終末が来たりし世に英傑の旗を掲げよ   作:謎の食通

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戴冠編

「ぐう・・・ほかの皆は・・・!」

 

用意した陣地が殆ど吹き飛んでいる。呻き声が聞こえる事から何人かは生きているようだが・・・。

 

「マスター達は無事か!」

 

とりあえず安否確認をしなければ・・・!マスターと英傑たちは、結構無事だな。だが、軍の方は生きてはいるが戦闘不能だな。車両の殆どが破壊されているし、無事な車両も横転している。威力の高い火器も今のメギドラオンで壊れてしまっているようだ。

む、マスターや英傑たちの方から駆け寄ってくる奴が居るな。

 

「アーサー大総統、何とか皆さんは無事です」

 

「ジャンヌ・ダルクか」

 

よし、回復役は無事か。これならまだ巻き返せる。機能停止していない英傑や送還されていない悪魔を回復さえなければ・・・。

 

「ですが盾となったアルケイデスが・・・」

 

チラッと後ろの方に目を向けると巨漢の男が横たわっていた。おいおい、君にはモルガンや四条さんの代替え戦力として期待してたんだぞ。聖遺物を手に入れるのにゼウスやイタリアの皇帝相手にだいぶマッカを支払ったんだぞ。しかも、この戦いが終わった後イタリアに派遣する話も出ていたんだぞ!?

 

「最高戦力の復帰は難しいか。」

 

いかん、頭を切り替えていかないとな。天使やドルイドが居ないから蘇生持ちは少ない。なら、ジャンヌを酷使して態勢を立て直さなければ・・・。

 

「総統閣下!大丈夫かね!?」

 

ジークフリートのマスターとなったサマナーが駆け寄ってきた。名前やその見た目からマスターとして抜擢されたゴルドルフ氏だ。本当は英国無双の見た目の奴もいたが、彼はサマナーでは無かったからな。 

 

「ムジーク君、ジークフリートはどうか?」

 

ペイルライダー相手に攻撃をしているアキレウスを見ながら聞く。翻弄しているようにも見えるが手数で押さないと、すぐに奴に押されるのは見えている。

 

「あやつなら何とか・・・とりあえず私の方で回復させ次第戦線に戻させる」

 

ジークフリートの傍にゴルドルフの悪魔が寄り添っているのが見える。回復させているようだが、その悪魔がヴァルキリーなのには少し引っかかるが。

 

「頼んだ、期待している」

 

ペイルライダーの方を見ると、奴は口からガスを周囲に振りまいていた。いかんな、このままでは土壌どころか霊脈そのもの汚染されかねない。ドーバートンネルが封鎖されると大陸には海路でしかいけなくなる。

いや、こいつがこの場を移動してブリテンを徘徊しだしたら、もっと酷い事になるな。

 

「手数で押そうとしたら発狂モードに突入しそうだな。アンティクトンの5連発なんて、僕でも耐えられないぞ」

 

まったく耐性を完備しなければ問題ないなどゲーム脳に侵されすぎていたな。メガテン4の魔人の鬼畜さを想定したが足りないらしい。ならば、僕がやることは・・・

 

「足止めではない。速攻で倒すつもりでいく。それが答えと見た」

 

僕がヘイトを稼いでタンクをして、周りの奴らがダメージディーラーとなる、そんな戦術はもう駄目だ。

 

「ふんっ!」

 

前屈姿勢で駆け出す。両手に持った剣が地面に触れそうで触れないぐらいの高さまで近づく。周りに漂っている毒ガスを切り裂きながらペイルライダーに駆け寄る。そうするとペイルライダーも僕の接近に気づいて毒ガスの散布を止めた。僕を迎撃するようだな。

 

「向かってくるか、この私に向かって。ならば『マハブフダイン』である」

大量の氷の刃が吹雪と冷気を伴って辺り一面に解き放たれる。僕はそれをカスリながら前進する。どうしても防げないモノは剣で切り落としていく。この程度では僕の足を止めることは出来ない。ペイルライダー、お前を間合いに取ったぞ!

 

「そんなモノ、痛くも痒くもない!『連撃斬』!」

 

「うぉ!?」

 

最初の一撃で奴の持っている鎌を上に弾いて、がら空きになった胴体に連撃を叩き込む。「ダークエナジー」と「会心の覇気」の重ね掛け、両手の剣で切り捲る。

この攻撃に奴も怯みを見せる。メガテンで言うところのクリティカルによる行動回数増加みたいなモノだ。ならば、もう一度バフを乗せて・・・いけない!体勢を立て直した。ペイルライダーの仰け反っていた頭部がグンッと僕の方に向くしゃれこうべの闇が満たされた中身が赤く光る。この『眼光』は、ヤバい!

僕は後ろに大きく跳び、距離を離す。ペイルライダーは鎌を振りぬいた。

 

「む、ならば『ペストクロップ』」

 

ペイルライダーの振るった鎌から紫の毒々しい三本の爪痕が空間を切り裂いていく。かわし切れないか・・・!剣を十字に交差させて即興の盾とする。

 

「ぐぅ!」

 

当然、防ぎきれず僕の体は吹き飛ばされる。そして、遂にモルガンのアミュレットが壊れた。今まで状態異常を防いでくれていた礼装が今無くなった。だが、既に流れは動いている。

 

「しゃらくせぇ!『α・コスモス』!」

 

アキレウスは盾を構えながら突貫する。ガイア連合イギリス支部謹製の英傑武装、武器の伝承元となる英傑のデータを元に造りだされた、その武器は単体での性能もさることながら英傑が持つ事によってオリジナルスキルを発現させる。アルトリアがエクスカリバーを所持した時に得るスキルを参考にモルガンが完成させた技術だ。

さすがに蒼天囲みし小世界(アキレウス・コスモス)を完全に再現できる程ではないが、それでも一廉の威力だ。更に武装を持っているのはアキレウスだけでは無い。

 

「世界は今落陽に至る『バル・ムンク』!」

 

ジークフリートがペイルライダーにその両手剣を振り下ろす。バルムンクの柄についている宝玉から緑色の光が輝いているのが見える。

頭上から来るアキレウスの盾を防いでいるペイルライダーは、ジークフリートのバルムンクをもろに胴に受けた

 

「ぬおぉぉぉぉぉ!?ええい!かぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ペイルライダーが、アキレウスを鎌で吹き飛ばしながらジークフリートに毒ガスブレスを吹きかける。

 

「なんだと!?」

 

後ろでマスター達が驚いている。先ほどの攻撃で大ダメージを受けたペイルライダーがまだ健在なのを驚いたようだ。さすがは魔人と言ったところだ。だが、僕に隙を晒したな?

 

「我流剣技『連撃斬・極』!」

 

斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬!

 

奴に16連撃の斬撃で切りかかる、これが僕が出せる最大の技だ!!

 

「ぐおおおぉぉぉぉぉ!まだ、だあぁあぁぁぁぁっぁ!!」

 

もはや身に纏ったローブもボロボロになりつつも鎌を振り上げるペイルライダー。

その姿を見た僕は背中に背負っていた剣を鞘から抜いた。

 

「いいや、終わりだ」

 

片手でその巨大な剣を振りぬく。その刃は馬ごとペイルライダーを切り裂いた。

 

「本来、ヘラクレスに持たせるつもりだったが、その逸話からアルトリア用にとっておいた『マルミアドワーズ』だ。我が家の蔵に眠っていた秘蔵の品だ」

 

アーサー王がエクスカリバーよりも愛したという名剣マルミアドワーズ。かつてマーリンに捨てられた剣が魔女モルゴースに回収され我がエヴァンズ一族が保存していたという謂れを持つエクスカリバーをも超えるヘラクレスの剣、魔人対策に持ち出した甲斐はあった。

 

「が・・・あ・・・・」

 

下半身が生き別れたペイルライダーは、腕で這いずりながら動いている。これを受けても、まだ生きているのか・・・。だが、生かして返すわけにはいかない。

 

「その首、落とさせてもらうよ」

 

その首に向けて剣を振り下ろす。しゃれこうべがカランコロンと転がっていく。マルミアドワーズを鞘に戻そうと腕を上げるか。腕が途中までしか上がらない。と言うかこれって・・・。

 

「うお、これは腕の骨が折れているな。アドレナリンで痛みが感じないうちに魔法で治してもらうか」

 

エクスカリバー以上の両手剣を片手で扱うのは無理過ぎたか。しかも単発系スキルはあまり得意じゃないからなあ。どうにも締まらない結末だ。

だが、僕たちは勝った。

 

「行動可能な者は負傷者を救助せよ!」

 

まだ動ける仲間が動けない部下を助けていく。さて、僕も動くとするか。

 

 

 

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そこは、町の中央に建てられた複合神殿にある一室だ。カフェやバーのようにカウンターや椅子と机が並んでおり棚には飲み物などが陳列されている。壁には電光掲示板が付けられており、いくつかのクエスト情報が移っている。

ここは、全ての複合神殿に設営された人外ハンター支部の一つだ。隣にはガイア連合のショップや生体エナジー協会などが入っており、普段はハンターたちが集まっている場所だ。だが、今はハンターだけでなく一般人たちもこの部屋に詰め掛けている。いや、ここだけでは無い。今日と言う日はブリテン中の人間がモニターが存在しているところ集まっているだろう。

 

「おい、間もなく放送が始まるぞ」

 

誰かが漏らした言葉が聞こえた。画面が点灯する。白い部屋に青いカーテンなど清潔感と高級感が溢れる部屋が映された。そして、その真ん中にアイツは居た。俺たちの同僚で、我らの王、アルトリア・エヴァンズが。

 

《ブリテン島とアイルランド島に住む皆さんにお伝えしたいことがあります》

 

いつも聞く声とは違う声だ。凛としたカリスマを感じさせる声だ。父親のアーサー大総統もカリスマを感じさせたが、これが血筋と言うモノか。

 

《本日を持ってブリテン島の統一を完了、ブリテン連合王国の成立を正式に宣言します》

 

瞬間、周りが沸騰した。雄たけびや歓声が部屋を覆いつくす。いや、部屋の外でも叫んでいる奴がいるな。そういう俺も両手を天に突き出し叫んでいたが。そうか。ついにスコットランドを取り戻すことが出来たのか!

 

《まだ、世界は混迷に満ちています。私たちも再び災厄に襲われる可能性は0ではありません》

 

アルトリア嬢ちゃんの、いや、我らのアルトリア王が話を続ける。周りの声も徐々に小さくなり皆が画面に集中しだす。

 

《ですが、希望はあります。滅びた世界で再び国が生まれました。私たちの国です》

 

世界は終わってしまった。だが。そこから再び始める事が出来る。立ち上がる事が出来る。俺たちは未来を夢見る事が出来るんだ。

 

《私はアーサー王の継承者、騎士たちの王です。そして騎士とは終末に対して立ち向かっている皆さんに他ならないです》

 

俺たちが騎士様か。へへっ、悪くないな。ただ、一つ残念に思うのは・・・。

 

《騎士たちよ、この国を救いましょう。それが世界を救う一助となることを願って》

 

もう、アルトリア嬢ちゃんたちと一緒にこういうところで騒いだりすることが出来なんだろうなと、喜びと希望にあふれる人外ハンター支部を見ながら、俺は思ったのだった。

 

 

 

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「お疲れ様です、陛下。見事な演説でした」

 

・・・疲れた。見事と言ってくれたがこんな演説で大丈夫だったろうか?お父さんの演説や臨時首相の演説の方が良かったんじゃないだろうか?いや、これもプロパガンダっていう奴だよね。きっと意味があるはず。

 

「ありがとうございます。ただ、まだまだ私は至らないと思います。でも、お世辞でも嬉しいですよ」

 

マントを傍に寄ってきたメイドに渡す。今のご時世でメイドっていうのはどうかと思うが、必要な処置らしい。ガイア連合で作られたロボットアニメのキャラがこれでは道化だよと言ってたけど、私の心境もまさにそれだ。

 

「さあ、アルトリア。新しい我が家に帰ろうか」

 

気付くとお父さんが私の手を取っていた。エスコートって言う奴かな?でも手をつなぐならこんなんじゃなくて、家族みんなで・・・。いや、そんな甘えは駄目だ。

そんなことを考えているに新しい我が家、いや王宮の部屋に来た。扉を開けるとバーヴァンシーお姉ちゃんがテーブルに料理を並べていた。お姉ちゃんが私に気付くと手を私たちに向かって手を振ってきた。

 

「あら、おかえり。アルトリア、ご飯はもう少しで出来るので待ってくださいね?」

 

お母さんがお鍋を持ちながら私に微笑みかけてきた。

 

「お母さん・・・いや、母上、仮にも王宮で料理してて良いのですか?」

 

いけない、私は王になったんだ。それ相応の態度をしないと・・・。

 

「別にプライベートスペースではお母さんで良いですよ。そもそも私は魔女ですから工房や厨房が無いと話になりませんから問題ありませんよ」

 

「ええー・・・」

 

それでイイの?いや、確かに魔女ならそういうの必要なんだろうけどさー。

 

「僕も民に手を振っているよりは銭を数えていた方が性に合うし、そんなもんさ」

 

お父さんまで・・・。

 

「だから、アルトリア。そんなに気負う事は無い僕たちがついているからね」

 

・・・!そっか、そうだね。ここぐらいなら、ちょっどだけ良いかな?

 

「お母様にお父様、そしてアルトリア。お話も良いけどご飯が冷めるぞ」

 

「アォン!」

 

バーヴァンシーお姉ちゃんとカヴァスが、催促してくる。カヴァスなんてエサ入れを咥えているし。

 

「あら、いけませんね。それでは席に着きましょう」

 

ブリテンの皆、ここだけはただのアルトリア・エヴァンズである事を許してください。いつの日か皆がこうやって幸せな食卓を囲めるようにしますので。

いまは、ただ。

 

「「「「いただきます」」」」

 

この幸せをごはんと一緒に噛み締めよう。

 




これにて完結でございます。今までありがとうございました。第二章を書くか、どうかは原作次第という事で今回はここで筆を置かせていただきます。
ここまで読んでいただき、重ね重ねありがとうございました。



マルミアドワーズ
エクスカリバーを超える威力を持つヘラクレスの大剣。エヴァンズ一族にモルゴースの魔術書と共に伝わっていた。
アーサーとモルガンは、この剣にある仕掛けを用意した。
マルミアドワーズは、アーサー王がエクスカリバーよりも気に入った剣だ。
そう王権とも言えるエクスカリバーをガウェインに貸し出すほどに。
この剣を持ち続ける事はアーサー王と言う霊基に歪みを与えるだろう。
そして、アーサー王自体がこの剣を求めるだろう。
それはアルトリア・エヴァンズと言う個を確立する為の隙へとなりえるかもしれない。
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