別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか 作:さすらいの旅人
鍛冶体験をしてから四日経ち、俺は再び【フレイヤ・ファミリア】の
そこへ行く理由は当然ある。以前にアレンの相手をしてる最中に得物を壊してしまい、ソレを俺が自ら鍛冶で打ち直したから、元の持ち主へ返そうとする為だ。
郵送などの配達依頼があるけど、生憎この世界はそんな便利なモノではない。もしやるとしてもギルドに申請、もしくは冒険者に
ギルドは各【ファミリア】関係者や商人以外だと、多額の仲介料や手間賃を請求する上に無駄な手続きをしなければならない。加えて配達先が【フレイヤ・ファミリア】となれば、並みの派閥以上に厳しいそうだ。本当に問題無いのかと品物の確認だけでなく、依頼主に配達目的の聞き取り調査等々、たった一つの荷物を送るだけで数日と言う無駄な時間と費用を要する事になってしまう。
他にはギルドを通さず冒険者に
とまあ、この世界の配達は日本と違って物凄く面倒で全然安心出来ないから、こうして俺が直接持って行くしかない訳である。ギルドの調査に関してはこの世界だと至極当然なのだが、余りにも無駄があり過ぎるのは単なる俺の思い過ごしだろうか。
配達とは別に、直接足を運ぶのにはもう一つ理由がある。性転換ビーム銃で女になったアレンの確認も意味合いも兼ねてるのだ。今日で丁度一週間経ったから、多分夜中辺りに解除される筈。フレイヤによって再教育をされたアレンこと(俺が勝手に決めた)アレーヌちゃんの状況確認をしようと、俺の個人的な理由で向かっている。向こうからすれば物凄く傍迷惑だろうが、そんなのは完全無視させてもらう。【フレイヤ・ファミリア】に遠慮する気など微塵も無いから。
アイツ等が全力の殺気をぶつけてきたところで軽く流すが、もし怒りに任せて襲い掛かってきたら迎撃して倒せばいい。もし束になって挑むのであれば、絶対的な力の差を叩きこんでやるつもりでいる。
オラリオ最強の戦力と呼ばれてるオッタル達など、俺や
(この前会った彼女が色々な意味で恐かった……!)
鍛冶体験をした翌日、『豊饒の女主人』に一人の女神が訪れた。
その女神は鍛冶神ヘファイストスで、普段から神相手でも容赦しないミア母さんですら後退りするほどの雰囲気を醸し出してて、俺も少しばかり恐怖した程だ。
俺を見て早々に有無を言わさず店の外へ連れて行き、根掘り葉掘り問い詰められる破目になった。『私とアフロディーテの関係を一体何処で知ったの?』と。あの恐ろしい表情に思わず真実を話しそうになったが、そこは鋼の精神で押し込み、何とか内容を暈す事に成功する。今後誰にも言い触らさないようにと釘を刺され、俺も内心余計な事を口にしたと後悔しながらも約束した。まぁそのお陰でヘファイストスから鍛冶工房を一時的に貸してくれて、アレンの武器を修理する事は出来たが、な。
しかし、この世界では女のヘファイストスが同性のアフロディーテと本当に付き合っていたとは……。世界が異なっても共通してる部分がやはりあるのだと、改めて実感してしまう。
そうなると、他の神々も共通した色々な黒歴史を持つ事になるが、それは色々面倒な事になるからやらないでおくとしよう。ヘファイストスの件でもう懲りたから、な。
(おっ、着いたか)
考え事をしながら歩いていた為、目の前に【フレイヤ・ファミリア】の
以前から知っていたが、あの
「そこで止まれ!」
「一体何しに此処へ来た!?」
俺がアレンをぶちのめした件を知ってると言うのに、門番達は勇敢にも威嚇していた。
「フレイヤはいるか?」
「帰れ!」
「貴様のような危険な奴を通す訳には――」
「お前等さぁ、いい加減にしてくれないか?」
「「!?」」
声高に叫ぶ門番達の姿を見て不快感を抱く俺は、思わず殺気を出しながら声を低くしていった。
「フレイヤを守ろうとする忠誠心を見せてるかもしれないが、それは他者に対して酷く不快な行為だ」
「「……………」」
身体を震わせながらも武器や構えを一切解かない門番達に、俺は改めてこう言った。
「先に言っておくが、お前達みたいな雑魚共では俺の遊び相手にすらならない」
「「くっ……!」」
今のは完全に侮辱同然の発言だが、俺は気にせず更に続ける。
「それでも敬愛するフレイヤを守りたいのなら止めはしない。アレンと同じく性転換される覚悟があるなら、な」
「「っ……」」
女に性転換される、と言う発言を聞いた門番達は途端に小さな悲鳴をあげた。
確かに性別が強制的に変わるのは絶対に嫌だから、コイツ等の気持ちは俺もそれなりに理解出来る。
「どうする? このまま素直に通すか、意地を通して無意味に俺と戦うか、好きな方を選ぶといい」
改めて問うと、門番の一人が苦渋の決断を下すかの表情になりながら返答をする。
「………分かった。門を開けるから少し待て」
「賢明な判断だ」
「おい、そんな事をすれば……!」
もう一人の方は最後まで反対するように咎めるが――
「ならばお前が奴と相手をするか? そしてその後は女になったアレン様と同じ目に遭う事になるんだぞ?」
「…………………」
途端に大人しくなるどころか、思いっきり顔を青褪めて引き下がるのだった。
そこまでの反応を示すって、アレンはフレイヤに一体何をされていたのやら。ちょっとばかりコイツ等に聞いてみたいが、どうせ後になれば分かるだろうから止めておこう。
ラウル「あ~あ、『かろりーめいと』がもう残り二本、かぁ。美味しくてついつい食べちゃうんすよねぇ」
アキ「でしょうね。あんなに美味しそうに食べてれば」
ラウル「げっ! アキ!?」
アキ「げっ、って何よ。失礼しちゃうわね」
ラウル「あ、いや……」
アキ「それより、リューセーから貰った携帯食は随分美味しいみたいね」
ラウル「……あの、アキ。もしかして、怒ってるっすか?」
アキ「別に怒ってないわよ。女の私達が用意した食事より、携帯食の方を美味しく食べてるところを見ても、全然怒ってないから♪」
ラウル「やっぱり怒ってるっす!」