新年あけましておめでとうございます。2022年最初の投稿となります。
檜山大介にとって南雲ハジメとは何者だったのか。
世間的に下に見られる「オタク」という人種だから、無条件に見下して構わない相手だと、最初は考えていた。
本格的に敵視するようになったのは、彼に中学から付き合ってる彼女がいたのが分かってからだ。しかも相手は、入学式から話題になっていた白崎香織だ。
白崎といえば、美人だが怜悧・冷淡・冷酷と三拍子揃い、喧嘩を売った相手は何故か大怪我をする曰く付きなので、触らぬ神に祟りなし……という訓戒を込めて「女神」と呼ばれている女である。
だが、ハジメの前での香織は、ごくごく普通の少女へと変じた。
普通に笑うし、ハジメの言葉に照れたり喜んだりする、どこにでもいるような少女――あの対峙しただけでゲロ吐くほど恐ろしいプレッシャーを放つ香織と同一人物だとは思えないほど、普通。
(こいつの……こいつのどこが、どこに
最初は、そういう好奇心だった。
ただの根暗なオタク野郎の実態とは何なのか。罵倒し、殴ってみたらどんな反応を示すのか。
それを知りたくて、ある時檜山はハジメに話し掛けた……のだが。
「……誰、お前?」
ハジメにとって檜山は、徹頭徹尾、心の底からどうでもいいクラスメイトでしかなく。
まるでゴミか虫ケラでも見つけてしまったかのような瞳を、ハジメは檜山に返したのだった。
『死ィィィィぃネェェェェェェーッ!!』
爆発のような咆哮が、ビリビリと大気を揺らす。
殺意の籠もった暴風と化して、檜山だった怪獣がハジメに向かって猛進する。
(うおおおおぉぉぉーっ!! だ、駄目だ! 僕のスタンドじゃあ大質量を正面から受け止めるのは不可能ッ!! 走って逃げるしかないぃィィィーッ!!)
檜山怪獣の目にはハジメしか映っていないようで、逃げるハジメを一直線に追い駆けた。
その脇腹を、ドッピオが破壊力Aのパンチで襲った。
『グボォォォオオオオッ!?』
真横からの衝撃で、檜山怪獣が床を転がって吹っ飛んだ。壁面に背中から叩きつけられるも、即座に態勢を立て直してドッピオ――ではなく、ハジメを睨みつけた。
『邪魔するんじゃあァねェぜ!!』
頭部にある檜山の上半身はハジメを向いたまま、ドッピオに殴られた脇腹で肉が裂け、巨大な眼球が形成された。
(!? あれって!!)
ハジメが即座に香織のスタンドを連想した次の瞬間、眼球内で集束された魔力がレーザーとなってドッピオに放たれた。
「むっ!」
発射タイミングを予測して拳で弾き返したドッピオだが、追撃のタイミングを逸してしまった。
その間に、檜山怪獣が再びハジメに突進していた。
「れ、『レディステディゴー』!」
より弾幕を厚くして檜山怪獣を迎え撃つも、今度は銃弾が皮膚に達する前に明後日の方向へ逸れてしまった。硬さだけでなく、表面の血脂のせいだ。
さらに距離を詰め、ぶん回された触腕が人間の反射神経を超えた速度でハジメを薙ぎ払いにくる。
ハジメには、スタンドを通した超人的な感覚が備わっており、常人の眼では捉えきれない事象も観測出来る。だが肉体的には人間である為、回避しきれない圧倒的な暴力をつぶさに見せつけられる事となった!
(ヤバいッ!? これかわせな……スタンドで受ける――無理――死ッ!?)
目前に迫った逃れられない死の
それからハジメを救ったのもまた、人智を超えた圧倒的な暴力だった。
「オラァ!!」
一瞬後にはハジメを物言わぬ肉塊に変えるはずだった触腕を、裏拳の一発で殴り飛ばした。
半ばから千切れ飛んだ触腕が天井にまで達して突き刺さる。
「やれやれだわ。言ってる側から吸血鬼……それも相当な量を
ハジメを背中に庇って仁王立ちに身構えたユエは、ギロリと自分を見下す無駄にデカい怪物を、それ以上の胆力で睨み返した。
『ウッ……!?』
デカくなろうと所詮は檜山。ユエの凄味にたじろいで、攻めることが出来なくなってしまった。
ユエはそんな檜山を真っ直ぐに指差し、ドスの効いた声で恫喝する。
「口が聞ける内に答えて。お前、石仮面は今も持ってるの?」
『な、なんだって!?』
「石仮面を持ってるのかって訊いたの。二回も言わせないで」
『ウゥゥ……』
蛇に睨まれた蛙とは、まさにこういう状況だろう。やっぱ檜山、と透子も内心で薄ら笑っていた。
『……お、俺を吸血鬼に変えた変な仮面だったら、使った後に壊れちまったよ……』
「そうか。ならもうあなたに用は無い」
そして、流れるような
『ヒッ……!?』
「300年振りの相手としては小物だけど、ウォーミングアップには丁度いい。見せてあげる……このティ――じゃなかった。ユエの『世界を支配するスタンド』をッ!!」
出現したユエのスタンドは、小柄な彼女とは対象的な2メートルを超える女性型であった。
これまたユエとは対象的なグラマラスな肢体で、素顔を金属質の目出しマスクで覆っていた。真紅の瞳と口許、流麗な黒髪しか伺えないものの、顔立ちも古代ローマの彫刻風に美しく整っている。
「『ウィー・アー・ザ・ワールド』。
『オラァ!!』
ユエのスタンドが、彼女のすぐ直上で対空したまま拳を振るった、次の瞬間。
直線距離にして10メートルは離れた檜山怪獣の眼前にもう一体のスタンド像が出現し、人間部分の顔面をぶん殴った!
「へっ!?」
間抜けな声を上げたのはハジメだった。
ユエのスタンド……『ウィー・アー・ザ・ワールド』は、どうみても近距離パワー型である。『クレイジー・ダイヤモンド』のような圧倒的破壊力のあるスタンドでは、その射程距離は平均して2メートルが限度だという。
比較的パワーが少なめな『エコーズACT3』や『モンフル・パシュート』なら5メートル先の相手も殴れるだろうが、たった今炸裂した、迷宮全体を揺さぶるようなパンチの威力は明らかに破壊力A相当!
加えて、ユエのスタンド像は本体に寄り添ったまま、遠距離にもう一つ出現しているのだ。同型のスタンド像を複数操る群体型という分類もあるとは聞き及んでいるが、だったらますますパワーは控えめでないと説明が付かない。
『オラオラオラオラオラオラオラオラーッ!!』
『ゲグアァァァァァァッ!?』
『ウィー・アー・ザ・ワールド』がその場を動かずに拳を繰り出す度に、檜山の真ん前に出現した新たな像が殴り抜ける。追加出現した像は数秒で消えるものの、新たな像の出現速度の方が遥かに早く、みるみる内に檜山は数十――いや、百体を優に超えるスタンドによって袋叩きにされていた。
一体一体が時速数百キロのパンチを高速で連打する地獄絵図。檜山怪獣が瞬く間に訳の分からない不気味なオブジェへと変じていく。
「……分身を飛ばすスタンド、なのか?」
誰もが呆然とするばかりな中、ドッピオがいち早くユエのスタンドの能力に思い至る。
「実像の動きをトレースする虚像スタンドを、遠距離に配置するスタンド! しかも虚像の持つパワーは実像と同等……そ、そういうことか……!?」
「ドッピオだっけ。この中で一番実戦慣れしてるだけある。ほぼ正解」
ドッピオの推察に、ユエが直々に能力の補足説明を行う。
『ウィー・アー・ザ・ワールド』の実像は、ユエの側に張り付いた一体だけ。檜山をリンチにする無数のスタンド像は、ドッピオが言うように虚像なのだ。
見分け方は実像にのみ瞳が存在し、虚像はマスクの下が黒く潰れて空洞となっている。また実像そのものはユエから1メートルも離れられないが……虚像を設置できる射程距離に
「分身の出現速度には確かに限界があるけど、封印される前は一瞬で千体ぐらいは出せた。訓練次第でもっと増やせる。私のスタンドは
「め、メチャクチャだ……ッ!?」
ハジメが戦慄したのは、能力の凶悪さにではない。自分の能力を平然と説明してしまう、ユエの大胆不敵さにだ。ユエは自分の能力に絶対的な自信があるのだ。
それはそうだろう。さっきの説明が本当なら、例えばユエの真後ろにいるハジメであれば、虚像を飛ばせない死角から攻撃することは可能だ。しかしだからといってハジメにユエが殺せるかといえば、答えはNO。絶対にNOだ。
なぜならユエは不死身の吸血鬼。首を斬り落とされようが、全身をすり潰されようが死なずに蘇るのだから。
(吸血鬼の不死身の肉体……じ、仗助に聞いた殺人鬼の爆弾スタンドみたいな、対象を消滅させるスタンドだったらあるいは、だけど……!)
「弱点が無〜いわけじゃあないけど、そ〜の弱点も本体の性能がぶっ壊れてるからカバ〜でき〜る。とんでもね〜」
檜山怪獣が、脳も心臓も木っ端微塵、主要器官もあらかた粉微塵の生ゴミと化して無力化されたと判断してか、いつの間にやら透子がハジメとユエの元にやって来ていた。
「まさしく無敵のスタンド〜……だけど」
ユエが強いのはよく分かったが、そうなってくるとどうしても、これだけは確認せねばならない疑問が湧いて出る。
ユエは
檜山怪獣の残骸に、もう動く肉片が存在しないのを確認して、ユエはスタンドを引っ込めた。実像が消えると同時に、虚像も一斉に消滅する。暴力の嵐が去ると、残ったのは血なまぐさい異臭だけとなる。
「ユエ」
透子の言葉を片手を上げて遮り、ユエは中断された話の続きを始める。
「聞きたいことは分かる。さっきの続き、私が戦っていた神――その名は究極生命体カーズッ!! この世界を実験場にして、さらなる存在への進化を目論むクソ野郎」
「カーズ……ッ!!」
「このトータスに突如として現れ、世界の裏側で何事か企む……私はカーズを討つ為に力を欲した。でも……敵わなかった。力も、知力も、何もかも……」
淡々と語るユエであったが、その拳は血が滲むほどに握り込まれていた。
予想通りかと思いますが、黒幕判明しました。
オリ主である透子の活躍頻度はこのままで良いでしょうか。
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多すぎるからもっと控え目
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ちょうどいい
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少ない