ようやく横浜基地に着く。
「成程ね……私がオルタネィテイヴ4の開発の中で挫折…そしてオルタネィテイヴ5の発動。そしてあなたはそれを見てきた、ね。あなたの話を纏めると、そう言うことになるのかしら」
「はい、そうです。俺の持っている情報は俺じゃなく先生が持っていないと意味がない。そしてそれがオルタネィテイヴ4の成功に繋がる…俺の話、信じてもらえたでしょうか?」
白銀君が知り合いの先生…じゃなくてこの横浜基地の副司令さんに今まで白銀君が体験してきた事を話ていき、それを副司令さんが聞くこと約30分程。2人の話も大体まとまりそうになっていた。白銀君の「信じてくれるか」の部分を聞いた後副司令さんがニヤリと笑みを浮かべた。
「…そうね、少なくとも私たちはある種の利害が一致するって事でいいのかしら、白銀」
「はい」
「少なくともあなたの話は信じる理由はある。と言っても"私にしか知り得ない理由"だけどね。まあ、あなたを側に置いておくには十分な理由がね」
どう言う意味だと考えると白銀君も同じような表情を浮かべている。まあ、一応交渉は成功ってことでいいのかなと思って見ていると先程まで立って話を聞いていた副司令さんが椅子に座る。
「前の世界と同じように訓練小隊への編入、セキュリティパスの発行はすぐに用意するわ、この後はあなたの行動次第…そういうことよ」
「ありがとうございます、先生」
「ああ、そういえばさっきのあなたの言葉…中々に熱かったわよ。あとはしっかりその言葉の責任を取りなさい」
白銀君がお礼を言い。副司令さんが先程の正門での白銀君の言葉を誉める…だけどその言葉は呆れが混じっているようにも聞こえたのは気のせいだったのかなと考えているとさっきから部屋の端っこでじっとしていた俺の方を副司令さんが見た。
「それで…あなたは一体、なんなの?そこの白銀は私に未来の情報を渡すって言う話だけど…あなたは私に何を渡すつもり?」
俺はとりあえず白銀君の近くに歩いていき白銀君と場所を変わり、白銀君はすぐ近くに立つ。とりあえずやる事は…。
「えっと、改めまして自己紹介をします。野上 翔です。白銀君と同じくこの世界出身じゃないです。ちなみに白銀君とはこの世界で初めて会いました。後、2回目じゃないです」
「はい、そうです先生。俺も前の世界では野上には会いませんでした」
白銀君が俺の言葉を肯定する。
「……早速、未来が変わったってことね。それで、野上。あなたは私に何を渡すつもりで来たの?」
副司令さんが再び聞いてくる。渡す物と言っても…。
「その、俺は…なんというか、厨二病のポエムっぽく聞こえるんですけど…まあ、その神の鎧の力を貸します。欲を言えば出来れば衣食住とお給料も欲しいです」
副司令さんが何言ってんだコイツって顔をする。そりゃそうだろ。自分でも何言ってんだと思うし。
「…ごめんなさいね、あなたの言ってる意味がわからなくて。出来れば、"もう一度"言って、お願いするわ」
「…厨二病のポエムっぽく聞こえるんですけど…まあ、その神の鎧の力を貸します。欲を言えば出来れば衣食住とお給料も欲しいです」
「………ハア〜。何を言ってるんだか…」
もう一度の部分を強く言われたのでもう一度言ったら何故かため息をされる。……なんで?
「普通、ため息を吐かれると思うぞ野上」
白銀君が呆れ半分で見る。半分なのは俺の持っている力を知っているからだろうけど。それを見た後、俺は、胡散臭そうな表情の副司令に顔を向ける。
「俺がここに来た理由をはっきりと言います。俺の平穏と平和の為、俺は仕方なくBETA……言い方…大丈夫?「…あってるよ」ありがと。俺は仕方なく現状、BETAと戦うしかない状況なんです。その為にも白銀君が言うことが正しいのなら、副司令、貴方を助けてそのオルタネィテイヴ4が何なのかは知りませんけ、俺がそれと一緒に戦えばBETAとの戦いははるかに有利になると思ったのでここに来ました。以上です」
「仕方なくね…それはこの世界の全人類に当てはまるんじゃないのかしら?」
副司令さんが俺に言ってくる、なんか小馬鹿にした表情で。しかし俺は言葉を続ける、理由としては、ここは一応立場をはっきりさせた方がいいと思ったから。
「俺はこの世界の人間じゃないので当てはまりませんよ。逃げられる状況なら宇宙に逃げたいと考えていましたから」
その発言をした瞬間一気に警戒した表情になる副司令さん。そりゃそうだろこの人は白銀君が言っていた通りなら宇宙に逃げるオルタネィテイヴ5反対をとっているんだから。
「発言に注意した方がいいわよ。ここはオルタネィテイヴ4の開発の為の最重要施設、今の発言はオルタネィテイヴ5の工作員だと思われて拘束されてもおかしくないわよ」
「副司令はオルタ5に反対ですか?」
一応、聞いて見る。ついでにオルタネィテイヴの名前が長いので少し略す。
「当然よ、その為にも私は第4計画を成功させなければならないのだから」
副司令さんが強く言ってくるのでふーんと思う。
「でも現状、オルタ4は上手くいってない。俺もどっちかと言ったら宇宙に逃げることの方がずっと生き残れる確率が高いのでしたらまだ完成の目処が立たないオルタ4よりもオルタ5の方がいいです」
「おい!!」
白銀君が怒って肩を掴む、地味に痛い。副司令も俺を少し怒った顔で見ている。だけど冷静そうだ。
「やめなさい、白銀。野上、貴方は逃げる事には賛成…今そう言ったわね。だけどあなたは私に協力しようとしている。仕方ないと言っていたけど、理由は?」
そう言われて俺は服の袖をめくってあのジジイが俺につけた焼き印を見せる。白銀君がギョッとし副司令さんも目を細める。
「…その焼き印のような物は?」
「……俺をこの世界に送ったクソジジイが付けた呪いです。おそらくこれがある限り俺は、この世界を出られないからです、実際に試しました」
そして俺がこの世界に来た理由、送られてからここまでの事を副司令さんに白銀と同じように、それよりも丁寧に教えていく。教えていくごとに理由に納得していったようだ。
「全部が全部、信じられたわけじゃないけど理由は理解したわ。あなたが持っている力が何なのかは分からないけどこの世界から逃げられない…ならその力でBETAを殲滅した方がマシだと思ったから、という事でいいのかしら?」
「引きこもって隠れているよりも、その力でBETAを殲滅するのが1番いいです、持っている力を使わないのは勿体無いですから。何処かの漫画で読んだ台詞のアレンジですが、どんな世界でも力を持っている奴が1番有利です。その力を副司令、貴方に貸します。その為にここにきました。それが俺がここに来た理由です」
俺の発言を聞く副司令さん。しばらくして再びニヤリと笑い、笑い声を上げた。
「フフ、フフフフ…アハハハハハハッ!!確かに、アンタの言う通りね。"どんな世界でも力を持っている奴が有利"…ね。言ってる事は正しいわ、野上、今の私は喉から手が出るほど何かしらの力が欲しいわ、それに見合う物なんでしょうねアンタの持っている力は?」
丁寧な言葉から少し砕けた感じの口調になる副司令さん。そんな副司令さんの顔を見て怖い笑みだなと思う、それでも美人だけど。
「それに関しては白銀君から感想を聞いてください。彼、一応俺の力を体験したので。前の世界とはいえ従軍経験のある彼の意見を聞いた方が適切だと思います」
白銀君を指差すと白銀君は「えっ俺!?」と驚く。副司令さんが白銀君を見る。
「白銀、アンタから見てどうなの?野上の力は…この世界の為になるの?」
「えっ!?そうですね…少し過大評価かもしれませんけど、仮にこの地球上にいるすべてのBETAが野上に襲いかかっても…野上が圧倒的に強いです。ハッキリ言って次元が違います」
白銀君がハッキリと言う。白銀君………。
「……過大評価しすぎじゃない?」
「いや、お前の力それくらいありそうなんだけど!!まさかもしかして、そんな力がないとか言うんじゃないよな!?」
「多分あると思うよ、生憎自信過剰じゃないからハッキリとは言えないのが辛いのだけど」
「お前な……そこは、自信たっぷり言ってくれよ」
白銀君がゲンナリとなる。そんな様子を見ていた副司令さん。が立ち上がりこっちに近よる。
「野上、アンタはこの私を挑発したんだからそれくらい言ってもらわなきゃ困るわよ、アンタがね。まあ、実際兵士だった白銀1人の言葉じゃまだ信用出来るかは微妙ね」
面白そうに言う副司令さん。実際に見せた方がいいかな?
「見せますけど、お見せしましょうか今ここで?」
「……見れるの?」
少しポカンと言う副司令さん。少し真顔になるのが面白い。白銀君も「一応見たほうがいいと思います先生」と言う。
「でもそれには、俺から取り上げたあの彫像が必要なんですけど…大丈夫ですか?」
「彫像?ああ、確かアンタが持っていたあの顔の彫像みたいなやつね。アレが必要なの、どうしても?」
頷く俺。それを見た副司令さんは顎に手を当てて少し考えるそぶりを見せる。そして自分の机に歩いていき何処かに連絡を取る。暫くして金髪の綺麗な美人な女の人がZの彫像を台に載せて持ってきた。
「悪いわねピアティフ。もう下がっていいわよ」
「はい、分かりました副司令」
ピアティフと言う女の人は一礼して部屋から出ていく。今更ながら少し疑問に思ったので聞く事にする。
「副司令、この部屋ってカメラとか盗聴器とか仕掛けてます?」
「なんで、その事を聞くのかしら?マズイ話でもあるって言うんじゃないでしょうね?」
「アニメや漫画や映画ではよく仕掛けているので。ほらオルタ5の人達にバレたら面倒臭いとかそう言う事がちょっと気になって」
「仮に見ていたとしても、バラすような連中が見てるわけないでしょ。この部屋は私の部屋だから警戒厳重よ私が第5計画な連中にバレるようなミスをするとでも思っているの?」
副司令さんがジト目で見てくる。それならいいかと彫像を手に取る。白銀君がその様子を見て副司令さんを一応下がらせる。それを見て、大丈夫か聞くといつでもと答えてきたので…彫像を被る。そして俺はZになった。
「どうですか?ひとまずこの姿になって見ましたけど…何か変ですか?」
「ちゃんと等身大のままでZになったんだな野上。てっきりうっかりデカい姿になるんじゃないかと少し焦った」
白銀君が言ってくる。失礼なそれくらい注意するよ、俺をなんだと思って……いやたまにうっかりするのは否定できないけど。一応、白銀君は伸縮自在と言う事は知っている。あの時日本に行く為の準備の間に俺はZでどんな事が出来るのかを一通り試していたのを白銀君も見ていたからだ。
「どうですか、副司令…副司令?」
副司令さんに声をかけると…固まってる?どうしたんだ?
「あの、先生どうしました……うおっ!!」
白銀君が副司令さんの目の前で手をヒラヒラと動かす。そうして暫く固まっていた副司令さんが凄い速さで俺の目の前に移動してきた。白銀君が驚き俺も少し後ろに下がってしまう。
「えっ、ちょ!!何コレ!?どう言う仕組みなの、教えなさい……一から百、いや百五十億まで全部!!話しなさい!!」
この時の副司令さんの顔は凄く迫力があったのでマジで怖いと思った俺は間違っていないと思うのだった。