別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか   作:さすらいの旅人

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このIF企画はいつまで続くんだろう、と書きながら疑問視する自分がいました。



IF企画 リューセーVS【フレイヤ・ファミリア】 蹂躙する側がされる側に

「………まぁ良いか」

 

 先制攻撃を仕掛けてオッタルを吹っ飛ばした隆誠は何か気になるような表情をしていたが、すぐに切り替えてアレン達の方へ視線を向ける。

 

「嘘だろ、オッタル……」

 

 アレンが信じられないと言わんばかりに呆然とした表情になっていた。彼だけでなくヘディンやヘグニ、アルフリッグ達も含めて。

 

 彼等はオッタルが一撃で倒された事が信じられなかった。普段から(いが)み合うほど不仲でありながらも、実力だけは認めている。

 

 【フレイヤ・ファミリア】の団長オッタルはアレンと同じ『Lv.7』だが、『Lv.8』に限りなく近い『Lv.7』である為、オラリオ最強冒険者の【頂天】として君臨している。アレン本人も認めたくないが、未だに勝てないと内心自覚する程だ。

 

 圧倒的な実力を持つだけでなく、鉄壁の防御力も備わっている。アレン達だけでなく、【ロキ・ファミリア】の幹部達ですら抜けないほどの『絶対防御』とも称される安定感を有している。故にどのような攻撃を仕掛けても、初撃で倒すなど先ず不可能だった。

 

 しかし、それが一気に覆されてしまった。不意を突かれたとは言え、オッタルが隆誠の攻撃を防御出来なかったどころか、簡単に吹っ飛ばされてしまったから。アレン達が呆然となるのは当然とも言えるのであった。

 

「さっきまでの威勢は何処へ行った? 俺を死刑にすると勝手な事をほざいていたじゃないか」

 

 隆誠の発言で現実に戻ったのか、アレン達はすぐに自身の得物を持ち構えた。

 

「まぁ無理はない。あのオッタルがたった一撃でやられるのを見せ付けられたら、な」

 

 普段のアレン達であれば、自分達を侮辱する者は誰であろうと速攻で黙らせている。しかし隆誠が圧倒的なパワーでオッタルを倒した為、口が思うように開けなかった。

 

「因みに解放した俺の力を冒険者(おまえ)達の基準で言うと『Lv.20』以上は確実だ」

 

『ッ!?』

 

 自身の実力をレベルで換算した隆誠の発言に、アレン達は再び目を見開く。余りにも馬鹿げたレベルである為に。

 

 冒険者のレベルとは、神の眷族のランクを総合的に示す数値。レベルを上昇させるには任意のアビリティを上げるだけでなく、自分の限界を突破するような偉業を成し遂げなければならない。それを経た事で冒険者は上位存在たる神に一歩近づき、心身の強化と器の進化が実現されてランクアップする仕組みになっている。現時点での最高峰は『Lv.7』のオッタルとアレン、そして『学区』に所属するもう一人の人物だけだが、過去には『Lv.8』や『Lv.9』の冒険者が存在していた事も補足しておく。

 

 しかし、冒険者でない筈の隆誠は自ら『Lv.20』以上だと断言していた。普通に考えてそれはあり得なく、何も知らない第三者が耳にすれば、とんでもない法螺吹き野郎だと嘲笑されてもおかしくないだろう。

 

「ざけんなッ! いくらてめえでも、そんなのあり得ねぇだろうが!」

 

「まだ信じられないか? ならば来いよ……チビ猫ちゃん」

 

 否定するアレンに、隆誠は挑発する仕草をしながらそう言った途端、空気が一気に凍った。

 

 アレン・フローメルは自身の身長が低い事を物凄く気にしており、それを指摘した者は相手が一般人であっても全力で攻撃を仕掛けてくる。それが例え、自身より遥かに格上の相手であっても。

 

「誰がチビだ、このクソ人間(ヒューマン)がぁぁあああああああああああああ!」 

 

「止せ、アレン!」

 

 禁句を言われた事で怒りを爆発したアレンが隆誠に向かって突進し、それを見たヘディンが止めようとするも遅かった。

 

「死にやがれぇぇぇぇえええええ!」

 

 怒り狂うアレンの攻撃は、正に暴風そのモノだった。『Lv.7』にランクアップした事もあってか、今の彼の攻撃はオッタルでも簡単にいなす事が出来ないだろう。

 

 同時に隆誠を本気で殺そうとしているから、今のアレンは殺意の塊と化している。常人が触れただけでも簡単に吹っ飛ばされてしまう上に、あっと言う間に死体と言う名の肉塊(にっかい)が出来上がってしまう。

 

 銀の長槍がまるで分身したかのように隆誠を滅多刺しにするも、彼が纏っているオーラによって一つも貫通出来ないでいた。

 

「ッ!」

 

「ランクアップしても所詮この程度、か」

 

 攻撃を黙って受けていた隆誠は痛くも痒くも無いどころか、まるで失望したかのように言った。

 

 その台詞にアレンが更に激昂しそうになるも、突然目の前にいる隆誠が姿を消した。

 

 一体何処へ行ったのだとアレンは周囲を見渡すと、いつの間にか自身の背後を通り過ぎたかのように佇んでいる。

 

「先に言っておく。気付いていないなら、一歩たりとも進まない方が良いぞ」

 

「何をふざけた―――がはっ!」

 

 隆誠の忠告に聞く耳持たずのアレンが即座に攻撃態勢を取ろうと一歩踏み出した瞬間、途端に両手両脚や腹部、そして頭に途轍もない衝撃と激痛が走った。それに耐えられない所為か、吐血しながらうつ伏せに倒れて意識を失ってしまう。

 

 全冒険者の中で最も脚が速く、『都市最速』の称号を有する筈の実力者が無様な姿を見せている事に、ヘディン達は言葉を失ってしまう。

 

「やれやれ、だから言わんこっちゃない」

 

 振り返りながら、落胆の言葉を述べる隆誠。

 

 彼が一瞬で倒されたのは、隆誠の技によるモノだった。

 

 嘗て祐斗に教えた『(しゅん)(れん)(ざん)』であり、対象を通り過ぎる直前に頭部、腹部、両腕両脚に攻撃を一瞬で仕掛ける技。本来は武器を使用する技なのだが、隆誠であれば素手だけでも充分に発揮できる。訂正するなら剣技ではなく、打撃技の『(しゅん)(れん)()』が正しいだろう。

 

 速さに関する技であればアレンも気付いたかもしれないが、禁句を耳にした事で冷静さを失っていた為に視認出来なかった。必ず激昂すると確信しながら態と挑発し、全て隆誠の思い通りに踊らされていた事を知らずに。

 

(あの愚猫め! この状況で我を忘れるなど、愚の骨頂にも程があるぞ!)

 

 無様に倒れるアレンを見ているヘディンは声に出してないが、内心で悪態を吐いていた。

 

 隆誠が挑発する為に禁句を言ったのだと即座に気付くも、肝心の愚猫は一切気付かずに突撃して無様な姿を晒す破目になった。ヘディンが思わず口汚く罵ってしまうのは無理もない事だ。

 

「そう罵倒するなよヘディン、どうせお前もすぐにやられるんだからさ」

 

「くっ!」

 

 まるで心を読んだように話し掛けられた隆誠に、ヘディンはただ睨むだけに留めている。

 

 すると、隆誠はいつの間にか彼等に人差し指を向けており――

 

「バン」

 

 と言った瞬間、指先が突然光り出し――そして爆発した。

 

『ッ!?』

 

 突然の爆発にヘグニとアルフリッグ達は爆発した方へと振り返る。

 

「ヘ、ヘディン……嘘だろ?」

 

 爆発による煙が晴れると、そこにはヘディンが倒れているどころか意識を失っていた。

 

 共に行動をする事が多い相方の姿に、ヘグニは信じられないように呆然と彼を見ている。

 

「見、見えなかった……」

 

「俺達には、ただ、何かが……」

 

「光ったとだけしか……」

 

「そんな、バカな……!」

 

 ヘグニだけでなく、ガリバー兄弟(アルフリッグ、ドヴァリン、ベーリング、グレール)も同様の反応を示していた。

 

 隆誠が放ったのはドラグ・ソボールの極悪人キャラのフリーズが使う『キルビーム』と呼ばれる技で、人差し指の先から光を放つ。技の出が速いのが特徴で、以前アレンに使ったが、今回は力を解放してる事で、第一級冒険者達の目でも視認出来ない程のスピードで撃った。その結果、命中したヘディンはあっと言う間に倒される結果となった。

 

「らしくない失態だな、ヘディン。次に狙われるのは自分だと気付かなかったのか?」

 

 隆誠は【フレイヤ・ファミリア】を格下扱いしてるが、決して見縊ってなどいない。その中で一番に厄介な人物なのはヘディン・セルランドだった。寧ろ、あの自分勝手な【フレイヤ・ファミリア】をよく纏めているものだと密かに尊敬している程だ。

 

 オラリオ最強の派閥と呼ばれている【フレイヤ・ファミリア】だが、団員の殆どは協調性を全く持ち合わせていない。それは当然派閥としての機能が全く成り立たないから、必要最低限に纏める参謀役がどうしても必要だった。それに抜擢されたのは卓越した頭脳と王としての経験と知識を持つヘディンであり、他の幹部メンバーも不満があっても彼の能力を認めている。

 

 その事実を知った隆誠は、ヘディン・セルランドが倒されたらこの派閥は間違いなく終わりだなとすぐに察した。オッタル達が作戦に関しては、全て彼任せであると分かった為に。

 

 本当なら力を解放してから即座にヘディンを仕留めるつもりでいた隆誠だったが、それはあくまで戦争遊戯(ウォーゲーム)などの集団戦に限った話だから、今回はオッタルとアレンを倒してからにしようと改めている。

 

「どうする、お前達? いっそ纏めて掛かって来てもいいぞ」

 

「………」

 

「「「「……クソが」」」」

 

 ヘグニとアルフリッグ達は改めて理解した。自分の実力が『Lv.20』以上だと豪語した隆誠の発言は真実である事を。

 

 『絶対防御』を有してる団長(オッタル)を一撃で倒し、『都市最速』の副団長(アレン)ですら視認出来ないスピードで倒し、第一級冒険者(じぶん)達にも視認出来ない速攻魔法らしきモノで参謀(ヘディン)を倒した。こんな事実を間近で見られて否定する程、彼等は愚かではない。

 

 余りにも馬鹿げた力を持つ隆誠に恐怖してもおかしくないが、ヘグニ達はそれでも戦う意思を見せている。封印されたフレイヤが隆誠の腹の中にいる以上、何としても救出しなければならないのだ。敬愛する主神に絶対的な忠誠を誓っている彼等に、恐怖や退却など絶対許されないのだから。

 

「……アルフリッグ達、俺が何とか隙を作るから……後を頼む」

 

 すると、ヘグニはまるで決心するかのように言った。

 

 しかし――

 

「何だと?」

 

「本気で言ってるのか?」

 

雑魚精神(ザコメンタル)エルフの癖に」

 

「ヘディンがやられて、とうとう頭がおかしくなったか?」

 

「……こう言う時くらい、合わせて欲しいんだけど……」

 

 アルフリッグ達の台詞にヘグニは傷付きそうになりかけるも、それでも何とか耐えていた。

 

「だが、そうするしかないのは事実だ」

 

「アイツの余裕面をこれ以上見たくない」

 

「早くフレイヤ様を救出しなければならない」

 

「お前が何をするかは既に分かってるから、さっさとやれ」

 

 だがそれでも、アルフリッグ達は理解していた。今の状況で隙を作れるのはヘグニしかいない事に。

 

 本当なら隆誠はその気になれば一瞬で倒せるのだが、敢えて待っていた。向こうの作戦を完膚なきまで叩き潰そうと考えているから、敢えて向こうに合わせているのだ。

 

「【抜き放て、魔剣の――」

 

 そしてヘグニが覚悟を決めたかのように詠唱を紡ごうと――

 

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 

 

 していたのだが、突如聞き覚えのある雄叫びが響いた事で中断せざるを得なかった。

 

 ヘグニ達だけでなく隆誠も当然耳にしており、気になるように振り向いている。

 

 その先には――明らかに『獣化』していると思われるオッタルがいた。

 

「やはりな」

 

 一撃で倒した筈のオッタルが再び参戦する事に、隆誠は慌てた様子を一切見せていない。

 

 それとは別に、意識を失って倒れている筈のアレンとヘディンがピクリと動いていた。




活動報告で書いたリューセーのレベルについてですが、敢えて20以上にしました。

コメントしてくれた方々、本当に参考になったのでありがとうございます。

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