魔法少女GL ~女の子たちの初手はいつだってルームシェア時空!!~ 作:MOPX
みなさま、ごきげんよう。
伊藤花、小学6年生です。
以後、お見知りおきを。
たった今、甦った私の記憶。
この世界が幾度と繰り返してきた歴史。
書物にも、ニュースにもならないそれに、私が気づいたのはいつのことでしょうか?
恐らくは天さん――おっと失礼、真田天さんに見惚れていた時に感じたドキドキ。
これこそがきっかけとなりました。
本当に自分はもともと、こういう人生を送っていたのか。
こんなにも心を許せる存在が、果たして自分の人生に存在したのか。
やがて私は、今の人間関係は自分が望んだ末に掴み取ったものだと確信するようになりました。
つまりは運命を蹴っ飛ばして手に入れたもの。
……ですが、それすらも元凶にとって都合の良い、偽りの運命だったのだとしたら。
有限のボードの上に位置する駒に過ぎないのだとしたら。
これに対処する方法はひとつです。
全てを知ること。
どこまでが決まっているのか、決まっていないのか。
正しく知り、正しく選べれば臆することはありません。
それができた時に私たちは運命からの自立ができるのかもしれません。
子が親から離れていくように。
「それ、何」
訝しげに聞いてくる声にも私は懇切丁寧に答えます。
「根を応用したセンサーです。できる限りこれを広範囲に張って
天さんの魔法力を発見します」
勝鬨のごとく天高く掲げた魔法棒。
その先から周囲数メートルに毛細血管のごとく、緑の根を張り巡らす。
根の先から、全方位に魔法力を飛ばして反応をみる。
反応した根の方向が天さんの居場所、という設計です。
他の人間が使用していたセンサー能力、どうして私にできないと言えようか。
「急に真っ黒になって襲ってきたりしないよね、それ」
真赤さんもしばらく見ないうちに、
ずいぶん冗談が上手くなったものです。
手にした魔法棒はしっかりと赤く染まっているようで。
「いざとなったら切り飛ばすから」などという威勢の良い啖呵も聞こえます。
頼もしいことです。
「それでわかったの、真田さんの位置」
「……」
「わからないの?」
「1時か3時か6時の方向です」
「三択じゃん」
むっとした私は右へと睨みを飛ばします。
真赤さんは少し離れた位置で涼し気な顔をしていました。
「わかんないならもう行こうよ。研究所で合流した方が早くない?」
言いましたね。
そんな言い方をされては私の沽券に関わる。
私と天さんの絆パワー。
それが確かにあるならばこの程度、造作もないことを知らしめましょう。
感覚を研ぎ澄ます。
あの方の顔を思い浮かべる。
私に微笑みかける天さん、私に照れ笑いを浮かべる天さん、私にドギマギする天さん……。
前方斜め前の根がピクピクと反応するのを、私は確かに感じ取った。
「間違いありません!! 天さんは1時の……」
「花ちゃん~~~~!! 真赤ちゃん~~~~!!」
自分たちを呼びかける声が聞こえる。
……真後ろから。
「あ、真田さん……と村田さんだよね。久しぶり」
「花ちゃんも真赤ちゃんも無事だったんだね!! よかった~」
「高橋真赤、私の名前を覚えているということはあなたも理解したってわけね」
「そんなところ。でもどうやってここに?」
「どうもこうも。私のビットがやたら高い魔法力を察知したから……
戦闘でもしているのかと思ったわ!!」
「うん、もし危ないなら助けなきゃーって!!」
私の後ろでワイワイと賑やかな音が聞こえます。
高い魔法力を発散してそれを天さんと同行しているであろう村田影に探知してもらう。
どうやら作戦は成功したようですね。
天さんと合流した私を待っていたのは更なる苦難でした。
同行していた村田影……さんが「こいつとはいられないわ!!」と駄々をこね出したのです。
「こいつとはいられないわ!!!! 何回!! 私たちを裏切ったと思ってるの!?!?」
「え、影ちゃん、ちょっと落ち着いて……」
「真田天!! あなたもあなたよ!! いくらお人よしでもこいつは認めてはいけないわ!!」
「さんざんな言われようじゃん」
真赤さんが珍しくニコニコと笑いながら私を見てきました。
普段の意趣返しのつもりでしょうか。
許しません。
「ふう……私が身を呈して情報を集めたというのに……」
「何よ!! どうせハッタリでしょ!! あんたはいつもそう!!
中身がないのよ中身が!! いっつも思わせぶりぶりブリ大根!!!!」
「え、影ちゃん……私もブリ大根は結構好きだけど……!!」
「僕も正直、伊藤さんが何がしたいのかわからない」
「ま、真赤ちゃんまで……!!」
影さんと真赤さんを天さんはわたわたと説得をしていました。
おいたわしや。
こうなれば私も人肌脱がねば……失礼、一肌脱がねばなりません。
「いいでしょう……、あなたたちに今こそお話します……。
そもそも私たちはどうすればこのループを終わらせることができるのかを……!!」
「え……!?」
天さんと他二名の驚きの眼差しがこちらに向きます。
良い感触です。
そもそも、この戦いの「終わり」について考えていたのは私だけでしょう。
「ふふふ……、興味を持ったようですね。
では質疑応答といきましょうか」
「じゃ、僕から。君はもうでかくなって暴れないよね?」
「もう……ってこの人でかくなったの……?」
心なしか先ほどよりも低い声のトーン。
影さんは小心者とみえます。
「ええ、必要ありませんから」
「じゃ、私も質問。今の状態で暴れるって意味だったら怒るわよ?」
なおも疑り深い視線にため息が出る。
そもそもどこから話せばいいのか。
「いいでしょう。まずループに関する私たちの記憶は魔法力に保存されています。
更に、みなさんもご存じの通り私は反魔法力を有することができる特殊体質です」
「……。それで?」
話を促す影さん。
「だから考えたのです。博士の反魔法力を体に取り込むことで、
その記憶を覗きこむことができる、と」
「ええ!? それってよくわからないけど危ないんじゃないの!?!?」
「はい、危ないです」
口を開いてこちらを心配そうに見つめる天さん……。
そう、これが妥当な反応なのです。
「私がそこで見たもの。ループが起きる前から、この世界に至るまでの永い記憶……。
ループが起きる瞬間、そこにいたのは田中こころ……こころさんと天さんでした」
「真田天……!? あなた……やっぱり……」
「とりあえず話を聞かない? 判断はそれからにしよう」
「……うん、いいの」
天さんはこちらをまっすぐに見つめました。
絡みつく視線。
感じたのは悦びよりも羨望。
私がやりたかったこと、その一部を担っていたのはこの少女だったのだから。
「順を追って話しましょう。我々が倒すべきは博士に巣くっていた反魔法力……。
この星の反魔法力の起源とも言うべき存在……アンチマジック・ゼロとでも呼びましょうか。
やつはこの星の地中深くにずっといたのです。我々がモンスターの存在を認知する前から」
深く暗い地の底で。
それは眠っていた。
「……変な呼び方なんかしなくても村田零のことでしょ」
「いえいえ、博士とやつは完全に別の存在。
私にとってもそこは曖昧にしてはいけないところです」
「……そ、ありがと」
「それで……その……ええっと、アンチマが毎回悪いことをしてるんだよね……?」
真剣な顔つきの天さんに私は答えます。
もっとも可愛らしさを隠しきれていないのですが……。
「だとしたらその目的って何? 単なるモンスターじゃないよね」
「真赤さん、良い質問です。アンチマジック・ゼロの目的……。
それはずばり、生存本能というやつです」
「でもそれってあらゆる生物が持っているものじゃないの?」
「もっと純然たるものですよ。やつの存在そのものがそれだと言っていい。
自己に向けられたあらゆるエネルギーを己の寿命へと変換し、食らいつくす怪物……。
この星の資源を、物質を、エネルギーを……全て己に取り込むのですよ」
「ちょっと待ってよ。僕らそんなのと戦ってたの?」
「そうですよ。ループ直前に起こしていたのがその予備行動です。
この星を反魔法力で覆って己に取り込む……。
それが終われば今度は宇宙にでも飛び出すのでしょうね。
そうやってこの宇宙全てを自己の存在そのものに統一する……」
うへえ、面倒な相手、と真赤さんが舌を出す。
面倒くらいで済ませるあなたも大概ですよ、と手を広げてやった。
「ですが倒す手段はもちろんあります。
やつとてその組成自体は一般的なモンスターと大差ありません。となれば鍵を握るのは……」
「魔法力……だね」
「ご名答です、天さん」
私が微笑むと目の前の少女からも笑みが返る。
「我々人類が魔法力を先に発見したのでこうした名前になっていますが、
もともと先に存在していたのは反魔法力の方です。
地中深くに眠っていたそれに対抗するため、
この星がいわば抗体として分泌したエネルギー……。
反魔法力が宇宙へと漏れぬよう、地表を覆っていたそれが、
知的生命体である我々の脳に反応したに過ぎません」
「でもそれをたくさんの人が大切にしたから、今がある……」
「ええ。当初は何の利用ができるかもわからず研究の予算ももらえなかった。
それを博士が学問として確立させ、モンスターに対抗する力となりました」
天より舞い降りたものは何なのか。
多くの人が見向きもしなくても、恋焦がれた者もいた。
「そのナントカってやつのことはわかったわよ。
じゃあループは? なんでそんなことが起こってたのよ」
影さんが睨みをきかします。
「言ったでしょう? アンチマジック・ゼロは純粋な生存本能……。
やつ自身が、死を察した時に時間を巻き戻しているのですよ」
「はあああ!? 何それ!? ラスボスがリセットボタンを押してるってこと!?
ズルじゃん!!!!」
ラスボスがリセットボタン。
あまり好みではない表現ですが、ある意味では的確でもある。
私たちは決して勝つことのできない戦いを強いられていた。
「厳密に言えば過去の空間的状況の再現ですがね。
ループする瞬間に放たれていた光のようなものが、この宇宙全体を作り直していたのですよ。
魔法力だけはその影響を逃れることができるため引き継ぐことができたのです」
「横説が正しかった……ってわけか」
ふんふんと頷く影さん。
何のことかはわかりませんが納得はいただけたようで。
私にとってはここまでが前提で、これからが本題だった。
もう一度、天さんの顔を見る。
そのあどけなさの中に、一体どれほどの記憶を積んでいたのか。
少女の高潔さを。
ある種の純粋さを。
知ってしまったあとだから。
私は頭に付けているアクセサリーを撫でた。
その冷たさは不純物のない、直接、指に響くような感覚。
私の求めた不変のものはここにあったのかもしれなかった。
もう一度、好きだと自覚していいですか?
「このループを解く鍵こそが田中姉妹……。
こころさんとゆめさんにこそあったのですよ……!!」
目の前の暴走癖のある少女――伊藤花の話を聞きながら、
無意識に口を大きく開いた。
何かをしゃべったとか、呆れたとか驚いたとかじゃない。
アクビが出てしまったのだ。
最初こそこの女に対する怒りで満ちていたが、
話を聞くうちにとりあえず落ち着いてはきた。
代わりに、この話はいつ終わるのだろうという疑念が満ちてきた。
真田天は目を見開いて、伊藤花の話に聞き入っている。
私は少し悩んだが、高橋真赤の体を小突いて耳打ちした。
能動的に話しかけたこと、あったかな。
されど勇気を出して話すことにする。
私だってもう立派な魔法少女の端くれなのだから。
「話、ちょっと長くない?」
「まあ休憩だと思えばいいんじゃない」
「なるほどね」
「これで全部伊藤さんの妄言だったらウケるよね」
「確かに」
返事をした後で、むくむくもやもやと違和感が湧いてくる。
それは全く洒落になってないわよ、高橋真赤。
この子も一癖、あるわよね……。
「この戦いを終わらせる鍵がこころちゃんとゆめちゃん……!?
花ちゃん、それって……!!」
真田天の声が響く。
あたりは相変わらず黒い雲に覆われている。
一体どれくらい、私はこの光景を見ていたのだろう。
「ええ。もともとループする力はアンチマジック・ゼロには備わっていなかった。
それをもたらしたのは……こころさんの魔法力なのです」
「……」「え……!?」「へええ」
私たちの驚きがこだまする。
まだ、信じない。
伊藤花は田中こころのことを嫌っていたはずだ。
田中こころ。
いつだったか、あの怪物に捕まっていたこの少女は
溢れんばかりの量の魔法力を放っていた。
普通ではないと思ってはいたが、実際に話せば、気さくでガサツで、
妹のことを良く話す普通の少女だった。
「そう、これでやっと話が最初に戻せます。
初めてループが起こった時に目の前には確かにこころさんがいたのです。
その時に何があったのかはわかりません。
しかしゼロがそれ以降、こころさんの魔法力に目を付けたのは間違いありません。
彼女の魔法力を奪うことでゼロはより力を付けて、計画を早めていた……」
「ちょっと待ちなさいよ!!」
私は思わず口を挟んだ。
まるで情報の濁流。
どこかでせき止めないと、流されてしまいそうだ。
「私は覚えてるけど……ゼロが計画を発動した後も田中こころはめちゃくちゃ魔法力を出していた気がするわ!!
だからその論は成り立たない!!!!」
「……ですから」
緑の少女が細い目をこちらに向ける。
侮蔑の視線かと思いきや、それは諦観の色を帯びていた。
「奪われてなお、とんでもない量の魔法力が眠っているのですよ。
こころさんの体には」
一瞬、何を言っているのかわからなかった。
「しかも妹さんの肉体を復活させるのに力を使いつつ、ね」
「……どういうこと?」
今度は隣の少女が口を挟む。
いつか話してくれた真っ赤なマフラーが今日もたなびいていた。
「彼女……田中ゆめはこの世界には存在しないもの。
ループが起こる前の世界、確かに田中ゆめは存在しなかったのです」
「もう……この世界から離れていたから」
唐突な言に私たち全員の視線が向く。
神妙で、されど瞳の輝きは力強い。
真田天は自分の言ったことを確かめるように
静かにたたずんでいた。
「でも、ゆめちゃんは確かにいたよ。この世界に」
赤の少女のすがるような一言。
「うん、ゆめちゃんはいる。
だから私はこころちゃんもゆめちゃんも、みんなが穏やかに過ごせたらいいなって――」
私にもわかってきた。
物語には終わりがあるんだ。
ページを捲れば、残りが少なくなっていくように。
そして今、私たちの『物語』はそこに向かっていることを。
「それがそもそもの発端であり、綻びだったのです。
こころさんがゆめさんのために創った世界。
だから終わらせるのもまた、こころさんなのでしょう。
そのためにゆめさんを接触させる必要があった」
「だからゆめちゃんを連れて行かせたのかよ!!
何も知らなかった僕とゆめちゃんを!! 君は!!!!」
少女が吠える。
真田天がそれを手で静止する。
「やめて真赤ちゃん。こうなったのも私のせいなの……」
「……真田天?」
「私はこころちゃんが何も知らずに平和に過ごせたらって……。
それが一番いいってずっと思っていた。戦うのは私だけでいいんだって……」
「何を言っているの……あなたは?」
「でも結局、私だけじゃ無理だったからみんなを巻き込んじゃったんだ……」
「真田天、あなた……。もしかして全部――」
覚えていたっていうの?
その一言は、喉まで出かかって、引っ掛かって止まった。
つっかえていたものは、恐怖だと思う。
「……全部じゃないよ。本当に全部覚えていたら……」
まるで気持ちを吐き出すように。
真田天は身を歪ませていた。
その姿は私が見たことのないはずのものだった。
「みんなもっと助けることができたはずなんだ……!!
私がそれをできなかったから……!!」
真田天の声は震えていた。
ああ、そうか。
この子はずっと悩んでいたんだ。
ひとりで。
誰にも悟られることなく。
言ってくれればよかったのに。
「……天さんが戦っていなければ世界はもっと早く滅んでいた。
ですからそんなことはもういいでしょう。
後はこころさんとゆめさんが決めることです」
「ゆめちゃんは……? 彼女、すごい思いつめてた。
この世界にもともといなかったって……そんな理由で見放すなんて……!!」
「言ったでしょう。こころさんとゆめさんが決めることだと。
真赤さん、あなたも研究所に着くまでには覚悟を決めなさい」
高橋真赤は憮然とした表情で言葉を漏らしていた。
それは独り言のようだった。
「……もともとどうしようもなかった。
だからって、見届ける覚悟っなんて……そんなの……」
困惑、後悔、嘆き。
いろんなものが私たちの間に渦巻く。
それを振り払うのは、やはりというか。
いつも笑顔を振りまいていた少女――真田天だった。
「……私、行くよ。こころちゃんが待っているから。
きっとあそこにいるから」
研究所は相変わらずの様子だった。
屋上の更に上、巨大な黒い繭の中。
あの中に田中こころはいる。
伊藤花が続いた。
「ふふ、私もついていきますよ。
天さんとご一緒なら、たとえ地獄の釜の底までも……」
高橋真赤がため息をついた。
「どうなったかを見届けて、それで帰るよ……。
僕がそうしたいから、そうする」
3人の視線がこちらに向いた。
……?
あ、これって私も一言、言う流れか。
どうしよう、何も考えてなかった。
「ええっと、じゃあ……」
頑張って頭の中をほじくりかえす。
脳内の名言集を漁ってみる。
だめだ、何も出てこない……。
「みんな、しまっていくわよ~!!!!」
「ブフッ!!!!」
真田天が吹き出す。
ちょっと失礼じゃない?
「よ~し!! 私も気合いれてくぞぉぉぉぉ!!!!
シマッテコー!!!!」
「へ、変に乗らなくていいから!!」
手を上げて掛け声をあげられるとこっちが恥ずかしくなる。
でも良かった。
この子も元気が出たみたいで。
たとえ無理をしてたって続かないんだから、どこかで休みは必要なはず。
自分がその止まり木になれたら、それで十分。
……なんて考えていたら、
伊藤花が寄って来て、露骨に嫌な顔をするのだった。
「それくらいにしてもらいましょうか。
天さんは差し詰め公共のインフラ。みんなのもの、なのですから……」
「意味わからないから、それ。あと話が長いのよ!!!!
結局、アンチマは悪いやつ!! それを倒すには田中こころの力が必要!! でもその田中こころが捕まっているから助けに行こう!!
この三本立てでしょ!!!!」
伊藤花がやれやれと両手を横にする。
人を小馬鹿にした態度。
相変わらずこの人とは仲良くなれる気がしない。
でも、嫌いという感情とは違うのかもしれない。
あまりにどういう人間か知りすぎてしまったから。
「もういいでしょ。休憩終わり。早く行こうよ」
「高橋真赤、あなたは本当にマイペースね……」
「まあまあ……」
もう何歩分も先に行っていた高橋真赤。
私をなだめる真田天。
何の因果か集まった私たち。
本当に性格ばらばらで会話はちぐはぐ。
そのはずなのに、いっしょにいれるのは何でなんだろう。
ベレー帽をかぶりなおす。
セーラー服をはたいて整える。
お母さんとお父さんから継いできたもの。
きっとこれからも、たくさんのものを継いでいくし、
たくさんのものを継げていく。
だから終わりじゃない。
こんな戦い、私、村田影のヒストリーのほんの1ページにすぎないんだから。
なんて考えていたら、みんなはもう歩き出していた。
「ちょっと待ちなさいよ~!!」
見ててね、お母さん、お父さん。
私たちの進む道は、私たちで切り開くから。
そう思って一歩を踏み出した。
きっとこの道は未来へ伸びていると信じて。
続