Aクラスの傍観者(仮)   作:おべ

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rtaモノ流行ってるのかな。おもしろいから別にええ


【2】Aクラスの傍観者(仮)

 めんどくさいと、災難だと、それでも仕方ないと、そんな風に思いながら、重い腰を上げ、職員室へと足を運んだ。千鳥足のような憂鬱な内心で。

 

 だが、

 

 職員室へ行くと、真嶋先生は別件で一時的に離れいるらしい。少しの間廊下で待つこととなった。

 

 そこに、

 

「あら、お久しぶりですね、田口さん」

 

 のんびりと壁に背中を預け、真嶋を待っていると、横から、銀髪の魔女──坂柳有栖が声をかけて来た。

 

「今、失礼なことを考えませんでしたか?」

 

 女の勘というものでしょうか。

 安易に心で言うのはやめておくべきですかね。

 

 とは言え、

 

「ええ、考えていましたよ」

 

「否定しないのですね」

 

「否定する理由がどこに?そう思ったことを口にしてはいけないなんて法律はありませんよ」

 

「そうですか」

 

 納得はしてないが、無理やり理解したご様子。

 別に好きなように解釈していただいても問題ありませんよ。

 

「それで坂柳さんはどうしてこちらに?」

 

「そうでした。真嶋先生に呼ばれておりましたので」

 

 私と同じ?

 はて、嫌な予感しかありません。

 

「それと田口くんは、どうしてここにおられるのですか?」

 

「私も先程、真嶋先生に後に来るよう言われていましたので」

 

「そうなのですね。私と同じですね」

 

「ええ」

 

 なんですかね。

 別にはぐらかしても良いのですが、あたりをつけた笑みをされると見透かされたような錯覚を覚えてしまって嫌なんですが。

 

「静かに待つのもなんですし、少しお喋りでもしませんか」

 

 ぼーっと、突っ立て、早くこの時間に終止符が来ないかなと思っていると、横から話しかけられる。

 

「もうこの学校に慣れましたか?」

「まあまあですかね。いつもぐうたらとお寝んねできるのは最高ですよ」

 

「よく居眠りされておりますよね。夜更かしでもされておられるのですか?」

「まぁそんなところですかね。ゲーム三昧ですよ」

 

「そうなのですね。私は1日1日がとても充実しています」

「クラスのリーダーですもんね。でも、みんなをまとめるとか、私には到底真似できませんよ」

 

「やってみると楽しいものですよ。貴方もやってみればその気持ちがお分かりになられると思います」

「私が、ですか」

 

「はい。俯瞰的に観ている貴方様でしたら、できると思われます」

 

 とても楽しそうに口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで何ですか?」

 

「そう不機嫌にならんでくれ」

 

 しばらく坂柳との会話を楽していると、用を済ませて来たのか、真嶋先生が遅れて私達の前に姿を現した。その後、廊下では何だしと、生徒指導室──閉鎖空間──へと案内された。

 

「手短にお願いします」

 

「そう、急かすな」

 

 隣接の給湯室でコーヒーを準備しながら、適当なところに座るよう口にした。ちゃっかり、ミルクをお願いします──と、坂柳が頼みつつ。

 

「田口、学校は慣れたか?」

「ええ。いつもぐーたらできて最高ですよ」

 

「全く。教師として助言するが、その態度は社会で通用せんぞ」

「別に構いませんよ。その時が来たら考えますので」

 

「本当に苦労するぞ」

 

 いきなり説教ですか。

 まぁ、生徒指導室というのですから強ち間違いではありませんが。

 

「だが、そう長くそれが続けられるとは思わないことだ」

「それは脅しでしょうか」

 

「いや、忠告だ」

「Aクラスでの、ですか?」

 

「お前次第だ」

「捉え方に範囲はないと。ご忠告感謝致します」

 

 まぁ、形だけでですが。それはそうと、

 

「坂柳は呼んだ覚えはないが今回は良しとしよう。君にも知ってもらいたいことがあるからな」

 

 半信半疑ではあったが、なんとなくそんな気がした。私が呼ばれたことについて興味を持ったのだろう。傍迷惑もいいところだ。

 

「無駄話はこれくらいにするとして、本題に移ろうか。田口翼、なぜ手を抜く?」

「抜く?何のことでしょうか」

 

「惚けるな。本気を出していないことは分かっている」

「証拠でもあるんですか?」

 

「ああ、あるぞ。ここに偶然、答案用紙がな」

 

 と、ファイルから見覚えのある答案用紙が。

 入試及び小テストの紙切れだ。

 

「!?ッ……ほぅ」

 

「面白い生徒だな、田口。入試試験の全ての科目で50点。並びに、前回の小テストでも50点。これが意味するものが何か分かるか?」

 

 テーブルに広がる50点の文字。

 それを見てか、隣人が食い入るように視点を垂らしていた。

 

 その時、私は面倒なことになったと、面倒な奴に見られたと悪態をついた。

 

「偶然って怖いすね」

 

 感情の籠ってない瞳で、吐き捨てた。

 

 狙ってやったことは否定できないものの、最後の採点は学校がするもの。過程がどうであれ、採点が50点と導き出されていることに対し、偶然で呼べるだろう。

 

「あくまで偶然だと?」

 

「はい。偶然取ったにすぎません」

 

「はぁ〜。だそうだ、坂柳」

 

 憎たらしく認めようしない様子を見てか、答案用紙に興味津々の隣人に声をかけた。

 

「それは、私に彼の教育係をやれと?、ということでしょうか」

 

「ああ、そうだ。頼めるか」

 

「ええ、謹んでお受けいたします」

 

 どこか笑みを浮かべながら首肯する。

 いい玩具でも見つけたような、悪魔らしき肝経な瞳を浮かべていた。

 

「すまないな。助かる」

 

 何かホッとした様子を浮かべる真嶋。

 私は邪魔者扱いのようだ。

 

「用件はそれだけですか」

 

「ああ、()()()()()は、だ。だが、もう帰っていい。手間を取らせて悪かったな」

 

 さっさと帰りたいと思い訊くとないらしい。

 含みのある言い方であるが、気にしていても仕方ないだろう。

 

「いえ、有意義な時間ありがとうございます」

 

 隣は、、、とても楽しそうだ。

 何か憂鬱だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は普段通りに過ごすつもりだが、構わないな?」

「それを態々訊かれるのですか?」

 

「質問を質問で返すな」

「それを訊くということは、少なからず罪悪感を抱いていることで?」

 

「私は好きでやっているのだ」

「では、許可を求める必要性が感じられません」

 

 真嶋の要件を済ませ、帰路へ向かってる最中、2人は互いに話していた。

 

「なら、勝手に寝る」

「やはり構って欲しいのですか?」

 

「それは絶対にない」

「そうですか」

 

 やはり、坂柳はSだ。

 それもこちらの内心すら掌の上だと主張するほどに。

 

「さて、真嶋先生からあのように伝えられましたけど、改善する気はありませんか?」

「だから、聞いてなかった?私にその気はないと」

 

「やはり、構ってちゃんなんですね」

「言ってないが?」

 

CO(カミングアウト)してましたよ」

 

 と、ニコリ。

 私を弄るのが楽しいご様子。

 何が楽しいのやら。

 

「それはそうと、貴方ができる人間で助かりました」

「言っている意味が分からないのだが」

 

「いいえ、貴方ならご存知のはず」

「何のことだかな」

 

「問題ございません。『能ある鷹は爪を隠す』なんて諺があるくらいですから」

「その例えの意図が分からん。それは天才が凡人になりきる言葉。私にはとても似つかないものだ」

 

「喋りすぎは自分自身に毒ですよ。自らを苦しめるのは三流以下です」

「何か誤解があるじゃないか。私は凡人だからこそ、そう言っている。点数の取れないバカとね」

 

 うん?

 私は思ったことを口にしただけなんだがな。

 

「私にはそう思いません。辻褄を合わせる為の発言にしか捉えられませんよ。と、少し言いすぎましたね。これくらいで分かるでしょう」

 

 まてよ、、、

 

 口車に乗せられたのかな。

 だが、貴重な情報は漏らした覚えはない。とすると、発現の仕方や反応を伺っている可能性は大きいか。少し注意するとしよう。

 

「君の口車に乗せられた三流という終着点で良いのかな。私は終始自分の意見を述べていたと思っていたが、天才の目にはそう映ってはいなかったみたいだ」

 

「それはありませんよ」

「いいや、あるな。中途半端にできる人間は天才にとって格好の餌。傀儡にするのは丁度いい」

 

 と言うと、

 天才は楽しそうな凛とした瞳を浮かんでいた。

 

「確かに私は50点を狙った。そして凡人に毛の生えた程度の天才と思い込んだ愚か者だ。これがお姫様が望んだ解答なんだろ?」

 

 適当に言葉を並べ、それぽっくアピールしてみたりする。

 50点を狙う。隠れた天才を演じる。中途半端な天才になる。これら全てが事実なのだから納得するに違いない。

 

だが、

 

「半分正解といったところでしょうか。50点を狙っていた。それは本心でしょう。しかし、本当に愚か者だと思いなのですか?」

 

 と、見透かした瞳で問いかけた。

 

「ああ。現に、本来実力を発揮できた場で手を抜くなど、愚か者以外の何でもない。それに、その方が……都合が良いしな」

「そうですか。貴方がそう思うのであればそうなのでしょう。しかしながら、都合など本来はあり得ない言い訳。人が心酔し己にとって不利益と思った時に言い回すものなのですから、」

 

「話、聞いてた?」

「はい。いつになく逃げようといらっしゃる田口くん見て面白いと思っていたところです。いかにしてこの話を纏めるか、いかにして退けるか、逃げに徹するかに意識を向けられている姿はとても興味を注がれるものですよ」

 

うわー、はい。

 終始、楽しそうな笑みを浮かべ、淡々と事実をありのままに口にする銀髪の魔女。結局のところ認める……理想の答えをしない限りこの話しは終わらないのだろうな。

 

「あ──、分かった分かった。お姫様の言う通り、私は()()()()()なんだろ?自分ではそう思ったことはないが、君の評価からして及第点くらいはあるといったところか」

「素直に認められるのですね】

 

「素直に認めた覚えはないのだが、な」

「では、撤回すると?」

 

「たっく……めんどくせぇな。認めるから、素直に認めているから」

「それならそうと言ってください」

 

 悪びれる様子もなく、微笑む魔女。

 全ての出来事がこちらを掌で踊ろす為の布石に思えてしまい、改めて注意が必要なのだと再認識する。

 

「それで、私は何をすればいい」

「これは驚きました。自ら動きなさるのですね」

 

「馬鹿にした?」

「いえいえ、感心しているのですよ」

 

 まぁ、別に踊らされても、最終的な終着点があるのだがら、考えなしじゃないと証明がなされた。終始主導権を握られていたとしても、問題なく話しが纏まるのだがら、これはこれで良しとした方か建設的だ。

 

「さて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「ええ、構いませんよ」

 

 先程と打って変わって了承する坂柳。

 今のひとときの間で得るものは多くあったと言えよう。

 

 坂柳は、良きビジネスパートナーとなるだろう。

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