別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか 作:さすらいの旅人
リヴェリアの指導が凄く良かった事もあって、
これなら授業は終わっても良いが、一応予定は明日までとなってる。中途半端に終わらせるのはいけないし、まだ完全とは言い切れないから予断を許さない。
それが完全に終了すれば、今度は俺が魔術を教える予定だ。生徒役の俺が教師役になり、教師役のリヴェリアが生徒役となる。普通なら考えられない立場逆転であり、絶対にあり得ない光景と言われてもおかしくない。
と言っても、リヴェリアはやる気満々だから大して問題無かった。明後日に予定してる魔術の講義が近づくにつれて、早く教わりたいみたいな感じが見え隠れしていたから。
この世界に住まう人間が、果たしてルーン魔術を使えるかどうかは
それでもロキなどの北欧の神々に見せるのは避けた方が良いかもしれない。オーディンから教わった『原初のルーン』なんか見せたら、絶対問い詰められるのが目に見えてる。
この世界にいる神々は、天界から下界へ来る前に『
疑惑で思い出して話は変わるが、このところ【ロキ・ファミリア】の団員達が俺に対して何やら懐疑的な目で見られている事がある。と言っても、あくまで一部に過ぎない。時期としては
特にその中で一番に丸分かりなのが二人だった。
あの
☆
「ん~~、
お決まりの休憩場所となってる中庭で、長椅子に座ってる俺は両腕を伸ばしながらリラックスしていた。
今日は休憩中に俺と話してくれる面子(主にラウル、ヴァレンシュタイン、ティオナ)はダンジョンへ行っている。何でも次の遠征に備えての資金を集めているようだ。
オラリオで言う遠征とは、【ファミリア】が総出でダンジョン未到達階層へ目指す為の任務。都市最大派閥の探索系【ロキ・ファミリア】は勿論の事、派閥の等級が高い各【ファミリア】もギルドから
それを行う際、武器や
俺もある意味遠征をしている身だから、
まぁ【ロキ・ファミリア】の事情や俺の金策は置いといて、だ。今の俺にはちょっとした問題があって困っていた。それは――
(まともに組み手が出来る相手がいねぇ~~!)
最近、自分の身体が鈍り気味だった。
普段
そのモヤモヤを解消する為に早朝はリューと相手をしている。ここ最近参加し始めたクロエやアーニャ、更にはルノアも含めて。
三人が加わったのは、連敗状態が続いてるリューを見て何か思う所があったのか、俺に挑むようになったのだ。尤も、アーニャの場合は最初に出会った時と同様に一撃で終わらせている。戦い方が物凄く単純で分かり易いが為に。
相手をするのは別に構わないが、こうもずっと異性の相手をしてると少しばかり気が引けてしまう。もしイッセーが知れば――
『何だよその贅沢な悩みは!? ただでさえ美少女が沢山いる店に住んでおいて、毎日鍛錬の相手してくれるなんて凄く羨ましいじゃねぇか! 今すぐに俺と代わりやがれ!』
などと言う嫉妬染みた叫びをしてくるだろう。それをリアス達の前で言えばお仕置きされるオチとなるが。
ともかく、俺としてはいい加減に同性と組み手をしたい。この世界で相手をした同性は、一撃で倒したアレン・フローメルだけ。何だか虚しく感じるのは俺の気のせいだろうか。
出来れば以前から目を付けていたラウルを鍛えて強くさせたいが、リヴェリアにルーン魔術を一通り教えるまでは無理だった。だからそれまで、もう暫く我慢するしかない。これは言うまでもないが、俺と手合わせしたがってるヴァレンシュタインは論外だと補足しておく。
聞いた話によると、彼女は【ロキ・ファミリア】のアイドル的存在のようだ。一年前に13歳で
そんな
まぁ、どちらにしても至極如何でもいい事だった。自分から証明しようと彼等の疑惑を拭い去ろうとしたところで詮無い事だ。
「おい」
もし俺の事が気に食わない奴が喧嘩を売って来るなら話は別で……ん? 誰かが俺に声を掛けて来たようだ。どうやら深く考え事をしていた所為で接近に気付かなかったか。
明らかに男の声だと思いながら視線を向けると、灰色寄りの髪をした
「俺に何か御用ですか、獣人さん」
ヴァレンシュタインやティオナに匹敵するオーラだから、恐らく彼も第一級冒険者かもしれないが、残念な事に俺は名前を知らない……と言うのは冗談だ。ラウルから第一級冒険者の名前と特徴は聞いている。
俺の目の前にいる獣人はベート・ローガ。彼女達と同じく『Lv.5』で、【ロキ・ファミリア】主力メンバーの一人。アレン・フローメルと同じく派閥内で最速を誇るとか。
「テメエは何時まで此処にいるつもりなんだ?」
「えっと……明日で
素直に答えた筈なのだが、何故か向こうはお気に召さないみたいで、急に俺の胸倉を掴み、顔を寄せてギロリと睨む。
「あの糞猫を倒した位で調子乗ってんじゃねーぞ」
「? 別に調子に乗ってはいませんが」
糞猫とはアレン・フローメルの事だとすぐに分かった。
随分と口が悪いなぁ。こうやって平然と暴言を吐く所は彼曰くの糞猫とよく似ている。もしかしたら二人は似た者同士かもしれない。
「此処はテメエみてーな部外者が来る所じゃねーんだ。用が済んだらさっさと失せろ」
「それは無理な相談ですね。俺は其方の主神様と副団長さんから許可を頂いているんです。文句を仰りたいなら、そのお二方にして頂けませんか?」
「………チッ!」
ロキとリヴェリアの名前を出すと、ベートは舌打ちをしながら手を放した。
流石に上司には逆らえないと言ったところか。主神か副団長のどちらなのかは分からないが。
こう言う喧嘩腰な奴は説得するより、武力で分からせた方が手っ取り早い。コイツの実力は知らないけどアレン・フローメルと同程度なら、本気を出せば一瞬で終わるだろう。
……あ、待てよ。もしかしたら……。
「そうだ。じゃあ、こうしましょう」
「ああ?」
胸倉を掴まれた事でシワになった部分を直しながら言う俺に、ベートは怪訝な表情になっていく。
「貴方が俺と戦って勝利したら、俺は二度と此処へは訪れません。と言えば勝負を受けてくれますか?」
「……………」
まるで予想外の提案だったかのように、ベートは途端に無言となった。まるで呆れるような感じで。
「ハッ!
直後、ベートは鼻で笑った後にそう言いながら何処かへ行こうとする。
流石にこんな程度で乗る訳が無いと分かっていた俺は――
「まぁそれが無難でしょう。アレン・フローメルより弱い貴方程度が挑んだところで、どうせ無様に負けるのがオチでしょうから」
「……テメェ、今何つった?」
安い挑発を仕掛けてみると、向こうは物の見事に引っ掛かってくれた。
さてさて、我ながら短絡的な手段だけど、久しぶりに同性相手の組み手を楽しませてもらおうか。
まぁやるにしても、リヴェリアに話してからだけど、な。
フィン「ん? 何やら外が騒がしくないかい?」
ガレス「みたいじゃのう」
ロキ「もしかしたら、ベートの奴がリューセーに絡んで勝負挑んでたりしてな」
リヴェリア「あのリューセーがそんな簡単に受けたりしない筈だ」
アキ「た、大変です! 何故か分かりませんが、リューセーがベートと戦おうとしてます!」
三人+一柱『………はぁ!?』