別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか   作:さすらいの旅人

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フレイヤと食事

 オッタル(+周囲には見えない眷族達)の強制的な案内によって、俺は再び【フレイヤ・ファミリア】の本拠地(ホーム)――『戦いの野(フォールクヴァング)』へ向かう事になった。

 

 移動の最中、視界に入った住民達は途端に恐怖の表情に一変した。まるで関わりたくないと言わんばかりに、オッタルを見た直後に目を逸らしている始末。それを見た俺は一体どれだけ嫌われているんだよと内心呆れてしまう。

 

 まぁ、それは当然かもしれない。以前にフレイヤから配達依頼をされて本拠地(ホーム)へ向かった際、そこにいる門番から手酷い歓迎をされただけでなく、オッタルには圧をかけられ、アレンから見下されると言う散々な目に遭った。こんな失礼極まりない連中に人望なんか皆無だろうと予想していたが、住民の反応を見た事で自分の考えは正しいのだと改めて認識された。

 

 こんな非常識極まりない【ファミリア】をギルドが放置してるのは勿論理由がある。それは『強い』からと言う単純明快なモノ。加えて迷宮都市(オラリオ)の最強戦力でもあるから、有事の際には必要不可欠らしい。

 

 オラリオと言う迷宮都市は、実力(ちから)があれば何をしても許されると言う傾向が非常に強い。色々問題だらけであっても、それがこの世界の(ルール)であれば、他所から来た聖書の神(わたし)が横から口出しをする権利など皆無だ。

 

 もしも自分だけでなく、赤龍帝(イッセー)白龍皇(ヴァーリ)も一緒に来ていたらどうなっていただろうか。イッセーはともかく、戦闘狂のヴァーリが【フレイヤ・ファミリア】に喧嘩を売る光景が容易に想像出来てしまう。それでアイツの白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)で何度も力を半減されたら、【フレイヤ・ファミリア】の勢力は間違いなく零落する事になるだろうが、な。

 

「フレイヤ様の客人を連れてきた。門を開けよ」

 

「分かりました」

 

 全く如何でもいい事を考えていた事で、いつの間にか『戦いの野(フォールクヴァング)』に辿り着いていた。前回と違ってオッタルが前以ていた事で、門番達は何も言わずに門を開けている。俺を見た瞬間に忌々しそうな目で見ていたが。

 

 中に入って早々、以前と同様に殺し合い同然の戦いが繰り広げている。俺が入った事に気付いたのか、フレイヤの眷族達は途端に戦いを止めて俺を凝視、と言うより睨んでいた。中には襲い掛かって来そうな奴もいる。

 

「あのぅ、何であの人達は俺を睨んでいるんですか?」

 

「………………」

 

 俺が問うも、オッタルは無言のまま進んでいく。

 

 答える気が無いとは言え、せめて理由くらい教えて欲しいものだ。謂れのない殺気をぶつけられると、流石に俺も嫌になるんだけど。

 

 コイツ等を一度本格的に矯正(ぶっとば)したい衝動に駆られるも、何とか堪えながらも案内された場所にフレイヤがいる。

 

「いらっしゃい、隆誠。また会えて嬉しいわ」

 

 俺を歓迎するフレイヤとは別に、彼女の背後に控えている眷族達は全く正反対だった。特にアレンは俺を見てあの時の事を思い出したかのように、殺したいと言わんばかりに俺を思いっきり睨んでいる。

 

 同じ顔をした四つ子らしき男性小人族(パルゥム)、肌色が異なる白と黒の男性妖精(エルフ)二人、フレイヤの従者と思われる女性二人。アレン程ではないにしろ、明らかに俺を歓迎してないどころか警戒している様子。そして案内を終えたオッタルは当然のようにフレイヤの傍にいる事で、女性二人を除く面々から不愉快そうに睨まれているが気にしないでおく。

 

「一方的に俺を呼び出しておいて、何が『いらっしゃい』だ。女王様気取りは相変わらずだな、フレイヤ」

 

 俺が大変不快そうに言い返した直後、室内全体に途轍もない殺気に包まれた。そうなった原因はフレイヤの眷族達だから。

 

 普通の人間がこんなモノを直接浴びてしまえば恐怖するどころか、失神してもおかしくないだろう。だが俺や聖書の神(わたし)からすれば、単なる可愛い威嚇も同然だ。元の世界でアイツ等とは比べ物にならない敵と何度も戦い続けたから、今更この程度の殺気で動じたりしない。

 

「あら、この前と違って随分遠慮が無くなったわね」

 

 フレイヤは眷族達の不躾な行いに当然気付いてる筈だが、敢えて何も言わない様子だった。

 

「前にお前が素で話して欲しいと言ってたから、そうしようと思っただけだ」

 

「そう言えば、確かにそう言ったわね」

 

 思い出したかのように言うフレイヤは、不快にならないどころか大変楽しそうな表情になっていく。逆に眷族達は忽ちに顰めっ面になっていくが。

 

「まぁ取り敢えず掛けて」

 

 フレイヤが座るよう促して来たので、俺は取り敢えずと言った感じで高級そうな椅子に腰掛ける。

 

「それで、俺に一体何の用だ? お前の眷族達を控えさせてまで」

 

「本当ならオッタル達を退室させたかったんだけど――」

 

「その者の実力が判明した以上、我々は貴女様の傍を離れる訳にはいきません」

 

「――と、頑なに拒否されてしまった訳なの」

 

 成程な。思わず感情的になってしまったとは言え、オラリオ最速と呼ばれるアレン・フローメルの攻撃を簡単に防いだだけでなく、一撃で倒した俺を完全に警戒してるのか。下界の人間が神に手を掛けるような事は出来なくても、万が一自分達の主神に何かあれば不味いと判断したオッタル達は、後から処罰を受ける覚悟で居続けてるのだろう。

 

 主神想いなのは大変結構だけど、その気遣い(やさしさ)を少しでもオラリオの住民達に向けて欲しい。そうすればマイナスイメージもある程度は払拭出来るだろうに。

 

「そうかい、だったら好きにしてくれ」

 

「…………」

 

 諦める感じで嘆息する俺にフレイヤはまたしても興味深そうにジッと見ている。

 

「何だ?」

 

「隆誠は冒険者ではないのに、随分と余裕なのね」

 

「単なる開き直りだよ。どんなに取り繕ったところで今更だから、な」

 

 向こうが思いっきり警戒してるのであれば、もう以前みたいに遜る必要など無い。もし俺の発言に我慢出来ずに襲い掛かってくれば、容赦無く迎撃するつもりでいる。

 

「それはそうと、早く本題に入ってくれ。こっちは昼食前に呼び出されたんだから」

 

「あら、そうなの。だったらお詫びとして、此方で用意するわ」

 

「遠慮する。どうせお前の事だから、豪華な飯を食わせた後に何かとんでもない要求しそうな気がする」

 

「失礼ね。私はそこまで狭量な女神じゃないのだけど」

 

「どうだか」

 

 俺がいる世界のフレイヤであれば受け入れるが、此方のフレイヤは色々油断出来ない。ロキの話によれば、彼女は中々狡猾かつ強引な手段を取る事もあって何度もトラブルを起こした過去があると言っていた。以前に起きた抗争とは別に色々と。

 

 美を司る女神は何かしらの厄介事を引き起こす事を既に知ってるが、それがどこの世界でも共通している事柄だと改めて認識した。フレイヤであれば猶更に、な。

 

 昼食は後から自分でどうにかすると拒否するも、結局用意されてしまう破目になってしまった。フレイヤの従者と思われる女性二人――ヘルンとヘイズに至急食事を持って来るよう命じられてしまった為に。

 

 オッタル達の視線(+アレンの強烈な殺気)が当てられながらも、俺とフレイヤは全く気にせず昼食を取ろうとする。




ラウル「『かろりーめいと』はまた今度で、今日はドライフルーツを(もぐもぐ)……これも美味いっすね」

ティオナ「ラウルー、何食べてんのー?」

ラウル「………ちょっとした携帯食っす」

ティオナ「その割には凄く美味しそうに食べてたねー。もしかしてソレ、リューセーからの?」

ラウル「ゴメンっす、ティオナさん。自分これからやる事あるんで」

ティオナ「あっ! ちょっと、何食べたかくらい教えてよー!」
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