終末が来たりし世に英傑の旗を掲げよ   作:謎の食通

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決意編

家の中に入る。後ろにはモルガンたちもついて来ており、バーヴァンシーが扉を閉める。

 

「アルトリア、大丈夫ですか?怪我はしてないですか?」

 

モルガンがアルトリアに駆け寄る。彼女もアルトリアの状況に心を痛めていたのだろう。珍しく焦燥している。そういう僕も冷静でいられない。さて、この状況をどうやって脱するべきか・・・。

 

「うん、大丈夫だよ、お母さん」

 

アルトリアも落ち着いたのか、モルガンの答えにしっかりと答えている。

 

「アルトリア、大事な話がある。聞いてくれるかい?」

 

「はい、わかりました」

 

いずれ説明する必要があるとは思っていたが、このようなタイミングで覚醒することになるとは・・・しかもアーサー王とは。血の因果か、それとも外見に対する僕たち転生者により信仰か。

 

「自分がアーサー王の生まれ変わりだというのはわかるね?」

 

アルトリアは、コクと頷く。自身の過去世を理解する当たり、だいぶ因子が強いようだな。それとも周囲の妖精どもが騒いでいたから、わかったのか?

 

「実は僕たちも英雄の生まれ変わりではないけど特殊な力を持つもの、覚醒者なんだ。薄々アルトリアも気付いていたと思うけどね」

 

英雄ではないけど転生者はあるのだが、そこまで言う必要は無いか。今のアルトリアに話しても混乱するだけだろう。このことはもう少し落ち着いてからで良いだろう。

 

「あの、バーヴァンシーお姉ちゃんも?」

 

元々バーヴァンシーが普通に人間じゃないみたいに感じると言っていた子だ。やはり、そこは気になるか。

僕から答えても良いが、ここはモルガンが答えた方がいいだろう。モルガンにアイコンタクトで促す。

 

「バーヴァンシーは、違う。あの子は私のシキガミ。人間ではない。ガイア連合の覚醒者にとっての大切な相棒なのです」

 

モルガンがシキガミと言う存在について説明していく。悪魔の欠片を使い造りだされた使い魔だと言う事を。

だが、アルトリアそれについてただなるほどと言った感じで頷いているだけだ。その様子のアルトリアが気になったのかバーヴァンシーがアルトリアに話しかける。

 

「アルトリア、私の事が怖くないのか?」

 

「ううん。怖くないよ、それよりホッとしているんだ」

 

アルトリアは首を振る。その言葉を聞いたバーヴァンシーはキョトンとしている。しかし、ホッとするとは一体・・・。

 

「私だけが特別じゃないんだ、って」

 

そうだ。そうだった。自分が人とは違うというのは特別感や優越感が沸くのと同時に孤独をもたらす。僕もモルガンと出会うまでは前世の知識を利用して金を儲けることばかりに専念していた。モルガンと出会ってからすべてが変わったんだ。アルトリアが生まれて変われたんだ。ガイア連合の転生者仲間と出会えて孤独なんて消えてしまったんだ。

 

「話を戻すよ。君が覚醒者になるのは、この際問題ないんだ。いつか目覚めるだろうとは僕たちも思っていたからね」

 

感慨にふけってばかりでは居られない。ただでさえ状況が悪いのに我が家にとって更に悪化しているのだ。半終末状態だって大変なのに、そこに加えてアルトリアがアーサー王だって!出来れば僕が変わってやりたかった。この子に、こんな世の終わりにイギリスの命運を背負わすなんて冗談じゃない!

 

「外のみんなの様子を見てわかっていると思うけど、みんながアーサー王に期待している。・・・一人の女の子に押し付けてよい期待では到底ないけどね」

 

決めた。とりあえず僕が汚名を被ることにしよう。

 

「出来れば僕は君を連れて日本に連れて帰りたい。アルトリアにイギリスの希望で押しつぶさせる事なんてしたくないんだ」

 

この状況でアーサー王を連れだせば人々だけじゃなくダナン神族やメシア教穏健派も良い気分をしないだろう。ガイア連合に対しても不利益になるかもしれない。だが、娘を犠牲になどしたくない!

 

「あ、あのお父さん。ベティちゃんやカーク君はどうなるんですか?」

 

「アルトリアの友達か・・・。残念だけど、連れて行くのは難しいだろうね」

 

友達か・・・この流れは良くないな。だが、しかし・・・。

 

「そんな!」

 

「何らかの神々の氏子やメシア教穏健派に所属していたりするなら融通出来るけど、ただの一般人を受け入れるのは難しいんだ」

 

「お父さん、お母さん、私は残りたいです」

 

・・・友達の事を出された時点で薄々想像はついたが、やはりか。

 

「アルトリア、何を言っているのですか!」

 

「わかっているのか、アルトリア。その選択は君を燃えている玉座に括りつけるのと同じことだよ。君と言う存在を利用しようとするものはたくさん出ても、君自身の事を思いやってくれる人なんて居るかどうかすら怪しい。そういう立場になるという事なんだよ」

 

ダグザを始めとしたダナン神族にとってはブリテンに再び君臨するための権利書、メシア教にとっても一神教の守護者扱いされているアーサーは頼るべき道標、イギリスに住む者たちにとっては自分たちの救世主。こんな連中が群がってくるのだ。

アーサー王を必要として、アルトリア個人を必要とする奴なんて友人くらいしか・・・友人しか・・・。

 

「それでも!友達を見捨てて、逃げ出したくない!みんなを助けたい!!」

 

「「「「「・・・・・・・・・」」」」」

 

家族みんなが押し黙る。アルトリアは真剣な眼差しでこちらを見つめてくる。さっきまで震えていたというのに覚悟を決めると梃子でも動かないのは、変わらないな。親としては子供の安全を確保したい。だが子供が進むべき道を決めたというのなら・・・。

 

「わかったよ、アルトリア。」

 

応援するしかないよな。当然、本当に本気かどうか確かめるが、それに諦める可能性もあるかもしれないから確かめるけどな!

 

「ッ!?アナタ、何を!」

 

モルガンが僕を問い詰めるような目で見つめてくるが、僕が見つめ返すことで、僕の内心が想像ついたのか、それ以上問い詰めてはこなかった。すまないね、モルガン。

 

「僕が何とかしよう。絶対に君を国の奴隷なんかにはさせない」

 

僕がさせない。させるものか。いくら自分の進む道を決めたとはいえ、子供なんだ。ならアルトリアが大人になるま僕がなんとかしてみせる。

 

「それにここで逃げるとアルトリアに逃げ出したアーサー王と言うレッテルが張られる可能性もある。あくまで僕が勝手に連れ去ったという形にするつもりだったけど、こうなったらやれることをトコトンやってやる、やってみるさ」

 

とりあえずは本国のガイア連合に報告してからイギリスの友人知人を当たって、体制作りかな?

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

アルトリアを寝かしつけた後、アーサーはスマホ片手にパソコンに噛り付いた。本国のガイア連合や多神連合、メシア教穏健派、更にはイギリス残存勢力にまで連絡しようとしているらしい。私、モルガンは、私自身も独自の行動を起こそうと決意する。そして、私は実家に用意した私の研究所からあるものを引っ張り出す。アーサーだけに負担をかけさせてなるものですか。

 

「アルトリアもアーサーも覚悟を決めました。なら今度は私の番ですね」

 

いくつかのケースを取り出す。ええっと、コアパーツは・・・うん、これですね。

 

「お母さま、それは?」

 

私に付き添ってくれたバーヴァンシーが取り出した荷物について聞いてくる。ふむ、せっかくですし説明しておきますか。

 

「かつてFateプロジェクトと言うのがガイア連合にありました。英霊召喚のサーヴァントを再現しようというものでしたが、当時は悪魔召喚プログラムが存在せず、元となる英雄型の悪魔が調達出来なかった為凍結されました」

 

Fateファンが集まって、オカルト的な技術を手に入れたのなら英霊召喚を試さないはずがないですからね。結局シキガミをFateキャラの見た目にするだけになりましたが。

ただ、たまに同じサーヴァントがダブったり、私たち夫婦のガワと同じ奴の製造を依頼されたときは困りましたが。

私の見た目をしたシキガミはアーサーでは無い別の人物とイチャイチャした姿を見たくないのでバーサーカー・モルガンの製造に関しては徹底的に潰しましたが。アーサーの見た目をした奴が他の人といちゃつくのは悲しいですが我慢できます。だが、私自身だけは許容できない!

 

「ですが近年日本神の封印解除でFateプロジェクトは別の形で検討することとなりました」

 

「別の形ですか?」

 

「その名は霊的国防兵器製造計画。シキガミに神々を宿して創り上げる必殺兵器です」

 

メガテンファン的にはそこは外せないらしいです。アーサーも予算を出してくれましたし。

まあ、兵器としては制約が無い悪魔を信頼できないとも言えますが。

ちなみに兵器としての束縛力こそは無いが似たような形でICBMの防衛にシキガミ体の神々が参戦しているらしいです。おかげで日本は無事なんだそうです。いつか家族みんなで無事に家へ帰りたいものです。

迎撃に参加する神々はこちらから提供するMAGとシキガミの体でGPが低くても短時間とはいえ全盛期の力を発揮できるのは、理論的に確立していたのは知っていました。ただ、制御することを考えなければ悪魔召喚プログラムを利用した分霊の方が安上がりではありそうですが。

 

「シキガミを作るのにつかわれる素体は名もなきスライム。ならば単独では顕現できない英雄の幻霊が素体でも作れるはず。何せ神格化している英雄も居ますからね。」

 

それこそ英雄神と名を馳せた連中のスライムを利用して加工すれば、最悪本人である必要すらありません。ただ、英雄としての側面強化をするには英雄所以の品は必要ですが、まあ今回は私モルガンにアーサー、そしてアルトリアが居ますからね。

 

「そして、元が人間霊であることを考えれば、制御も容易い。英雄と言う面を強調すれば信仰の代わりに人を守るのでない。英雄として人を守るために戦う悪魔、いえ、必殺の霊的国防兵器となるのです」

 

いくら悪魔と親しくなっても悪魔の倫理観であるのは変わらないですからね*1。だからこそシキガミもガチガチの制限を加えられている。その点、元が人間なれば悪魔の要素が強い霊的国防兵器でも運用の不安が軽減されます。

 

「なるほど・・・。」

 

「まあ、要するに誤解を承知で言えば多少の制限を限定することでベースとなった悪魔に寄せたシキガミですね。ですが元が英雄です。成長するシキガミとは相性が良い、そして何よりも悪魔と違って多少の自由意識があっても安心できます。まあ、令呪のような安全装置は追加で作りますけどね」

 

ようするにレベルが上がることでFGOでいうところの霊基再臨おこなうサーヴァントのような存在を作り出すという事ですね。正直悪魔のクーフーリンなど当たりを従えることが出来るなら、ほぼ意味のない存在でもあります。

 

「それで、お母さまは今からそいつら作ろうとしている訳ですか?」

 

「念のためにシキガミ素体自身はイギリスに運び込んでいましたからね。神主さんが居なくても、何とかなりますよ。後はコアとなる英傑を悪魔召喚プログラムなどを利用して呼び出し、それに合わせてフィッティングすれば完成の筈です」

 

更に私はその地の所縁の英雄をベースに使うことで信仰や地脈などのバックアップを使えるような仕様を組み込むつもりです。

地脈制御に関しては、神主に教えてもらった事を参考に造りだした自慢の術式です。

 

「こいつをアルトリアの護衛として作ります。私たちのシキガミのように自由にカスタマイズされて居る訳ではありませんが、成長の方向性が決まっている分使いやすいはず。」

 

むしろオリジナルのシキガミの様な拡張性を持たせるとなると私ではすぐに用意できない。と言うか大勢の転生者にあの性能のシキガミを提供できる神主さんは可笑しい。出会った当初からあの幅広い技能と高いレベル・・・私だってモルゴース由来の魔術書を習得した筈なんですが・・・。

 

「親和性を考えれば円卓の騎士ベースが理想ですか。イギリスの地でアーサー王の継承者がマスター。成長率にも補正が入りそうですね。」

 

見た目のベースは、普通の円卓の騎士で良いでしょうね。妖精騎士タイプは私のシキガミ候補として使う予定ですので。造形用のデータもありますし、それを元に作りますか。あの霊視ニキさんのモードレッドもデザインデータは私が作ったものですし。と言うか私の見た目モルガンだから私自身が参考モデルですからね。

 

「バーヴァンシー、私はこれから製造に入ります。貴女にも手伝ってもらいます」

 

「はい!喜んでお手伝いいたします、お母さま!」

 

ああ、可愛い私のバーヴァンシー。もう一人の私の娘のために力を貸してくださいな。

 

*1
注:バーヴァンシーとカヴァスを除く。Byモルガン

と言うか転生者にとっては自身のシキガミを例外とするのは当然である




必殺の霊的国防兵器
真・女神転生4シリーズに登場した。元々は第二次世界大戦に国を霊的側面から守る為帝国陸軍が召喚した悪魔である。依り代を持ったものがどんな悪逆な存在であろうと絶対服従と言う、まさに兵器としての性質を持つ。
モルガンが作ろうとしているコンセプトはシンプルに言うと本体に近い分霊をシキガミ並みに自由に使えるようにすると言ったものである。
そこに色々とおまけ機能をつけようとしている、それが霊的国防兵器製造計画である。
ただ、本体に近い分霊のわりにこんなガチガチな制限を受ける奴自身が希少である。
だからこそ英傑系悪魔が狙い目であるとも言える。

ぶっちゃけ、レベルの高いデビルサマナーが悪魔を従えれば済む話である。
製造理由はただ一つ、覚醒したばかりのアルトリア・エヴァンズに高レベルの忠実な悪魔を護衛に就ける為だけである。



余談
アーサーは、埼玉に家を持っているらしい。
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