魔法少女GL ~女の子たちの初手はいつだってルームシェア時空!!~   作:MOPX

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初めてのお邪魔します

「お邪魔します」

 

インターホンが鳴ってすぐさま玄関に出迎えると

その子は礼儀正しく一礼し、靴を脱ぎ始めた。

トレードマークの真っ赤なマフラーが今日も印象的だ。

 

家に友達を招き入れるのは、幼馴染である天ちゃんを除けば

久しぶりかもしれなかった。

 

高橋真赤さん。

少し落ち着かない様子でマフラーを両の手で触っている。

 

「いらっしゃい。えーっと……」

 

私はどう切り出せばいいものか困った。

母親には来客があることは伝えているし、高橋さんも時間通り……の5分前に来てくれた。

 

何の滞りも問題もない、

が、積極的に振る話題もまたなかった。

 

「あら、その子が高橋さん? よく来てくれたわね」

 

「はい、田中さんのお母さんですよね? 初めまして。本日はお邪魔します」

 

「礼儀正しいわねえ。誰かさんは見習わないと、ね」

 

「お母さん、それ言わなくていいから」

 

奥の居間から私の母が出てきて、にこやかに来訪者に語りかける。

最後の一言にはむっとしたが、正直助かった。

沈黙が続けば、ますます自分も高橋さんもしゃべりづらくなっていたかも。

 

こういう時、自分はやっぱりまだ子供なんだなと実感する。

 

「お土産も持ってきたのでよろしければ……」

 

「やだ!! お土産!? いいのいいのそんなに気を遣わなくて!!

むしろこっちがもてなそうとおやついっぱい用意したんだから!!」

 

「え……でも……」

 

「こころが天ちゃん以外で友達を連れてくるなんて久しぶりだから……!!

高橋さん、何かしてほしいこととか……」

 

「お・か・あ・さ・ん!!」

 

私が一文字ずつ背中をはたきながら発すると、

母もさすがに、やっちゃったといわんばかりに発言を止めた。

 

「高橋さんも困ってるじゃん。用があったら呼ぶから」

 

「はい、あまり長居しないつもりなので」

 

高橋さんの発言に私の胸がちくりと痛んだ。

母も少し残念そうな顔をすると

じゃあと、高橋さんにくつろぐように声をかけ退散していった。

 

「じゃあ、今日はよろしく」

 

「あ、うん、よろしく」

 

高橋さん、本日何度目かの挨拶。

何だかまだ挨拶以外の会話をしてない気がする。

天ちゃんからどんな子かはある程度聞いているし、

私も高橋さんがゆめにしてくれたことは知っている。

 

それでももともとは会ったことすらない知らない子だから不思議な気分だ。

 

今日の目的を確認する、その場所へ連れていく。

それだけのことでも言葉選びに苦慮した。

 

「えーっと、じゃあ、こっちだから」

 

「うん。……来たことあるから」

 

うんと、私も小さく頷いた。

覚えている。

私がインターホンに出て、高橋さんを招き入れたことがあるのを。

 

それでも高橋さんが初めましてと言っていたのだから、

やっぱり初めましてなのだろう。

 

結局、ぎこちなさ満点のまま話だけ前に進めた。

もふもふとマフラーをいじりながら廊下を付いてくる高橋さん。

 

「えーっと、高橋さんって家どこなの?」

 

「来るの?」

 

「いや、そういうわけでもないけど、ちょっと気になっただけ」

 

「そう。北の方だよ」

 

「北の方かあ……」

 

その後も話題は見つからず、まるで行軍のように黙々と進んでいくのだった。

 

 

 

 

 

廊下を少し進んだところの和室。

その中ほどにある仏壇。

二人で並んで鎮座した。

 

いったん私の部屋に案内することも考えていたが、

そんな雰囲気でもなかったのでやめた。

 

仏壇には写真が飾られている。

ちょっと生意気で、仏頂面も多かった妹の、貴重な笑顔。

もっと小さいころに、自分と遊んでいた時のものだと思う。

 

高橋さんはいつまでもその写真を見つめて、神妙な顔をしていた。

 

この写真を見るたびに胸が締め付けられる。

それでも前を向いて生きていくと決めた。

ゆめと、そう約束したから。

 

でも、前を向くことと、忘れることは絶対に違うものだと思った。

ゆめのことを忘れない。

これは私の決めたことだ。

 

「お線香。あげていい?」

 

私の思考を遮るように高橋さんが言った。

私は頷くと仏壇に置いてあるマッチに手を伸ばす。

火の始末は心得ているので大丈夫だ。

 

私はマッチを1本取り出すとそのまま流れる手つきで火を点け、

仏壇の蠟燭に灯した。

高橋さんはこちらを見つめているようだった。

 

「どうしたの?」

 

「いや、慣れた手つきだなって」

 

「……うん、慣れてる、かも」

 

「……ごめん、そんなつもりじゃなかった」

 

「いやいや、いいって! 高橋さんお客さんなんだから気にしないで」

 

まだ頭を下げながら高橋さんは線香に手を取る。

手に持ったまま、正面を見据えるのだった。

 

線香に火を点け、差した。

 

「火、早く消した方がいいよね」

 

「あ、待って」

 

息を吹きかけようと身を乗り出す高橋さんを制止する。

 

「私も」

 

「……じゃあ、はい」

 

「ありがとう」

 

高橋さんから線香を受け取ると私も線香に火を点けた。

先に立っていた線香の横に立てる。

 

火は火消し用の道具をかぶせて消しておいた。

 

「一回でいいんだっけ」

 

「何?」

 

「鳴らすの」

 

「私は二回。お父さんとお母さんがそうやってるから」

 

「じゃあ二回で」

 

「私と高橋さんの分でね」

 

「それだと四回にならない? どうでもいいけど……」

 

「あはは、じゃあ二回ずつ鳴らそう」

 

「うん、そうしよう」

 

鐘の音が鳴り響く。

 

一回目は伺うような弱めの音。

二回目は周囲に優しく鳴り響く音。

 

三回目は儚くも澄んだ音。

四回目はどこまでも、遠くまで響き渡りそうな音。

 

目を閉じ、手を合わせる。

 

しばしの静寂が続く。

ゆめの声は、聞こえてこない。

でも、絶対に忘れない。

 

目を開いたときに隣から声が漏れてきた。

 

「ゆめちゃんってこんな風に笑うんだね」

 

「……うん。昔はよく遊んだんだ。天ちゃんと三人で」

 

「そうなんだ」

 

「うん」

 

高橋さんはしばらく写真の中のゆめを見つめていた。

その顔から表情を読みとるのは難しいが、

自分の目からすると真剣に見えた。

 

きっと少しでも、ゆめのことを考えようとしてくれている。

 

「……僕はゆめちゃんのことを知らなかった」

 

「……高橋さん?」

 

「こんな風に笑うことすら知らなかったんだ」

 

「これ、珍しいから。私でもそんな見せてくれなかったよ」

 

「僕は……結局、ゆめちゃんの力になれなかったんだ」

 

「そんなことない!! ゆめ、高橋さんに最後までよろしくって言ってたよ」

 

「でも、何もしてあげれなかった」

 

「……そんなことない。高橋さんがいたからゆめは最後に寂しい思いをせずにすんだんだよ。

本当は私が……してあげなきゃ……いけなかったのに……」

 

膝に置いていた手に滴が落ちる。

高橋さんはばつが悪そうに、ティッシュを取り出すとこちらに近づけてきた。

 

ありがとう。

 

私は短く答えるとそのティッシュを使わせてもらった。

 

「ごめんね、気を遣わせちゃった」

 

「いや、僕が悪い。田中さんの方がつらいのに」

 

俯くと難しい顔つきで高橋さんがつぶやいた。

 

「姉妹、だもんね」

 

「……うん」

 

姉妹。

その言葉が私の頭の中にすとんと落ちる。

物心ついた時から隣にいた、1つ年下の妹。

生意気な部分もあったけど、いつも私にくっついてくるように――。

 

「……っぷ」

 

「……? どうしたの? 僕なんかした?」

 

「いやね、思い出し笑い。ゆめ、いつも私にくっついてたんけど」

 

「……? それで?」

 

「一回ね、お父さんが武将の漫画みたいなの買ってきてね。

私は読まなかったけどゆめはすごい気に入っちゃって」

 

高橋さんは不思議そうな顔をしてこちらの言葉に耳を傾ける。

 

「それで漫画の台詞を真似してあねうえ~あねうえ~って私にくっついてきて……ぶふっ」

 

「いや、ウケすぎじゃないの。でもあのゆめちゃんがあねうえ~~~!とはね」

 

「ぶふっ!」

 

「僕ので笑わないで」

 

裏声を使う高橋さんに思わず吹き出す。

困った顔をみせていた高橋さんも、その中に少しの笑みを浮かべているように見えた。

今日、初めて見せてくれた表情かもしれない。

 

「そうだ。忘れてた」

 

高橋さんは鞄からごそごそと袋を2つほど取り出した。

それが何であるか、私にはすぐにわかった。

 

「商店街のたい焼きさんのだよね」

 

「わかるんだ」

 

「天ちゃんとよく行くから。ま……高橋さんも好きなの?」

 

「ん? ……いや好きでもないけど、たまたま目についたからちょうど良いなって思っただけ」

 

「そうなんだ」

 

高橋さんが一瞬、思案したのは私が言いかけた言葉についてかもしれない。

高橋さんはもう気にしない素振りで1つ目のたい焼きを持った。

 

「ここでいい?」

 

「うん、ゆめも喜ぶよ」

 

「……だといいんだけど」

 

仏壇の正面に高橋さんはたい焼きをそっと置いた。

 

「……お土産だよ、ゆめちゃん」

 

私はその言葉を聞いて何となく暖かい気持ちで満たされるのを感じた。

本当に、高橋さんがゆめに出会ってくれてよかった。

 

私がしんみりとしていると、高橋さんがもう片方のたい焼きに手を取っているのだった。

 

「はい、君も」

 

「え?」

 

「お土産。こっちは君の分」

 

高橋さんがたい焼きをこっちに差し出してやっと理解した。

もうひとつは私の分だった、ということらしい。

 

「受け取れないって。高橋さん食べてよ」

 

「そうはいかないよ。最初からそのつもりで買ったんだから。

なんなら二つともゆめちゃんの分になるけど」

 

うーんと私が唸る。

 

幼馴染の天ちゃんから高橋さんのことを聞いた時のことが思い出される。

我が幼馴染は、満面の笑みで答えるのだった。

 

真赤ちゃんはね、真面目で頼りになって優しいよー!

 

頭の中の天ちゃんはそう言ってニコニコと笑みを浮かべてご機嫌だ。

確かに真面目なのかもしれないが少し頑固な面もありそうな。

高橋さん情報に追記した方がいいかもしれない。

 

しかし、脳内でニコニコとしている幼馴染は私に閃きを与えてくれたのだった。

 

「じゃあ半分こでどうかな」

 

高橋さんが驚いたような顔を見せる。

少しの間をおいて、かすかに口元が緩んでいた。

 

「じゃあ、それで」

 

きっと私の口元も緩んでいたんだと思う。

ちょっと大げさかもしれないが、これは私たち友好の証だ。

このたい焼きの味がいつまでも良い思い出になればいいな。

 

そう思って私はたい焼きを尻尾の分け目から真っ二つにした。

 

「ちょっと待って!? そう分けるの!?」

 

半ば叫ぶような声をあげる高橋さん。

無理もない。

私もこの分け方を提案された時は頭に稲妻が走ったものだ。

 

「いいでしょこの分け方。これなら綺麗に分けれるから胴体派も尻尾派も満足できるよね。ふふん」

 

「なんでちょっと得意げなのさ……」

 

「あ、この分け方思いついたのは天ちゃんだから!! 褒めるなら天ちゃんを褒めてね!!」

 

「……そうなんだ」

 

そう言うと高橋さんは何か考え込むように静かになってしまった。

あまりに感銘を受けて言葉が出ないのかもしれない。

 

「君ら、本当に親友って感じだね」

 

よくわからないが褒められている。

私は何だか照れくさくなったが、代わりに鼻をならしておいた。

 

「よし、食べちゃおう。高橋さん買ってきてくれて改めてありがとね。

いただきまーす!」

 

「……いただきます。あんここぼれそうなんだけど、これどうやって食べるの」

 

私たちはテーブルに向かい合ってたい焼きを頬ばった。

 

おいしい。

やっぱりこのお店の味が一番好きだ。

 

残すは尻尾だけになってしまった。

 

「今日はお邪魔しました」

 

その言葉に目をやると、向かいの高橋さんはもう食べ終わっていた。

 

「あれ……もう?」

 

思わずそんな感想がもれてしまう。

食べ終わったことに対してか、帰ろうとしていることに対してか。

とっさだったから自分でもわからなかった。

 

高橋さんは帰ろうとしていることに、と受け取ったようだった。

 

「そんな顔しないでよ。もともとそういう予定だったから」

 

天ちゃんからも即定時退社を決めるくらい真面目、とは聞いていたが、

決められる側になるとは露も思ってなかった。

 

私はさぞ残念そうな顔をしていたらしい。

まだ話したいことはある、いや、いくら感謝しても足りないのだ。

いつか伝える、なんて言っていたらそれがいつになるかわからない。

 

明日、世界がどうなっているかなんて誰にもわからないんだ。

 

「高橋さん!!」

 

「な、なに?」

 

思いがけず大きな声が出てしまったが、私は続けた。

 

「ちょっと!! ちょっとだけ!! たくさん言いたいことあるから!!」

 

「……ちょっとなのにたくさんなんだ?」

 

「ん? あー。まとめるね!!」

 

私は頭をフル回転させてしゃべりたい内容をまとめる。

頭を動かす、なんて難しいことだろう。

体を動かすのは簡単なのに。

 

「えっと、まずは今日来てくれてありがとう!! ゆめも……きっと喜んでる」

 

「……うん」

 

「あと、その……」

 

「……何?」

 

「……また来てくれる?」

 

「……ん」

 

高橋さんは少し考え込むような顔をすると、

マフラーをにぎにぎと触りながら答えた。

 

「……考えとく」

 

「本当!? もちろん無理だったらいいんだけど。考えてもらえるだけでも嬉しいよ、私。

ずっと後でも、思い出した時でも……」

 

「……ごめん、言い方が悪かった」

 

高橋さんはマフラーから手を離すと、意を決したように言った。

 

「来るよ、きっとまた」

 

「うん!! ありがとう!!」

 

私は高橋さんの、その優しい声色に安堵した。

 

「今度は私の部屋を見せてあげるね。ゆめもいっしょに使っててなるべく残してあるから、ゆめのもの……」

 

「うん」

 

「あ、あと……まだ時間いい、その……高橋さん?」

 

「いいよ。なに?」

 

「真赤ちゃん……って呼んでもいい?」

 

「ん」

 

高橋さんはまたマフラーをもふもふといじりだした。

どうも恥ずかしがってる時もする仕草らしい。

 

「……いいよ。僕は田中さんって呼ぶけど」

 

「いいの!? やったー!!」

 

「そんな喜ぶ話かな……。別に好きに呼べばいいよ」

 

「えっ!? じゃあ真赤!! これからもよろしくね真赤!!」

 

「ちゃん付けどこいった」

 

 

 

ここでは、これが初めて。

 

 

初めて真赤が私の家に来て。

 

初めて真赤がお参りをして。

 

初めて私が真赤のことを真赤と呼んだ日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん」

 

「あ、ゆめ」

 

「何で正座させられてるか、わかる?」

 

「今日は真赤……高橋さんって言った方がいいかな?

家に来てくれんたんだよ」

 

「まさにその高橋先輩のことなんだけど?」

 

「いやあ、真赤。生真面目~って感じだったけど最後は仲良くなれてよかったなあ……」

 

「お姉ちゃん」

 

「はい」

 

「もう一度聞くね。……何で正座させれてるか、わかる?」

 

「……わかんない」

 

正座している私の膝の上には4トンといかつい文字で書かれた

ベタベタな重り(理科の時間にみた分銅みたいなやつ)が置かれていた。

夢じゃなかったら危なかったかもしれない。

 

「ヒント、出そっか。武将の本のくだり」

 

「え、なんだろ」

 

「ほぼほぼ答えなんだけど??」

 

私は唸って真赤との会話を思い出した。

お父さんが買ってきた武将の本をゆめが気に入って、それで……。

 

「あ!! あねうえ~のくだり!!」

 

「口に出して言わないで!! 恥ずかしい!! 増やすよ重り!! 4000トン!!」

 

「あはは……。そんなに言うのまずかったかな」

 

「まずいわよ!! 何でよりによって先輩に伝えたの!?

あ~思い出しただけで恥ずかしい恥ずかしい……」

 

「お姉ちゃんは恥ずかしがる前に重りを減らしてほしいよ」

 

顔を赤くして地団駄を踏むゆめを見ながら何だか懐かしいような、

寂しいような気持ちになってしまうのだった。

 

「ゆめ……あんなにあねうえ~あねうえ~って私に引っ付いてきたのに……

ねむれないからいっしょのふとんでねてよ、あねうえ~?」

 

「ああああ!? やめなさいやめなさい!! それ以上はやめなさい!!」

 

「あねうえ~チャンバラごっこしよ~。くらえ天上天下ファイナルアトミック斬」

 

「うわあああ!? 技名まで再現しないで!? というかよく覚えてたわね!?」

 

わなわなと震えるゆめが真上へと手を開いた。

 

「もういい!! 4000トン!!」

 

私の体が暗がりに覆われる。

圧倒的な質量が、こちらに迫るのを感じる。

 

そして……。

 

「この時を待ってた!!」

 

「な……?」

 

私は膝を勢いよく跳ねさせると4トンの重りを空に吹っ飛ばした。

落ちてきた4000トンの重りと衝突し、それらは空中で完全に消滅した。

 

空中で塵となりし金属粉。

きらきらと光を反射しながら私たち姉妹を照らしていた。

 

「やるね、お姉ちゃん……」

 

「ゆめも。全体的に動きの隙がなくなってた」

 

何だか満足気な笑顔を私たちは浮かべていた。

これでよかったのだ……知らないけど。

 

「まあ、先輩と仲良くなれたのは良かったんじゃない?

あの人も気難しい人だと思ってたけど」

 

「え、そうかな……? でも最後には名前で呼べたしね。それはよかった」

 

「……私も一回しか呼べなかったのに」

 

「え?」

 

「何でもない!! やっぱりお姉ちゃんは重り4億トンの刑!!」

 

「そんな~」

 

重りが膝にのしかかる、というより沈んでいく。

これでは私の膝より地面がもたない。

沈む、沈む。

世界が沈む。

暗くどこまでも……。

 

 

 

目を覚ますと朝だった。

膝には蹴っ飛ばした布団が重なってのしかかっていた。




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