別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか 作:さすらいの旅人
リヴェリアに魔術講座を教えて約二週間経った。まだ初級講座をやっているが、それでも彼女は何一つ文句言う事なく勤勉に励んでいる。少しでも疑問を抱く点が見付かれば徹底的に調べようと、かなり鋭い質問を何度もされるが、講師役の俺としては歓迎するようにちゃんと答えている。
問題があると言えば、【ロキ・ファミリア】に所属してるエルフ達や、ティオナとヴァレンシュタインだった。
エルフ達は俺とリヴェリアが、毎日二人っきりだけの講座を行ってる事に予想通り不満があったみたいだ。いくら講師と言っても、男の自分が
次にティオナだけど、俺が前に練習用として書いた
最後のヴァレンシュタインは、相も変わらず俺と手合わせしたがっている。前にリヴェリアからお説教をされて自重したみたいだが、それでも完全に諦めてはいないようだ。会う度に訴えるような視線を送られるが、ジャガ丸くんでどうにか宥めているとはいっても、これがいつまで維持出来るのやら。飽きさせないよう、違う味を提供させているから今のところ大丈夫だ。
とまあ、少々面倒事に巻き込まれながらも魔術講座を行っている中、突如中断する事になってしまった。団長フィン・ディムナより、ダンジョンの遠征が近いから一時中断して欲しいと言われた。
都市最大派閥と呼ばれている【ロキ・ファミリア】は有名な探索系ファミリアであり、オラリオにある
少々脱線しかけたが、講座が一時中断された事により、遠征が終わるまで俺はフリーとなった。尤も、『豊穣の女主人』で朝の時間帯に参加する事になるが。他にも魔術講座として行う為の魔術書作成、ティオナが読みたがってる
因みにリヴェリアはディムナからの中断要請を聞いた事でかなり不満を抱いていた。『支障に来たさないようギリギリまでやりたい』と言ってたけど、その妥協案に彼から『ダメだよ』と団長命令を下された事で渋々従うしかなかった。他にティオナからもブーブーと不満を漏らしていたが、そこは俺の方から『遠征が終わったら今まで以上に続きを用意する』と言った事でアッサリ済んだ。
俺が朝の営業時間に参加する事を知ったミア母さんから、『今まで抜けた穴を埋めてもらうよ』と言われた。調理担当のメイ達も『これでやっと負担が軽くなる~!』と嬉しそうに歓迎されたが、朝の時間帯ってそこまで忙しかったのかと少々疑問を抱いたが、敢えて気にしないことにした。
そして久々に参加して、メイ達が言った意味を漸く理解することになる。
「リューセー! もう二品追加だよ!」
「了解!」
ミア母さんからの指示に、調理担当の俺はフルで動いていた。
朝の営業時間から始まって早々にも拘わらず、大勢の客で賑わっている。まるで夜と大して変わらない忙しさで、時間を間違えているんじゃないかと錯覚するほどに。
最初は何でこんなに忙しいんだと疑問を抱いたが、それはすぐに察した。
「ミ、ミア、俺は前からお前の事が!」
「ミア、ワシの気持ちを受け取ってくれ!」
「ミアさん、どうか私と結婚を前提としたお付き合いを!」
「ちょっとミア、貴女どうしてそんなに綺麗になったのよ!?」
「私達にも教えなさいよ!」
「ねぇねぇ、女神の私も気になるから教えてくれないかしら~?」
「喧しい! 仕事の邪魔なんだよアホンダラぁ!」
『ギャァァァアアアアア!』
忙しい調理場とは別に、テーブル席があるエリアの方ではミア母さんに詰め寄る客や神達が押し寄せていた。何しろ俺達の母親は誰もが気になるほど可憐で美しい女性の姿になっているから。
そうなっている理由はある。数日前に俺が普段から利用してるお風呂セットを使わせたことによって、ミア母さんが整形したと思われるほどの美人に変貌してしまったのだ。
これは当然俺だけでなく、シル達スタッフ全員が大声を出すほど吃驚している。更には後から知った客達も同様に。
大事件と言われるほどオラリオ中が震撼し、夜の時間帯では満員となるほどに客が溢れていた。それは勿論、美人になったミア母さんを見ようとする為に、な。
俺はリヴェリアの魔術講座をしていた事で朝の時間帯に参加出来なかったが、メイ達が嘆いていた理由をよく理解した。こんなに忙しいと音を上げたくなるのは無理もない。
それにしてもまぁ、客だけでなく神連中も随分度胸があるもんだ。忙しい筈のミア母さんに堂々と告白するだけでなく、美人になった方法を問い詰めるなんて、相当命知らずにも程がある。
「リューセーさん、追加分は出来ましたか?」
「ああ、たった今出来あがるところだ」
調理場に入ってきたシルが確認の為に来たので、俺は最後の仕上げとして完成した料理を皿に乗せた。
「なぁシル、俺が帰ってくる時にミア母さんがいつも不機嫌なのはアレの所為なのか?」
「ええ、見ての通りです」
俺の質問にシルが頷いた後、作った料理を持ってすぐに持ち場へ戻ろうとする。
(どうやら、ミア母さんにお風呂セットを使わせたのは失敗だったな)
またしても注文の追加が来た為、俺は再び調理しながらも以前にやったアレを思い出していた。後先考えずに
最初は全く問題無いだろうと思って一番信用出来るミア母さんに使わせたのだが、まさかあんな可憐な姿になるなんて完全に想定外だった。
まぁとにかく、ミア母さんがああなった以上、俺が持っているお風呂セットは今後誰にも使わせないようにしておこう。今はまだ外に漏れてないが、この世界にいる人間の女性や女神達が知れば絶対に欲しがろうとするのが目に見えている。
現に――
「リューセー、ミャー達も使わせてニャー」
「ミャー達もミア母ちゃんみたく綺麗になりたいニャー」
「ミア母さ~ん、調理場でサボってるのが二名いるよ~」
「「ニャッ!?」」
「このバカ娘共ぉ! リューセーの邪魔してんじゃないよぉ!」
俺の声がバッチリ聞こえたミア母さんが即座に調理場へ来て、バカ猫二人は一瞬で連行されるのであった。
如何でもいいがシルの奴、今日はいつもと違って雰囲気が違うような気がする。何と言うか……今日はちょっとばかり素っ気ない感じが見受けられるんだが、それは俺の考え過ぎなんだろうか。
一方、その頃。
「ロキの【
「フレイヤ様、まさかとは思いますが――」
「違うわよ。今回はロキとは全く無関係だから安心なさい」
「では、何をなさるおつもりですか?」
「久しぶりに
バベルの最上階で【フレイヤ・ファミリア】の主神フレイヤはとある目的の為、隆誠に接触しようと画策しているのであった。
久しぶりにフレイヤ・ファミリアと再会させようかと書いてみました。
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