コンセプト:レースだけ好きな子のもう一人の人格としてトレーナーを誑かす 作:名無しの権左衛門
はっ!?
今俺は三柱の女神に、レースだけは自前で走ってくれる女の子の人格の一つになって、男を誑かすことに成功したら別世界に転生させてくれるみたいな契約の夢を見た気がする!
なぁ~んてね。んな都合のいい話があるか。
「じゃあ、頑張っていこうかねー――ん?」
妙に甘ったるい声。そして、確実に俺が生前発していた醜い声ではない。
「え、まじ?」
まさか……まさか、まじで女の子の人格の一つになって俺が男を誑かしたら云々の話は、夢物語の妄想じゃなかったのか!?
やったぜ。
声の反響からして真っ暗闇の部屋の中、布団を跳ね飛ばして起き上がる。
早速俺の容姿を確認しないとなーキャラ付けを今のうちに考えねば!
電気をつけて布をかけてある姿見の前に立って、御開帳~。
鏡の中に映るは、金髪と白のメッシュがはいったなんかかわいい子だった。
しかもなんか胸が……なるほどなぁ、ならば無自覚と無垢からチラリズムやりゃいける!
あとは顔のパーツ自体はまだ幼いなぁ。
身長も低いし、これからか?
電気をつけた部屋の中を一回り見渡す。
あんまりこの子趣味ないのかな?
携帯を覗くと……BL趣味かよきっつぅ……。
やめだやめだ、携帯はアカン。
もっと他にないかな?
お、ちょっとした人形を持っているじゃないか!
え、何このスポンジ……。あ、これチーズなんか!?
すまん。集合体は無理。俺なら廃棄するね!
あとはなんだこのUMA。
あ、いや是馬か!?
そういえば俺にも、こんな耳?としっぽがある。
そうか……。俺はアニマルプラネットに生まれたんだな!
じゃあ、ドラえもんが来るまでどう働くかね?
研究者?
俺の人格の頭は最悪なんだよなあ。
……。
なんか近づいている?
足音とその反響で、俺がいる部屋の外の空間が判明する。
一戸建てでもマンションでもない。
これは寮のような多重構造っぽい。
そしてその足音はこの部屋の前で立ち止まる。
「ヘヴンファイナリーちゃん! おはよう!」
ヘヴンファイナリー……。
Heaven Finaly?
終に? 結末は?
どんなネーミングセンスだよ。この子の親を見てみたいぜ。
「ぅぁ……。 あ、あのさ、よかったら一緒にごはん食べない?」
ごはん?
ここは全寮制か! 一時的なものでもなく、この若い声もあって学生か?
それとも子連れの社宅?
おっと思考してないで、返さないとな。
「だ、大丈夫だよ! 昨日はあんなことあったけど、皆……。
今日のみんなは優しいから! あれは悪い例だから、お願い!」
お、俺のみじめな人生が告げている。(ピキーン)
これはいじめだな?
とにかくさっさと出ねぇと。
ガチャリックスピン!
「おはよう!」
「!?」
あ、放心してる。どないしたんなもー。
アニマルプラネットならもっと動物動物してるけど、俺と俺の友人?はなんか人っぽいなあ。
ま、そんなこともあるよな!
「ごはん行くんだろ?」
「え、あ、うん。でも、そのカッコで行くの?」
「実はな――」
そういうわけで俺は、昨日頭を打ったらしく朝起きてから昨日以前の事を完全に忘れた事を告げた。
本当ならあたおかなんだけど、演技であろうとなかろうと色々とお互いに利用できるからさ。
俺は8割信用可能な世界の情報を、彼女は俺という傀儡を入手できるんだ。
「えっ!? そんな……うん、教える。だから、着替えよう!」
「着替え? なにそれ」
「ぅぇぇ……」
彼女はなぜか泣きそうになって、俺を部屋に戻してから色々教えてもらったぜ!
なんと俺は”にっぽんちゅうおうとれーにんぐせんたーがくえん”なるものに、
競走馬として滞在しているらしい。
なるほど?
じゃあ俺は馬で、トレーニング……専攻か選抜されてきているエリートっぽいな?
それにしても一人一部屋にしては、割と大きい気がする。
そしてなんか個室というか、隔離っぽいし。
え、何この薄いの。は!? これパン2なん???
まってこのでかいのなんだよ。胸当てね。なんだその程度なら……ちょっとまって、何その手順しらないんだけど。
はーなんたら靭帯守るためなんだなー。
その液体は? こうすい? 梨の品種か?
それつけんの!? ちょっとまって、それはなんなんだ。髭剃りじゃないか。
産毛がなんだよ、だれもそんなの見んだろ?
これからトレーナーに選ばれるんだから、見た目くらいはよくしろ???
ちょっとまって、スポンサーつくの早くない?(スポンサーが後援の選手並感)
そういうわけでなんか、よくわからんうちに着替えさせられた。
で、この学寮の二階から降りていって、学食という場所に到達!
そこには沢山の学生がいた。
「うっわぁ。見事に馬ばっかり」
「ウマじゃなくてウマ娘っていってるでしょ?」
「品種は?」
「サラブレッド」
「なるほど、エリートか」
「中央所属ウマ娘は、全員エリートなんだよ?」
は?
つまりこの子も、関門海峡渡ってきたのか。
あー、なるほど。わかってきた。
この子精神やられたっぽいな?
野球・サッカー・アイドル・芸能人・競馬・研究者・医者・自衛隊など。
金と才能があふれているものほど、自己や集団心理が強くはたらくからそれらから
外れるもの(醜い・低身長など身体的特徴が主なもの)を排除する傾向があるよな。
そしてこの子は、低身長・童顔・巨乳といじめ要素たっぷりだ。
女性単体で見ると、コンプレックスの塊だなこりゃ。
男視点だと、守ってあげたくなるから素晴らしいんだけども。
「じゃあ、ここにメニューあるから口頭かこのチケットで頼んで」
「なんでチケット?」
「レースには怪我もあるから、身体障害者向けかな。
これを押したら、学園指定の携帯に待ち番が送信されるから」
俺はなんかおもろいメニューを発見したのだ!
なんとハンバーグに人参まるごとが、ぶっささっているやつ。
面白みたさに選んじまったけど、食い切れるのか?
あの白髪とかボブの子は……凄いけどさ。
だからといって個人差あるから、俺に食い切れるのかね?
友人、まあブルーエンドスカイっていう競走馬だ。
かっけえなあ! おれもそういう名前がよかった!
それで数分待ってそいつを頂いたんだけど、うまいというより甘いのか?
人間のころより、味覚全般が極端になっているような……。
そもそもアニマルプラネットじゃないことは確定したし、
馬……やっぱ馬だよなあ。
それが人の男・女・ウマ娘っていう性別分けされているから、人よりも馬だよなあ。
でも繁殖できるみたいだし?
いかん、わからん。
ま、いっか。
「それでヘヴンちゃんは、いつデビューするの?」
「デビュー?」
「うん」
「いつがいい?」
「ぁぅぁぁ……ええっとぉ……」
この子泣き虫だなぁ。こりゃ昨日か入学当時、相当な事やらかしたっぽい。
とにかくエンドがいうには、今年はやめておいた方がいいんだとさ。
なんでも去年は、トウカイテイオーやメジロマックイーンが参入して、
今年はライスシャワーやミホノブルボンが出走する予定なんだとか。
へぇ……まあ、クラシックはそうなるだろうな。
俺も一度この子に聞いてみるかね。
心の中で、色々聞いてみた。
ま、聞けるわけがないんだがな!
だけど俺の頭に浮かんだのは、クラシックだとさ。
しかもデビューは今年。
本格化が早熟だとまずいから、早めか。
妥当だな!
それにG1に出るのがいいとか言ってるけど、G1で天才同士のたたき合いに参加するより
G2やG3などの重賞を沢山クリアした方がいいような気がする。
そこらはこの子に任せるかね。
「今年参入するわ」
「え!?」
「じゃないと、来年からはBNWでナリタで黄金世代でテイエムオペラオーだし」
「そ、そうなんだ……」
直近でニシノとバクシンもあるからすっげえきついぞ。
というか90年代の世紀末は、まじで世紀末級のやばいのが多すぎる。
いや、衝撃とかもひどいけどさ。
「エンドちゃんはいつ出るの?」
「今年はまだダメっぽいから、来年かなぁ」
「なるほど。一緒にたたき合うことにならないのはうれしいかな」
「なんで?」
「俺を救ってくれたから」
「ぁぁぅぁ……」
顔を真っ赤にして泣きそうになりながら照れるって、器用だなこの子!
やっぱかわええなあ!
というかエリートは皆、自己研鑽がすごいから基本的に美形になる。
基本が自堕落でも、外からの印象を気にせざるを得ないから、必然的に身奇麗になる。
この後授業があった。
授業は国語・ダンス・数学・日本史。
午後からは運動だとよ。
運動の時間に昼飯とかやって、校舎の掃除はプロがやる。
でも学寮はウマ娘がやるってよ。流石に週一で業者が入るらしいね。
俺は授業中の先生の名当てや教室内の席割を見て、名前と顔を一致させていく。
ここにいるのは中等部で、知っているのはマヤノトップガンやマーベラスサンデーといった重賞勝利馬だ。
他は知らねえ!
そもそも労働の義務で、仕事にまみれてたから知らんなあ。
新聞の見出しでちょおっと見ただけだし。
「これより、選抜レースを行います」
やっべえ、走り方しらないんだけど、
というか人間に馬レベルで走れって言われたら拒否するわ!
腱とか色々吹っ飛ぶがな!
もう一人の人格さーん、レースっすよお~。
<全バ、ゲートに収まりました>
お願いだ、ヘヴンファイナリー!!
走ってくれええええええええ!!!!!
――――ブツン―――――
―z
―――z―z―
―――――――――――――
「ハッハッハッ」
え、ナニコレ。
息苦しい。
全力疾走した後みたいだ。
全身が熱くて汗も噴出し、体が酸素を欲してるぜ。
アイシングも頼むぅ~。
走った後、コースから出た瞬間トレーナー達が群がってきた。
なんでも勝利したかららしいね?
それで、ヘヴンファイナリーにとって理想の人は?
意識がふわふわしてるから、誰かな~?と思っていると
アニメみたいに集中線が入る。その中央にいる人。
なるほどな。
あいつに向かおう。
「やあ、そこの日陰にいる人」
「なんだよ」
「俺をスカウトしろ」
「……僻みか」
「少なくとも、”私”が欲している」
「適性は?」
「マイル・中距離」
「目標」
「皐月賞」
「理由」
「ミホノブルボンの仕上がりが日本ダービーで、ライスシャワーの適性が菊花賞とドンピシャだから」
「方針」
「坂路の申し子ミホノブルボンを破る」
「OK。契約成立だ」
木陰で座って休んでいる奴だ。
スーツじゃなくてジャージを着て、傍らに本を置いて読書に夢中になっているなあ。
よお眼鏡君、俺じゃなく”私”を鍛えてくれよ?
そう思ってたんだけどさあ。
なーんでかな、練習まで俺がやることになってる。
本当にもう一人の人格は、レースしかやらねえようだ。
糞が!
まあいいさ、自衛隊体験入隊と土木建築で穴を掘って埋めて、埋めた穴を掘ってまた埋める作業をクリアしたんだ。これくらい余裕のよっちゃんだ!
「よし、坂路な」
「OK!」
そういうわけで、運動強度を調べたり発汗量を調べる為二日を犠牲にして得られたデータを使って俺を扱きにかかるトレーナー。
手心なしだぜっつったら、いやー引っ越し業者のバイト後みたいになった。
いや、これはむしろ宅配便か。
あー懐かしいぜ、あのころは……。
「遅い! もう一回!」
「よっしゃおらああああ!!」
ちなみに自主練はしないし、後でマスクを自主的につけて練習したぞ。
死ぬかと思った。
「ダメだあああ、トレーナー腕貸してくれ」
「仕方ないな」
冷夏もあるが、湿度はいつもの80%。
うーん、この地獄。
トレーナーに引っ張り上げてもらって、休憩室へ行くまで俺は胸元を掴んで仰ぐ。
ったく、気持ち悪い汗だ。
後で風呂に入らないとなあ。
「お、トレーナーヤシの実サイダーだってよ」
「新商品か」
「買わないのか? 買えよ」
「全く……変に圧が強いよな、お前な」
「それが~俺の~取り柄~」
よしよし、俺をベンチで座らせて買いに行ったな?
この隙に上を胸元まで上げて、タオルで胸の下の汗を拭くぜ!
支えていてもな、なんか蒸れて気持ち悪いんだよ。
水虫になりそう。それかかぶれそうで怖いのさ。
山登りの時疲れて支えのため触った木でかぶれて、滅茶苦茶辛い目にあったんだよなあ。
猪に突撃されそうになった時よりかはましなんだが。
「何してんだお前」
「お、戻ったか太郎」
「太郎言うな」
このトレーナーの名前は、山田太郎。
試験の例文ででてくるアレと同じ。
いやー日本で、もっとも有名だから誇れよ。
「それでどうよ、味」
「ヤシの実食ったことないからわからん」
「まじかよ。ちょっとくれよ」
「買ってこい」
「めんどい」
「あ、てめ。はぁ……」
「うんめえ! ハワイの浜にあったココナッツよりうめえ!」
「それ腐ってんだろ……」
うし! 気力湧いてきた!
この後の柔軟とかヨガ、覚りの瞑想を乗り越えるやる気が出てきたんだぜ。
「よーし、マッサージからすっからな」
「頼んだ! って、いてえ!?」
「あ、変なとこ入った」
「わざとか!?」
「技はあるぞ?」
色々ほぐしてもらってぐでーっとなったが、なんとかエンドちゃんに拾われたぜ。
そして寝たきり老人のように補佐してもらって、ごはんとかお風呂とかに入り浸ることができた。
うーん、30過ぎて運動をしたニートみたいだ。
「今日も凄いね」
「ああ! でも徐々に俺が強くなっていることが分かるんだ。
この調子で、育ってくぜ~」
無様な作品だしたので、反省として作りました。
あと同性愛は本当に無理なので、そんな感じっていうゆるふわ感覚でいきます。