大丈夫、俺強いから 作:パンの袋を閉じるアレ
ども。昨日は散々な目に遭った御手洗暦でっす(自業自得)!
この日は昨日のように除籍処分なんていう罰はなく、皆すくすく勉強してるゾ。にしてもやっばり難しいな雄英は。偏差値79は伊達じゃないね。
昼食を食べ、とうとう迎えた午後の授業は皆ソワソワしてる。それは俺も同じだ。言っておくがトイレを我慢してるわけではない。
そう、次の科目はヒーロー基礎学。ヒーロー科のメインともいえる科目だ。
そしてヒーロー基礎学教師はもちろんこの人!
「わーたーしーがッ
普通にドアから来たッ!!」
「うおぉぉ!! すげぇ、本物のオールマイトだ!」
「雄英にいるって噂は本当だったんだ!」
「テレビで見たのより何倍もデケェ! しかも
「すっげぇ筋肉! パンチで天候変えたってマジなんすか!?」
「真っ白い歯がイケてるー! どこでホワイトニングしたか教えてくださーいー!」
「家族に自慢したいんで、写真とってもいいですかー?」
「オールマイトぉ、あんたは世界一のヒーローだぜぇ! 」
「オールマイトー!」
「オールマイト先生っ!!」
「「「オールマイトっ!! オールマイトっ!!!」」」
「や、やめたまえ……! 恥ずかしいじゃないか……!」
(((あ、可愛い……!)))
【朗報】オールマイト、意外と乙女だった。
ノリのいい生徒達からの声援に思わず赤くなるオールマイト。……うん、おっさんが頬染めても許されるのはオールマイトくらいか。
「……ゴホン。やあ有精卵の諸君! ヒーロー学の講師を勤めるオールマイトだ! よろしく頼むよ!」
「「「イエーイっ!!」」」
興奮が収まる様子はない。なんならB組から『うるせぇ!』とクレームが来てもおかしくないだろう。。
「ヒーロー基礎学とはヒーローの素地を作るため様々な訓練を行う科目だ! そして今日やってもらうのはこれ! 戦闘訓練だ!」
戦闘訓練と聞くや否や、クラス中の武闘派から気迫が溢れだす。なんとも血気盛んな奴らだ。そこにはもちろん俺も含まれているが。
「そしてそいつに伴って……こちら!」
オールマイトがリモコンを操作すると壁から棚から表れる。そこには番号が振られており、それが出席番号を意味してると気づくといよいよ興奮を抑えきれなくなるほど激情していた。
「入学前に送ってもらった『個性届』と『要望』に沿ってあつらえた
「「「おおっ!!」」」
「着替えたら順次グラウンド・βに集合だ! いいかい? 格好から入るっての大切なことなんだぜ? 自覚するんだ、自分達は今日から……ヒーローなんだと!!」
その一言に俺らの興奮は決壊した!
「よーし行くぞお前ら! 更衣室に向かって全速前進DA!」
「「「おおー!」」」
「あ、こら! 廊下は走ると危ないぜ!?」
~男子更衣室~
「やっぱヒーローっつーたらコスチュームだよなー?」
「受験は大変だったけど、受けてよかったなあ。雄英バンザーイ!」
「おっ、切島のコスチュームすっげぇイケてんじゃんか」
「へへっ、結構デザインには拘ったんだぜ!」
「へー、えーちゃんのコスチュームって上半裸なのか。ちょっと失礼して……」
「うおっ!? 何すんだおめぇ!?」
えーちゃんの上半身を触診するようにお触りしまくる。肉体の完成形というのは無駄に筋肉がついた状態ではなく、必要なところに必要な分の筋肉がついている状態を指す。今のえーちゃんがまさしくそれである。
言っておくが俺はホモではない。単純にえーちゃんの筋肉を賛美しているだけだ!
「ふむふむ、中々の筋肉だ。特に広背筋がしっかりしてる……。確かえーちゃんの個性は『硬化』。鈍器と化した身体を十二分に扱えるように鍛えたってことね」
「触るなって御手洗! あっ、お、おい……! どこ触ってんだお前!」
「大丈夫大丈夫。一瞬で済むから。乳歯を抜くときの一瞬並みだから」
「結構こえぇなそれ! 子供の時トラウマだったぞ!」
「大丈夫だって、ほら、力抜いて……」
「あ、あっ、そこは……!」
「男同士で何やってんだ気持ち悪ぃ!!」
えーちゃんと乳繰りあってると、着替えを終えたかっちゃんが怒鳴ってきた。うわっ、かっちゃんの装備ヤバすぎ……!
「ヒュー! ナイスでクールな装備を身につけてますな、お兄さん! 触ってもいーい?」
「触らせるかボケェ!」
悪態つきながらかっちゃんは一足先に更衣室を出ていってしまった。でも俺は見逃さなかったよ、かっちゃんの内心嬉しそうな顔をね。
とりあえず俺も着替えよっか。おっ、中々の出来映えだ。
格闘メインの戦闘を行う俺のコスチュームはいわゆる道着と呼ばれる武道用のユニホームを模したものである。
それでいて防御力を上げるために腕とふくらはぎの部分にプロテクターを装着し、上着の下にも防弾、防刃機能をもったインナーを着ている。着心地は……うん、ぴったりだ。
着替え終えるとグラウンド・βに向かう。そこには男子に混じってお茶子ちゃんと梅雨ちゃんの二人が到着していた。二人ともピチピチのコスチュームを着ていてセクシー……エロい!
「へいへいお茶子ちゃん! そのコスチュームいいねー! SFチックなデザインが男の子のツボを刺激してるよー! 13号みたいに宇宙服って感じがしててグッドだぜ!」
「ほ、ほんま!? よかったー! ウチ13号好きなんよ! 気づいてくれて嬉しいわー!」
「梅雨ちゃんは蛙を模したのかな? 緑色のスーツに走る黒のラインがいい味出してんよー! 被り物もケロちゃん帽みたいでカァイイ!」
「あら、嬉しいわ。暦ちゃんも忍者みたいでカッコいいわね」
女の子から褒められるのってちょー気持ちいい。何も言えねぇー。
気分をよくした俺は懐からスマホを取り出し、カメラモードを稼働させた。
「よーし、記念に写真を撮ろうか。二人とも寄って寄って! はい、チーズ! 『パシャ』 うーん、ファ~ビュラスっ!!」
「あいつしれっと女子に挟まれてやがる……!」
うるせぇぞ
「よーし、次は一人ずつ撮ろうか。はーい、お茶子ちゃん体育座りしてみてー」
「こ、こうかな?」
「そうそう! そして上半身を太ももに項垂れてみて。頭を膝の上に乗せる感じで……バッチグー! そこいらのグラビアなんて目じゃないな、こりゃあ!」
「え~、ホンマかな~?」
「ホントホント! 御手洗くん嘘つかない! ……お~! よしよし、そのままー……はい撮るよ~!」
「御手洗ってヒーロー志望だよな?」
「多分……」
ちょっと男子ぃ! 今いいところなんだから邪魔しないで!
「次は梅雨ちゃんいこうか。梅雨ちゃんの個性はカエルだし、コスチュームもカエルだから構図はカエルらしさを全面的に出したものにしようか。それじゃあ、カエルらしく脚を開いて両手でついてみて」
「は、恥ずかしいわ、暦ちゃん……」
「何言ってんの梅雨ちゃん!? 今の梅雨ちゃんは世界一美しいカエルだよ! アメノフクラガエルとかコバルトヤドクガエルよりも美しくて可愛いよ!」
「て…照れちゃうわ……ケロ……」
「今のって褒め言葉なのか?」
「蛙吹さん的には……かな?」
「よーし、そのままー! あっ、こてんって首を傾げてくれる? ついでに舌も出して……いよしっ。パーペキ! どうよ~これ。よく撮れてるでしょ? 後で二人に写真送ってあげるね。あ、連絡先教えてもらっていい?」
「今は携帯持ってないから教室でならいいわ」
「さらには連絡先までゲットしてるよあいつ」
「ぐぬぬ……! 妬ましい……!」
「あの~、授業入ってもいいかな~?」
あ、オールマイトいたんですか。すいません、つい夢中になっちゃいました、てへ♥️
「──ふむ、中々似合ってるじゃないか有精卵達! カッコいいぜ!」
オールマイトの言う通り、みんなのコスチュームはそれぞれの個性やセンスが露になっていてオシャレである。カッコいいのから可愛いの、さらには芸術性が爆発したような奴もいる。
そう考えると俺って地味……地味じゃない?
「先生! ここは入試で使われた演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!」
「いいや! もう二歩先に踏み込む! 今回やるのは屋内での対人戦闘訓練だ!」
「「「対人戦闘訓練?」」」
オールマイトが告げた内容に首を傾げる一同。
「敵退治は主に屋外で見られるが、統計だけでいえば凶悪敵発生率は多いんだ! 監禁、軟禁、裏商売……など真にこ賢しい敵は屋内に潜む! そこで君らにはこれからヒーローチームと敵ヴィランチームに分かれ、二体二の屋内戦を行ってもらう!」
「……基礎訓練もなしに?」
「その基礎を知るための実践さ! ただし、今回はぶっ壊せばオーケーなロボットじゃないがミソだ!」
ではどのような訓練をするのか。それを知りたい生徒達は皆一斉に手を挙げる。
「勝敗はどのようにして決めるのですか?」
「ぶっ飛ばしてもいいンすか?」
「……また相澤先生みたいに除籍があるんですか?」
「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいのでしょうか?」
「このマント☆やばくない?」
「好きなお菓子はなんですかー?」
「んんん~、聖徳太子~! ──ちなみにお菓子はどら焼が好きだぞ!」
「「「最後のだけ答えた!」」」
ふむ、どら焼が好きなのか……。今度差し入れでもするかな。
そこからオールマイトは訓練内容を明かした。ヴィランが核を人質にしてアジトに立て籠ってるというシチュエーションの元、ヒーロー側は核を回収するかヴィランを全滅させればヒーローチームの勝利。時間までに核を守りきるかヒーローを返り討ちにすればヴィランチームの勝利とのこと。
そして撃破判定は相手の体に確保テープを巻き付けるか、戦闘続行が不可能とオールマイトが判断したときのみ。訓練とはいえ、実践さながらの内容に皆の気が引き締まる。
そして肝心のチーム選出だが、オールマイト曰くクジで決めるらしい。一番乗りをかましたかっちゃんを筆頭にみんな次々と引いていく。そんな光景を眺めているととうとう俺の番が来た。願うことは一つ。
「女の子と一緒のチームになりますように!」
~~~~~
「というわけでよろしくー、とおちゃん! 透明の個性の凄さを奴らに見せつけてやろうぜ!」
「むふふー、この葉隠お姉さんに任せなさい!」
「へへへっ、期待してますぜ、姐さん!」
俺のコンビ相手の葉隠透こととおちゃんは透明人間だ。とおちゃんならば相手に気づかれずに確保テープを巻くことが可能だろう。しかし、相手チームも透明人間は警戒するはず。とおちゃんを主軸にした作戦は厳しい。
しかも相手は障子・轟チームだ。生半可な作戦など通用しないと結論づけていい。ならば俺が囮になるというのが一番だけど……はたしてとおちゃんは俺がいなくても戦えるだろうか?
「それでどうする? とーちゃんは戦闘得意? 格闘技とか武道やってた?」
「ううん。全然」
「え?」
「だって私ただの透明人間だよ? 他のものを透明にしたりとか出来ないもん」
「さっき『任せなさい』って言ってたのに?」
「頼られるお姉さんキャラとかって憧れなんだよね~、えへへ」
同い年やろうがっ!
はあ~、とおちゃんったらホント可愛いんだから~。ちゅき♥️(語彙力低下)
「あ、でも二人の個性なら分かるよ。障子君は他の腕から目とか耳とか生やせて、轟君は氷を使えるの。あと炎も使ってたよ」
「
「強個性はいいよねー。私も『透明』がONOFF可能だったらよかったなあと思うもん。ずっと透明だからイメチェンとかメイクしても気づいてもらえないからさー」
「とおちゃんの素顔が見れないなんて神様はホント残酷だよねぇ。声からして絶対美人なのは確定してるのに、それを見る術がないんだもん。この世界にドラゴンボールがあったら神龍にとおちゃんの姿が見れるようにお願いしちゃうなー」
「え~、お願い事がそれ~? 私の裸がそんなに見たいの?」
「見たいです!」
「うん、素直でよろしい!」
ちなみに通信機で二人の会話を聞いていたオールマイトは『この二人は一体なにを話してるのだろうか……』と思っていた。
「そういえば御手洗君の個性って何? 私知らないなー」
「感覚強化と言ってね。五感を強化することが出来るんだ」
「結構いい個性だね。……でもどうやって戦うの?」
「俺は武術やってたから多少は戦える。近接戦なら任せてくれ」
「へぇー、御手洗君って武術やってたんだ」
「これでも折寺中のジャン=クロード・ヴァン・ダムって呼ばれていたからね」
「うん。今の子絶対そのネタ分かんないと思う」
とりあえず俺が前で戦い、気を逸らしてる隙にとおちゃんが確保テープを巻くという作戦に落ち着いた。
初めての共同作業かんばるぞー、おー!