別世界の元神がオラリオに来たのは間違ってるだろうか   作:さすらいの旅人

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ロキ・ファミリアの宴会前

 女アレンが元の男に戻って数日が経ち、俺はいつも通り料理を振るっている。

 

 あの出来事の後、爆発したアレンは非常に荒れまくっていた。敬愛すべきフレイヤがいるにも拘わらず、自分を笑った連中に襲い掛かった程だ。男が可愛いメイド服を着ているのを見てる所為か、オッタル達は必死に笑いを堪えていた為に防戦一方だった。その際にアレンと目が合った瞬間、自分を嘲笑ってるとでも勘違いしたのか、今度は俺にまで襲い掛かる始末。どんなに否定しても聞く耳持たずで、一撃で気絶させるしかなかった。ただ普通に攻撃しても起き上がって来る事を見越して、聖書の神(わたし)の光も加えた事であっと言う間にKOとなり漸く静かになった。

 

 懲りずに問答無用で襲い掛かる大馬鹿者にはもう暫く再教育の時間が必要だと考えた俺は、気絶してるアレンを再度女に性転換させることにした。もう一度再教育するよう頼むとフレイヤは了承し、再び女になったアレンを見たオッタル達は心底気の毒そうに見ていた程だ。

 

 ついでとして――

 

『アレンに伝えておけ。今度は女にさせるだけでなく、フレイヤも男にして純潔を散らさせてもらうってな。それとオッタル達、貴様等も俺に挑む場合は色々な意味で覚悟しておけ。敗北したら女に性転換させた後、「豊穣の女主人」でウェイトレスの格好で強制的に働かせるからな』

 

 他人事のように見ていたオッタル達にも釘を差したら、そりゃもう揃いも揃って面白いくらいに顔を真っ青にしていた。一緒に聞いていたフレイヤは凄く面白そうにしていたが、な。

 

 とまあ、簡単ながらもそう言う経緯があった。まだ数日程度しか経ってないが、【フレイヤ・ファミリア】は今のところ大人しくなっている。

 

 そんな中、ある報せが入る事になる。【ロキ・ファミリア】が遠征から戻ってきたと言う意味合いも兼ねて、ロキが宴会の予約をしてきた。

 

 

 

 

 

 

「お前達、今夜は大忙しになるよ。ついさっき【ロキ・ファミリア】が宴会予約してきた」

 

 (今も若い姿をしてる)ミア母さんからの周知に、前回と似たような悲鳴と嘆息が耳に入った。確かにあの大所帯の【ファミリア】が来るとなれば、彼女達がああなるのは無理もないだろう。逆にミア母さんは凄くやる気満々だが、な。

 

「確かリューセーさん、お酒で酔った【剣姫】様に殴られそうになったんでしたよね?」

 

「ああ。あの時は散々な目に遭ったよ」

 

 シルからの質問に、俺は少々ゲンナリしながら答えた。

 

 酔ったヴァレンシュタインの暴走を止めたのは良いんだが、問題はその後だった。ミア母さんの怒号で思わぬ不意打ちを受けて、耳の鼓膜が凄く響いてしまった程だ。尤も、アレは【ロキ・ファミリア】や他の客達も同様に受けていたけど。

 

 既に済んだ話とは言え、思い出しただけで急に腹が立ってきた。14歳の子供に酒を飲ませた犯人(バカ)に文句を言ってやりたい。ソイツが余計な事をしなければ、あんな目に遭わずに済んだってのに。

 

 あの時は休憩中に騒ぎが聞こえて何も知らずに急いで駆け付けたけど、もう同じ轍を踏むつもりは無い。万が一にあの子がもし酒を飲んで暴走しても、その時は完全スルーさせてもらう。

 

 俺がそう決意してるとは余所に、ミア母さんが突然こう言ってきた。

 

「リューセー。急で悪いけど【ロキ・ファミリア】が来たら、アンタにはアイツ等の監視をしてもらうよ」

 

「は?」

 

『……えええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??』

 

 ミア母さんより今夜俺の役割を言った直後に俺は目が点になった直後、料理人のメイ達が何故と言わんばかりに叫んでいた。

 

 その後に『喧しい!』と注意されたが、ちゃんと理由はあるようだ。前回の宴会で【ロキ・ファミリア】のヴァレンシュタインがやらかしたペナルティも兼ねて、急遽俺を監視役として見張って欲しいそうだ。俺なら向こうの本拠地(ホーム)で何度も足を運んで顔馴染みになってる事も含めて、な。

 

 だから今夜の俺は監視役も兼ねて、【ロキ・ファミリア】専用のウェイターを急遽やる事が決定となった。俺としては不服だけど、ミア母さんに逆らえないので従うしかない。

 

 その際、リューから何やら警告をされた。

 

「リューセー。リヴェリア様と対応する時には、くれぐれも粗相の無いように」

 

「お前は本当に相変わらずだな」

 

 妖精(エルフ)王族妖精(ハイエルフ)を当然のように敬うのは既に知ってるが、これには流石にウンザリしてしまう。

 

 

 

 

 

 夜の時間になり、いつも通り料理担当をしていた。

 

 一時間も経たない内に予約した団体客の【ロキ・ファミリア】が来たと言う報せが入ったので、俺はすぐに厨房を離れ、一通りの準備を終えて店前に佇む。

 

「お待ちしておりました、【ロキ・ファミリア】の皆様」

 

「おお、リューセーやん。久しぶりやな。自分って確か、厨房メインでやっとるんちゃう?」

 

 歓迎の挨拶をする俺に、先頭に立つ【ロキ・ファミリア】の主神ロキが珍しそうに問う。俺を見たティオナが飛びつきそうになるも、そこは姉の方で何とか抑えてくれている。

 

「今夜は急遽ウェイターをやるよう言われたんですよ。ミア母さんが以前の騒ぎ(・・・・・)を懸念してるみたいで、ね」

 

「……さ、さよか」

 

 遠回しに監視役をすると理解したのか、ロキだけでなく、一緒に聞いていたディムナ達も耳が痛いみたいに少しばかり目を逸らしている。因みにその元凶であるヴァレンシュタインは、一体何の話だと頭に『?』を浮かべている。聞いた話によると、あの子は酒を飲んだ事を全く覚えていないらしい。

 

 向こうが納得してくれたと判断した俺は、【ロキ・ファミリア】を店内へ案内する。都市最大派閥である為か、彼等が入店した際に他の客達が息をのむかのように凝視していた。ロキやディムナ達は既に慣れているのか、客達の視線に全く気にしない様子で、俺が案内する席に座っている。

 

「ではすぐに飲み物や食事をご用意致しますので、少々お待ち下さい」

 

 最初に注文する飲み物(主に酒)を一通り聞き終えた俺は、ロキ達にそう言って一旦下がろうとした。

 

「なぁなぁリューセー。今日ウェイターやるなら、うち等の話し相手になるのもアリか?」

 

「…………ええ、仕事に差し支えなければ構いませんよ」

 

 ロキからの問いに思わずカウンターにいるミア母さんの方へ視線を向けると、少々苦い顔をしながらも首を縦に振っていたので、俺は取り敢えずと言った感じで答える事にした。

 

 まぁ、俺としては寧ろ好都合な展開だった。遠征の見送りをした時、俺はラウルに約束の料理を披露すると同時に返答を聞く予定になっているから。

 

 如何でもいい事なんだが、【ロキ・ファミリア】の殆どは若返った姿のミア母さんを見るのが初めてなのか、驚くほどに凝視していた。特に同じドワーフのガレス・ランドロックが今にも突っかかりそうな感じがするが気にしないでおく。

 

 さてさて、急なウェイターをやる事になったが、ヴァレンシュタインが酒を飲まないよう常に意識しておかないと、な。




次回は【ロキ・ファミリア】の各キャラ達の会話をする流れになります。

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