それと、ディアボロの名前は本人の心境もあるのでドッピオ名義です。死に続けている間に心境の変化があったのでしょう。
上れないなら下るしかない!
上り階段がなく、岸壁をよじ登るのも現実的ではない。だがここで、ハジメのゲーム脳が恐るべき冒険を生んだ!
「もしかすると、最深部に地上へのワープ装置があるかもしれない……!」
この迷宮が人工的なダンジョンであるなら、最深部には脱出装置完備であるのがお約束だという。途中で後戻りが出来ないのなら尚更だ。
「最深部のお宝を手に入れたら階段が上りに切り替わるかもしれんぞ」
などとドッピオが怖いことを言うが、いずれにしろ脱出の手がかりが奥にあるかも……という意見は三人一致だった。
というわけで、かつてのスタンド『キング・クリムゾン』に匹敵するパワーとスピードを得たディアボロ――改めドッピオを先頭にして、破竹の勢いで進軍していく。
三人が合流したフロアからおよそ24時間、もう12階層は踏破していた。
だが、ここに来て新たな問題に直面する!
「食料が〜尽きた」
フロアの魔物も殲滅し、階段も見つけて「さあ次だ!」というところで、透子から絶望的な知らせが届く。
「えっ!? もう!?」
「インベントリをげ〜ん界まで空けてたのが〜ドストレ〜トに裏目に出た〜……すまん」
「そういえば君、魔石回収しか考えてなかったんだっけ……」
透子は魔石を一つでも多く持って帰ろうと、荷物をギリギリまで少なくしていた。よって、食料を持ち込んでいたのはハジメだけだった。
ハジメ一人だったら、かつ穴蔵でじっとしているのであれば数日は持ったかもしれないが、三人で分けたら一日分にもならなかった。
もし、手元に一口飲むだけで状態が完全回復する水の湧き出すアーティファクトでもあれば、空腹感はともかくとして餓死は免れただろうが。このままでは満腹度0%で餓死コースまっしぐらだ。
「魔物の肉を食べればいいのでは?」
「命知らずだな〜ドッピオ」
魔物の肉は食用には向かない。体内に巡る魔力の影響で、口にしたら最後肉体が崩壊して死に至る。謂わば猛毒の塊なのである。
以前にもラットマンを解体して試食しようとした透子だったが、その恐ろしい性質を聞かされて断念している。
しかし、そこに光明を見出したのは、またしてもハジメであった。
「レディステディゴー! 魔物の肉をタンパク質と魔力に分解するッ!!」
フグを食べる時に毒となる内臓を取り去るように、食べられる肉と食べられない魔力を切り離すのである!
透子がラットマンが食べられないことにショックを受けていたのを見たハジメは、しかしいざという時の為に魔物を食用に出来ないか研鑽を続けていた!
そうして完成したのは……薄っすらピンク色をした煮こごりだった。
「な〜にこれ?」
テトリスのように積み上がった煮こごりの山は、毒性その他を差し引いてもあまりにグロテスク! 口に入れるのには勇気がいる代物だった。
「肉の形のままだと解毒出来なくって……」
「巨大なグミのようだな。……本当に食えるのか?」
「犬には食べさせてみたけど……」
ドッピオどころか、作ったハジメ本人ですら食べるのを躊躇う中、透子は煮こごりを一つ摘み上げた。
「透子!?」
「わ〜たしなら万が一死んでも〜攻略に支障ないから〜な。あと単純に空腹が〜限界。同じ死ぬなら満腹で〜死ぬ」
謎の持論の元、二人が止める間もなく透子は煮こごりを口に放り込んだ。ロクに噛まずに飲み込み、しばらく黙りこくっていたが……やがて顔を真っ青にして口を押さえた。
「まっず」
「下味すら無いからな……」
「牛脂とか〜齧ってる方がマシ〜……食えなくもないけど〜」
幸い、一番の問題点だった毒の方は完全に取り除かれているようで、食べた透子に変調は起きなかった。
ハジメとドッピオも、グニュグニュした脂っこい食感に苦戦しながらも腹を満たし、パーティの食料事情も一旦は解消されたのであった。
「ハ〜ジメ〜」
「つ、次はもうちょっと味にも気をつけるよ……」
「私からも頼む……まだ口の中がネチョネチョしやがる……ッ」
もしも、解毒をしない魔物の肉を完全回復アイテムと合わせて摂取していれば、ハジメ達は本来の歴史と同じく魔物のスキルを得るとともにステータスが跳ね上がっていたのか。それともスタンド使い故に『変質』が起きなかったのか。それを確かめる術は無い。
しかし……――。
ハジメ達がドッピオと出会った階層。上階より続く地下河川は勢いが強く、仮に上層部で流されたりしたらウォータースライダー状態で押し流される羽目に陥る。
運が悪ければ途中で岩肌に何度も体を打ちつけた挙げ句に、挽き肉状態のゴミとなって流れ着くこととなる。
檜山大介だったものは、まさにその挽き肉となって奈落の底へたどり着いたのだった。
「ひ、ヒャハバ……ざ、ざずが不死身の……吸血鬼、だ……」
香織から受けた脳を抉られる致命傷も合わさり、今の檜山に残っているのは頭部の半分と右腕の半分ほどだけだ。その二つの神経を強引に繋いで活動していた。
しかし……それは所詮、死なないというだけだ。
「……ヂ、ヂグジョウ……ッ!!
だが、陸上に揚がったところで這いずるのが関の山。これでは誰も来ない奈落の底で、虫ケラ以下の存在として永遠に活動し続けるだけだ。
「ごんなバズじゃあ……オレばナグモがら、香織を奪い返じで……なのに、
何時間も掛けて数センチ這いずるだけの存在に成り下がり、その怨嗟の叫びを聞く者もない。
「グゾギモオダァァァ……ァァ…………
ドッピオが蹴散らした魔物の肉片に紛れ、檜山は延々と叫び続けていた。
もちろん、上層階で檜山が叫んでいる声など聞こえもしないハジメ達は、交代で見張りを立てつつ休んでいた。
「くか〜……ぐぉ〜……」
「この状況でイビキって……」
透子は涼しい顔のまま、石を枕に熟睡している。ハジメも図太い方だと自覚しているが、透子のマイペース振りには敵わない。
「娘の顔など見ていないで、君も寝ろハジメ。それともトーコが気になるのか?」
「いや全然。そもそも僕、近距離パワー型の彼女いますし」
「それはスタンドの分類か? 恋人の性格なのか?」
「両方です」
学生の恋愛も色々あるのだな……と、遠いサルディニアの日々に思いを馳せるドッピオだった。
快進撃は続く。
ディアボロは戦う度に加速度的に強くなっていった。少しずつ強大なパワーに体が順応し、また動きに無駄も無くなって洗練されていった。ステータスプレートの表示に変化は無いが、もしかするとクラスメイト達のようにレベルアップしているのかもしれない。
下層へ行くほど魔物も強くなっていくのだが、それ以上にドッピオの強化速度の方が早い。
「やはり(地下迷宮の)帝王はッ! このオレだッ!! 依然変わりなくッ!!」
魔物を文字通りに千切っては投げ、もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな? というぐらいにハジメ達に出番が無い。
ぎりぎりハジメが簡易銃でドッピオの討ち漏らしを始末しているが、透子は本当にやることが無いので、ひたすらスタンドの練習をしているのだった。
「大人し〜く飲料水でも作ってま〜す」
「ついでに新しい煮こごりが出来たけど、食べてみる?」
「野菜が恋し〜いな〜っと」
「お前達には死んだことを後悔する時間も、与えんッ!!」
階段発見と同時に即下り、探索も最低限というハイペースで進んだ結果、わずか一週間で45階層目を踏破したのだった。
「って、ちょっと待って!!」
「どうした、ハジメ。もう次の階段は目の前だ。何か気になることでも?」
ドッピオの進撃速度の余り気にする余裕が無かったが、地下100階という触れ込みのオルクス大迷宮なのに、明らかに階層の計算が合わない。
最初にサンタナと遭遇したのが地下65階。そこからかなりの深さを降下したので、ハジメはここが地下90階ぐらいの深層だと考えていた。
だが、すでに合流したフロアから45階層も下っていた。仮に地下65階からスタートしても、地下110階にいることになってしまう。情報が間違っていたのだろうか。
「い〜まさらか」
「透子も気付いてたなら言ってよ……」
「お前も分〜かってるもんだと。ど〜こだろうと何だろうと、今のわたし達には進む以外の道は〜……無い」
そう言われると返す言葉も無いが、何か重大な見落としをしてやしないだろうか……という不安は否めない。
事実、完全回復アイテムをスルーしてしまって……もういいか、この話は。
ドッピオもハジメの意見に「もっともだ」と頷きながら、しかしあまり重要でないだろうと結論付けた。
「地下100階だろうと200階だろうと、目指すべきゴールが遠いか近いかでしかない。まあ、ゴールまでの目安が取れないというのは少々キツイがな」
「……ドッピオさんがそういうなら、僕らは全力でサポートするまでですけど」
「君が食料、トーコが飲水を確保できるからこそでもある。……やはり補給線は大切だな。孤立無援の末に餓死、とならないのは助かる……いや、本当に」
「長〜期的には栄養素足りなくて辛くなるがな〜」
しみじみと感じ入っているドッピオと、変わらずマイペースな透子。先の見えないマラソンは確かに辛いが……この心強い仲間達がいれば何とかなるだろう。ハジメは難しく考えることを止めた。
そして、ハジメ達が合流したフロアから数えて50階層目。
これまでとは明らかに異なる雰囲気の迷宮が、彼らを待ち構えていた。
ついに本編のメインヒロインが登場。
ハジメ単体での戦闘能力は原作よりも圧倒的に低く、おそらく数々の発明品も開発できないでしょう。しかし仲間がいるうえにディアボロ(ドッピオ名義)の戦力がぶっ壊れているので、パーティ戦闘力は勝っているかと。
透子もですが、対生物即死効果が高いですから。やっぱスタンドって怖い。
オリ主である透子の活躍頻度はこのままで良いでしょうか。
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多すぎるからもっと控え目
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ちょうどいい
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少ない