Fate/Diclo   作:syuu

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久しぶりに書いてみました


6観測者と負傷

(と、大見得を切ったものの、このままでは奴に一太刀浴びせることも出来ない。間合いが見えない敵との戦闘がこうも厄介とは。しかも、恐らくあの宝具は明らかに伸縮自在の武具の類の物。此方が防戦一方に対し、未だ形状を掴む事が出来ない)

 

 

先程の斬撃と打撃が左右の奮い手に関わらず入れ替わったかのように繰り出されたところを見ると武器の形状そのものが変わるか左右のそれぞれの得物を瞬時に換装する機能を持っているのかとセイバーは相手の武器の間合いを知るため一旦大きく後ろへ跳ぶ。

 

「はあー。あれほどの大口を叩いて後退するとは……お前の騎士道の底が知れるな」

 

「そのような軽い挑発を口ずさむ貴殿もまた小さい男だな」

 

大きく息を吐き、疲労と苛立ちを露にした敵の口調にセイバーは疑問に思う。

 

(この英霊、まさか基礎能力が私より遥かに下回っているのか?)

 

少なくとも、敏捷さはセイバーのクラスであるこの身でも容易く見切れる程度のものだろう。風王結界に隠された約束された勝利の剣を警戒して接近戦を避けて絶えず移動して間合いを保ち続けていることからこのサーヴァント……。

 

 

強者との戦闘に戦い慣れている。

 

「俺の宝具の間合いを測るために下がったのだろうが、失策だったな」

 

「何?ッガァ!?」

 

相手の大まかな分析をし、自分の経験から戦闘スタイルを割り出しながら敵が接近するのを待っていると、相手がまた腕を振るい左脇に衝撃が走る。

 

「なるほど、致命傷に成らない殴打には反応しきれないところを見るに今までかわしきれていたのは直感系スキルの恩恵か・・・女を殴り殺した経験は無いわけではないが。こうも頑丈な女はお前で四人目だ」

 

「クッ……なるほどな。あなたはどうやら想像以上に危険なサーヴァントのようだ。どのクラスのサーヴァントかわからないのが口惜しいが仕方ない」

 

セイバーは、女として見られたことや生前の下らない戯言に一瞬血が上りそうになるも敵がアイリスフィールに手を掛けていない事実に気付き少なくとも20m以上の射程が無いことを確認する。

アイリスフィールはセイバーのマスターではないから魔力供給による枯渇は無いとしても悪戯に治癒魔術を行使させるこの状況は旗色が悪い。とセイバーは剣に纏う風に魔力を込める。

 

「この場で()らせて貰うぞ。ハァァアアアア!!!」

 

怒号のような叫び声を上げ、剣を振りかざし風王結界(インビジブル・エア)が渦めき周囲の空気をかき集め隠された剣を基盤に一筋の刃となり暴風が収束された。

 

風王飛刃(ブレイド・エア)!!!」

 

 

魔力放出のスキルと筋力Bが相まって放たれたその風刃の破壊力は至近距離の範囲に限定すればAランク相当の威力を持つ鎌居達を備えた小型の台風。

相手のサーヴァントの右腕が吹き飛ばされ血が噴き出した。

 

 

 

 

 

 

大きな赤い鉄橋の冬木大橋の上に、操車場の異なる神秘の激闘を見つめる大きな人影とその鉄柱にしがみついている小さな人影がいた。

 

「うわっぁあああああ」

 

「おっとと、大丈夫か坊主?」

 

おかっぱ頭の小柄な少年が二人の英霊との戦闘によって生じている余波の突風に煽られ小柄な体を浮かし転落しかけるもそばにいた身長2mを越す筋骨隆々な赤い大男に捕まえられることでギリギリ落ちることなく再び鉄柱にしがみ付く。

 

「ううっ、なんで僕はこんな橋の鉄骨の上で高みの見物なんかしてんだよ!?」

 

「そりゃ、坊主が余に敵の視察を命じたからであろうが」

 

彼はウェイバー・ベルベット、今回の聖杯戦争に参加するマスターの一人として征服王として名立たるライダーとともに彼の宝具を用いて冬木を空から散策して(連れ回されて)いたところ膨大な魔力のぶつかり合いに遭遇し見つからないよう十分距離をとって監視していたのだが……。

 

「 ああ、確かに僕は召喚されてから拠点の家でテレビ見てゲームして煎餅かじっているお前に敵のサーヴァントの情報を集めるように言ったさ」

 

「ならば問題無かろう。こうしてお前さんの安全を考慮し、敵にも気付かれずに居られるのだからのう」

 

「だからって、何もこんな突風に煽られるところで、!?また来たぁあああ」

 

先ほどのより激しい強風が橋を大きく揺らす。

 

「かぁー、こりゃまた一段と力強い一風だのう。ウム、確かにこの戦闘の余波は余の予想を大きく上回っておるな」

 

「今、橋が揺れた。死ぬ、戦う前に死んじゃうよ」

 

敵の実力を肌で感じて愉快に笑うライダーとは対象に涙を浮かべ弱音を吐くウェイバー。そんな様子を見てライダーは浅く息を吐き

 

「もうちっとシャキッとせんか。で、坊主敵の実力は如何様な物かクラスと共に篤と余に告げよ。不可視の獲物同士の打ち合いというのもなかなか乙なものだぞ。しかし、この遠近筒はなかなか高性能であるの。余の先鋒部隊に200ほど揃えたいものだ」

 

ライダーが(マスターの金を使い)ネット通販で購入した電子双眼鏡をウェイバーに渡そうとすると彼は若干不機嫌そうな顔をして鉄柱にしがみ付きながら彼の手を押しのける。

 

「要らないよ、お前の視界を共有すれば見えるから押すな落ちる!!」

 

「まあ、そういうな。魔術師である以上こういったからくりが苦手なのはわかるが」

 

聞き分けの無い幼子を嗜める様な物言いと魔術師=機械音痴の内容にウェイバーは立ち上がり手を差し出し大きく息を吸ってこういう。

 

「寄越せ!これくらい使いこなせるよ、頭の固いカビの生えた血統主義共と一緒にするな…………セイバーと多分キャスターだと思う」

 

「何だ、多分とは、はっきりせんの?青い小娘の方は武器は見えぬともあの構え、動きから確かに剣使い(セイバー)であろうがあの鉄面が何故に魔術師(キャスター)だと?」

 

「クラス別の保有スキルが見えないからパラメーターの低さでキャスターかなと思ったんだ。それに、多分結界を張っているのもアイツなんじゃないか?」

 

「む? 坊主、サーヴァントのランクというものはそれほど差が関係ないモノなのか?」

 

「いや、ランクが全てって言うつもりはないけど、EランクからDランクへと一つ上がる事に常人の十倍、二十倍の強さで行動出来て高ければ高いほど白兵戦に於いては有利になるはずだ」

 

時計塔の図書館で読んだ資料を思い出しながらライダーに説明する。

 

「ほほう、だが奴はそれを何らかの手段で力を上回るセイバーと太刀を競い合っていると」

 

「そういうことになるのかな………あ!?」

 

「どうした坊主? むおっ!?」

 

突然、先ほどまでとは比べ物にならない風が吹き荒れた。

ライダーが質問をしようとした時には既にウェイバーはライダーを盾に風除けとし暴風からの難を逃れていた。

 

土煙が晴れ再び現場を見ると、ウェイバーは歓声を上げた。

 

「セイバーが一気に畳み掛けてキャスターが負傷したぞ」

 

「ムム!! そりゃいかん、坊主突っ込むぞ」

 

ライダーは、鉄橋の上で焦りを見せ、監視という優位な立場を捨てると言い放った。

 

「はぁあ!? キャスターが脱落するんだから好都合じゃないかって、ウワッ」

 

 

 

「何を言っておる。余は此度の聖杯戦争に集められし六人(・・)の英雄たちをまとめて相手取るつもりであったのだぞ?」

 

「まとめてだって?」

 

「然り、異なる時代の豪傑どもと矛交えることなど滅多に無い。現にセイバーとキャスター二人とも実に胸が熱くなる益荒男振りであった。死なすには惜しい!」

 

「だから、僕らは聖杯戦争をしているんだぞ!! 敵を殺さないでどうやって、ぶわぁっ」

 

ライダーの無茶苦茶な物言いにマスターとして至極全うな反応をするウェイバーにライダーは強烈なデコピンを食らわす。

 

「勝利してなお滅ぼさぬ。制覇してなお辱めぬ。 それこそが余の王道よ!」

 

ライダーは腰に所持しているキュプリオトの剣を抜き空に向かって大きく空間を切り裂くと裂け目から召喚した雷を纏った二匹の神牛『飛蹄雷牛(ゴッド・ブル)』に牽かれる戦車『神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)』に飛び乗る。

 

「さぁ、乗れ坊主。それとも、此処で待っておるか?」

 

「行きます! 僕も一緒に連れて行けパカやろう!!」

 

心の汗(涙)と執念の憤り(鼻水)を流しながら投げやりに彼は叫んだ。

 

「ふはははは、それでこそ余のマスターよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な!?」

 

だが、それだけ(・・・・)であった。

 

セイバーは、相手の後方に斬り飛ばされた腕を驚愕の瞳で映していた。

 

「……っち、遊び過ぎていたな」

 

自嘲気味にセレクターは小さく呟くと左手を腕の無くなった右肩に当てた。

ビキビキッと傷口が見えない縄か何かで縛り付けられたかのように服装に皺が寄り、そこから溢れていた血液が蛇口を閉めたかの如く出血が止まった。

 

「馬鹿、な」

 

小さく呟いたその言葉の裏には敵の首を取ったという自信のほどが伝わる。

本来なら、自身の放った風の刃に依りそこには胴体を真っ二つに別れた敗者の亡骸が残る筈だと思っていたのだから。

それ以上に、そう驚愕しながらも油断無く剣を構えているのは流石騎士王といったところか。

 

それは、相手のサーヴァントを両断せしめるのには十分な威力を確かに有していた。

が、実際は敵の右手を奪う程度にしか負傷を負わせておらず霊核が無事なサーヴァントが苦痛に悶え耐えながらも二本の脚で立ち、此方に警戒している姿が見えた。

片腕を失いながらも直立している(セレクター)にある意味尊敬の念を抱いた。人間の体というのは、絶妙なバランスにより二本の足で立ち上がっており、足の小指一本失っただけで人は立つことすら難しくなる。生前の記憶でも手足を失った騎士が涙を飲みながら現役を退いていたのをこの目で見てきたのだから。

 

セレクターは、自身の宝具である新徒の見えざる手腕(ベクター)を使い。胸の霊核を狙って放たれた風刃に合わせ風の魔力を絡め取り受け流すように斬撃を逸らしたのだ。

 

腕を切り落とされバランスを崩しているはずの体が立ち続けているのは、背中から伸びたベクターが第三の足として支えているためだ。

手足の二、三本無くなっても代わりの腕はいくらでもあるので戦闘は可能であるが序盤から普通の腕を失うのは芳しくない。

 

本来、『新徒の見えざる手腕』は、セレクターの体の一部(ベクター)が宝具化した物で槍や剣のような武器のように普通の手で掴み振るうといった動作(アクション)が一切必要ない。背中から伸びる不可視の手腕を普通の腕と同じように振るい拳を握るだけで戦えるのだ。

今回、半ばパントマイムの真似事のように何かを振るっているように見せていたのは、これからの行動を起こすときにセレクターが動きやすくなるための布石にするためのもの。

 

「くっ」

 

セイバーを警戒しながら半歩下がり切り落とされた腕の近くに寄ろうとすると、雲も無いのに雷鳴が落雷と共に響き渡った。

 

戦牛車(チャリオット)?」

 

上を見上げたアイリスフィールが空を翔る紫電を纏った乱入者の装備をみてそう呟く。

 

 

Alalalalalalalaie(アラララララララライッ)

 

雷鳴に負けない大声で叫びながらライダーは、セイバーとセレクターのど真ん中に落雷と共に着地する。このとき、宝具遥かなる蹂躙制覇(ヴィア・エクスプグナティオ)の影響で結界が多少緩む。

 

「双方剣を納めよ、王の前であるぞ!!わが名は征服王イスカンダル。此度の聖杯戦争に於いては騎乗兵(ライダー)のクラスもって現界した」

 

 

―――――――

 

ベクターを込みで考えた場合のセレクターのステータス

 

筋力:E~A++  ※込める魔力の量に依存。後、殺人衝動とかにも影響を受ける。

耐久:E~B   ※防御に回すベクターの本数によって変動。

敏捷:E(A++)  ※高速移動に振るわれるベクターのことなのでセレクター自身が早くなるという意味ではない。

 

これってほぼステータス詐欺だなwwww

 

魔力:C++

幸運:B++

 

 

 

今更ながら

セイバーのステータス

筋力:B

耐久:A

敏捷:A

魔力:A

幸運:D

宝具:A++

 

クラス別スキル

対魔力:A

騎乗:A

 

保有スキル

直感:A

魔力放出:A

カリスマ:B

 

宝具

風王結界:C

約束された勝利の剣:A++

アサシン

 

筋力:C

耐久:D

敏捷:A

魔力:C

幸運:E

宝具:B

 

クラス別スキル

気配遮断:A+

 

保有スキル

蔵知の司書:C

専科百般:A+

 

宝具

妄想幻像:B+

 

ライダー

筋力:B

耐久:A

敏捷:D

魔力:C

幸運:A+

宝具:A++

 

クラス別

対魔力:D

騎乗:A+

 

保有スキル

カリスマ:A

軍略:B

神性:C

 

宝具

遥かなる蹂躙制覇:A+

王の軍勢:EX

 

 




風王飛刃(ブレイド・エア)は、原作のキャスター初接触時の飛ぶ斬撃を元に考えました
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