ありふれたスタンド使い達   作:サイデリア

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 岸辺露伴のドラマ良かった〜。


完全なる吸血鬼

 人間の数倍はある巨大な一つ目巨人が仁王像にように添えつけられた、さらに巨大な門。地下50階にあったのはそれだけだった。

 

「雰囲気が明らかに違うな。もしや最深部か?」

 

 謎の紋様が刻まれた門扉を、ドッピオがノックするように叩く。感触は石のような金属のような、未知なるものだ。

 

「鍵穴は……無いみたいだね」

「有〜っても鍵持ってないからな〜ドッピオ、ブチ壊せる?」

「やってみよう。キング・クリムゾンッ!!」

 

 別にスタンドは出ないがこう言うと気合が入るらしいドッピオは、門扉に殴り掛かった。門扉を打つ衝撃が迷宮全体を揺らす。

 表面に微かながらも亀裂が入ったことで破壊可能と判断したドッピオは、続けざまにラッシュによる掘削を開始。あっという間に開通させてしまった。

 門自体の厚みが然程でもなかったのもそうだが、ドッピオが門を潜ってもピクリとも動かない一つ目巨人の像に、ハジメは些か拍子抜けする思いだ。

 

「あの像、てっきり動いて襲ってくると思ったのに」

「お約束っちゃ〜お約束だけど油断するには〜早いぞ。中のもんを外に出さない番人〜って線もあ〜る」

「帰り道で襲ってくるパターンか……えっ、帰りもここ通るの!?」

 

 嫌な想像を振り払うように、ハジメと透子もドッピオに続いて門を潜った。

 全くの余談だが、一つ目巨人の像は門を開こうと何かしらの魔力が検知されると起動する防衛システムである為、単純な腕力でこじ開けられると手が出せないのであった。これも一つのセキュリティホールであろう。

 

「で、何もないわけだが……」

 

 門を潜った先もまた、だだっ広いだけのホールだった。妙に整然とした雰囲気なのが洞窟的なここまでの道中と違いすぎるが、そもそも人工的なダンジョンなのだからこんな場所があったって不思議ではない。

 しいて言うなら、部屋の中央に鎮座した謎のモノリスが気になるぐらいだろうか。

 

「あ〜のモノリスがめっちゃビ〜ム撃ってきたりして〜」

「ゲーセンで見たな〜、そんなゲーム」

「ゲーセンか。ドッピオはカジノよりコンピュータゲームを好んでいたな……」

 

 唐突にノスタルジックな空気に包まれるも、それはすぐ、広間に響いたか細いがよく通る声に打ち払われた。

 

「……誰?」

 

 三人の視線がモノリスへ向いた。

 注意して観ると、モノリスの中腹辺りに金髪の少女が頭部と両腕だけ出して埋め込まれていた。

 少女はかなりやつれているものの、眼を見張るレベルの美少女だったが……彼女の置かれた状況から、ハジメと透子は個性的な髪型をした友人の所業を思い出していた。

 

「仗助に埋め込まれたとかじゃないよね、この子」

「あ〜たしもそれ考えた〜けど、さすがに仗助がこんなとこいないだろ〜っと」

「ジョースケ? 君達の仲間のスタンド使いか?」

「そんな人は……知らない」

 

 自分にあまり関心を示さないハジメ達に、よもや無視されやしないかと内心で不安を募らせつつも、少女は彼らに訴えかけた。

 

「ごめんなさい、出来ればここから出してほしい……もう、ずっとここにこうしてる……いい加減に暇で暇で」

 

 悲壮感の欠片も無く、眠そうな眼で欠伸までしそうな少女からは、むしろ余裕すら感じられた。

 

「ず〜っと?」

 

 透子が聞き返す。

 

「ここ……時計も無いし、外の景色も分からないから……ずっと、としか言えない。タバコも吸えない、酒もない、この私でなければ間違いなく発狂していたと思う。やれやれ、だわ」

「この子、意外と余裕あるんじゃない?」

 

 ハジメのツッコミを無視するように、少女は話を続けた。

 

「私を助ける得は、あなた達にもある」

「ほう。自分の力を売り込むのか?」

「それもある。私は唯一()()()()()()()()()()()()()で転身した吸血鬼。あらゆる生命をぶっちぎりで超越している」

「透子、ドッピオさん。やっぱりこの子、かなりアレな雰囲気がしてるんだけど。あんまり関わらない方が……」

 

 少女からシュトロハイムやヴァレンタインにも匹敵する、独特の濃ゆいキャラ性を察知したハジメは、暗に無視して先を急ぐ用に提案していた。

 が、それを察知した少女からギロリと睨まれ、思わずドッピオの陰に隠れてしまうハジメなのだった。

 少女は続ける。

 

「迷宮攻略に、私の解放は必須」

「するって〜と?」

「このフロアの下層区への階段が、私の封印と連動している。私を解放しないと、あなた達はここで立ち往生。そっちの入り口みたいにこじ開けるのは不可能と断言する」

「な〜るほど。じゃ〜しょ〜がない」

「待て、トーコ」

 

 モノリスへ駆け寄ろうとした透子を、ドッピオが正面に回って制した。

 

「わざわざこんな地下深くに封印されているぐらいだ。解き放ったら、我々を害さないとも限らない」

「で〜もこんなとこ一人ってそりゃ辛いだろ〜し。その子の言ってるのが事実なら〜強引に突破したって封印とやらは〜解ける」

「と言う事なら、我々が封印を解こうと恩を売ることにすらならん。というか……どうやって解くつもりだ? 見たところスイッチなど無いぞ」

「そこはま〜裏技。……だ〜め?」

「むう……」

 

 透子には打算も無く、行き掛けの駄賃で助け出せるなら助けてもいいだろう、という軽い考えでしかない。だというのに彼女の瞳から無駄に強固な意思を感じ取ったドッピオは言葉に詰まった。

 おそらく、透子はハジメとドッピオが少女を見捨てる選択をしても、一人残って助けようとするだろう。毒物かもしれない煮こごりを躊躇なく口にした時と同じく。

 行動の方針は変わらない。自分がそうしたいと思えば、迷わず行動に移すのだ。

 

「……かつて私は……いや、オレは君と同じ瞳をした男に敗れ去った」

「そりゃご愁傷さ〜ま。痛かった?」

「過去形では無い。あの男に受けた『攻撃』は今も続いている。今は一時的に落ち着いているに過ぎない。それはともかく……やるなら『覚悟』をしておくんだな。言いたいことはそれだけだ」

「ん」

 

 道を譲ったドッピオにサムズアップを返した透子は、スタンドを出してモノリスの前に立った。

 それを見た少女が、紅い瞳を見開いた。

 

「あなた……それは、まさか()()()()()()()()ッ!?」

「ん〜? スタンドのこ〜と?」

「スタ、ンド……? それは生物が魔力を直接操る為の唯一の方法……! 魔法陣無しでの魔力操作には、自分の分身である『パワーある(ヴィジョン)』とする必要があるッ! ……かつて私は、国で唯一人それが出来た……だから国を造り、神にも挑んだ……負けたけど」

「その結果〜封印された?」

「詳しく話すと長くなる。聞いてくれる?」

「後でな〜。とりあえずこれ〜を()()()()

 

 モノリスに触れた透子は精神を集中させ、深く息を吸った。

 

「……名前〜を考えてなかったけ〜ど、よ〜やっと決まった。『リヴァーズ・デザート』RE(リビジョン)(ツー)ッ!! 『リーチアウトトゥルース』!!」

 

 透子のスタンドから放たれたエネルギーが、モノリスを波紋となって伝わる。そして透子に近い位置からコールタール状となって溶解していった。

 溶けたモノリスが足元に拡がり、床面をチョコレートがコーティングのようにデロデロ広がって固まった。

 みるみる小さくなっていくモノリスに、ハジメとドッピオも驚愕する。

 

「ハジメ、透子のスタンドは水分の形状操作だったはずだな」

「本人はそう言ってたけど……もしかして! リビジョン2って水分に限らず固体を強制的に相転移させてるんじゃ……ッ!」

「ハジメ〜だ〜いせ〜ぇか〜い」

 

 ドッピオ無双の間、暇だった透子は水分以外にも相転移させられないかを試していたのだ。岩石だって高温で溶ければ液状に――マグマになるのだから、理論上は可能だと考えた。

 結論から言うと、これまでのリヴァーズ・デザートでは不可能であり、干渉出来るのは飽くまでも水分のみだった。

 

 しかし、康一だってエコーズをACT2や3に進化させ、異なる能力を発現させた。話に聞いただけだが、吉良吉影なる殺人鬼も「時間を巻き戻す」というハチャメチャな能力で仗助達を追い詰めたらしい(知り合いの小学生の証言より)。

 なら、水分ではなく『鉱石』に干渉して相転移させる、新たな能力を使えない道理は無い。

 

(で〜も初めての本格使用が変なモノリス〜ってのはちょっと予想外〜……や〜っぱほっときゃよかったか〜?)

 

 想像を絶するスタンドパワーの消耗に意識が朦朧とし、激しい頭痛に苛まれるも、どうにかこうにかモノリスの溶解が少女の位置にまで届いた。

 タール状のモノリスから、少女の体がするりと抜け落ちる。

 そのまま真下にいた透子の上に落ちてくるかと思いきや、くるりと身を翻した少女は空中で華麗に重心移動を行い、透子の傍らに着地する。

 

「やれやれ、だわ。これでようやく自由……いえ、地上に出るまではまだ囚われね」

 

 透子よりもほんのちょっぴりだけ小柄な少女は、何故か学ランにも似た黒い服装で、上着の内ポケットから学帽まで取り出して被り直した。

 自身のトレンド的ファッションを整えた少女は、傍らで立ち尽くす自分を救った透子へ向き直った。

 

「私を信じてくれてありがとう。どうやら、大きな借りが出来たようね。私は――どうかした?」

 

 透子が反応を示さないので、少女が怪訝な顔で手を伸ばした、その時だ。

 

「ガボッ――」

 

 鼻と口から血の塊を吐き出して、透子はその場に崩れ落ちた。

 

「透子ッ!?」

「トーコ!」

「――ッ!?」

 

 慌てて透子を抱き止めた少女は、すぐに呼吸と脈を確かめた。

 駆け寄ってきたハジメとドッピオも透子の容態を伺う。

 

「……ちょ〜っと張り切り過ぎた〜……寝る」

 

 土気色になった顔で短く告げた透子は、少女の腕の中で本当に寝息を立て初める。

 

「……やれやれ、だわ」

 

 呆れる少女に、ハジメとドッピオも「まったくだ」と頷くのだった。




 究極生命体YUEッ!! 口調が徐倫みたいなってる……おかしいな、原作の同じシーンを確認しながら書いてたのに。
 身の上話は次回に。……少女を守ろうとした叔父さんが存在しないのだけは確かです。

オリ主である透子の活躍頻度はこのままで良いでしょうか。

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