別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか   作:さすらいの旅人

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明けましておめでとうございます。


有名派閥同士の抗争

「はぁ!? フレイヤんとこの連中が動いとるやと!?」

 

「うん。【猛者(おうじゃ)】と【女神の戦車(ヴァナ・フレイア)】が血相を変えて……」

 

 場所は【ロキ・ファミリア】の本拠地(ホーム)――『黄昏の館』。

 

 期間限定のジャガ丸くんが買えなかった事にショックを受けながら帰っていたアイズだが、途中で【フレイヤ・ファミリア】の団長や副団長を目撃した。更には他の第一級冒険者達も何かを探すように大慌てだったから、これは何か良からぬ事ではないかと、彼女は思考を切り替えてロキ達に報告する為に大急ぎで戻った。

 

 執務室に【ロキ・ファミリア】の主神ロキ、団長フィン、副団長リヴェリア、幹部ガレスの四名が定例会議をしてる最中、ノックもせず入室してきたアイズに驚くも、報告を聞いて状況が一変した。自分達の対となる有名派閥――【フレイヤ・ファミリア】の動きを聞いて。

 

「ん~……何やら尋常じゃなさそうだね」

 

「あのオッタル達がそこまですると言う事は、向こうで何か起きたのか?」

 

「もしくは、神フレイヤが良からぬ計画を立てておるのではないか?」

 

 寝耳に水だった緊急情報にフィンは考える仕草をして、リヴェリアとガレスは思った事を推測した。

 

 因みに報告したアイズだが、三人の話を聞いても敢えて口出しをせず無言のままだ。自分はあくまで報告しただけに過ぎないから、と言う感じで。

 

「あの色ボケ(フレイヤ)が何をやろうとしてるかなんて知らんが、どっちにしろ碌な事じゃないのは確かやな」

 

 向こうが何をやろうとしてるのか分からないフィン達とは別に、ロキは神側(じぶん)の視点で考えていた。同郷であるフレイヤは自分と同様に相当な策士であり、目的がいまいち掴めなくてやり辛い相手である。ロキからすれば非常に厄介な存在なのだ。

 

 目的が分からないにしろ、フレイヤのやる事は必ず面倒事を起こす。これはほぼ確定してる。何せ彼女の眷族すらも巻き込むほどの事を、過去に何度もやらかしているのを知っているから。

 

 フレイヤの神意を問い質そうとロキが直接出向けば良い。けれど、【フレイヤ・ファミリア】の【猛者(オッタル)】と【女神の戦車(アレン・フローメル)】が自ら動いてるとなれば、相応の覚悟で向かわなければならない。

 

 此処に居るフィン達やアイズを自分の護衛にさせれば、流石のフレイヤ達でさえも迂闊に手を出す事は出来ない筈。都市最高派閥【ロキ・ファミリア】の最高戦力は伊達じゃない。

 

 オラリオを代表する二大派閥の【ロキ・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】。この二つの【ファミリア】が抗争する事になれば、間違いなくオラリオは甚大な被害を及ぼしてしまう。

 

「どうするんだい、ロキ。貴女が神フレイヤに直接会いに行くなら、僕達は護衛として同行するけど?」

 

「相変わらず話が早くて助かるわ」

 

 自分と同じ事を考えていたのか、団長のフィンが護衛をすると自ら言ってきた。リヴェリアとガレスもいつでも行けると言わんばかりの表情だ。

 

 洞察力に優れている団長や、頼もしい副団長達を見てロキは笑みを浮かべる。

 

「とは言えや、うち等が揃ってフレイヤの本拠地(ホーム)に行けば、それはそれで誤解されかねんからなぁ……」

 

 目的を問い質す為とは言え、ここで【ロキ・ファミリア】も動いたら、オラリオにいる住民達や他所の【ファミリア】も確実に誤解するだろう。二大派閥の抗争をするのではないかと。

 

 そんな誤解をギルドの耳に入れば、あの五月蠅いギルド長ロイマンが絶対黙っていないだろう。下手をすれば特大の(ペナルティ)を課せられてしまう恐れだってある。

 

 フレイヤ達は特に気にしないが、ロキ達としては御免被りたい。【ロキ・ファミリア】はオラリオやギルドに信頼されてる反面、自分達を恨んでいる敵もそれなりにいる。下手に隙を見せる事をすれば、その弱点を突こうとする連中がいるかもしれない。

 

 そう考えたロキは――

 

「アイズたん、うちの護衛役として付きおうてもらうで」

 

 一先ずアイズだけを連れて行く事にした。

 

「私だけで良いの?」

 

 指名されたアイズが意外そうに尋ねた。状況が状況だからフィン達も一緒に行くと思っていたから。

 

「この状況でフィン達を連れて行く訳にはいかんからなぁ。必要最低限っちゅう訳や」

 

 一人でも連れて行けば多少の牽制は出来る。加えてアイズは14歳の少女と言えど、第一級冒険者の【Lv.5】なので充分な戦力だ。フィン達が反対意見を出してないから、賛成してると見ていい。

 

 それとは別に、ロキがアイズを護衛として選んだのは、不謹慎ながらもちょっとしたデート気分も兼ねていた。

 

(まぁいくらフレイヤでも、オラリオを敵に回すような事はせぇへんやろ)

 

 いくら周囲に迷惑を掛けてる事をしてるとは言え、【ロキ・ファミリア(じぶんたち)】やオラリオを敵に回す行為はしないと、ロキはそう考えている。フレイヤはそこまで馬鹿じゃない女神(おんな)だと、ある程度の信用があるので。

 

 アイズたんと同行(デート)するのは久しぶりやなぁと内心楽しみにしてる中、突如執務室の扉が開き――

 

「団長、ロキ、大変っす! 【フレイヤ・ファミリア】がベートさん達と衝突してるって報告が!」

 

「なんやて!?」

 

『!?』

 

 入室してきた団員――ラウル・ノールドからの報告を聞いて、ロキは甘い考えを即座に捨て去った。

 

 フィン達も本格的に動かなければ不味いと危惧し、装備を整えようと準備に移ろうとする。

 

(あんの色ボケ! マジでうち等と()り合う気か!?)

 

 自分達と衝突したと言う事は即ち、実は本当にとんでもない計画を立てているのではないかとロキは危惧する。

 

 因みに肝心のフレイヤだが、ロキ達の危惧とは他所に、とある人間と喫茶店でお茶しているのであった。

 

 

 

 

 

 

 【ロキ・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】が衝突する少し前に遡る。

 

 

 

「それでね、オッタル達ったら酷いのよ。いい子達なんだけど、私を自由にさせてくれないんだから」

 

「貴女は立場上、下手に動いたら不味いでしょうに」

 

 とある喫茶店で、俺――兵藤隆誠はフレイヤと一緒にお茶を飲んでいた。

 

 味わいがある紅茶を飲んで口の中がさっぱりするも、正面に座っているフレイヤが途端に愚痴を零していた。

 

 この前の配達で会ったきりだと言うのに、平然と身内に関する事を話す事に、大丈夫なのかと不安に思うほどだ。と言っても、大して差し障りの無いプライベート話なのだが。

 

 因みに俺とフレイヤが会話してる最中、周囲の客達が凝視する様に見ているが、然して問題無かった。彼等は別に俺達の話を聞いてるのでなく、フレイヤに目が行ってる。まるで魅了されているように。

 

 尤も、彼女はそんな事を一切していない。彼女の美貌を見ただけでそうなっているだけだ。美の神と言うのは基本、下界の人間を知らずに魅了させてしまう。元の世界にいるフレイヤも似たような事をしている為、俺は客達の行動を全く気に留めていない。

 

 本当なら俺も客達と同じく魅了されてもおかしくないだろう。けど生憎、目の前の女神を見たところで微塵もそんな気にならない。こっちは前世(むかし)の頃からあらゆる美の女神と会った他、現世(いま)も多くの美女や美少女と対面してるから見慣れてる。加えて、俺の知ってる美神フレイヤとは色々な意味で付き合いのある身だ。アイツに関する耐性はそれなりに身に付いている。例え魅了(チャーム)を使われたところで一切通用しない。

 

 これがプライドの高い美の神なら、自分に見惚れない事で激昂する奴もいた。けど、今俺と話してるフレイヤはそうならないどころか、普通に話す俺と実に楽しげな様子だ。

 

「ねぇ隆誠。そんな他人行儀じゃなくて、出来れば素で話してくれないかしら?」

 

「そんな恐れ多い事を仕出かしたら、俺は貴女の眷族達に殺されてしまうんですがね」

 

 紅茶を飲みながら、暗に出来ないと拒否した。

 

 以前に会った門番達なんか、俺が女神フレイヤと呼んだ瞬間に『様をつけろ』と強要してきた。それを考えれば、団長のオッタルやアレンと言う猫人(キャットピープル)の前でフレイヤを呼び捨てにした瞬間、途轍もない殺気をぶつけてくるだろう。

 

「大丈夫よ。私が良いと言えば手出しはしないから」

 

「それでもです」

 

 奴等の行動を考えると、どこか人のいない場所に無理矢理連れて、『調子に乗るな』とか集団リンチされそうな気がする。あくまで俺の勝手な想像だが。

 

「ねぇ、良かったらケーキを頼んでもいいかしら?」 

 

「自分で払うのでしたらご自由に」

 

「あら。ここは普通、男の貴方が奢ってくれるんじゃないの?」

 

 少しばかり気分を害する様に折角の美貌を顰めるフレイヤ。もしオッタル達が知れば確実に怒るだろう。

 

「勝手に付いて来たんですから、そこまで面倒見切れませんよ。まぁ、紅茶ぐらいは奢りますが」

 

「むぅ……」

 

 今度は剥れた表情となるも、俺は素知らぬ顔で残りの紅茶を飲み干した。

 

 これ以上長居してると、フレイヤが勝手にケーキを注文して奢らされそうな気がしたので、俺はさっさと会計を払って店から出る事にした。

 

「全く。隆誠ってノリが悪いわね。こんな美神と一緒にデートしてるって言うのに」

 

「いつから俺は貴女とデートしてる事になってるんですか? ってか、離れて下さい」

 

 俺の事を悪く言いつつも、寄り添いながら一緒に歩くフレイヤ。

 

 世界は違えど、勝手に話を進めるのは俺がいる世界のフレイヤと全く一緒だ。外見は違っても、中身は少しばかり似てる。出来れば勘弁してほしいものだ。

 

 そう思っていると、俺に寄り添っている別神は途端に眉を顰めている。

 

「隆誠、他の女の事を考えていたわね?」

 

「そんな訳ないでしょう」

 

「嘘ね」

 

 俺が誤魔化しの返答をするも、フレイヤが即座に嘘だと断定してきた。

 

「知らないの? 神は下界の者の嘘を見抜けるのよ」

 

「あぁ、そう言えばそうでしたねぇ……」

 

 確かミア母さんが神について教えてくれた際、『全知零能』になっても限定した能力を使えると言ってたな。フレイヤが言ってた嘘を見抜く能力がそれだ。

 

 店の仕事に専念し続けた他、神と話す機会が大して無かったから、すっかり忘れていた。

 

「貴方はいけない子ね。私と一緒にいながら、他の女を思い浮かべてるなんて」

 

「そんなの其方が気にする事じゃないでしょうに」

 

 それに俺が思い浮かべた女は、同姓同名な別神であるフレイヤの事だよ。似て非なるとは言え全く同じ女神である為、他の女とは言い難い。

 

 あと如何でも良いんだが、この世界のフレイヤの声を聞いてると、思わずリアスと話してる感覚になりそうだ。何だかまるでアイツに浮気を問い詰められてる感じがして、本当に複雑な気分だ。

 

 すると、寄り添っているフレイヤは、途端に俺の腕に引っ付いてくる。

 

「他の女の事なんか考えられないようにしちゃおうかしら♪」

 

「止めて下さい。本当に迷惑ですから」

 

 心底嫌そうに言い放つ俺だが、フレイヤは益々笑みを浮かべていく一方だった。

 

 普通拒否されたら怒る筈なのに、何でこの女神は逆に気分が良くなっていくんだよ。

 

「うふふ。私、そうやって反抗する人間(こども)ほど、凄く燃えちゃう性質なの。特に隆誠みたいな気に入った子なら猶更ね♪」

 

「フレイヤ様って嫌な性格してますねぇ」

 

 ミア母さ~ん、この女神どうにかしてくれないか~? 何か俺じゃどうしようも無いんだけど~。

 

 思わずこの場にいない人間に頼っていると、突如どこからかドオンッと衝突音がした。しかもかなり大きな音だ。その後に連続して鳴り響いてくる。

 

 この音は俺だけでなく、一緒に歩いているフレイヤの他、彼女に見惚れている住民も聞こえていた。

 

「さっきのは……明らかに戦闘だな」

 

「分かるの?」

 

 意外そうに尋ねてくるフレイヤだが、俺は気にせず頷く。

 

「これだけ派手な音をしてるとなると、どこかの【ファミリア】同士が衝突してるかもしれませんね」

 

「あらあら。一体誰がそんな物騒な事をしてるのやら」

 

「案外、貴女の【ファミリア(ところ)】だったりして」

 

 フレイヤが勝手に出掛けた事でオッタル達が大騒ぎしながら捜索してると予想していた。それを踏まえて考えれば、アイツ等が片っ端から探そうとする余り、一方的な上から目線でフレイヤの事を問い質してる事で別【ファミリア】と衝突してる可能性がある。

 

「もし本当にこれが【フレイヤ・ファミリア】の仕業でしたら、貴女が責任持って対処しなければいけませんね」

 

「だったら確かめましょう。行くわよ、隆誠」

 

「え? ちょっ……!」

 

 フレイヤに主神としての自覚を持たせる為に言ったつもりだったのだが、勝手に俺の腕を引っ張って現場に行こうとするのは予想外だった。

 

「ちょっと! 何で俺も行かなきゃならないんですか!?」

 

「私の【ファミリア】なら問題無いけど、そうでなかったら私を守ってくれる盾が必要じゃない。だから頼むわね、隆誠♪」

 

「勝手に俺を護衛扱いしないで下さい!」

 

 冗談じゃない。

 

 これでフレイヤと一緒で腕を組んでる所をオッタル達に目撃されたら、奴等は間違いなく標的を俺に変更するだろう。しかも殺す程の勢いで、そう断言出来るほどに。

 

 掴まれてる腕を振り払って逃げたいのだが、移動中にそんな事をすれば、彼女が転んでしまう恐れがある。それで絶対面倒な事になるのは言うまでもないだろう。

 

 それに俺は冒険者でもないし、恩恵を与えられてない一般人だ。これで下手に介入して目立ってしまえば、ミア母さん達に多大な迷惑を掛けてしまう事になる。

 

「大丈夫よ。アレンの攻撃を簡単に防いだ貴方なら問題無いから」

 

「たったそれだけの事で信頼しないで下さい!」

 

「そうかしら? 私には充分凄いことなのだけど」

 

 意外そうに言ってくるフレイヤに、俺は何を言ってるのか全く分からなかった。

 

 

 

 

 

 結局またしても同行される事となってしまい現場に到着する。

 

「予想的中しましたねぇ、フレイヤ様」

 

「そうみたいね」

 

 辿り着いた先には、【フレイヤ・ファミリア】のオッタルやアレンを含めた団員達の他、彼等と交戦してる【ファミリア】がいた。

 

 戦ってる相手の中には一人見覚えのある奴がいる。少し前にすれ違った【ロキ・ファミリア】の団員――アイズ・ヴァレンシュタインが、他の団員達と一緒に戦っている。

 

 あの子がいると言う事は、恐らくオッタル達が交戦してるのは【ロキ・ファミリア】だろう。

 

 如何でも良いが、以前俺に襲い掛かろうとしていたアレンは、狼らしき獣人と交戦中だ。どちらもかなりのスピードだが、俺が捉えきれないほど速くはない。

 

 って、よく考えると、【フレイヤ・ファミリア】と【ロキ・ファミリア】が交戦してるって非常に不味い。

 

 どちらもオラリオを代表する都市最大派閥。そんな有名な連中が本格的に交戦したら大問題どころじゃ済まない筈だ。

 

「とにかく、【フレイヤ・ファミリア】だと分かった以上、早く貴女が止めて下さい」

 

「そうしたいのは山々だけど、今のあの子達が私の声が聞いてくれるかどうか不安なのよ」

 

「いや、絶対に聞きますから」

 

 声を掛けただけで、オッタル達はすぐに戦闘停止する筈だ。

 

 フレイヤもそれぐらい分かっている筈なんだが……何故か楽しんでるように見ているのは俺の気のせいか?

 

「私があんな危険な戦場に立たされたら怪我するかもしれないわ。だから隆誠、私を守って♪」

 

「……いい加減にしろ、フレイヤ!」

 

『!』

 

 今までのフレイヤの勝手な言い分に我慢の限界が訪れた俺は、彼女に向かって怒鳴った。

 

 因みに大声で怒鳴った事により、戦闘してるオッタル達は動きを止める事に俺は気付かなかった。

 

「お前は主神なんだから、自分の【ファミリア】くらい責任持って対処しろ!」

 

「……驚いたわ。貴方、そんな風に怒るのね」

 

 心底驚いたと言ってくるフレイヤに、俺の怒りゲージは更に上がっていった。

 

「んな事言ってる場合じゃないだろうが! さっさと行け! でないとその顔引っ叩くぞ!」

 

 この発言によって――

 

「テメエェェェェェェェエエエエ! 美神(そのかた)に何してやがるんだぁぁぁああああ!!!」

 

 アレンが完全にキレて急速に接近し、俺に攻撃を仕掛けようとしていた。

 

 奴が持っている槍の穂先が俺の顔に当たる寸前――俺は一切見向きもせず、片手でガシッと槍の柄を掴んで動きを止めた。

 

「っ!」

 

『!?』

 

 攻撃を防がれた事に目を見開くアレンの他、オッタル達からも驚きの声を上げていた。

 

「お前は邪魔だぁ!」

 

「がぁっ!」

 

 槍を掴んでいた俺は即座に反撃をしようと力強くキッと睨んだ瞬間、アレンは見えない衝撃を受けて吹っ飛んでいく。

 

 さっき使ったのは遠当てで、『ドラグ・ソボール』で空孫悟が使っていた技だ。対象を強く睨む事で、目から衝撃波を出し相手を吹っ飛ばす事が出来る。

 

 怒りによって本気で撃ってしまった為、直撃したアレンは槍を手放し、凄まじい勢いで吹っ飛んで家の壁に激突し、めり込んでいた。そして意識も失っている。

 

「……え、嘘。あのアレンをたった一撃で……?」

 

『………………………』

 

 余りにも予想外だったのか、フレイヤは壁に激突したアレンを見て信じられないように呟いていた。オッタル達は言葉を失って呆然としたままだ。

 

 取り敢えず五月蠅い奴が静かになったから、さっさとフレイヤにやるべき事をやってもらおう。

 

「さぁフレイヤ、早く彼等を止め――」

 

「ちょ、ちょお待ちぃや自分!」

 

 すると、何やら似非関西弁らしき誰かが近づきながら俺に声を掛けて来た。

 

 反応した俺が振り向くと、以前の宴会で大慌てしていた男神(・・)だ。

 

 オーラからして神だと分かり、コイツが恐らく【ロキ・ファミリア】の主神で……ん? この世界のロキは女神だった筈じゃ……。

 

 だから思わず――

 

「あれ? ロキって実は男神?」

 

「あぁん!?」

 

「ぷっ!」

 

 口にしてしまった瞬間に男神が途端に顔を顰め、フレイヤは吹き出しながらも口を手で押さえていた。

 

「誰が男神やゴラァァァ! ウチは見ての通り女神やボケェェェェ! 自分、喧嘩売っとるんかぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「え、嘘!?」

 

 女神だからって胸無さ過ぎだろ! 凄く大変失礼なのは重々承知してるけど、悪魔の塔城小猫やソーナ・シトリー以上に胸が無い女神なんて初めて見たぞ!

 

 自身が想像していた女神ロキとは全く異なっていた事で、俺は別の意味でショックを受ける事となってしまった。

 

 俺の介入によって【フレイヤ・ファミリア】と【ロキ・ファミリア】の抗争はとっくに終わっていた事に気付くのは、もう少し後になるのであった。




色々な意味でぶち壊してしまうリューセーでした。

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