終末が来たりし世に英傑の旗を掲げよ   作:謎の食通

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渡英編

新しい人生は順風満帆と言えていた。自身の知る時代の前の時代に生まれたことで未来と言う攻略本を持ちつつ、幸運にも恵まれたことで前世では手に入れることが出来なかった少なくない資本を手に入れた。転生者ゆえの疎外感も同じ境遇の妻と出会い解消された。妻と出会った時などお互いの容姿と名前が前世で有名だったキャラにそっくりだったので大いに盛り上がりもした。

まさに勝ち組に分類される幸せな人生を過ごしていた。

 

それに暗雲が掛かるのは妻があるスレを見つけたことから始まった。そこには自分たちと同じ境遇の人間がたくさん居て今度オフ会をするらしいと妻から聞いた。

最初の時は、今は忙しいから次のオフ会があるならその時に参加しようね、なんて思っていたが、妻から聞いた言葉で全てが吹き飛んだ。仕事の予定はすべてをキャンセルし、娘は親に預けて、妻と一緒に富士山へと飛んだのだった。

 

 

まさか、この世界が女神転生の世界だったなんて・・・!

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

富士山にあった星霊神社にて二度と思い出したくない苦行・・・もとい修行をなんとか達成した結果、覚醒者になることが出来た。その時、覚えたスキルはチートとも呼べるものだったが単体では宝の持ち腐れだったので(拷問ではない)修行をしつつも転生者自助組織『ガイア連合山梨支部』と言うメガテンファンからすればツッコミどころ満載な組織の運営に関わることとなった。

と言うかメシア教の存在自体は知っていたが女神転生シリーズのマジもので悪魔も実在するなんて思っても居なかったのである。そう、自分が転生者であるにも関わらずに、だ。

 

 覚醒してからはガイア連合の運営に参加しつつ、シキガミを購入してはレベリングに勤しんでいる妻と一緒にオカルト依頼に挑んだりしている。ちなみに実戦回数の差で妻にレベルで抜かれてしまった。

 

そんな日々を過ごしているある日、妻が不安そうな顔で僕に問いかけてきた。

 

「アナタ、本当にイギリスに行くのですか?ただでさえ何時終末が起きてもおかしくないですのに・・・」

 

銀髪の美しい女性、つまり僕の妻が心配そうな顔をして僕に尋ねてきた。僕はガイア連合の仕事でたびたび海外へ赴任しているが、『★海外オカルト雑談スレ その72+α』と言う転生者たちが住人のスレを見てから、どうやら妻は不安になったらしい。

 

「そうは言っても君の両親を見捨てるわけには行かないだろう?」

 

ちなみに僕や妻はイギリス人のハーフであり、はとこである。親戚同士の集まりで出会いだった。そして、妻の両親はイギリスに残っていた。

 

「それは、そうですが・・・本人たちも乗り気ですし・・・」

 

「だからこそさ。終末が始まってからでは遅い。今のうちに日本に連れてこなければ最悪命に係わる。それにガイア連合からも欧州における多神連合やメシア教の調査をお願いされているからね。」

 

「多神連合にメシア教って・・・それこそ大丈夫なのですか?」

 

妻の眉尻が更に下がった。どうやら余計に心配させてしまったようなのでフォローをすることにした。

 

「大丈夫さ。ガイア連合は多神連合とはある程度交流があるし、メシア教にもある程度は伝があるからね。」

 

「そう言えばそういうスレもありましたね。でも正直アナタやスレの皆さんから聞いたメシア教の印象を聞くとどうも・・・」

 

「メシア教は欧州よりもむしろアメリカの方が、影響力が強いよ。なんせバチカンが存在するし、近くにはメッカやエルサレムがあるからね。メシア教よりも純正の一神教の方が強いさ。・・・まあ、近年メシア教に浸食されつつあるのも事実だけどね」

 

「・・・なるほど、確かにそれなら今のうちになら連れてこれますが、時間が過ぎると危ないですね」

 

僕の言葉で何とか妻を納得させることが出来たようだ。

 

「とくにアメリカなんて酷いらしいよ?イギリスもそうならないうちに一刻も早く義父や義母を日本に連れてこなければ・・・」

 

「わかりました。それについては納得しましたが・・・」

 

妻は言いよどんだが、僕に問いかけを放ってきた。

 

「あの子はどうするのです?今回渡英するということで父も母もあの子自身も乗り気になっているのですよ?」

 

「連れていくしかないと思っている。と言うよりも、あの子、覚醒者になりつつある気がするからね。」

 

僕が言った言葉に妻は沈黙する。僕たち夫婦のシキガミに娘の子守を何度かお願いしたことがあるのだが、娘はシキガミ達が薄々人間でないことに気付いてるらしいのだった。

 

「あの子から目を離す方が問題ですか・・・」

 

「都内だから根願寺の影響で強い悪魔は出ないと思うけど、終末が近い今では楽観出来ないからね」

 

僕の自宅は、都内にある。ガイア連合の運営に参画できるだけの資本家でもあるので都内に家を持つことが出来たのである。首都圏は、根願寺の結界により悪魔の出現は抑えられている。だが、GPが上昇している昨今、弱体著しい根願寺でいつまで対処できるかの不安も拭い去れていない。この国を代表する霊的国防組織なのは確かだが、ガイア連合運営としては頼りないというか、もう少ししっかりしてとしか思えないのである。当代の葛葉キョウジの弱さには、メガテンファンとしてそれはもう非常に落胆したものである。

 

 

「わかりました。あの子には私から伝えておきます」

 

「頼むよ。モルガン」

 

そう言うと僕は妻を抱きしめ、その額にキスを落とした。

 

僕の名前はアーサー・エヴァンズ。僕たち夫婦の見た目は、TYPE―MOONのFateに登場するプーサーとモルガン其の物である。当然僕たちの遺伝子を受け継いだ娘の見た目は、まさにそのままと言えるのでアルトリアと名付けた。よくよく考えれば転生した世界でこの名前を付けるのは軽率だったかもしれない。例えこの世界が女神転生世界だと知る前だとしても。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

その後、モルガンがアルトリアにイギリス行きを伝えると、アルトリアは跳ねるように喜んでこけそうになったところを妻のシキガミのバーヴァンシーに体を支えられた。それをモルガンは、ほっこりとした顔で眺めていて。僕は、この宝物を何としても守ろうと決心を新たにしたのだった。

 

そして、行の飛行機は問題なくイギリスに到着した。だが、しばらくすると海を越えた先に邪神が降臨したのだった。

 




アーサー・エヴァンズ
覚醒者になるまでは勝ち組人生だったのでどこがフワフワしている感じだったが女神転生世界だと知り覚醒者になってからは、夢が覚めたかのように家族のために仕事も修行も邁進している。
ガイア連合の経営陣の末席で海外の販路拡大や多神連合やメシア教との対外交渉なども行っていた。
ガイア連合内の別名は「プーサーの皮を被ったブラッドレイ」である。
なお、覚醒した時の初期スキルはそれ単体では意味は殆ど無いが公式チートスキルである。
シキガミは獣型シキガミ(変身能力あり)である。
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