Fate/Diclo   作:syuu

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めちゃくちゃ久しぶりに投稿しました。


8殺気色と烏合

「待て待て待てっ、お前らなんで主人(マスター)を置いて勝手に話を進めていんだよ!?」

 

「なんだ坊主。余の軍門に奴が加わるのが気に食わんのか?」

 

ウェイバーは、サーヴァントを御するマスターとして、また聖杯戦争の各クラスの特性を考慮して、自分の勧誘に乗っていたサーヴァントを迎え入れようとするライダーをど突いた。

魔力も込められてもいないその拳を受け止めたライダーは、自分のマスターが敵を引き入れようとするのを必死に止める姿に小動物を見るような視線を向けて悪戯に笑みを向ける。

 

「気に食わないとか! そういう以前の問題なんだよ。バカ!! 知略に長けたキャスターを引き入れて寝首を掻かれたらどうするんだよ」

 

そんな悠長なことをしているライダーをウェイバーは一括する。魔術師として三代しか納めておらず、それほど高位な秘術を有していない魔術刻印とロンドンから無断で借りた、手に運べるだけ持ってきた礼装しか装備のない彼にとって慎重になるのは必然であった。現地で調達できる程度の道具も高が知れているこの状況で戦力の増強は魅力的だが、相手が悪かった。建前と、本人が否定していないからキャスターと呼称している鉄面のサーヴァントは、その能力を不自然に隠ぺいしている。

実力を引き出せないのか、それが限界なのか、何か他に目的があるのかは不明であるが、このサーヴァントを味方に引き入れるためには十分な警戒が必要だと言い切った。

 

そして奇しくも、ウェイバーと同じ結論に至ったもう一人が彼を追い込もうとその存在を自ら引き出してきた。

 

『ほう、随分と魔術師同士の戦いについて知った風に語るものだな』

 

幻惑と変声で男か女か正体を分からなくして響く声が積み上げられたコンテナと工場が林立するその戦場に伝播した。

 

「ヒッ!!」

 

ウェイバーは正体が分からずとも、その傲慢で、卑屈な、厭味ったらしい口調に心当たりがあり小さく肩を震わせ、ライダーの戦車に身を屈ませる。

 

「四人目のマスター!?」

 

姿の見えない新たな敵に警戒するアイリスフィールを庇うように、セイバーが彼女を背に不可視の剣を構え直す。果たしてどのクラスのサーヴァントを率いてやってくるのかと、彼女は姿を現さない四体目を含め全員に戦意を飛ばし威圧する。

 

『全く、そのサーヴァントと手を結ぼう考えた時点で傀儡に成り果てているということを。君はまるで理解していないようだな』

 

相手を見下しきったその声に遠慮は無い。さも我こそはといった語り様から挫折や絶望という経験の薄い人間とういのがよく分かった。自分が世界という檻に閉じ込められた、ただの小さな命の一つでしかないこと理解せずに自分が積み上げた功績が愚かにも世界に愛されているが故の結果だと思い込んでいる。

ウェイバーだけでなくライダーもまた、どのような人物か判らずともマスターに悪意を向けるだけで姿を見せない魔術師に好感は抱けない。

 

そしてその後に語られた言葉にセレクターが、手に持った黒鍵を一瞬揺らした。

 

『そこの世俗に埋もれた(暗示も解けない)子供が如何様にして聖杯戦争に参加することになったのかは、どうでもいいことだ。おそらくはマスターの数が足りない聖杯が適当に選んだ凡俗だろう。君と同じくな!!』

 

その余りな言い様にウェイバーは、何か小気味良いことを交えて言い返してやりたかった。しかし、いざその場となると言葉に詰まってしまう。魔術師としての格の違いを盾にウェイバーの言い分は悉く跳ね除けられてきたのだ。今回もまた……そんな悔しさと思考の放棄をごちゃ混ぜに動けなくなっている自分が歯痒い。

 

『ある意味お似合いであろうな。サーヴァントに操られるマスターと、サーヴァントを御しきれない半端者同士傷の舐め合いでもしているのがお似合いだ。私の聖遺物を盗み、君自ら聖杯戦争に参加する腹だったことには正直驚かされたのは認めよう。思わず苦笑が漏れたがね。だがまあ可愛い弟子とそのサーヴァントが、そのまま無様に敗退することは時計塔の魔術師としての面汚しとなろう。

同門としての情けだ。ウェイバー・ベルベット君、本来の役目である私の手足(じょしゅ)として働くのならライダーの提案を飲もうではないか』

 

ほら、やっぱり。いつもと変わらなく下らないその嫌味の練度がウェイバーの尊厳をズタズタに切り裂く。

何も言い返せずにいたウェイバーの頭に大きな熱が乗っかって、そのまま彼の頭を大きく揺らした。

その熱源に右手を当てながら上を向くと、髭を生やした大男の励ます様な笑顔が見えた。ウェイバーのサーヴァントであるライダーだ。

 

「おい魔術師よ!!」

 

彼は、どこにいるぞ知れないウェイバーの師にあたる時計塔講師に向かい大声を出す。

 

「どうやら貴様は、この坊主に成り代わって余のマスターとなろうとしていたようだが、このイスカンダルの隣に立つのはともに戦場をかける覚悟を持つ、!?」

 

ライダーの反論は、身を切り裂くような殺意の波によって阻まれた。その発生源は、顔を鉄の面で覆い隠したセレクターから漏れたものであった。

 

「………………嗚呼、やっと見つけた」

 

言葉に詰まったライダーを遮るようにセレクターは、自分とそのマスターに対して暴言を吐いた魔術師に対して相応の報復を送ろうと背中から不可視の腕であるベクターを伸ばし、足元に転がる砂利を掴んだ。

魔力を込められて強化の施された砂利は(ベクター)の握力によって軋み、細やかに震えだす。

生前、魔術を学ぶ機会を運よく得た彼は古今東西、廃れたモノから科学技術を交えたモノ、あらゆるジャンルの『魔道』を手段としてその身に修めていた。

その中でも、取り分け応用範囲が広い強化は彼にとって都合が良い魔術の一つであった。魔力を限界まで込められた砂利は壊れない臨界値スレスレまでその身の存在を補強される。

それは彼の殺意を代弁するかのように地面にのめり込み周りの石を弾いた。セレクターのところ構わずに放つ殺気に各陣営の全員が人やサーヴァントを問わず捕食者に遭遇した被捕食者のように戦慄する。

 

全員が竜の尾を踏ん付けて逃げ回るほうがまだ救いがあるかのような恐ろしさを垣間見えた。

ヒトを人間だと思わないが故の殺気に気圧される。

 

全員が硬直しているところに、セレクターが不意にコンテナ街の建物の屋根に向かい先ほどの悍ましい殺気を束ねて前面を上げる。セイバーとの開戦時に貼った自分の人払いの結界を応用し、この場に隠れている魔術師の中から幻惑を使い隠れているゴミを炙り出したのだ。

 

鉄面の僅かな隙間から見える赤い双眸に捉えられた魔術師はその瞬間、自分の死を見た。手足が砂利の礫によって捥がれ、身体が内側から破裂するように打ち抜かれ、最後は鼻から上が柘榴のように弾ける様を……。

 

宙を浮くかのようにセレクターの周りにある強化の施された砂利が、骨という基本骨子がない点を最大限利用した(ベクター)の手首に当たる部位が有り得ない角度まで曲げられ、亜音速に至る速度にまで投じられる。

 

()めろ、キャスター!!」

 

殺意の対象から外れたことで身動きができるようになったセイバーがサーヴァントとの戦いを行わずに直接マスターを狙うセレクターに叫んだ。しかしそれは既に遅く、セレクターの周囲を舞う砂利は立ち竦んだ魔術師目掛けて打ち抜く弾丸と化していた。誰もが未だ見たこともない、ライダーのマスターを(なじ)っていた四人目のマスターの死を連想する。

 

 

だがそれは、全員の予想を裏切る形で打ち砕かれた。凶弾の砂利が甲高い金属音に弾かれ軌道を大きく逸らされて標的を戦場の染みにし損なう。

 

「ご無事ですか、(あるじ)よ」

 

狙われた魔術師の前に立つは、最速の英霊と名高い槍使い(ランサー)。二本の異なる長さの矢を持った双槍の騎士が恐怖の余りに幻惑を解いた主の盾となり、安否を気遣う。

 

人間(ゴミ)に媚び諂う家畜(サーヴァント)風情が」

 

怒りを攻撃に移したことで幾らか落ち着いた眼光が、凍り付いていた戦場を気休め程度に弛緩させる。

だが面構えを覆う鉄に籠り憎々しげに語る、その罵倒は果たしてランサー陣営だけに向けられたものなのだろうか。

 

 

「あ、ああ」

 

幻惑が解けて姿を現したその魔術師は金髪をオールバックにまとめ手袋とローブを纏ったイギリスを本拠地とする時計塔の魔術講義を一任する降霊科の若き天才講師、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト。しかし、今の彼の容姿は全身を冷や汗に濡らして屋根の上に腰を抜かしたまま無様に虚勢を張って小さく顎を傾けるだけで精一杯であった。

 

「そのなキャスターよ。我が主の放言に至っては俺が謝罪しよう」

 

そんなケイネスを守る壁として現界していたランサーが建物の屋根から降りて、怒りの残り火が燻ぶっているセレクターを真っ直ぐに見る。同じ目線に降りることで対等に話し合おうとした彼なりの配慮であったのだろう。しかし、セレクターは再び砂利を飛ばしたベクターを使い足元に持って行くと冷やかに笑いながらランサーの弁を先に封殺する。

 

「『だから、正々堂々とサーヴァント同士で決着を付けよう』ってところか? 冗談にも笑えない、愚かすぎて救い様もないな」

 

騎士道を嘲笑うその言い様にランサーとセイバーだけでなく、ライダーもまた顔を顰めた。

再びセレクターの足元にある砂利に魔力が込められ始める。

 

すると、神牛の太い怒涛と共に一筋の雷光が再び戦場を走る。セレクターがケイネスを仕留める為にベクターで握っていた石が纏めて吹き飛ばされてしまった。ライダーが宝具である戦車を引く牛に鞭を入れて限定的に雷を警告代わりに発生させたのだ。

 

「そこまでにしておけ、それ以上ランサーのマスターを狙うとなれば余もまた戦の華を愛でる武人として貴様と戦うことになろうぞ?」

 

「……………………ッチ」

 

流石に敵の多く残る序盤で英霊三人相手に戦いを挑むのは早計と判断したセレクターは殺気と共にベクターを霧散させて、ランサーとそのマスターから視線を外す。

 

「ふむ、ようやっと半分か」

 

殺伐とした場の空気が心地よい程度に落ち着いたところで、ライダーは自分以外に集まった三体のサーヴァントを見渡しやや不満げにため息を漏らした。

 

「? どういうことだライダー」

 

ライダーのつぶやきを拾ったランサーが疑問を飛ばす。

 

「いやな。セイバーとキャスターの心躍る刃の競り合いに集まった英霊がよもや我ら二人だけであることはなかろう?」

 

現在全サーヴァントが現界しているということは、第一戦始めた両陣営の戦力調査に残りの五騎が集まると睨んでいたライダーにとって場に乗り上げてきたサーヴァントが自分とランサーのみである状況に不満げであった。戦いを見ていた鉄橋で話していた通り彼は、残りの六騎全員を纏めて相手取る腹だったのだが如何せん集まりが悪いとここで一つ挑発を試みることにしたのだ。ライダーは声を張り上げ未だ監視を続けて姿を見せない全てのサーヴァント相手に呼び続ける。

 

「おいこら!! 闇に隠れてこの場盗み見ている輩がまだいるだろう。冬木の地に召喚されたし英雄豪傑どもが目前の戦いにその血を滾らせず、こそこそと姿を見せずにいつまで居るつもりだ!!」

 

ライダーは叫ぶ。そこには何ら策略はない、否ないからこその意図が見えていた。この英霊は相手がどのような輩であれ先ずはその器を図り武人としての懐から略奪する。力で捻じ伏せさらにその心まで臣下として迎え入れる器量があるもの手にしたいという欲望のままにその胸懐を曝け出すことでぶつかり合うことを前提に動く。相手に合せるのではなく相手を自分に合せることを無意識やり遂げる彼の人柄は傍若無人の征服王に相応しい。

 

「聖杯に招かれし英霊は今ここに集うがいい!! なおも顔見せを怖じるような臆病者は、征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものと知れ!!!」

 

 

言い切った挑発に、新たな刺客が上方より訪れた。電灯の上に黄金の甲冑に身を固めて整った顔立ちをさも不機嫌に歪めながら五騎目のサーヴァントが現れた。残りの三クラスのうち暗殺者にしては豪奢な武装からアサシンでもなく、その赤く光るルビーのような双眸からは狂気ではなく、怒りに燃えているところからライダーの挑発に応える理性を持ち合わせている。即ち、残る三大騎士クラスの一角を担うアーチャーがこの場に現れた。

 

「この(オレ)を差し置いて”王”を称する不埒者が一夜に三匹も涌くとはな」

 

黄金のサーヴァントの口が開くとそのような傲慢ないいように一同は呆れ果て虚脱する。

 

「難癖つけられたところでなぁ……。イスカンダルたる余は世に知れ渡る征服王に他ならぬのだが?」

 

流石のライダーもアーチャーの横暴さに毒気を抜かれて史実に基づいた呼称に堂々と否定されても動じずにいられるほどきっぱりした言い様であった。

 

「たわけ、真の英雄たる王は天上天下に我ただ一人。あとは有象無象の雑種に過ぎん」

 

「そこまで言うんなら、まずは名乗りを上げたらどうだ? 貴様も王たるものならば、まさか己の威名を憚りはすまい?」

 

そう言い切るアーチャーに興味の湧いたライダーが、何気なく真名を聞いた途端、アーチャーは美貌を歪めらがら機嫌の悪さを隠さずに足場としていた街灯に力を入れ踏み込み罅を入れる。

 

「雑種風情が王たる我に対して問いを投げるか? 我が拝謁の栄に浴してなお、この面貌を見知らぬと申すなら、そんな蒙昧は生かしておく価値すらない!!」

 

彼の怒りによって空気が揺らいでいた。否、アーチャーの背後を本当に空間が波紋のような黄金の光が揺らいでいた。その中心の光から覗く二つの凶器の正体は、神秘を宿した宝具の刃であった。

 

「気持ち悪いな」

 

そんなアーチャーの自意識過剰さにセレクターが苦笑を漏らす。それを見逃すほどアーチャーの神経も図太いものでなく寧ろ張り替えた障子紙並みの繊細さに気が触れる。

アーチャーが自分に対しての暴言を流す筈もなく、ライダーを狙っていたその波紋の照準をセレクターに向けて、更に波紋を広げてアーチャーが既に空中より出現させておいた宝具より続け武具を七つ、セレクター目掛け飛び出し射出した。

 

まず最初に地面を抉った第一撃から予想するにアーチャーの射撃技術の低さが鑑みられる。手に触れることなく別空間より宝具を投擲するためか的中率の甘いその砲撃は素人目から見ても敵を撃ち抜くために放たれたものでなく、牽制のように煩雑に放り投げたと思う程の杜撰なモノだった。

しかしアーチャーは、それを気にすることなく波紋より尽きることなく現れる宝具の数で押し切る。

全ての刃がセレクターが立っていた付近に放たれて、爆発の如く砂利と砂煙が舞い上がった。

 

自信有り気に鼻を鳴らし投擲した宝具が舞い上げた粉塵の先を見るアーチャー。

 

「おい。そこの雑種、今何か鳴いたか? 何!?」

 

何か皮肉でも投じようとしたのか黄金のサーヴァントは粉塵がゆっくりと風に流されていく様にセレクターの死体があると疑わなかった。それは他の連中の同じく、一級品の宝具を惜しむことなく投じたその攻撃の餌食になっていると。

しかし、そこには周囲に突き刺さるだけでセレクターには届いた宝具は一つもなくセレクターの周囲のアスファルトを抉り避けるような状態であった。

 

「全く、無茶苦茶な攻撃だな」

 

鉄面の隙間から溜息が漏れる独特の吐息音が響き、セレクターがアーチャーの杜撰な宝具の使用にあきれ果てる。

 

 

 

「見事だな」

 

「ああ、感服するほかない」

 

アーチャーが虚空から取り出した宝具を警戒し自身のマスターの前に控え備えていたライダーとセイバーが攻防の一瞬を見届けセレクターを讃頌する。

 

「どういこと、セイバー?」

 

セイバーの後ろで守っていたアイリスフィールがセレクターに放たれた宝具がただの一つも命中せずにいることの説明を求めた。

 

「アーチャーの宝具が当たる前にあの不可視の打撃を食らわせ、その軌道をずらして難を逃れたのです。驚くことにその全てをあの短い瞬きの間に遣って退けた……それ故に難敵であります」

 

「おそらく、その僅かな変化のために上から見た金ぴかの視点では軌道がずれていたのが確認できなかったのだ」

 

セイバーの説明を取り次ぐ形でライダーがセレクターの技量に舌を巻く。かの征服王は、彼の先ほどの英霊らしからぬ殺気を目の当たりにしようとも臆することなく、寧ろその戦意に魅かれている。

 

「雑種、我自らの裁きを身で受けぬとは不敬であろう!!」

 

そんな周りのことなどお構いなしに、否寧ろライダーの言っていた軌道のずれに気付かずにいたことを誤魔化す為であろうか? アーチャーは自身に不埒な暴言を吐いたセレクターを怒鳴り散らし、その報いを受け取らずにいることの方が許せずにおり余計に声に怒りの色が混ざる。

 

「黙れよアーチャー。こっちは久し振りに本気で怒ったばかりで頭が痛いんだ。話し掛けないでくれ」

 

しかし、アーチャーの言葉を聞き流して胡乱気に虚脱し抑揚のない態度で受け流し何事もなかったかのようにアスファルトと砂利に着弾した宝具を跨ぎそのまま彼のマスターのいる防護陣の張られている場へ直行する。

 

「な!? ~~……~~~、。~~」

 

まさか直球に無視されるとは思わなかったアーチャーが驚きのあまり顔を真っ赤に血を滾らせてその赤い双眸を金な色を発しながら輝かせる。

普段であったら、取るに足らない存在であると捨て置くか問答無用で塵にするのが定石であった。しかし、セレクターは王と騙った紛い物を名に出した。本人にとっては、二人の自己紹介に倣って咄嗟に付けただけの字名であったのだがアーチャーが知るはずもなく。罪人を裁くのには、それ相応の場を誂えてやろうとその思考は嗜虐に満ちていった。

 

そんな、七騎の中で一番相手にするのが億劫なサーヴァントに狙われていると知らずにセレクターは自分の保有スキルである殺気にエーテル体によって疑似体験された高血圧のような激流に呑まれた残滓を感じながらフラフラと酔うように歩いていた。

 

 

すると、操車場の一角にまた新たなサーヴァントが現界する。荒々しい魔力の旋風に立つ黒い影が街頭に照らされる。

 

「バーサーカー!?」

 

獣のような唸り声を思わせる籠った呼吸と全てを荒削ろうする眼光、動作一つ一つに過剰なまでの力みを演出するその英霊は間違いなく狂戦士(バーサーカー)のクラスを与えられた英霊であった。

セレクターのとは一風変わってフルプレートの鎧は、闇のように黒くその詳細が見えない。

 

「おい征服王、あいつには誘いをかけないのか?」

 

歩みを止めたセレクターが黒い影を一流し見て巨漢の大男にそう尋ねた。

 

「誘おうにもな。アレはのっけから交渉の余地はなかろう」

 

そう語るライダーにセレクターは、そうではないと否定を露わに手を横に振ってバーサーカーを指さし、面の中で不敵に笑いながら。

 

 

 

 

「サーヴァントに理性はなくても、そのマスターは別だろ?」

 

その発想はなかったと、嬉々としてバーサーカーに声をかけようとするライダーとそれを軽率だと怒鳴る華奢な体躯のマスターが誘うかどうかで言い争っていた。




なんやかんやで、アサシン以外六騎のサーヴァントが集合していた……こんな流れこの作品だけだろうな(遠目)
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