを始める前にいくつか質問を設けよう。疑問を持つ者がいるだろう。遠慮なく発言してほしい。それと田口は起きなさい」

 

 今日の真嶋の声には少し圧が感じる。

 

 雰囲気的に従わなければならないが、ここで起きた所で何のメリットを感じられん。周りの視線が痛くなるという弊害が生み出すかも……100パー、間違いなくそうなるが、最後に勝っている者こそが勝者だ。だから、私は──断る!

 

「はぁ」

 

 無視し続けると、観念したのか真嶋は溜め息をついた。

 

 勝ったな。

 

 それはそうと、話は順調に進み──葛城、坂柳の独壇場であったが──学校のシステム、主にプライベートポイントとクラスポイントの詳細について述べられた。ぶっちゃけ、話の内容など今更確認するまでもないが、カンニングしてしまっている自分に罪悪感を感じる。といっても、既にクラスに害ある行動しかしてないのだから笑えない。

 

 これから、Aクラスの輩が騒ぎ、私を責め立てる未来が少なからず見通せるのだし、少しは言い訳でも考えておくか。そんな思いで、私は再度眠りにつく。

 

 話は進み、、、

 

「お前達Aクラスは過去の類を見ないほどに優秀だ。これだけポイントを残せたのだ、誇っていいぞ」

 

 いつのまにか、黒板には、クラスポイントが記載された用紙が貼られ、930という数字が。低いということは、十中八九間違いなく私が反映されているだろう。

 

「だんだん仕組みを理解して来た頃合いだな。次に、先日行われた小テストの結果を発表しよう」

 

 そう言って、名前と点数が記載された用紙を張った。

 

 さすがAクラスと言うべきか。

 

 多くの生徒が90から80の前後と優秀であり、1番上には100点もある。優秀優秀と連呼したい。

 

「この学校では中間考査、期末考査で1科目でも赤点があれば即退学であるが、この調子で有れば問題ないな。ただし、田口は除くが」

 

 また溜め息混じりに田口を呼び、自然と周りの視線が強くなる。

 

 やめていただきたい、真嶋ティーチャー。

 

 さてさて、私の点数はというと、堂々の最下位50点。

 

 船こきながら、受けていたら、あら不思議。綺麗に半分間違いて、50点となっていた。

 

 その後、進路の保障についても云々勘案説明され、周囲から響めきがあったものの、さすがAクラスと言うべきか、冷静に受け入れてた。

 

「周りを頼れな、田口」

 

 余計なお世話だ。

 

 ギブアンドテイクだ。

 

 ──と、叫び散らしたい。

 

 そして、無事にショートルームは終わった。

 

「田口、後で職員室に来る様に」

 

 あ、呼ばれた。

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