香織がイシュタルを殴ったり壁画を破壊したものの、スタンドを目撃できる者がいなかった為、色々と大きなシコリこそ残ったがその場は流れた。
そしてクラスメイト一同は、聖教教会の膝元にあるというハイリヒ王国へと移送された。
人が良さそうだがいまいち頼りない国王から歓迎されたり、晩餐会で王子が香織の手を馴れ馴れしく取ろうとしてスタンドで殴り倒されたり、ハジメも王子の飲食物にスタンドで細工をして人前で盛大にヘドぶち撒けさせたり、愉快なイベントが盛り沢山であった。
それから、参戦拒否したスタンド使い一同にも王国での寝所が充てがわれた。
無視してもよかったが、今の彼らにこの世界でのヨスガは無い。また王国やイシュタルとしても、得体の知れない力を持つハジメ達を警戒し、目の届く範囲に置きたい思惑が丸見えだった。
なお、部屋割りは仗助、億泰、康一、ハジメの男子と、隣に香織、由花子、透子の女子部屋となっている。
「第一回。トータス帰宅部会議〜」
その夜。男子部屋に集まった七人プラス愛子先生による、作戦会議が開かれた。
議題はトータスからどう帰ろうか。司会進行は泉谷透子、どこから持ち出したのか黒板とチョークまで持ち込んでいる。
「透子ってよォ、たま〜にワケ分かんねえとこではっちゃけるよな?」
無言で億泰に頷く男子連中だった。
「早〜速だけど、わたしはエヒト本人を探し出して送還させるのが一番だと〜思う」
透子が黒板に「エヒトブッ殺す」と殺意高めに書くと、香織と由花子が早速同意する。
「神っていうけど、イシュタルが言うには私達を召喚した張本人ってことでしょ。なら、実物がどっかに存在してると考えてもいいわ」
「神ってよく分からないけど、一人歩きしてるスタンドみたいなものでしょ。あの鉄塔みたいな」
「あなたたちに事を穏便に済ませようって考えはないのですか!」
気が短い上に荒事で済ませるのに抵抗がない女子たちに、愛子先生も苦言を呈する。
さて。なぜこの年齢不釣り合いに幼い外見の畑中愛子がこの場にいるのか。常識的判断が可能な大人だから……というだけではない。彼女もまたスタンド使いだからだ。
能力を自覚したのは一ヶ月ちょっと前のことだが、覚醒したのはもっと前。タイミング的に虹村形兆の矢で射られた可能性が高いが、日常生活に違和感を覚えるぐらいで気にせず過ごしていたらしい。
「特に白崎さん! スタンドを気軽に一般人への制裁に使わないよう、いつも言ってるじゃありませんか! 前にも事件起こしてますよね!?」
「お言葉ですが先生。私は相手に非がある状況でしか『モーンフル・パシュート』を使いません。あの時だって、ハジメが危なかったから躊躇なくボコっただけです」
「いや、東方君がいなかったら殺人事件になってましたよ!? さっきだって、宗教家のトップを殴って、要らぬ恨みを買うとか考えなかったんですか!?」
「最悪爆殺させますから大丈夫です」
「だーかーらーッ!!」
話が進まなそうなので、透子が次の案を仗助に促す。
「オレは天之河達が気になるぜ。坂上と二人で盛り上がって、すっかり勇者になりきってやがる」
「八重樫さんが抑えに回ろうとしてたけど、天之河君って人の話を聞かないからな〜。思い込んだらこう……だし」
苦笑する康一に、億泰もうんうんと頷く。この三人、性格と外見のせいでしょっちゅう光輝から難癖を付けられているので、彼の面倒臭さが身に沁みている。
悪人ではないと認識しているが、あの岸辺露伴と同程度に苦手としていた。
「康一、おめぇエコーズのACT1で説得できねえ?」
「無理ね。こう言っちゃなんだけど、思い込みの激しい相手にACT1だと効果が薄いわ。昔の恥ずかしい私とかそうだったでしょ」
「ああ、うん……納得」
由花子に思い込みが激しいと言われた光輝に同情しつつ、仗助は話を戻した。
「あいつに乗せられて参戦決めちまった奴らも放っておけねぇしな。死んじまったら、いくらなんでも寝覚めが悪ィぜ」
「もう杜王町には吉良みてぇーなクソ野郎もいなくなったのに、異世界で戦争とか馬鹿馬鹿しいぜ」
「そう! そこんとこもオレはやべぇって思ってるんだ。どいつもこいつも、戦争とか戦いの重さっつうのが分かってねえ!」
この中で、最も実戦経験が豊富な仗助の言葉に、口論していた香織と愛子先生も耳を傾ける。
「ここは異世界だけど、紛れもない現実だ。だけどあいつらは多分、ゲームでもやってる感覚なんだろう」
「仗助の心配、僕も分かる。リアルじゃないんだ、みんなにとって『戦い』なんてさ。それこそ、アニメやゲームでしか見たことないから」
「そ〜う。それが普通。本当ならそのまま一生を過ごすも〜の」
ハジメに続き、透子も持論とともに黒板に「馬鹿の頭を冷やす」と書き込んだ。
「わたしは再起不能にして寝ていてもらうのがい〜と思う。手っ取り早くて楽だし」
「ダーメーでーすッ! 王国も教会も『勇者』の存在を当てにしてるんですから、天之河君が使い物にならないって判断されるとクラス全員が放逐される危険性があるんですーッ!!」
「チッ。それはごもっとも」
どうやら光輝は、本人の性格だけでなく取り巻く状況すら面倒くさいようだ。透子は無表情なまま「こいつがウザい」と書き殴る。
その後も会議は続き、8人はそれぞれ訓練に参加しつつクラスを見張るチームと、情報を集めるチームで別れて行動することとなった。
そして翌朝! この日から、実戦経験の無い勇者達の為の訓練期間が設けられることとなった! 初日ということで、仗助達も全員参加だ。
早朝から訓練場に整列させられたクラス一同の前に、大柄で筋骨隆々とした体格に銀鎧を着た、騎士というより軍人のような男が現れた!
「異世界から来た同士諸君、ごきげんよう。私がハイリヒ王国騎士団長、メルド・フォン・シュトロハイムだ。国王直々の命により、君達の戦技教官を務めることとなった。よろしく頼む」
我々はこの男を知っている!
この逆立った髪型と高いテンションを知っている!
なお、断っておくが彼は転生者ではない。ただの他人の空似である。
シュトロハイムは早速だが、と掌サイズの金属プレートをクラス一同に配った。
「今配ったのはステータスプレートというアーティファクトだ。諸君らの情報が客観的に表示され、身分証明にもなる。一緒に渡したナイフで指先を傷つけ、背面の魔法陣に血を一滴垂らすのだ」
そう言われて、躊躇なく実践したのはやはりスタンド使いチーム。それを見て光輝も指先を斬りつけ、ようやく他の全員が追従する。
シュトロハイムは、その流れを目聡く見ていた!
(ほう。イシュタルが要注意と言っていた、シラサキカオリと仲間達……相当の修羅場を潜っていると見た!)
やがて全員のステータスがプレートに表示される。みんなの注目は、勇者である光輝に集まった。
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天之河光輝 17歳 男 レベル:1
天職:勇者
筋力:100
体力:100
耐性:100
敏捷:100
魔力:100
魔耐:100
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・強力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
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「ほう。さすが勇者だな。新兵としては立派だ、鍛え甲斐がある」
シュトロハイムは一言告げると、個人的に一番関心があった仗助達の元へ向かう。
「南雲ぉ〜……ハジメくんだったな。プレートを拝見しても?」
「えっ!? あ、どうぞ」
たまたま一番近くにいたハジメは、近くに立つと凄まじい威圧感のシュトロハイムへ、特に何も考えないでプレートを手渡した。
表示を見て、シュトロハイムの眉間に深いシワが刻まれた。
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:ERROR
スタンド名:レディステディゴー
破壊力:E
スピード:C
射程距離:B
持続力:B
精密動作性:C
成長性:A
技能:言語理解・スタンド使い[遠隔操作型]
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「何だこれは? 表示バグか?」
「え、バグ?」
「本来は……えーっと、そこの小悪党臭が半端ない小僧。ちょっとこっちへ」
「オレェ!?」
呼び寄せられたのは檜山大介という、所謂不良のレッテルを貼られた男子だ。仗助達も大概だが、檜山の場合は同じような仲間を集めて「ブッ殺す、ブッ殺す」と出来もしない事を口にする、正真正銘の小悪党であるのが大きな違いだ。
檜山のステータスプレートと自分のを見比べたハジメは、なるほど確かにバグってる。パラメータの項目からして異なってると頷いた。
「なんだよ、南雲! お前BとかCばっかじゃねえか! 雑魚だな、雑魚!」
「…………」
「つうか天職なし!? ギャハハハッ! オタクらしくニートしてろってフゴッ!?」
イラついたハジメはレディステディゴーの一本で檜山の鼻と口を塞ぐ。それだけでスタンドが視えも触れもしない檜山は手も足も出ず、顔を掻きむしることしか出来なかった。
この後、シュトロハイムは仗助達のステータスもチェックしたが、軒並み表示がバグっていたのだった。
参考までにシュトロハイムの能力値
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メルド・フォン・シュトロハイム 推定30代前半 男
レベル:すべての人間を越えたのだァー!!
天職:軍人
筋力:サンタナのパワーの約2倍
体力:下半身が潰れても生きている
耐性:ハイリヒ軍人はうろたえない!
敏捷:すれ違いざまの飛行機に飛び移れる
魔力:原始人
魔耐:溶岩に触れて「アチィ」で済ます程度
技能:言語理解・ハイリヒ民族の誇り・自爆装置・鋼の肉体・一分間に600発の弾丸・紫外線照射・オレを憐れむなよ・世界一ィィィ!!
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こいつもバグっとるやないかい!
ちなみに、とてもそうは思えないほど頑丈だが生身の人間。
その勇気と民族への誇りから来る高い忠誠心、部下を率いるカリスマ性、そして本人の武勇など、軍人として必要なものをすべて兼ね備えたパーフェクト軍人。ただし、熱血すぎてうるさいので王国首脳部や聖教徒からは嫌われている。
対外的にはエヒトを信仰しているが、ぶっちゃけハイリヒ王国とそこに住む民族への誇りのみが信条。勇気ある者であれば亜人でも魔人でも差別しない主義。これも上層部から嫌われる要因。
オリ主である透子の活躍頻度はこのままで良いでしょうか。
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多すぎるからもっと控え目
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ちょうどいい
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少ない