別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか   作:さすらいの旅人

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今回も短いです。


懲りない連中

 門番と一悶着あったが、殺気を込めながら脅しをした事で何とか事無きを得た。敗北したら女に性転換されると分かれば、流石に嫌だろうと察しは付いていたから。

 

 巨大な門が開いた事で俺は遠慮無く『戦いの野(フォールクヴァング)』に踏み入る。門番達は非常に口惜しそうな表情で俺を睨んでいたが、そこは敢えて気にしないでおく。

 

 入った途端に以前と同じく団員同士の苛烈な戦いが繰り広げていた。しかも互いに相手を殺す気満々な攻撃を平然とやっているから、どれだけ仲間意識が無いのかと呆れる光景だ。

 

 フレイヤが殺傷沙汰は無しにするよう命じれば何とか収まるのだが、当の本人は止めるつもりは無いと見ていい。恐らくアイツの事だから、『仲が良いのね』と笑みを浮かべながら放置してる姿が容易に想像出来る。

 

「ッ! 貴様は!」

 

 そう思いながら団員達の戦いを素通りしていると、団員の一人が此方を見た途端に声を荒げた。その直後、他の団員達も同様の反応を示しながら一斉に動き出す。

 

 前回と同様にまたしても俺をあっと言う間に包囲して武器を構えていた。門番と同様、コイツ等もフレイヤを守ろうとする為の忠誠心を見せている、と言ったところか。

 

「何故貴様がいる! 門番は何をしていたんだ!?」

 

「此処に用があるからに決まってるだろう。それと今回はちゃんと門番と話して通して貰ったんだが」

 

「出鱈目を言うな!」

 

 本当の事を言っているのに、向こうは信用出来ないと声高に否定した。

 

「別に嘘は言ってないんだが……まぁ良いや。それより、そこを退いてくれないか? フレイヤに用があるんだが」

 

「貴様みたいな無礼者をフレイヤ様に――ッ!?」

 

「いい加減に学習しろ」

 

 まともな話し合いが出来ないと思った俺は、殺気を込めた睨みをしながら言った。直後、フレイヤの眷族達は前回と同じく再び金縛りにあったかのように動かなくなる。

 

「お前等には本当ウンザリするよ。まるで役割を与えられた人形と話しているような気分だ」

 

 口を開けばフレイヤ様フレイヤ様と五月蠅いったらありゃしない。

 

 アイツを守ろうとしてるんだろうが、俺からすれば非常に目障りな行為だ。

 

 【フレイヤ・ファミリア】の眷族達は、何故まともな話し合いが出来ないんだろうか。

 

 フレイヤの命令だからって有無を言わさず人を連れてこようとするオッタル、問答無用で襲い掛かってくるアレン。団員達の模範である筈の団長と副団長が既に問題だらけだから、他の眷族達もまともな話し合いが出来ないのは、ある意味仕方ないかもしれない。

 

「それとも、一度お前達を徹底的に叩きのめして性転換されなければ理解出来ないか?」

 

『!?』

 

 性転換、と言う単語に反応したのか、眷族達は一斉に顔を青褪めていく。

 

「いっそフレイヤも男にして、女になったお前達の純潔を散らしてもらおうか」

 

『ひぃっ!』

 

 俺が悍ましい事を口にしたと言わんばかりに、情けない悲鳴を上げている眷族達。

 

 フレイヤの事だから、嬉々として引き受けるだろう。この前だって男になる事に抵抗が無いどころか、自ら進んで性転換を望んでいたのだから。オッタルが必死に止められて叶わなかったが、な。

 

 俺が懐に手を入れて光線銃を出そうとすると、向こうは途端にガクガクと身体が震え始めていく。例え阻止しようと挑んだところで倒される事を理解してる上に、もし逃げようとすればフレイヤに対する背信行為だと考えてるかもしれない。ある意味板挟み状態、と言ったところか。

 

「何を騒いでいる」

 

 すると、奥から聞き慣れない声が耳に入った。

 

 俺だけでなく他の眷族達も視線を向けると、以前にフレイヤの傍に居た幹部と思われる白いエルフの姿を確認する。

 

「ヘ、ヘディン様!」

 

「騒ぐな、耳障りだ」

 

 眷族の一人が敬称を付けて呼ぶも、白い妖精(エルフ)――ヘディンは煩わしいと言わんばかりに眉を顰めながら言い返した。

 

「誰かと思えば、以前フレイヤの傍に居た眼鏡エルフか」

 

「その不快な呼び方は止めてもらおうか、()(じん)

 

 俺の呼び方が気に障ったみたいで、ヘディンも即座に言い返してきた。

 

 ()(じん)、ねぇ。そんな呼び方をされたのは初めてで、同時にガブリエル達がいなくて良かったと思う。そんな蔑称を聞いた途端、天使(こども)達は絶対に激昂してるだろうから。

 

「それは悪かった。だったらヘディンと呼ばせてもらうよ」

 

「名前で呼ばれる筋合いは無いが……まぁ良い。それはそうと、貴様は一体何をしに此処へ来た?」

 

 お、どうやらコイツは他の眷族達と違って話し合いの余地がありそうだ。

 

 俺がフレイヤと食事しながら話してる時には思いっきり殺気をぶつけていたと言うのに、今回はその欠片を全く出していない。

 

「フレイヤに用があってな。それとアレンに(コレ)を返しに来た」

 

「ほう」

 

 今まで片手に持っている布で包んだ槍を見せながら言うと、ヘディンは納得するように頷いている。

 

「ついさっきソイツ等に用件を言ったんだが、中々通してくれなくて困ってたんだよ」

 

「……付いてこい、案内してやる」

 

 此処で足止めされていた事も話すと、少しばかり呆れるような表情をしていたヘディンだが、嘆息した後にそう言った。

 

「ヘディン様、宜しいのですか!?」

 

「宜しいも何も、フレイヤ様はこの男を客人として認めている。まさか貴様等、フレイヤ様の気分を害してまで阻むつもりだったのか?」

 

『………………』

 

 咎めるように言い放つヘディンに、眷族達は何も言えなくなっている。

 

 もしもこのエルフがアレンみたく俺に襲い掛かってきたら容赦無くぶっ飛ばした後、性転換させるつもりでいた。

 

 見た目は女以上に端整な顔立ちをしてるから、女にしたらハイエルフのリヴェリアに匹敵するほどの美女になるかもしれない。

 

「! 貴様、何か非常に不愉快な事を考えなかったか?」

 

「言ってる意味が分からないんだが」

 

 凄いな。俺が軽く考えただけなのに、一瞬で危機を察知するとは。

 

 敢えて惚ける俺に、ヘディンは信用出来ないと言わんばかりに訝ったままだ。

 

 どうにか誤魔化そうと、俺はある事を問う事にした。

 

「ところでさ、アレンは今どうしてるんだ? フレイヤの教育で立派な淑女になってたりする?」

 

『……………………』

 

 俺が問うとヘディンだけでなく、他の眷族達も一斉に無言となった。同時に居た堪れないと言うか、(アレンに対して)憐れみを抱いてる感じがする。

 

「……会えば分かる。さっさと来い」

 

 間がありながらもヘディンは答えたくないと言わんばかりに、俺をフレイヤの神室へ案内するのであった。




フィン「どうやらこれ以上の遠征は無理だね」

ガレス「そうじゃな、今回は思っていたより物資の被害が大きい上に、団員達の負傷も目立っておる」

フィン「仕方ない、か。リヴェリア、悪いけど撤収の指示を出してくれないかな」

リヴェリア「分かった、そうしよう」

ガレス「………気のせいか? リヴェリアの奴、撤収と訊いた途端に少しばかり声が弾んでいたぞ」

フィン「あはは……。理由はもう察してるから敢えて何も言わないよ」

ガレス「あの小僧絡みか。全く、あのエルフはいい歳して乙女みたくはしゃぎおってからに」

フィン「ガレス、僕は何も聞かなかった事にするからね」
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