別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか   作:さすらいの旅人

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感想で続きの希望がありましたので書いてみました。


IF企画 リューセーVS【フレイヤ・ファミリア】 戦闘前

「フレイヤの封印完了、と」

 

 ベル達が今も呆然と見ている中、(めつ)(ふう)()を使ってフレイヤを封印した俺――兵藤隆誠は、一つ目の目的を達成した事に安堵の息を漏らす。

 

 この世界の神々が下界へ降臨する際に零能状態になるのは知っていても、封印出来るかどうか正直言って分からなかった。フレイヤがもう少し早く『神威』を発動させていたら結果は変わっていたかもしれないが、それさえなければ問題無く封印可能な確証を得る事が出来て何よりだ。今もオラリオで好き勝手やってる迷惑神(ろくでなし)共を懲らしめるには絶好の手段である為に。尤も、そんな事をやれば他の神々が絶対黙っていないどころか、却って俺を危険視するかもしれないが、な。

 

 まぁ、そんな後々な展開を考えるのは今の件を片付けてからにしよう。もう少ししたら、アイツ等(・・・・)が此処へ来る筈だ。

 

「あ、あの、リューセーさん。フレイヤ様は……?」

 

 すると、フレイヤを封印した小瓶を持っている俺にベルがそう訊ねてきた。

 

 因みにヘスティアやアンドロメダも未だに状況が飲み込めていないようだ。確かに人間が神を封印する光景を見たら、あのようになるのは無理もない。

 

「見ての通り、この小瓶に封印した。これでもうフレイヤは何も出来ない」

 

「それは『神威』を発動させてもかい?」

 

 ベルの問いに答えてると、途端にヘスティアも加わるように問うてきた。神として気になる点があったのだろう。

 

「封印される前だったら逃げる事が出来たかもしれないが、この小瓶の中にいる以上は既に無意味だよ」

 

「……そうかい」

 

 ヘスティアは思うところがあっても、敢えて何も言わなかった。

 

 フレイヤのやった事が許せない筈の彼女でも、先程の光景を見た後に俺を危険視してもおかしくない。だと言うのに彼女は素直に事実を受け止めているとは、やはり他の神々とは異なる考えを持っているようだ。

 

「神ヘスティア、貴女は俺を怖がらないのか?」

 

「確かに恐いよ。もしかしたら僕も君に封印されるんじゃないかと考えてしまう程にね」

 

「!」

 

 ヘスティアの返答を聞いたベルが思わず守ろうとする姿勢を見せようとするも、彼女は話を続けようとする。

 

「正直言って助かったよ。僕としても、フレイヤを裁くにはアレしかないと思っていたからね。戦争遊戯(ウォーゲーム)でベル君が更に傷付くより遥かに良いから」

 

 確かにそうだった。あのままフレイヤの思惑通りに進んでいれば、ベルは前回【アポロン・ファミリア】と戦争遊戯(ウォーゲーム)した以上の重傷を負っていたかもしれない。

 

 都市最大派閥である【フレイヤ・ファミリア】は俺からすれば脅威ではないが、この世界の冒険者達からすれば恐ろしく強い存在だ。神として見守る事が出来ないヘスティアからすれば、色々な意味で辛いだろう。

 

「それにリューセー君を非難したら、アルテミスが悲しむからね」

 

「そこで急にアルテミスを出されると困るんだが」

 

 俺は思わず待ったを掛けても、ヘスティアはスルーしていた。

 

 詳しい経緯は省くが、三大処女神の一柱のアルテミスは諸事情でファミリアを失ってしまい、現在は『豊饒の女主人』のウェイトレスとして働いている。俺と一緒にメレンに出向しており、今も店で男神ニョルズと一緒に待っている筈だ。

 

 少しばかり穏やかな雰囲気になりかけるも、それはすぐに消え去ろうとする。

 

「フレイヤ様ぁ!」

 

 階下から上がってきた【フレイヤ・ファミリア】の団員達が扉を開け放った事で、俺はすぐに思考を切り替えた。

 

「オッタル達か。来ると思ってたよ」

 

「隆誠……フレイヤ様はどうした?」

 

 返答次第では許さんと言わんばかりのオッタルだけでなく、奴の後ろに控えている団員達も鋭い殺気を俺に向けていた。

 

 一触即発とも言える状況に、先程まで話していたヘスティア達は口を挟めないように黙っている。

 

「フレイヤならココで、俺が封印した」

 

「封印、だと……!?」

 

 信じられない返答だったのか、オッタルを含めた団員達から戸惑いの様子を見せていた。

 

「おいベル! 奴の言ってる事は本当なのか!?」

 

 すると、【フレイヤ・ファミリア】の団員の一人がベルに向かってそう叫んだ。

 

 あの半小人族(ハーフ・パルゥム)との面識は殆ど無いが、確かヴァンと言う名前だったか。

 

 ヴァンの叫びに、オッタル達も偽りの団員であったベルの返答を聞こうと一斉に目を向けている。

 

「え、えっと……」

 

「早く答えろ!」

 

「五月蠅い奴だ。ベルに確認しなくても、封印したのは本当だっての」

 

 このままだとベルが不味いと判断した俺は、すぐに割って入るように言い放った。

 

「傑作だったぞ。あの阿婆擦れ女神がこの小瓶に入る直前にオッタル、お前に助けを求めようと情けない声を出していたからな」

 

『ッ!!』

 

 小瓶を見せながら挑発する俺に、オッタルはすぐに激昂し――

 

「貴様ァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 猛スピードで接近しながら、俺が持つ小瓶を奪い取ろうとしていた。

 

 だが、それは叶わない。

 

「フレイヤを封印した小瓶が欲しかったら俺の元へ来い、【フレイヤ・ファミリア】!」

 

 一瞬で躱した俺は拳で窓の一部を破砕した後、そう叫んだ後に神室を出るのであった。

 

 

 

 

「あの糞猫(クソネコ)、いきなり撤退し(にげ)やがって……!」

 

 異変が起きているのは、フレイヤの神室だけでなかった。

 

 先程まで屋敷の外、四壁(しへき)の上で【フレイヤ・ファミリア】の第一級冒険者(アレン)達が【ロキ・ファミリア】の第一級冒険者(ベート)達と交戦していたのだが、急遽屋敷内へ撤退した。

 

 口汚く罵るベート・ローガだけでなく、アイズ達も突然の事に困惑するばかりだった。

 

「しかもいきなりあの野郎の声がしやがったな」

 

「ベート、それはどう言う事だい?」

 

 ブツブツと呟くベートにフィンは聞き捨てならなかったのか、すぐに問おうとした。

 

「屋敷の中からリューセーの声が聞こえた。フレイヤを封印したとか何とかって」

 

 ベートは【Lv.6】の第一級冒険者となった事で、並みの獣人以上に五感が発達した為、屋敷内から叫び声が聞こえたのだ。それは当然アレンも耳にしており、交戦中のヘグニ達も戻るように叫びながら撤退していた。

 

「神フレイヤを封印って……本当にリューセーがそう言ったのかい?」

 

「間違いねぇ。でなけりゃ、あの糞猫(クソネコ)が急に戻る訳がねぇからな」

 

「それがマジなら、リューセーはとんでもない事をやらかしたなぁ」

 

 話を聞いていたロキは、恐ろしげな表情になっていた。

 

 隆誠は神の恩恵(ファルナ)を持たない筈の人間(ヒューマン)でありながらも、第一級冒険者達を簡単に倒せる実力を持っている。更には魔術と呼ばれる未知の技術もあって、それを知ったリヴェリアが是非とも習得しようと彼を師匠として仰ぎ教えを乞うほどだった。

 

 【ロキ・ファミリア】は【ヘスティア・ファミリア】以上に色々な意味で世話になっている。プライベートな付き合いは勿論のこと、密かにラウルを鍛えて第一級冒険者に至らせてくれた恩もあり、それを知ったアイズが今も師事を求められてアッサリ断られる日課を送り続けているとか。

 

 これまで非常識とも言える事を隆誠は平然とやっていたが、今回は更に驚く事をやった。人間が神を封印すると言う大それた行為に、フレイヤと同じ女神であるロキも戦慄する程だった。

 

「リューセーの出鱈目っぷりには毎回驚かされるが、今度ばかりは流石に不味いわぁ。フレイヤが封印されたと他の神々(れんちゅう)が知れば、間違いなく危険視する筈や」

 

 隆誠はミアの教えもあってか、相手が神であっても平然と手を出している。それでもちゃんと手加減はしてるが、毎回手酷い目に遭ってる神連中からすれば堪ったものではない。手を出さなければ良いんじゃないかと言えばそれまでだが、娯楽に飢えてる神達は懲りる姿勢を見せないのがお決まりのパターンだった。しかし、封印されると分かった瞬間一気に考えを改めるだろう。隆誠を敵視するどころか、場合によっては殺すべきだと過激な発言をする神が現れるかもしれない。

 

 多くの神々は娯楽を求めて下界に降臨した事で、殆どが天界に戻りたくないと考えてしまっている。下界に長く滞在する神ほど退屈な時間を嫌う為、封印されるなど以ての外だろう。何もない場所で居続けるなど、下界に染まった神々からすれば生き地獄に等しいのだから。

 

「うちの予想ではリューセーがこの後オッタル達と戦う光景を予想しとるが、因みにフィンはどっちが勝つと思っとる?」

 

「先ず間違いなく、オッタル達は負けるだろうね」

 

 断言するフィンにベートだけでなく、聞いていたアイズ達も驚きの表情を示していた。

 

 二年と言う付き合いもあってか、フィンは隆誠の実力が未だに判明せずとも、【フレイヤ・ファミリア】が大敗する光景を思い浮かべていた。

 

 あと少しで『Lv.8』に到達するであろうオッタルに加え、先日漸く(・・・・)『Lv.7』に至った(・・・・・・・・・・)アレン(・・・)、『Lv.6』のヘディンやヘグニ、四人揃えば『Lv.6』の実力を持つアルフリッグ達、そして多くの実力者揃いの団員達もいれば敵無しかもしれないが、相手が隆誠となれば話は別だった。未だに底が知れない彼が、アレン達にも聞こえるように態と叫んだのであれば、勝てる自信がある筈だとフィンは予想している。

 

「せやなぁ。うちもそう思ったわ」

 

 どうやらロキも同じ予想をしていたようだ。日常はともかくとして、戦闘に関して常に冷静かつ余裕な姿を見せる隆誠が負ける姿を思い浮かぶ事が出来ないから。

 

 直後、ロキはこう言った。

 

「フィン、今すぐフレイヤの本拠地(ホーム)へ突入やぁ! これは大変面白いもんが見れるかもしれんで!」

 

 ロキの発言を聞いたフィンはすぐに気付いた。状況次第で隆誠側に付こうと言う魂胆を。




今回は戦う前に、外にいる【ロキ・ファミリア】側の状況を出しました。

個人的には必要な前置きでしたので、どうかご容赦ください。

感想お待ちしています。
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