魔法少女GL ~女の子たちの初手はいつだってルームシェア時空!!~   作:MOPX

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第6話 六つの交わらぬ道へ!!!! この先、魔法少女舗装中!!!!(前)

私が影ちゃんから聞いたお話。

私はそれを全ては理解することができなかったけど。

でもわかったんだ。

 

私は、行かなきゃいけないって。

 

「わかったわね……真田天!! あの男を止めて世界を救うのよ!! 私たちが!!」

 

影ちゃんの威勢の良い啖呵が鳴り響く。

まるで私たちの出陣の宣言。

 

私は「おー!!」と拳を握り、手を天高く、思いっきり伸ばした。

具体的にどうすればよいのかはわからないが、

博士が悪いことをしようとしているのなら止めてあげよう。

 

「あ、そうそう。大事なこと忘れてたわ!!

真田天、あなたこの言葉の意味がわかる?」

 

影ちゃんは鞄の中からごそごそと紙を取り出した。

手書きで何やら文字が書かれている。

 

「さっき夢って言ったでしょ? それがうっすら頭に残ってて急いで書き留めたんだけど」

 

「見せて見せて~」

 

「私の見立てではそこに書かれている言葉が大事件の切っ掛けになっていたはずよ。

でも何のことかわからなくて……期待しているわ真田天!!」

 

私は影ちゃんからメモを受け取った。

なんだか探偵みたいでちょっと新鮮かもしれない。

私はそこに書かれている言葉を見た。

 

 

 

まあか

 

パーティー

 

だいさんじ

 

 

 

「大変!!」

 

「ちょ、ちょっと真田天!? 急にどうしたの!?」

 

私は急いで元来た道を走った。

もしも書かれている通りなら真赤ちゃんが、花ちゃんが、

私が乾杯の時にお茶を注いだ子が、みんなが危ない。

 

「パーティーなんだよ!! 真赤ちゃんの!! 研究所が!!」

 

「お寿司ってそういうこと!?」

 

私と影ちゃんは走りながら話した。

影ちゃんは走るのは得意だろうか。

 

パーティーで何が起こるのかはわからない。

でも影ちゃんの話の通りなら博士が何かを――。

 

「!!」

 

「ひえ……こんな時に!!」

 

私が足を止めて、影ちゃんも追いつく。

モンスターが近くにいる。

 

1体じゃない。

 

木々の間から真っ黒な先端部分、普通の動物なら顔の箇所がのぞく。

 

サンショウウオ型よりもやや細い胴体、四肢は吸盤のようになっている。

怪物はいつの間にか私と影ちゃんを取り囲んでいた。

 

数は4体。

鞄に入れた無線機は相変わらず無反応だった。

やっぱり変だ。

 

出たはずのモンスターがおらず、

こうしてモンスターが出てもまるで何も起こってないかのような。

 

「影ちゃん!! 下がって!!」

 

私は影ちゃんを手で制して魔法棒を構えた。

4体なら魔法力をためれば一掃できるかもしれないが、

果たしてその時間が与えられるだろうか。

周囲を囲まれて敵が分散しているのも気がかりだった。

 

一体ずつ突っ込んで倒していきたいが、それでは影ちゃんを守ることが……。

 

「真田天。もしや私を守りながら戦おうとか考えてないでしょうね?」

 

「え? そうだけど」

 

「はあ~~~~」

 

影ちゃんはこちらに聞こえるようにものずごいでかいため息をつくと、

やれやれという顔をした。

 

「別に私は魔法少女なんかどうでもいいと思ってるけど、

使えるものは使える主義なのよ」

 

「影ちゃん? それって?」

 

「私も戦うわ」

 

「ええ!? そういえば影ちゃんは戦ったことあるの?」

 

「ないわ。家で練習してきた」

 

「ええ!?」

 

影ちゃんはベレー帽を深くかぶりなおすと

鞄をその場に置いた。

 

「いちいち驚いてうるさいわよ真田天。まあ要するに……」

 

黒い怪物たちが輪を縮めていく。

――そろそろ来る。

 

「協力体制ってこと!!」

 

影ちゃんが一歩、私の横に踏み込んだ。

その髪が、毛先まで紫に染まっていく――。

 

 

「万物を包み込む優しき影……」

(ベレー帽の周りからリング状に魔法力を展開!!)

 

「魔法少女ォ!!」

(ベレー帽の真上からも魔法力を放出して三角帽に!!)

 

「ガルガンチュア……シャドー!!」

(うまくできたのを確認したら帽子を少しあげて上目遣い!!)

 

 

【挿絵表示】

 

 

「影ちゃん!! 魔法棒は……!!」

 

「必要ない!!」

 

影ちゃんが手首を振ると、その手には紫色の銃のようなものが握られていた。

 

「おお!?」

 

「もう少し銃口が長い方がいいかしら?」

 

影ちゃんの握っていた銃の先が長くなっていく。

それは両手で持てるやっとくらいの長さになっていた。

 

「シャドーマシンガン!!」

 

軽快な音とともに怪物のうち一体に紫色の弾が集中砲火されていく。

怪物の体を削っていったそれは、音が止むころには怪物の体を完全に貫いていた。

怪物がそのまま飛び散るように消滅していく。

 

「……すごい!!」

 

「ふふ。無反動なのよ、これ」

 

影ちゃんの目がにっこりと曲線を描く。

よほど嬉しかったらしい。

 

同種をあっさり倒されたからか、怪物の動きが変わる。

私は全体の動きに気を配る。

後方の2体が仕掛けてきた。

 

「影ちゃん!! こっちから!!」

 

「任せなさい!! シャドーショットガン!!」

 

影ちゃんが叫ぶとまたも銃は変形し、

銃口が途中から分かれていく。

そのシルエットはまるで横に向けた花束のようだ。

 

「おらおら!! 来るんじゃないわよ!!」

 

さっきよりも大きめの音が鳴り響く。

今度は削るというより、えぐるといった表現の方が正確に思えた。

代わりばんこに紫の弾丸による衝撃を受けたモンスターたちは、

1発ごとに後方に吹き飛び、己の形状を保てなくなった時点で消滅していった。

 

「はあ……はあ……ふ、ふふ……どうよ!!ざまあみなさい雑魚モンスターども!!

初めての実戦なんか目じゃないわこれが私の実力よ

1体や2体じゃないわ全員まとめてけちょんけちょんにしてやるから覚悟しなさい

はっ!! モンスターなんて大騒ぎしててもしょせんはこの程度」「影ちゃん!! まだ残ってる!!」

 

「え!? ひゃあ!?」

 

残っている1体が最後の攻勢といわんばかりに突っ込んでくる。

魔法力を消耗した影ちゃんは慌てて銃を出そうとしているが、

手がもたついていた。

 

だが、私も何もしてなかったわけではない(本当だよ)

大鎌モードの魔法棒の先端は

これでもかといわんばかりに黄色のまぶしい光を放っている。

 

私は相手の速度を利用するように、

すれ違いざま、疾風のように駆けながら

 

大鎌を急所めがけて振った。

 

「アークスラッシュ!!」

 

綺麗に上下二分割された黒い物体。

 

私はその終焉を見届けると、後ろでへなへなと倒れている影ちゃんに笑顔を向けた。

 

「協力体制、だね!!」

 

「ふ、ふふ……そういうことよ!!」

 

 

 

 

 

私たちは改めて研究所へと駆けだした。

途中、何体かモンスターに遭遇したが影ちゃんがマシンガンを乱射して倒してくれた。

一日にこれだけモンスターに遭遇するのは初めてだ。

何か起こっているのは間違いない。

 

空にはいつの間にか暗雲が立ち込めていた。

 

「真田天!! あれ……!!」

 

影ちゃんに促され私が遠くに目をやると、研究所の方から

黒い霧のようなものが噴き出しているのが見えた。

まるで、屋上から噴水のように真っ黒なものが周囲にまき散らされている。

 

帯状の黒は、空を筆で黒く塗りつぶしているようで

空全体を覆うかのような勢いだった。

 

発射された黒い帯のひとつが私と影ちゃんの前に落ちる。

黒い塊はもぞもぞとその形状を変え、甲羅に首のみの異様な怪物の姿を成した。

 

「もう……、また敵じゃないの!!」

 

「影ちゃん!! 急所を狙って!!」

 

私は影ちゃんに素早く言った。

まだ距離があるが、影ちゃんの攻撃なら届くはずだ。

 

「え? そんなのあるの?

ははーん、さては首ね。 弱点丸出しなんて間抜けなデカブツね!!」

 

怪物は影ちゃんが言い終わると同時くらいに首を甲羅の中に引っ込めた。

 

「は? 弱点がなくなった!? ずるじゃん!!」

 

「影ちゃん落ち着いて!!」

 

「あなたに言われたくないんだけど!? シャドーマシンガン!!」

 

影ちゃんの放った弾丸は怪物の甲羅に着弾したものの、

全てが弾かれるように飛び散っていった。

 

「うわーん、見るからに効いてない~」

 

「うーん、魔法力を溜めたらなんとか倒せるかも……」

 

「それなら私もバズーカを準備できるわ。練習で一度しか成功しなかったけど……」

 

私と影ちゃんの会話を待たず、異音が始まる。

甲羅が急速に、コマのように回転をしていた。

 

「え?なにあれ――」「危ない!!」

 

私は影ちゃんを抱きかかえるように横に跳ねた。

さっきまでいた場所が回転する甲羅で均されていく。

 

私と影ちゃんは地面に激突した。

私は衝撃で体に痛みが走ったが、立ちあがるとすぐに態勢を立て直した。

影ちゃんの方を視線で確認する。

 

「影ちゃん!! 大丈夫!?」

 

「あ、ありがとう……。何なのよあいつ!!

固いうえに速くて攻撃も痛そう……!! 理不尽よ!!」

 

いつものように大鎌モードの魔法棒を構えようとした時に痛みが走った。

なかなか引かない。

 

地面にぶつかった時だろうが、擦りむいてしまったかもしれない。

 

「……? 真田天、あなたもしかして怪我……」

 

「え? 大丈夫だよ~」

 

「……それならいいんだけど」

 

こんなの怪我のうちに入らない、という意味で私は言った。

 

怪物の方を確認すると回転を弱めて減速している最中だった。

ずっとは回転できないのなら、今がチャンスだが

急所である首はいまだに甲羅の中に隠れたままだった。

 

花ちゃんなら甲羅を突き破って攻撃できたのだろうが、今はいない。

 

 

 

そうだ。

花ちゃんたちが危ないんだ。

早く行かないと。

 

「うおおおお!!」

 

「ちょ、ちょっと真田天!!」

 

私は怪物に突っ込んでいった。

回転を弱めていた怪物の甲羅に、大鎌が刺さる。

 

いや、受け止められているといった方が正確だったのかもしれない。

 

「真田天!! 引きなさい!!」

 

影ちゃんの悲痛さを帯びた叫びが聞こえてくる。

 

大丈夫だよ、影ちゃん。

 

私は負けない、だって私は――。

 

 

「何やっているんですか!!」

 

 

どこからか威勢の良い声が鳴り響く。

 

私と影ちゃんが何事かと見渡した時には、

桃色の光が上空に尾を引いていた。

 

光の先にいる子、あれは――。

 

「ゆめちゃん!?」

 

「ドリームドリルゥゥゥゥ!! うおりゃああああ!!」

 

怪物の上に落下するゆめちゃんが

魔法棒を両手で下に向けそのまま突っ込んでいく。

 

魔法棒の先端からぐるぐると螺旋状に発生した桃色の光が、

ゆめちゃんの体すら覆って高速回転を始めた。

 

怪物も対抗して回転を始めようとしていたがもう遅い。

桃色の光は怪物の外殻をものともせず、砕いて進んでいく。

 

ゆめちゃんが地面に着地を決める時には、怪物は内側から崩壊し既に消滅していた。

 

「すごい……!!」

 

「……」

 

「ゆめちゃんも魔法少女だったんだね!! 助かったよありがとう!!」

 

「……す」

 

「す?」

 

「すごい……じゃあないんですよ!! なんですかあの戦い方!? 雑!!」

 

魔法棒をシュッと軽く振りながら、ゆめちゃんはご立腹のようだった。

一応、大鎌の先端から魔法力を込めて内部から破壊するつもりだったのだが、

魔法力の消費が激しいという意味では反省すべきだったかもしれない。

 

「さ、真田天。この子だれ……?」

 

影ちゃんが私の陰に隠れつつ、小さい声でささやいた。

その声はゆめちゃんにも聞こえていそうだったが、

ゆめちゃんは勢いよく話を始めた。

 

「単刀直入に言います。お姉ちゃんがさらわれました!!

行先はたぶん研究所!! 私といっしょにお姉ちゃんを助けてください!!」

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