色々とやってみた
「一旦実験はここで中断しましょ」
俺にそう副司令さんがそう言ってきた。
「一旦って事はまだやるんですよね?」
俺がそう聞くと頷く副司令さん。あれから4日間、色々Zの力でどんな事が出来るかを試してみた。例えば電気で動く物を自分の中のエネルギーで代用させられるかなど(やってみたら以外と出来た。副司令さんには冗談なのかわからないが「発電機役として雇おうかしら」とか言っていた)。俺は懐中電灯、ラジオ、モニターなどなどを動かしてみた。他には自分の周りのものを変化出来るかを試してみた。これは自分の体を変化させる能力の応用であり自分の周りを中心に変化させる事が出来るというのを前の人生で何処かの記事で見たのを思い出したのでやってみたのだ……結果は出来ませんでした、自分の体の変化は割とあっさり出来てたんだけど周りを変化させるのは出来なかった。
色々やってみてわかった事は単純に出来る事と出来ないことがあるだった。副司令さんとしては周りの物を変化させるのを成功して欲しかったらしく割とガッカリしていた。曰く出来る事なら、タダで欲しい物質が手に入ると思ったからだそうだ、俺も確かにと思った。
「まりもがアンタをそろそろ訓練小隊に戻せって言ってきたのよ。ちょっと教え子を独占しすぎたわね」
そういえばそうだった。俺、訓練小隊の事すっかり忘れてたよ。確かに戻らないとヤバイね俺ビリっカスだし…少し憂鬱だ。
「出来る事なら、Zの力の一端でも使えるようになれば私の研究の成功にも繋がりそうなのにね」
「申し訳も」
副司令さんが呟くのでなんとなく謝る俺。確かに超精神物質Zが量産する事に成功すればこの戦争はあっさりと終わりそうだ。それで副司令さんの研究も進むなら進むでいいが後々また戦争が終わったら終わったらで面倒な事になりそうだ。
「それはそうと野上、体の調子はどう?本当になんともない?」
「ないですね、すこぶる快調です。というか最近体の調子は絶好調ですよ」
実験の後は色々と体を検査させられた。血を結構抜かれたが体の調子は悪くない、いいことだと思う。そう考えてると副司令さんが呆れ顔で見てる。何?
「ビーム出せたり飛べたり質量を自在に変化する事が出来るようになる超精神物質がアンタの細胞レベルで融合していて何もないなんてあるわけないでしょ。これは憶測だけど完全に分離する事はないと思うわよ、恐らくほんの一部分は野上の体に残っている可能性はある筈よ」
副司令さんがそう言ってくる。所謂コーヒーの中に砂糖とミルクを混ぜた後、完全に砂糖とミルクの部分を取り出せないって事か。そう言って見ると何故か頭を抱えられた。あれ?
「…まあ、そんな認識でいいわ。検査は行ってるけどどれも特に異常はなかったようだけど何か体に違和感が有れば直ぐに報告しなさい、なにぶんアンタしかZになれないんだから」
そんな話をした後部屋に戻ってくると白銀君がおり、俺を見た。
「よう、帰ってきたか」
「訓練お疲れ様。俺も明日から訓練に戻るみたいだよ」
「そっか、そりゃよかった。委員長が愚痴ってたぜ、野上がしばらく訓練に参加してなかったから」
愚痴られてたの?なんかゴメンねと心の中で榊さんに謝る。
「まあ、でも委員長も悪気はねえんだぜ。ただほら、次はないから焦ってんだよ。頭では夕呼先生の手伝いしてるって事は理解してるし」
白銀君がフォローしてくる。多分榊さん以外もそんな感じだろうな、俺結構ビリっかすの生ゴミ野郎だし。一応、座学は空いてる時間にやってたから気持ち多少は自信あるんだけど体力方面はね〜……。
「……明日憂鬱だな、風邪でもひいたって事にして寝てようかな?」
「いや、そんなんで休まないでくれ」
白銀君が困った顔で俺を止める。半分冗談だったんだけど。
「いや大丈夫、憂鬱でもちゃんと明日から訓練を頑張るから、俺なりに」
そうして暫く話した後消灯時間になったので明日に備えて俺と白銀君は眠るのだった。あああ、明日訓練面倒くさいな、いっそのこと身体能力でも上がったりしないかな………。
「今日は野上さんも訓練に参加するんですね」
次の日基地のグランドで珠瀬さんが俺に言ってくる。
「副司令の命令なら仕方ないけど大丈夫なの?言っちゃ悪いけど野上はただでさえ私達より体力低いし、4日間あまり体動かしてないんでしょ訛りに訛りきってるんじゃない?」
榊さんはそう言ってくる。ちょっと刺々しい、なんかゴメンと一応心で謝る。
「まあ、仕方ないだろ、俺たちでフォローしていこうぜ、仲間だしな」
白銀君が他のメンバーに言う。白銀君がそう言うとみんな「うむ」や「仕方ないわね」と言って納得する。いつの間に白銀君、こんなにカリスマを上げたんだろう?………今日の訓練はなんか憂鬱になりそうだな……っと思っていた。
「ちょっと、野上速過ぎよ!?」
「うん?あっゴメンね」
いつもの走り込みをやっている最中なのだが、なぜかいつもはひぃこら、やっとこさみんなの後ろをなるべく離されないように走っていたのだが何故か今日は普通に着いていけた。なんとなくもっと早く出来るかなと思って速く走ってみたのだが出来たのでなんとなく走っていたのだが榊さんの声が聞こえたので振り向くといつの間にかみんなから距離を離していた。いつもと割と逆なのに今日は違うとは…なんか変だなと思い少しスピードを落としみんなと合流する。
「野上どうしたのだ?いつもと違うがそんなにペースを上げていては直ぐに体力がなくなるぞ」
「…いつもは後ろで走っているのに、何があった?」
御剣さんと綾峰さんが俺に声をかけてくる。俺も疑問に思う、体力は問題ない、バテてはいない。取り敢えず訓練小隊のみんなに合わせて走りきり次はナイフを持っての格闘術、相手は鎧さん。以前、綾峰さん、白銀君、御剣さんとやった時は結構ボコボコにされた。綾峰さんに比べて劣ってはいるだろうけどやっぱり俺より格闘は強いのだろうけど今回俺は結構対応できてる。
「やるね、野上君」
鎧さんがナイフを構えながら俺の隙を窺う。俺も見よう見まねで白銀君が以前構えていた構えのポーズで鎧さんの隙を窺う。お互いジリジリと言った効果音が似合いそうな感じで隙を窺っていると鎧さんが距離を詰めナイフを俺の首めがけて振るので後ろに下がってよけ、鎧さんが追撃する。“なんとなく鎧さんがどう動くのかが予測“出来たので上手く避けれる、なんかさっきから体が動くんだけど、どういうこと?そんな事を考えて避けていたらフェイントをかけた2重攻撃が俺に当たりそうになったのでサッと寝転がる体勢になりそのまま鎧さんの足の間を滑って背後に回り込むついでにナイフの峰で鎧さんの足元を軽く叩きそのまま後ろから羽交締めにする形でナイフを首に突きつける。
「…えっ?今のどうやったの?」
「俺も自分でもビックリ」
続いて射撃訓練では銃が以前は重かったのに今では軽く感じる。教えられたとうりに銃を構え的を狙い的の真ん中を撃ち抜く。以前は反動が凄かったけど今は全然問題ない、そのまま真ん中を狙い撃っていく。うん全弾命中したみたい。なんとなく他のみんなを見ると、何故か無言で俺を見ている……出来れば無言はやめて欲しい。
「どう言う事?野上、説明しなさい」
「……何を?」
「惚けないで、いきなりあんなに身体能力が上がるなんて、おかしいわアンタなんか薬とかやってないでしょうね?」
榊さんが詰め寄ってくる。榊さんだけじゃなくて他のメンバーも疑問を持った表情で俺を見ている。白銀君は割と困った表情で一歩下がった所からコッチを見ている。
「確かに4日前では私達に追いつくのがやっとだった野上が急にあそこまで身体能力が上がるのはおかしな話だ。野上、何かやったのか?」
御剣さんも榊さんに続き聞いてくる。特にドーピングみたいなものは使っちゃいないんだけど。
「使ってないよ、いざとなれば検査とかしてみたらどう?」
「野上がこう言ってるんだから使ってないんじゃないのか」
俺の発言に白銀君が弁護してくる。ありがとう白銀君、君は俺の味方だ!!
「そんな事言っても、流石に疑わないのがおかしいわよ白銀」
「で、でも野上さん確かに運動の方は凄かったですけど座学の方はいつも通りでしたよ」
榊さんが白銀君に反論すると珠瀬さんが榊さんにそう答える。確かに座学に関しては…まあ、ボチボチだった、以前よりは分かってはいたと思うけど。
「まあまあ。多分、野上君は頑張ったんだよ」
鎧さんが榊さんを止める。マイペースだなぁと呑気に思う俺。
「……副司令と何かやったから身体能力が上がったとか?」
綾峰さんの発言にここにいるみんなが綾峰さんを見る。ちょっとの沈黙の後、御剣さんが口を開く。
「あーうむ、4日間ほど副司令の所で何かをやっていたのだったな。だとしたらその時に何かあったのかもしれないな」
御剣さんの発言に反応するみんな。なんというか副司令さんに関しては一種のタブーにされているのか特に白銀君や俺が副司令さんに呼ばれる理由等は特に聞いてこない。なので副司令さん関連の話ならどう反応すればいいのかわからないのだろう。
「ねえ、秘密の特訓とかやってたのかな野上さん?」
「ううん、ひょっとして改造手術とか受けていたとかだったりして」
「…蜘蛛に噛まれたとか」
珠瀬さん、鎧さん、綾峰さんがヒソヒソと話し始める。と、いうか綾峰さん、何故スパイダーマンを知ってるの?……出来れば前の世界ではノーウェイホームは見に行きたかったとちょっと涙ぐむ。
「うう、香月副司令関連なら何も言えないし…とにかく野上、アンタ何もやってないって言えるのね」
右手を上げる俺。
「誓います、ハイ」
榊さんがそれを見てため息を吐き後ろに下がる。どうしようこの空気そう思っていると神宮寺教官がやってきた。
「ここにいたか、野上。私と一緒に直ちに医務室に来い」
神宮寺教官がそう言ってきたので了解と答え、俺は医務室に向かうのだった。
「はあ〜やっと解放されたよ」
あれから色々とドーピングをしていたのかの検査をされ、結果特に問題ないと判断され解放された俺。色々となんでこんな目にと思ったが冷静になって考えてみるとこの時期に分隊のメンバーが何かしらの薬をやってたとかだと問題になれば他のメンバーにもその矛先が向かうからだろう。ただでさえ俺のいる訓練小隊は次に落ちれば後がないと言われているのならそりゃあんな雰囲気になるよなと考える。後もしかしたら俺の身体能力の急なアップはもしかしたらZ関連かも知れないと考える。副司令さんの言葉を思い出したので取り敢えず副司令さんの部屋に向かう俺。
「野上訓練兵です、失礼します」
副司令さんの部屋に入ると、副司令さんとうさぎの耳のカチューシャを着けた女の子がいた。誰?ウサミミ女の子が俺に気づくとサッと副司令さんの後ろに隠れた。副司令さんはそれを気にした様子もなく俺に声をかけた。
「ああ、来ると思ってわよ野上。今回の訓練でのアンタの身体能力アップの件ね」
「ハイそうです。なんで知ってるんですか?」
「まりもが来たからよ。私が野上に何かしたのか聞きに来たのよ。全く私は関係ないってのにね。…いえ、多少はあったわね」
副司令さんが俺にある書類を見せてくる。これは、俺の今日の検査書かな。
「一見見たところ何も問題はない…けど僅かだけどほんのちょっとしたある物質が見つかったわ、もう察しはついてるでしょう」
副司令さんの問いを聞きやっぱりと思う俺。
「超精神物質Zですか?それが俺の身体能力をアップさせてたんですか?」
頷く副司令さん。ウサミミの子は、じっとこちらを見ている。
「実はちょうどアンタが訓練している頃、彫像が光ったのよね。何かしらのエネルギーを発していたのよ理由はわからなかったけど、これで確信したわ、おそらくあのエネルギーはアンタに向けて発せられてたのね」
ああ、確かそう言えば原作でもそういう描写があったな俺、それ使ってたんだ。でも俺そういう事出来るのかなと思ってやってみたんだけど出来なかったんだよな、それが急に出来たって事なのか。
「野上の中にあるほんの僅かな物質が一種のパスになっているんでしょうねだから彫像を被っていなくてもほんの僅かでも力を使えたのよ、フフフ、ますます興味深いわね。何かきっかけがあるんじゃないの」
副司令さんが聞いてきたので考えてみる。強いて言うなら今日の訓練やだなってことくらいなんだけど。それを言うと納得したように頷き「ああ、きっとそれね」と言ったマジかよ。
「ある意味それが強い感情だったんじゃない、物質は野上の強い感情で力を与えるんでしょ。今回はそれがきっと強かったのよきっと」
「成程、つまり怠いな、訓練面倒くさいって言う感情を持っていれば力が使えるとかでしょうか?」
「………そうじゃないかしら。ああ、ちなみにまりもはこの事を知らないわ、この件に関しては上手く処理したから明日も普通に訓練兵として活動しなさい」
副司令さんが僅かに呆れた表情を浮かべた後そう言ってくる。ちょっとなんかいたたまれなかったので取り敢えず後ろのウサミミの子を聞く。
「所でその子は誰ですか?」
「ああ、そういえば会うのは初めてだったかしらね。この子は社、社 霞(やしろ かすみ)よ社、挨拶しなさい」
副司令さんがそう言うとひょこっとちょっと前に出てお辞儀をする社さん。
「社……霞です。よろしくお願いします」
そう言ってまた直ぐに副司令さんの後ろに隠れる社さん。人見知りとかかな?まあいいけど、そうして俺はちょっと話した後俺は部屋に戻るのだった。そういえばなんかあの社さんになんだか覗かれる感じがしたな。と言っても本人が正面から見ているのに覗かれてるも何もないんだろうけど。
夕呼サイド
野上が出て行った後私は後ろにいた社に顔を向けた。
「社、野上はどんな感じ。まあ、さっきから私の後ろに隠れてから分かってるけど」
社に聞くとしばらく無言の後口を開いた。
「……ドロドロしてました」
「ドロドロ?」
社の言葉に怪訝な顔をする。
「あの人からはなんだかドロドロした感情がします。それから私がのぞいている事を気づいていたみたいです」
社の言葉に僅かながら驚く。まさか気づいているとわね、もしかしたらリーディング能力も持っていたりするのかしら。ますます面白いわねあの物質は、それはそうと野上に関してだけど見極める必要がまだありそうね。そう考えるのだった。
夕呼サイドアウト
こ