別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか 作:さすらいの旅人
(やっぱり……全然分からない)
訓練場で佇んでいる少女――アイズ・ヴァレンシュタインは、手にしてる木刀を見ながら諦めるように嘆息していた。
約二週間前、ある人物と手合わせをして敗北した。それが今も頭から離れず、此処へ来る度に思い出してしまう。
その人物は『豊穣の女主人』にいる男性店員――リューセー。冒険者じゃない一般人なのにも拘らず、彼は『Lv.5』の自分を一撃だけで勝った実力者。
他にもある。危うく【ロキ・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】の抗争開始寸前となっていた際、女神フレイヤを相手に平然と怒鳴っていたのを見た【
てっきり最初は自分よりレベルが上の冒険者かと思っていたが、そこで予想外な事実が判明した。彼はどこの【ファミリア】にも所属していないどころか、
そしていざ手合わせする前、隆誠は信じられない事をした。自分が
普段物静かなアイズですらもバカにされてるとムッと眉を顰め、本気を出させる為に木刀を真っ二つにしてやると思いながら攻撃するが、斬れないどころか簡単に防がれてしまった事で状況が一変した。間違いなく木刀の筈なのに当たった瞬間、まるで
それから彼は
隆誠が手合わせの時に使った木刀に何か秘密があるんじゃないかと思って今も調べているが、結局分からず仕舞いでお手上げとなっている。他には仲が良い
こればかりは本人に聞かなければ分からないと言う結論に達したアイズは、モヤモヤとしたまま訓練場を後にした。
(あ、いた)
アイズは時々中庭にある長椅子に座って休憩する事があった。だから久々に利用しようと訪れるも、そこには既に隆誠が使っていた。
聞いた話によれば、隆誠は
彼は長椅子に座っているのだが、隣には別の人物も座っていた。いつも元気で自分や他の団員にも笑顔を見せるアマゾネス――ティオナが。
「ねぇリューセー、あの物語の続き書いてー!」
「だから言ってるだろう。今はリヴェリアさんから
「じゃあそれが終わってからで良いからさー!」
腕に引っ付きながらもお願いしているティオナに、彼女に少しばかり辟易してる隆誠。
「無理。
「じゃあ、いつ書いてくれるのー!?」
「さぁ? ってか、それはそうといい加減に離れてくれないか?」
段々引っ付いてる腕が痛くなっているんだが、と言いながら眉を顰めてる隆誠。しかしティオナは離れようとしなかった。
「ちょっとでも良いから書いてよー! アレ読んだ後、あたし気になって夜眠れない日々が続いてるんだからさー!」
「そこまでかよ……」
ティオナが大の物語好きと分かった事に、隆誠は少しばかり呆れながらも嘆息していた。
「悪いけど今は無理だって。コレあげるからさ」
「あ、ジャガ丸くん……」
(!)
何処から出したのは不明だが、隆誠はティオナに紙袋に入ってるジャガ丸くんを渡そうとしていた。当然、遠目で眺めているアイズも見えている。
「それって、アイズにあげたジャガ丸くん?」
「ああ。俺が作った奴で、あの子も大変気に入ってくれてる。丁度余してたからあげるよ」
「やったー! これ食べてみたかったんだよねー!」
先程までと違って、ティオナは嬉しそうな表情でジャガ丸くん(ソース味)を受け取った。
そして食べようとするも――
「ティオナだけズルい……!」
「え、アイズ……?」
「おや、今日は此処にいたのか」
いつの間にかアイズが二人の前に姿を現した事で、キョトンとしてるティオナとは別に、隆誠は大して驚く事なく見ていた。
まるで此方に来るのを予想していたように、隆誠はアイズに別のジャガ丸くん(小豆クリーム味)を渡した後、リヴェリアがいる応接室へと戻るのであった。
アーニャ「このところ、リューセーがジャガ丸くんを作ってるような気がするニャ」
クロエ「他にも自分用で昼食用の弁当も作ってるみたいニャ」
ルノア「弁当はともかく、何でジャガ丸くんまで作っているのかな?」
リュー「そう言えば、【剣姫】はジャガ丸くんが大好物だったような……。まさか彼は【剣姫】に……?」
シル「むぅ……」