遂に始まった。主役、リュカのオーディション。
「それでは、本日より、リュカのオーディションを始めます」
「まずは、主演を希望する人は前へ」
「はい!」
「よろしく。草薙さん。お互いベストを尽くそう」
「はいっ!」
(10人くらいいる。やっぱり、希望者が多いな…)
と、寧々は思った。
(この中で勝ち残らないと、リュカを演じる事が出来ないよね…
必死で喰らいついていかないと!)
「それでは、冒頭から、薔薇園で別れるシーンまで、
立稽古をしてみましょう」
「では、ここのシーンのリュカは白虎町さんで、お願いします」
「はい」
次々と交代させられる。王女役。もう、4人も入れ替わっている。
10分でそうなっていた。
「やっぱり、上手い…!」
と、夢葉が遠目から、そう感じた。
(ここでは、気弱な人の目も、ちゃんと見られない、
リュカが、ルイーズに初めて恋をする。
リュカは、美しい王女の姿が目に焼き付きたいけど、
真っ直ぐ見ることが難しくて、そんな挙動不審な
自分が変に思われてないかも気になって…
白虎町さんの演技からも、不安や緊張感が、
すごく再現出来ている…!)
「どーした?夢葉?」
と、よつばが声をかける。
「一目惚れって、こういう感じなのかなって…」
「夢葉は好きな人がいるからな!」
「そうだけど…そうじゃないし…」
「へっ?」
「よつば、今は演技の時間だ」
「はいっ!」
三人は演技を遠目で見学していた。
そして、次のシーンへ…
「次のリュカの役は…草薙さん!」
「は、はいっ!」
(次のシーンは歌から始まる。
だから、気合を入れて、頑張らないと!)
その後。
「それでは、本日はここまでです」
と、リュカ役のオーディションが一通り終わった。
「それでは、脱落者を発表します」
その後、5人の脱落者が出たが、
寧々、陽菜、夢葉、よつばの名前は出なかった。
後日。
「次!」
という、指導者の厳しい声が、目立っていた。
そして、寧々の出番となり…
(すごい空気…もう、数日だけで脱落者は、15人も出ているのに…
息をしたくない位、ピリピリしている…)
夢葉は感じた。
(ちゃんと答えないと、責められる…か…
単純がダメなのは、わかってるけど…でも…どうしたら…
私って何…?)
と、夢葉は思い悩んでいた。
「では、草薙さん。前へ」
「あっ、はいっ!」
レッスン後
みんなで、後片付けと掃除をしていた後、
今日、指摘された部分の練習をしていた。
そんな中…
「ノートが落ちているぞ?」
「あっ、ひょっとして、ここの子かな?」
「私が届けてくる」
「ありがとう。寧々ちゃん」
「寮に届けようと思う」
よつばは、寧々の後を追っかけようとするが、
陽菜と夢葉に制止された。
「寧々が心配だ!」
「大丈夫だから。寧々ちゃんなら」
「私もそう思う」
「わかった」
しかし、寧々は、その子に届けるが、
目が腫れては、泣いていた。
そして、唖然としていた。
何だったら、深い絶望を味わっていた。
「やめてよ…慰めないでよ…」
「こ、このノート…」
「あ、ありがとう…」
その子は後ろめたさを感じていた。
自分で自分を責めているのだった。
寧々はどうするべきか?考え込んでいた。