魔法少女GL ~女の子たちの初手はいつだってルームシェア時空!!~ 作:MOPX
くろいものを右へ左へ。
門をくぐって。
かんぺきってなんだろう。
人がのぞむことをのぞむようにやる。
そうなれたらよかったのにな。
いちどまちがえたら、もうゆるされない。
まちがえたことをするのは、わるいことだ。
わるいことをゆるすのはよくないことだ。
わたしはもう、まちがえてしまった。
だからわたしは、自分だけはぜったいにゆるせない。
それをゆるすのは、わるいことだ。
だれもそれをしないなら自分で自分をきずつけるしかなかった。
ぜったいにかんぺきになれないものが、かんぺきをもとめて。
くろいものを、はじきとばして。
カイダンを上って、上って。
未来ってなんだろう。
それをうばった人間も、それを語っていいのかな。
わたしはダメだと思った。
いつの間にか、自分のやったことも忘れて
ぜんぶを忘れてわらっていたら
さいあくだ。
そんなこういは、私がゆるさない。
だから、私はあの日だけを忘れない。
かこも未来も、かきけして。
空っぽのまま、リンカクだけを形づくる。
くろいものを、つぶして。
トビラをあけて。
いのちってなんだろう。
とても、とてもだいじなもののはずなのに。
あんなにもあっけなくきえてしまって。
いのちをなくすのはふこうだ。
それじゃあ人間はみんな、不幸なままおわりじゃないか。
みんながつらいきもちをむかえるだけなら。
それはとてもかなしいことだ。
私もいつかは――。
屋上へ出る。
風が吹き抜ける。
目の前にはスーツの男がいた。
博士だった。
黒い雲が地面に暗晦をもたらす。
髪がほんのりと黄色がかった少女は、
その中を走り抜けていった。
「あ、あなた……!! ちょっと待ってよ!!」
背中に声を受け、そのまま走る。
無視しているわけではない。
余裕がないだけだった。
幼馴染は遥か前を行ってしまった。
「こころちゃん……!!」
その名前を呼ぶ。
届かないとわかっていても。
届くように祈りを込めて。
完璧なんて無理でも、少しでも前を向いていたいから。
息が切れる。
胸が痛い。
それでも足は動かす。
ヘルメットを、しっかりとかぶりなおす。
やっとの思いで、研究所の門の前まで来ていた。
「……!!」
視界に入ったのは黒い巻貝――数メートルはあるそれと、
二人の少女だった。
黄の少女が腕に力を込める。
理解に頭を使う必要もない。
彼女らは、襲われている。
「引っ込んでしまいましたね。真赤さん、何とかできませんか」
「君の範疇じゃないの? もうやり過ごそうよ」
彼女らは……襲われている!!
細胞がぞわりと揺れる。
2人の少女のうち、怪物の正面の方へと飛びつく。
「あぶなーい!!!!」
黄の少女が緑の少女へと飛びかかる。
押し倒し、転がる。
黒い亀裂が走る。
安全地帯から一瞬だけ抜け出して発射されたそれは、彼女たちがさっきまでいた位置を通り過ぎた。
「大丈夫!?」
「あ、ありがとうございます……」
おでこがくっつきそうな距離。
その至近距離で無事を確認する。
黄の少女は素早く身を翻すと赤の少女の隣に立った。
怪物は、もう殻の中へと引っ込んでいた。
「また引っ込んだ。攻撃する時しか出てこないみたい」
赤の少女が抑揚なく告げる。
黄の少女は自分の書いていったノートを、頭の中でぱらぱらと急いでめくった。
過去の自分が、未来のために残していったもの。
「殻の渦の中心を叩けば壊れるはず……!!」
魔法棒を握る。
先端から黄色い突起が生じる。
「なるほど、そのクワで殻を壊して僕がトドメを刺せばいいってわけね」
「これは鎌だけど、そうだよ!! ……頼めるかな?」
「任せてよ。ちゃちゃっと済ませよう」
黄の少女が駆ける。
歩幅を小さくして、ステップを刻むように回り込む。
そのまま回転の力を乗せて、武器を打ち付ける。
手の芯が、揺れた。
磁石の異なる極が反発する感覚。
それが体全体を襲う。
「……っ!!」
それでも、まだ。
軸足を踏ん張って。
跳ね返った力で振りかぶって。
一度でダメなら、何度でも。
「アークスラッシュ!!!!」
反発する力を切り裂くように。
力が確かに流れ込んだ。
黒い殻が割れて、中からグニャグニャしたものが……
あんまり詳しく説明したくないものが出てきた。
「うへえ……気持ち悪。まあでもこれで……終わりだよ」
赤の少女の手にした棒が、真っ赤に輝いた。
「剣!!!!」
一瞬で間合いを詰め、振りぬく。
黒いものの上部分と下部分の間に空間が出来上がる。
うねうねと、滑らかな動き。
それが終わった時、怪物は完全に消えていた。
「やった……!!」
黄の少女は感嘆の声を上げると、
そのまま傍らの二人へと声を掛ける。
足は待ちきれず、もう研究所へと動いていた。
「ごめんね!! 私、急いで行かなきゃなんだ……!!
また会えたらいいね!! じゃあ!! またね!!」
風のように去っていく黄の少女。
取り残された二人の少女。
そして、その視線を突っ切っていくひとつの影。
「待ってってば~!! ぜえぜえ……はあはあ……うっぷ!!」
先ほどの少女とは対照的な、へなへなとした足取りはそのまま研究所へと吸い込まれていった。
残った少女のうち、赤の少女が口を開いた。
「……何あれ? 研究所、もう危なそうだから避難した方がいいんだけど」
「……」
「伊藤さん? さっきから静かだけど?」
「真赤さん、わたくし決めました」
「何を?」
「生涯を添い遂げるパートナーを……!!」
赤の少女がうなだれる。
「面倒なことになりそう……」と小声が漏れた。
「自分の身をかえりみない勇猛さ……!!
周囲を照らすかのような朗らかな笑顔……!!
体を押し倒された時に感じた暖かい吐息……!!
この方こそが私の運命の相手……いいえ!!
そうでなくても掴み取って見せます!!」
「そう、よかったね」
「……真赤さん。お世話になりました。止めないでくださいまし」
「いや、止めないけど」
「しかし研究所は危険そうですね……。早くあのお方を探さなければ。
真赤さん、いっしょに行きましょう」
「一人で行くみたいな流れに聞こえたんだけど?」
「私だけでは戦力的に不安なので……!! 二人きりのEチームのよしみではないですか!!」
「こういう時だけそれを持ち出す……」
「ええい!! 問答無用ですわよ!! 私を守りなさい真赤さん!!
我らEチーム最後の戦いです!! 私はあのお方がいるところへ移りますので……!!
終われば、あなたはどこへなり好きなところへどうぞ……!!」
緑の少女が赤の少女の手を取り、引きずる。
体の力を抜いた状態の赤の少女がつぶやいた。
「ま、どちらにしろ連れ戻しにはいかないとね」
それにしても、と赤の少女は研究所の全体を一望する。
研究所の真上では黒い雲が渦巻くように、その巨大さを増していた。
まだ記憶にもある、この町のモンスターの大量発生。
それよりも異常な事態が起こっているのは明白だ。
然るべきところが、然るべき判断をして、然るべき対処をする問題。
「……何も変わらないと思うけど」
空気をわずかに揺らしたその言葉は、目の前の事象に対してあまりにちっぽけで、取るに足らないものに思えた。
黄の少女は建物の中へと足を踏み入れた。
いつもと同じ場所、違う光景。
見慣れたその場所は薄暗くて、知らない場所みたいだった。
辺りを見渡す。
受付にも、人はいない。
不安ではあるが、人がいないのはちゃんと避難できている証。
そう言い聞かせる。
少女の足は、少し震えていた。
これは汗や、くしゃみと同じだ。
そう自分の中で唱える。
幼馴染の行った先を考える。
自分と彼女で、見たものはいっしょだ。
それならどこへ向かうか。
黄の少女が階段へと足を伸ばす。
その時だった。
「!!」
黒いものが通路脇から飛び出す。
太い線状のそれは宙に浮かび、上下にヒレのようなものが付いていた。
「邪魔しないで……!!」
魔法棒を構える。
弱点は、わからない。
「ちょっと待ちなさいってば~!!!!」
飛んでくる声が背中を冷やす。
まずい。
もしも、自分が狙われなかったら。
どこを向いているとも知れぬ怪物が、加速した。
「え!!」「うおおおおお!!」
黄の少女は横に飛んでいた。
魔法棒の両端を左右の手で握り、踏ん張る。
黒いものが衝突する。
黄の少女の顔が苦痛で歪む。
体が後ずさる。
姿勢が倒れかける。
みしりと音が鳴った。
魔法棒は、最も負荷のかかった中央からひび割れていき――。
無残にも真っ二つに折れた。
悲鳴が二つ、重なる。
少女が、少女へと駆け寄る。
「だ、大丈夫!? 早く逃げましょう!! 逃げよう!!!!」
「……影ちゃん。安全なところへ行って」
「何言ってるの!? 早く!? こんなのかないっこない!!」
「こころちゃんを……ひとりにしたくないから……」
「無理よ!! 最初から無理だったのよ!! こんなところ来るべきじゃなかった……!!」
震える声が辺りに響く中、怪物は悠然と舞っている。
規則なく、ただ存在を誇示するように。
少女がまた、立ち上がる。
「私は……みんなが笑顔で……いるべき場所にいれたら……って」
「こ、こんな時に何を言ってるの……?」
少女が割れた棒の片割れを握る。
「でも……こころちゃんは今、ひとりなの……!!
私は、ずっとそばにいて、少しでも話をしようって……!!
言葉にしないと、わからないから……!!」
「な、何を……」
少女が怪物に向き直る。
「それが正解かなんて……ずっとわからなくて!!
でも私にはそれしかできないから……!!
だから!! まだまだ!! これで終わりになんてしたくないよ!!
もっと確かめたいから!! この先の未来を、見たいから!!!!
間違えてたって!! 少しずつでも前へ進みたいから!!!!」
「……」
少女の手が黄の光を帯びた。
黒いものはこちらに突貫していた。
武器はすっかり短くなった。
それなら――。
「アークチェーン!!!!」
怪物の横を通り抜けた鎖が、180度、折れ曲がる。
鎖が怪物へと巻き付く。
勢いは少しも落ちていない。
それでも何重にも、鎖を巻いていく。
怪物がどんどん大きく見える。
思わず目をつぶってしまいそうなその距離で。
怪物は止まった。
後ろから引っ張られて、ばたばたと左右上下に動きながら。
「はあ……はあ……!!」
「ちょっとあなた……!! 限界じゃない!!」
「影ちゃん!! 早く逃げ――」
「今更何言ってるのよ!! これで逃げたら目覚めが悪すぎるじゃない!!!!」
ベレー帽の少女が首を振って、「どこ!?」と連呼する。
「あなたの魔法棒の切れ端!! 実は私も魔法少女なのよ!!
倒せばいいんでしょおおおおお!!!!」
黄の少女が力を込めながらも驚きの声を上げる。
怪物がまた、ガンガンと鎖を揺らす。
「そ、そこら辺にない!?」
「そこら辺ってどこお!? ないわああああ!!!!」
鎖の一部が砕けた。
「影ちゃ――」「うおおおおらああああ!!!!」
一発。
紫の弾丸が怪物へと着弾していた。
「影ちゃん!!」
黄の少女が叫んだその先には――。
何も持っていない紫の少女がいた。
「な、なんか気合で出ちゃった……!!
でもコツはわかった気がするわ……!!」
紫の弾丸が次々に怪物に撃ち込まれる。
弾ける黄の鎖。
紫の泡沫。
黒の蒸気。
「シャドーマシンガン!!!!」
鎖から解き放たれた怪物が、そのまま斜め上を向く。
「離れて!!!!」
黄の少女が紫の少女を抱きかかえる。
轟音が鳴る。
怪物が地に横転する。
その姿は霧が晴れるように、次第に見えなくなっていった。
「やっ……た……?」
信じられないという表情を浮かべるベレー帽の少女。
その髪は毛先まで紫に染まっていた。
「うん……やったよ……私たち……!!」
黄の少女が行く先を見据える。
階段までの道を阻むものは、もう何もない。
二人分の、荒い息の音だけが聞こえる。
少女が、改めてヘルメットをかぶりなおした。
「影ちゃんはもう戻って……危ないかもしれないから」
「戻ってって……あなたはどうするの?」
「私は行かなきゃ。だって私は……。……」
「……? なんなの?」
「……わからないけど、行かなきゃ」
足はもう震えていない。
「行くって……あなたもう魔法力が……」
ヘルメットをからはみ出した毛は、もうほとんど黒色。
絵の具の黒に黄色を垂らしたような。
「それでも私が――」
行かなければいけない。
この世界を救うために。
「影ちゃん、またね!!」
少女がまたも駆けていく。
静かな、暗い空間に取り残された方がぽつりとつぶやいた。
「何でこの状況で行っちゃうのよ……全然わかんない……!!
戻ったらあの子は……でも……助けるっていっても私にできることなんか……」
少女は手を上へ伸ばしていた。
頭にかぶったそれの感触を、すがるように確かめる。
「どうしたらいいの……お母さん……」
戦いは終わった。
反魔法力をまき散らすそれに突撃し、私は一撃を放った。
勝利。
屋上に風が吹き抜ける。
私の体が冷気に晒される。
もう一度、脳裏に浮かんだ二文字を直視する。
いくら考えてもそれ以上の意味なんてないはずだった。
くだらない。
くだらないくだらない意味なんてない
何も起こらない何も変わらないそれが確認できただけ
こんなことをしてもゆめは――。
一瞬だった。
世界が、めちゃくちゃに、おもちゃ箱をひっくり返したみたいに。
がたがたと、はげしく、ぐるぐると回った。
私は真っ暗な空を見上げていた。
手足は伸びていたが、力が入っていなかった。
糸の切れた人形のようだと思った。
人形が、らしくなく顔を上げる。
人形が自我を持っちゃダメだ。
哀れなそれが、自分の立った舞台に気づく。
目の前にいたのは黒い塊――今までに見たことのない怪物。
大きさはそれほどだがその中にどこまでも深い黒を飼っていた。
不思議だった。
体は震えなかった。
脈も心拍も正常だった。
泣き叫びもしなかった。
全身の細胞は、まるで活動を放棄したみたいに静まっていた。
倒したと思っていたモノは、外皮にすぎなかった。
他よりもむしろ力が強かったから、間違えていた。
相手は私より、ずっと強大だった。
おわりを直感する。
私はずっとこれを待っていたのかもしれなかった。
罰を与えてくれる存在を。
あの時に、続いてしまった命の結末を。
時間が止まったみたいに、頭の中に単語が反芻する。
ゆめ、ゆめ、ゆめ、ゆめ……。
そうだこれ以外、考えちゃいけない。
ゆめ、ゆめ、ゆめ、ゆめ……。
あの日からずっと、そう生きていた、
いや、生きているだけの日々だった。
ゆめ、ゆめ、ゆめ、ゆめ……。
これ以外はわたしにはないんだ。
そうだ、そうだ、そうだ。
「……ちゃん」
枯れたはずの心から、涙が流れていた。
黒いものがこちらへと向いた。
「……ころちゃん!!」
ゆめうつつ。
まるで体が浮かんでしまっているような――。
「こころちゃーーーーん!!!!」
声が聞こえてきた。
ねむりにつこうとした細胞が、そのひとつひとつが叩き起こされていく。
ここに、いるはずがない。
でも確かに聞こえてきた。
静寂が引き裂かれる。
たどたどしく、力強い足音が聞こえる。
鋭く、でも優しい声が空気を震わす。
目に飛び込んだその姿は、
いつも目にしていた幼馴染の、目にしたことのない姿だった。
まるで、全身がくしゃくしゃになったみたいに
汚れて、歪んで、乱れて。
ヘルメットからはみ出た髪の毛は、
黄色とは呼べない、彩度の低いもので。
手にした魔法棒は真っ二つに折れていて。
それでもその子は、こちらへとまっすぐに突っ走っていた。
逃げて。
その一言が出てこない。
体を急いで呼び起こす。
口の開き方を、喉の振るわせ方をやっと思い出す。
「逃げて!!!!」
その言葉はまるでなかったもののように、
少女には何の変調ももたらさなかった。
「魔法力だってもうない!!!!」
もう戦わなくていい。
だから、そう言ったのに。
魔法少女が戦えなかったらそれはただの――。
「魔法力がなくても私は……!! 私は……!!」
震える空間で、その言葉は確かに耳に入った。
「魔法少女じゃなくても!! 私はこころちゃんの友達だから!!!!」
少女の体が、黒いものに向かっていき――。
あっけなく突き飛ばされていた。
黒いものがその向きを変えていた。
その先には床に屈した無垢な少女が――。
「だめええええぇぇぇぇ!!!!」
甲高い悲鳴と、喉が焼き付く感覚。
それが私の意識の最期の記憶だった。
私は何もない、白い空間にいた。
どこまでも広がる、白。
自分の体すら、そこにはなかった。
桃色の光が見えた。
とても淡くて、優しい光が。
奪え。
奪え奪え奪え奪え。
奪え奪え奪え奪え奪え奪え奪え奪え。
そのためのお膳立てをしてきた。
幾多の道を、対称につなぎ直した。
不完全な其れを元に戻す。
全てをやりなおせ。
この世界を修復しろ。
私の記憶に何かが流れ込む
奪え奪え奪え奪え
私は必死にそれを振り払って
奪え奪え奪え奪え
私は目の前の光を再度みた。
奪え奪え奪え奪え。
私は――。
私は光に手を伸ばして、そして――。
光をそっと撫でた。
やめろ。
やめろやめろやめろやめろ。
やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ。
私は奪うよりも与えたい。
誰かを犠牲にする勝利なんていやだ。
だって私たちの世界は、私たちひとりひとりだから。
光が大きくなっていく。
その形が体育座りをした少女の後姿になる。
少女は背を丸めて、顔を隠していた。
――ずっとつらかったんだね。
声をかけても何も返ってこない。
私はその背中にそっと触れた。
――大丈夫だから。
――全てを失った。
――あなたがつらくなったのなら。
――もう何も残ってない。
――私がその代わりをするから。
――でも、もしもやり直せるなら。
私がこころちゃんの代わりに戦い続ける世界を――。
ゆめではなく私が犠牲になる世界を――。
――私は願う。
――名前に、運命にしっかりと刻み込んで。
――いつまでも続く輪廻で、勝利のない世界で。
――ずっと待ち続ける。
――あなたのことを。
また、朝が始まる。
私は着替えて、支度をすると今日もまたパトロールに繰り出す。
こうして自分が頑張って、誰かが――誰かが救われるのなら。
いくらでもこうやって頑張りたい。
名前に刻み込まれたそれを確かめるように、
私は独り言をいうのだった。
「だって私は、真田天だから」
続