俺はさっきまで何をしていたんだっけ?ふと目覚めた俺は先ほどまでの記憶を思い出す。……ああ、そうだ確か鬱屈とした気分で会社を出て、歩いて10分ほどの距離の駅で電車に乗り、住んでるアパートの最寄りの駅から降り、駅の近くのコンビニで夕飯を買い、住んでいるアパートの部屋でそれを食べた後、好きな漫画を読んだ後にまた明日に備えてぐっすり眠たんだった。……そして、目が覚めたらいたらいつのまにか俺はこの白い世界にいた。
「ここは…何処だ?」
「お前は死んだのじゃ、野上 翔(のがみ しょう)よ」
声の聞こえた方向に振り向くと真っ白な頭がツルツルの、そして真っ白なお髭が似合うご老人が立っていた。もしかしてこれってまさか…。
「もしかして俺って死んでて、そして目の前のお爺さんは神とかそういうオチなんですか?」
「うむ、そういうオチじゃ」
立派な髭をさすりながらにこやかに答えるお爺さん。そのお爺さんを見ながらマジかよ、てっきりこういうシチュって二次創作だけかと思ってたと思う俺。
「あの、つかぬことをお聞きしますが何故俺は死んだのですか?」
死因を聞く俺、何故か落ち着いている。実感がまだ湧いていないのかもしれない。というか実感が全く湧いてこない。落ち着きすぎかもしれない。
「お前さんの住んでるアパートの部屋は2階じゃったろ、ちょうどその下の部屋で火事があっての、住民は全員が逃げたのじゃが、お前さんは疲れが溜まってたせいで眠りから覚めなくて、そのまま煙に巻かれて窒息してしまったのじゃよ、まあ冬じゃとこういう事故はよくあるがお前さん、運が悪かったの」
火事か〜煙で窒息とか最悪だ、まあ寝ていたからまだ苦しまないで死ねただけマシか、でも火事だと俺の好きな漫画もブルーレイも一緒に燃えてしまったんだろうな、そこがすごいショックだ、はっきり言って自分の命よりもずっとショックだ。
それは、そうと二次創作と同じならひょっとして……。
「お前さんに話しがあるんじゃが転生せぬか?もちろん好きな特典を持ってな」
「やったー、テンプレだー!!」
なんとなく歓喜の声を上げる。やった!今度の人生は楽しく過ごしてやるぜ!!絶対だ!!
そんな俺を見てお爺さんがホッホッホッと笑う。
「好きな特典を1つだけ渡してやるぞ、Fateの宝具とか仮面ライダーに変身したり色々なラノベの主人公やその仲間キャラのチートな能力を持っていけるぞ、と言っても一個だけじゃからよく選んでから特典を言うのじゃぞ」
そう言われて悩む、ぶっちゃけ仮面ライダーに変身とか凄い憧れる、特にWとかに変身したい、あれは間違いなく最高傑作だからな!!でも他にも王の財宝とかも憧れるなー宝具をドカドカ打ちまくるとかアニメで見て凄い迫力だったし、だけど俺はやっぱりあの能力…いやあの力がとっても欲しかった、だからもし神様転生ができて特典を貰えるなら絶対にそれにすると決めていたのがあった。俺はお爺さんに顔を向け、欲しい特典を答えた。
「お爺さん、俺に…神の鎧をください!!!!」
「……………………なんじゃって?」
お爺さんは訳が分からないと言った表情を浮かべる。あれ?もしかして伝わってないのかな?
「神の鎧ですよ、『マジンサーガ』っていう漫画に出てくる主人公が纏う鎧です」
そう俺が好きだった漫画『マジンサーガ』きっかけはとある古本屋に立ち寄って偶々見つけたのどなんだろうなーと思ってペラペラめくっていると凄いどハマりした漫画だ、作者はあのマジンガーZやデビルマンを書いた永井豪先生だ、俺はあんまり知らないけど、マジンサーガは神の鎧の設定や敵のデザインとかが特に好きだった。なので一度でいいから神の鎧を纏ってみたいと思っていたのだ、でもバイオメタルビーストはなりたくない、トイレに行けなそうだから。
「マジンサーガのう……ちょっと待ってくれ、わし、その作品知らんのじゃ。ええとマジンサーガ…これかの、どれどれ………………チートじゃん。めっちゃチートじゃないか、お前さん、無双系でヒャッハーする気かの。この能力なら割といろんな世界でも大暴れ出来るぞ」
お爺さんが俺に若干ドン引きしたような表情を見せてくる。まあ確かにヒャッハー!!俺TUEEEEEE!!とか出来そうだけどそれは間違っているんですお爺さん。
「いえ、ただ変身したいだけです。別に無双しようとか大暴れしようとか全く考えて無いんです。ただ神の鎧纏って変身したいだけで」
「いや、嘘じゃろ。大体の転生者たちは大暴れする気満々な連中ばっかりだったぞ」
「本当の本当です。全くそんなのどうでもいいんで」
お爺さんにそう答える。別に無双とかそういうのは見てるのが楽しいのであって別にやりたいとは思わない。少なくとも俺はだけど。
「ふむ、そうなのかまあいいじゃろ。とりあえずどの世界に行くかの?」
「楽しい世界でお願いします!!そこだけは譲れません!!」
そう、楽しくて"とっても平和な日常がある"世界で俺は過ごすんだ。
「うむわかった。特典はその世界についたらちゃんとあるからの勿論能力は原作道理じゃ。安心して使うがいい。それでは良い第二の人生をの」
「はい、ありがとうございます」
俺はお礼を言うと同時にまた目の前が真っ暗になってきた。どんな世界かは知らないが俺、野上 翔の新しい人生はきっと前の人生よりもきっとマシなものに違いない筈だ。
神サイド
うむ、ひとまずよしとするかの。うっかりあの若者の"寿命を縮めてしまった"償いはこれでいいじゃろう。次の人生は楽しい世界がいいと言っていたの、さてどう言う世界がいいかの……うん確かこの世界はワシの好きな作品じゃないかこの作品はなかなかハードで心が何度も砕けそうになったのじゃがそれでも最後までやってとっても楽しかったからいい思い出じゃったわい。
「だけど好きなキャラが死んだしまうのはとてもかなしかったのう……」
思い出してくるだけで悲しくなってしまった。いかんいかんあの若者の為に楽しい世界を選ばなくては………………待てよあんなチートな特典を持っているのに無双系は別に興味ないとか言っていたが本当にそうだったのかの?ふと疑問に浮かんだのだがワシはすぐにある結論に達した。
「なるほど、きっと恥ずかしかったに違いないの。まあ男の子なんだしそう言う考えはきっと持っていたんじゃろうな」
うんうんと頷く、そしてある事を思いつく、そうだこの世界に彼を転生させようと。
我ながら素晴らしい思いつきじゃ彼はあの力であの異星人どもを薙ぎ払いまくりワシの好きなキャラも救ってくれる、彼にとってもワシにとってもいい事尽くめじゃないかと。ワシって優秀じゃの。
「さて若者よこの世界で第二の生を楽しむのじゃよ」
神サイドアウト
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